Bruno Faidutti
&
Michael Schacht

Days of Wonder

3〜6人用
60分

フィストオブドラゴンストーン

ルール説明

様々な能力を持ったキャラクターを競る。競り勝った者がそのキャラクターの能力を利用出来る。

競りは独特で、拳に金貨や銀貨を握り、一斉に開く。勝っても負けても、金貨も銀貨は捨てるのだが、10キャラクターを競る1ターンが過ぎると、金貨の中でも妖精金貨と呼ばれるスタート時に8枚もらった金貨は手元に戻ってくる。

こうしてキャラクターの特殊能力でドラゴンストーンを集め、それをまた別のキャラクターの特殊能力で勝利ポイントに変えて、最初に3勝利ポイントを貯めたプレイヤーが勝ち。

プレイ感

教えてper favoreの第一弾がまさかこれになるとは夢にも思わんかった。


ゲーム風景。山からカードをめくり、ついたての後ろから金貨を持ち出す。使い勝手上、妖精金貨を捨てる箱を置いた。白いサイコロみたいなのが勝利点を表す。ドラゴンストーンと勝利点は皆にオープンしておく。

このゲームは去年のエッセンで『あやつり人形』のフェドゥッティと売り出し中のシャハトの共作で、さらに、このゲームを出さんが為にDays of Wonder社を立ち上げたという鳴り物入りでデビューした。(なんでもゲームの企画をHans im Gluck社に持ち込んだらしいのだが、同社が売りだそうと思っていた『マジェラン』と競りゲームとして被るのでポシャったらしい。それでアメリカ資本のこの会社から出たのだ)ファンタジー色たっぷりで美麗なカード群、3色の美しいガラス製のドラゴンストーン、綺麗にカッティングされた木製の金貨というこのコンポーネントに誰もが魅かれたと思う。

ところが、これほどのコンポーネントを誇るこのゲームがその後、さっぱり噂を聞かんようになった。

ひょっとして前評判倒れ?


むー、あと3個しか残ってねえ。今ターンは辛いかも。

ネットで調べても淡々と流れて、盛り上がりに難しい、あっさり終わってしまう、と微妙な評価。

そんな訳で一時は買う候補から外してたが、今回、修道院殺人事件を買おうとプレイスペース広島さんに注文する時についでに買うとくかと軽い気持ちで一緒に購入した。

つるりとしたドラゴンストーンや、質感のある木製金貨のコンポーネントを眺めてると、やっぱりわくわくしてしまう。これでもあんまりおもろないんやろなあと思うとむっちゃ複雑な気分。

毎日、ドラゴンストーンをにたにたしながら眺めてると、おもろなかったらあかんやんけ! と無理矢理おもろくしてやろうと決意。

前もってTAMとたっかんに「思い込みが大切なキャラクターゲームじゃ」とメールする。奴らはかなりマニアックなんで、モチベーションをあげてくれる筈。

修道院殺人事件が異常に時間かかって、始めたのは酒を飲みに行き、深夜2時という時間やった。

ルールは簡単なんで、ちゃっちゃと説明し、眠気と戦いながら、いざスタート。

……

10分後

「おらあ! フィストファック!」

金貨を握りしめた拳を突き出す俺。

「SMの女王様は殺す気でフィストファックするそうですよ」

たっかんはそういって拳を突き出す。

「そうか! SMの女王様はそんな気持ちでボキにフィストファックしてくださってたんですね!」

ありがとー! 女王様!

「フィストファック! 殺す気で!」

あ、熱いぜ。

なんという読みあいの熱さ。これが淡々だって?!

とんでもねえ!

この拳に握り締める感覚はまさにフィストファック!! 男と男の熱きバトルだぜ!

