Hans Raggan
&
Juergen P. Grunau
&
Wolfgang Kramer
FX Schmid
2〜6人
20分
スリル
コイン川というゲームを知っているだろうか?
ゲームセンターに昔からある、コインを放り込んでそれを幅寄せてコインを落とすゲームだ。
落ちるか落ちないか、自分の読みが試される。
プレイ感
かなり昔にTAMとやって以来である。いつかレビューせんとなあと思ってたので、ロー、オビ湾が来た時に久々に出してみた。
ルールを読むと前にやった記憶では、落ちる落ちないの予想をしたんやけど、基本ルールではそれは使わんらしい。ほな、まずは基本ルールからやってみる。4人にて。
オビ湾「わ! これ箱絵むっちゃ可愛いっす」カメラでぱしゃ!
mia「ほんとだ」
箱を開けると…
オビ湾「なんだ。コインに顔が描いてる訳じゃないのか」
わし「さすがにな」
オビ湾「これ、ひとつひとつ顔書いたら可愛くていいんじゃないですか?」
mia「あ、それいい!」
各自10枚ずつチップを持つ。で、親が今回使うコインを決める。そのコインに対して一斉に入札するのだ。やり方は握りしめて出すフィスト方式。出したチップは全員、捨てる。一番少ない人が今回のプッシュマンとなり、親の決めたコインを放り込んで押す事になる。コインを落としてしまうと、大コインなら3チップ、中コインなら2チップ、小コインなら1チップ支払わなければならない。プッシュマンが次の親で、次に使うコインを決めて再び競りを行う。この繰り返しで最後にチップがマイナスになったらゲームを抜ける。最後まで残ったプレイヤーが勝利という負け抜け方式だ。
大中小のコインを土台の上に並べる。今回はひとつ飛び出してる赤の大コインを押し込んで墜ちるかどうかを決めるのだ。そこにおいたら確実に緑が落ちると思うんやけど。
早い話(早いか?)、サックノワール/バウザックのノックダウンの要らないオークションにそっくりだ。嫌なものを競っていく。ただし賭けるものも失うものも同じチップなので、悪くても小コインが1枚落ちる程度と見越せば、0枚握りでプッシュマンとなって運を天に任せるという作戦も成り立つ。
案の定、緑が落ち、中コインがカツカツの状態になった。
こんな基本ルールだけでおもろいかなあとやり始めたのだが、まあ、猛烈におもろかった。
親が選ぶのは、絶対にでかいコインの一択である。何故なら、チップの握りが最少で複数の場合、親の左隣から順番にプッシュマンの優先度があがるので、親は最少が複数となった場合、負けない分有利なのだ。
押すときは、引っかかりのあるところまで男らしくグググッッ! と最後まで押し込め。写すのを忘れたが、円形の土台が下にあって、空中に浮いている。そういや、昔TAMが引っ掛かりのところを通り越して、半分位コインを落としてたな。冗談でやってるんかと思ったら、本人は気づかずに真剣やったので驚いた。ちゃんと引っ掛かりのところで止めるように。
もう少し戦略的に考えれば、小さいコインを選ぶという作戦もありなのかも知れないが、なんせでかいのを使って相手の脱落を謀る。
このゲームのエキサイトするところは、わしの大好きな
フィストファック方式
を採用している事だ。このやり方は妙に燃える。
これがジョーコデルモンドを一躍有名にしたフィストファック方式の一発競りだ。全員がぱっと開く。
ロー「これはいけるかな? この隙間に上手くハマれば」
オビ湾「ここにコインが流れてくればチャンスはありそう」
ロー「じゃ、いきます」
ぽろっ
ロー「あー!」
と終始こんな感じ。まず場のコインを読む。置く場所はプッシュマンが選べるので、コインの隙間を読み、そこにはまるようにプッシュするのみだ。
落ちそうで落ちなかったり、落ちなさそうで落ちたりとありきたりな言葉で申し訳ないが、まさにそんな感じ。
チップは僅か10枚しかないので、どこで上手く稼ぐかがポイントとなる。
わしゃ、0枚握りで1回ほどプッシュマンを逃れ、こりゃあかんと皆が結構握った時にも諦めて0枚握りでプッシュマンとなって、小コイン1枚の落としで助かった事もある。
ロー「あきおさん、それ結構稼いだよねえ」
mia「あー、マイナスになった」
とまず脱落し、続いてオビ湾が脱落、最後にはローとの一騎打ちとなった。
落ちているコインから、親が今回どのコインを使うかを決める。コインの裏側は空洞になってるんがイマイチなんよなあ。
次は明らかに落ちる。しかも大コインが。ここでわしは虎の子の1枚を賭けて、勝負。
ロー「えー、まだ持ってたの!」
わし「こんなこともあろうかと残してた」
ローはチップが残っておらず、プッシュマンとなり、わしの勝利。
所要時間20分
次に上級ルールを導入する。
上級ルールでは、落ちると思うカードが2枚、落ちないと思うカードが2枚、おもりカードが2枚、各自に配る。
プッシュマンを決めるまでは通常通りで、プッシュマンが今回まずおもりカードを使うかどうかを宣言する。で、プッシュマンも含めて全員が今回の条件でコインが落ちるか落ちないかを予想して裏向けにカードを出してもいい。
これが上級ルールの落ちるか落ちないかの予想カード。間違ってはいけないのが×があるのが落ちないである。
