Wolfgang Kramer
今のドイツゲームの指導者的な役割を果たした人物をあげるとするならば、間違いなくヴォルフガングクラマーである。ドイツゲーム大賞獲得最多でありながら、今も意欲的な作品を作っている。ボードゲーム界のピーターアーツみたいな人である。
この人のデザインは、そのコンポーネントの素晴らしさに裏付けされている。6ニムトのように万人が軽く楽しめるカードゲームから、パーティ向けに根強い人気があり再販されたミッドナイトパーティー、エルグランデのような本格派のボードも手がける。
ただ、残念な事に近年のクラマーは技に頼りすぎた傾向があり、今ひとつ魅力的な作品を手がけていないのも事実である。コンビ作というのが多いのが、クラマーデザインの黄昏を表しているかも知れない。是非、復活を遂げて新境地を創り出して欲しい。
どんな人物にも黄昏時期というのはあるのかも知れない。ここにきてクラマーは本気を出してきた。恐ろしい。なんつうシステムの凄さ。陣取りの神様ともいうべき凄いシステムを次々に作り出す。
アクションカード+勝利点システムにより、ウォーゲームの常識を覆したエルグランデ、アクションポイント制により煩わしいカードを読む必要をなくしたティカル、トーレス、メキシカ、そしてカード配置方式により新境地を開いたハチエンダ。全て陣取りだが、構造が全て違う。そしてそのどれもが傑作といっていいほどのおもろさを秘めている。これを神と言わずなんと表現したらいいのだろうか?