「フィストファーーック!!」と俺が叫べば、すぐさまたっかんは「殺す気で」と拳を合わせる。


その想いは烈火のごとく! なんという火花散るゲームや。確かに叫ぶ場所はそこしかなくて「わあーー!」と盛り上がる場面はないが、内面は相手の出方を伺う真剣勝負。どこで相手を叩きのめすか。


この開けた瞬間がたまんねーっす。今回は金貨が同入札やったので銀貨勝負している。

魔女をゲットして、抑止力を手に入れる俺。この黒魔法コインの抑止力(これを入札に使うと相手は競りに勝っても能力を使えない)を最も上手く使うコツは、相手の入札を無駄に終わらせる事じゃなく、皆が欲しいキャラクターの時に、自分がこれを使わずに入札する事だ。

初戦は、いきなりフェアリーの妖精金貨を手にいれるという能力(妖精金貨は10ラウンド終了すると手元に戻ってくるので大きな力となる。エナジーそのものだ)でTAMとかち合い、普通金貨ばかりか銀貨まで失った。しかもTAMと相撃ちで結局どっちも手に入れられなかったのが尾を引いてたっかんが勝利。

二戦目は、黒コインに皆がびびって妖精の入札に金貨なしでフィストファックしたのを見越して俺がわずか2個で妖精金貨をゲット。

全員が2勝利ポイントを獲得してリーチ状態だったが、TAMが赤、青、黄のドラゴンストーンをそれぞれ3個ずつ持ち(ドラゴンストーンをキャラクター能力を使って勝利点にするのがこのゲーム)圧倒的リード。たっかんと俺はわずか1個と0個。

毎ターン、2枚のスペシャルキャラクターが入る。
「本日のお客様は……」と俺がスペシャルカードをめくるとたっかんとTAMが「る〜るる、るるる、る〜るる〜♪」と徹子の部屋のテーマソングを口ずさむ。

インチキ魔法使い。こいつの能力は、手持ちのドラゴンストーンを全て捨てる(0個でも可)事で1勝利ポイントを手に入れる。

(ここや! ここしか勝ち目はない)

俺は、まず最初になんとしても抑止力の魔女(魔女は毎ターン最初に競られる特殊キャラクター)を無理してでも落とす事にする。実に半分の4個。TAMもこれを落とそうと3個握っていたが、中途半端はこのゲームでは命取りとなる。

黒コイン抑止力にびびり、大魔術師が出ても握れないTAM。そしてとうとうインチキ魔法使いが出た。

俺は残り全ての妖精金貨5個を握り締めてフィストファック!

「殺す気で!」

Open our Fist……

たっかん0個、TAM……4個

「しゃああ!」

かくして俺が勝ちを収めた。3人プレイで所要時間60分。

TAMのコメント

「妖精金貨を増やしてたのを忘れてました。同じ4個なら、銀貨の差で勝つと見込んでました。あの核抑止力には負けました。そらアメリカ強い筈ですわ」

(実はこのとき、TAMは妖精金貨をほとんど残してた。きっとぎりぎりに抑えて黒を使われても次の競りで勝てるとふんでたんでしょう。被害を最小限にというのが敗因)

「この箱絵に描いてる手袋欲しいっすわー。絵の通りドラゴンストーンにもドラゴン埋め込んで欲しい」

「確かにな。DX版出たら9800円までやったら買うで!」
つーか、コスプレ好きと知り合いになって、作ってもらうか。。

「買いますか! 金貨も金属製にして」

「いや、わしゃこの木製金貨が気に入ってるねん。手に優しい。ドラゴンズゴールドやったら金属製の方が嬉しいけど、これは木製のままでいい」

「なるほど。僕も最初、ただの黄色い木製のチップにしか見えなかったすけど、今はどう見ても妖精金貨にしか見えませんわ」

この思いこみがボードゲームの良さ。カタンのところでも語ったが、十分に人の想像力は素晴らしい。テレビゲームでは決して味わえない感覚を是非味わって欲しい。

たっかんのコメント

これは燃えましたわー。殺す気でフィストファックですわ。

ソマーリオ

今回は3人という事もあって、ネットで公表してた最初の無料ドラゴンストーンを2個(通常4個)スタートというルールでやった。3人やとあっさり終わるらしいのだが、勝利点を4にしたりもするらしいが、わしらは今回2個だけで丁度良く楽しめた。ただ、3人プレイやとあまり銀貨が重要じゃない気がする。