カードは全て使い捨てだが、予想が当たれば戻ってくる。さらに小チップ1枚貰える。この小チップ3枚で通常のチップに交換出来るというものだ。なんせ最後の方はチップが1枚あるかないかでまったく勝敗が変わってくるので、きちんと当てていきたいところだ。
おもりだが、もし使うとなれば好きなコインの上に置いてからプッシュする。こいつは絶対に落としたくねえというコインに置くのが基本だ。結構ずっしりしているので、かなりの効果が期待出来る。ただし、おもりが載っているコインを落とせば倍額支払いだ。大コイン+おもりなら6枚という致命傷を負う。
これがミスターディフェンスと名高いおもりだ。結構ずしりとしてるので、場の読みを混乱させる。
今回は、皆おもりをかなり効果的に使い、もうこりゃあかん! というのを何度も救う。おもりが載ってるコインは、そいつ自身を守るだけでなく、プッシュの流れを変える程の力を持っている。
mia「ここらへんの緑の奴、全部落としちゃえばいいのに」
ロー「そうそう、全部落としたらいいよw」
結局、先に脱落したオビ湾のあと、チップを既に失っているmiaが自分が話した通りバラバラっと豪快に落として脱落、またしてもローとの一騎打ちに。しかしこのときすでに二人ともチップは無し。0枚握りで勝負だが、miaの隣にいたローが親のためにわしがプッシュマンになる。
わし「じゃじゃーん。おもりを使います」
ロー「あー、残してたのか」
そう、今回はおもりカードを残しておいた。こいつを使えば助かる筈。
おもりは必ずコインひとつに置くことになってるが、他のコインに掛かっていなければこれでOK。反則すれすれだが、これで勝利を確定させたいところ。
そしてゆっくりプッシング…
わし「やった! じゃ、次はこの大コインね」
ロー「そんなん無理!」
またしても勝利。所要時間20分
オビ湾のコメント
毎回、手持ちのチップから数枚を提示し、一番少なかった人がコインおとしにチャレンジしなくてはならない。最近だとバウザックにちょっと似た感じ。
落とす当事者になってもチップを払わなければならないのが面白かった。
上級ルールでは2回だけ使える重りが登場したり、
クロンダイク
のようにコインがおちるかおちないか予想するシステムが登場したりする。
遊ぶ人によってちょっとだけ深みを変えられる良いヴァリエーションと思いました。
miaのコメント
駆け引きの巧さはゲーム人生の豊富さと比例するのか。まだまだアマチュアのわたしには勝てません。
ソマーリオ
前にやったときもおもろいなあと思ってたけど、久々にやってみると無茶苦茶おもろかった。基本ルールでも十分盛り上がったし、上級ルールもおもりの存在で更に読みが深くなって楽しい。いやあ、こんなに楽しいのなら前からゲームの合間にどんどん出せば良かった。内容的に二人プレイでもいける筈だ。
フィストファック方式
の競りも熱いし、隙間をみてうんちくを垂れるのも楽しいのだ。
また落ちるコインを想定しての競りの引き際という戦術もある。前にやった時の記憶では
を付けるつもりだったが、今回改めてやってみて
を付けたいと思った。これ、ここまでおもろかったのか。コンポーネントもかなりしっかりした作りで、コインの裏側が空洞になってるのだけがちと残念なくらいで他は文句なし。miaが言うように顔の絵のシール付いてたら満点やったかも。
見かけはあまりにも単純でよくあるゲームだが、その単純なコイン川の仕掛けが『要らないオークション』によって見事にドイツゲーム化されている。順番に手番をやってたのでは面白くない。競りという要素を追加して初めて駆け引きのあるドイツゲームとした。負け抜けという事に関しても、プレイ時間が短く、他人のを見てるだけでも楽しいので欠点となっていない。
デザイナーをみると3名のデザイナーが記されているが、その中に御大
クラマー
の名前がある。この年は
エルグランデ
で
ドイツゲーム大賞
を獲ったようだが、こんな楽しいゲームにも参画してたとはさすがはクラマーだ。
ただしシステムがシステムだけに連続でやるとすぐに飽きると思う。時々ヘビーゲームの合間に軽く楽しめる
級ゲームとして使いたい。つっても絶版やけど。
GEEKをみると、二人プレイでもかなりおもろいようだ。確かにシステム的に二人でやっても読み合いはかなり熱くなりそう。
ここでわしは閃いた。2010年現在まだ絶版になっておらず1500円で売ってる同じ仕掛けを持つ
宝の滝
をこのルールでやればええねやんけ、と。小さいコインは1点、大きいコインなら2点でどこからか賭けるチップを10枚流用してやれば、同じ楽しさを味わえる筈だ。
とここまで書いてて思いだした。確か
宝の滝
のコインは小さくみっしりしてたので、やれば必ず落ちてた気がする。それはそれでどれだけ落とさないようにするかという事で競りは成立するだろうが、別の方法として宝の駒の得点はそのままにして、欲しいオークションとして、楽しめばどうだろう? その場合、手持ちチップ数を多めにすればいいと思う。この方法だと最初はきっと全員0枚で宝箱をぐいぐい押す展開になる。このように工夫したら同じように楽しめると思うので、スリルが絶版だからといってオークションなどで買う必要もない。
そういや謎のリングゴムが2つ付いている。台を固定すると書いてるが一体どのように使うのだろう??
gioco del mondo