※このゲーム6人まで出来るとあるが、はっきりいって5,6人は無理。なんでこんな人数OKにしたんかなと思う。死ぬほど時間が掛かる。3,4人でやって欲しい。

これが淡々と流れて評価が低いってのはよく知った友達とやらんからちゃうかなあと思う。競りゲームの可否は熱い読みあいをするかどうかに賭かっている。フィストオブドラゴンストーンは文句なしにそれを満たしてる佳作だ。

トップ目を結託して叩くってのも批判対象やけど、このゲームはすぐにリーチになる(同色のドラゴンストーン4個だけで2勝利ポイント手に入るキャラクターが標準キャラクターにいるくらいだ)ので、むしろそこからが勝負のゲームなのだ。今回も2回共、一人がすぐにリーチになって、最後は全員リーチにまで追いついてる。たっかんは二回目のTAM阻止の時、わしが「よっしゃあ、任せろ」とか「頼むで」とか言うので、これはほんまなのかブラフなのかと悩んだらしい。それもまたおもろかったとの事。

「おもんないやん」と言われたら癪なので、攻撃的な友人と、思い込みたっぷりにこの文章通りの熱さで競ってみて欲しい。今回はじゃんぼが来てないが、TAMとじゃんぼはライバル視してるのでかなり燃えたと思う。このゲームはオークションみたいなイメージじゃなく、どこにパワーをかけて相手を叩きのめし、逆に敵の攻撃をどうやって削ぐか、そういった肉弾戦のイメージが正しい。拳を合わせるのはそれ。つまり「フィストファーック!」と「殺す気で!」そして「る〜るる、るるる、る〜るる〜♪」だ。

と言いながら最も重要なのは相場を教える事である。赤青黄の三色のドラゴンストーンを集めましょう。それぞれ1個ずつ集まればセットにして魔術師を競り落とし勝利ポイントに替えます。基本はそれを3回繰り返せばいいのです。と教えれば相場は解る筈よん。

Days of Wonder社では追加キャラクターを募集してる。わしも送ろうと色々アイデアを絞っている。ただブランクカードが3枚しかついてないので、これからカードが増えると困る事になる。(まあ既に5枚も公開されてるので困っていると思うけどね)そこでわしが考えたのは、ブランクカードに数字を割り振って、ゲームをやる時に印刷したカードを気分によって3枚選び出し、適当に番号を名付けてやる方法。これならカードが増えても対応出来るし、贋牌にもならない。しかしこの会社はコンポーネントはもとより名前がいいねえ。

このゲームの欠点は、美麗なカードで騙されるが、よく見りゃ絵が結構ださい点だ。この人はあやつり人形でもデザインしてるが、あまりファンタジーのセンスがあるとは思えん。なんかださい。なんかファンタジー世界が分かってないような気がするねんなあ。


美麗と思われるが実は意外とダサいデザイン。真ん中の黄色い人って変なん被ってる、虫みたい、、、その右端なんか、幽霊やねんで。幽霊つうたらぼわぁっとしてるイメージやん? でもこれの幽霊はなんか妙な実体感があるねん。ところてんみたい。。。下がナンバリングしたブランクカードね。

このゲームがなんで止まりなのかと言われると、やっぱりゲームバランスが問題。若干、大味なところがあるので、ゲームとしての完成度ではあげられん。プレイバランスをプレイヤーに強要するタイプで、魔女が居らんかったらすぐに破綻する。しかしTalismanと同じく、色々なカードを素人が適当に作って入れてもゲームバランスが崩れる事なく楽しめる。そういう荒削りなところが逆に魅力になるゲームである。どう考えても盗賊が毎ターン入る標準キャラクターつうのはいかついぞ。

このゲームのもうひとつの欠点はこの業界の大手メビウスがちょっとしか輸入しなかった事と、手がけているプレイスペース広島でタイトルが『ドラゴンストーン』になってる点ですな。やっぱりこのゲームはフィストオブドラゴンストーンやで!

殺す気で握れ!

gioco del mondo