Bruno Faidutti
&
Serge Laget

Days of Wonder

3〜6人
120分

修道院殺人事件

ショーンコネリーの『薔薇の名前』をイメージさせたゲーム。映画や小説は13世紀の修道院の、本の筆写による知識の独占、異端審問官の恐さ、ホモホモなイメージが溢れ出ている。この時代は破門されると死刑と同じ意味であった。これはきっと現代人には解りにくいやろなあ。例えば世界中から村八分にされたら殺されたんと一緒でしょ?

背景のうんちくはおいといて、ゲームは元々フランスのメーカーが出したので、現在アメリカのメーカーが出してるとしてもフランスゲームに入れておく。デザイナーもフランス人なんで文句はない筈。なんでもその時は3000部しか売れなかったとか。


ゲーム全景。左下のベルがミサ招集の為のベル。これが4つ進めばミサなのだ。結構可愛らしい音がする。

ルール説明

24枚の容疑者カードを1枚抜いてボード下に隠す。これが殺人事件の犯人である。
残りをプレイヤー人数に従って配る。

容疑者には特徴があって、その特徴を頼りに捜査を進める。特徴を列記する。

・テンプル、フランチェスコ、ベネディクト修道会
・ファーザー、ブラザー、ノービス
・フードを被っているか
・ヒゲをはやしているか
・痩型かデブ型か

の5つである。例えば、ベネディクト修道会のファーザーでフードを被らず、ヒゲをはやしていて、デブな人物といえばBrunoである。このように皆に名前がある。


容疑者チェックリストはカラーで文句なし。何枚かついてるしpdfファイルをDL出来るのだが、貧乏性の俺は100円ショップでA5サイズの透明ケースを購入した。これに書けば何度も使える!

※確率が好きな人なら気付くと思うが、全通りがある訳じゃない。全通りなら72名の容疑者が必要になる。

様々な効果のある部屋で、他のプレイヤーの持っている容疑者カードを探ったり、質問したりして、犯人を探す。

最終的に正しい犯人を告発すればゲームは終了。ゲーム中、犯人の特徴をあてたプレイヤーにポイントが加算され、一番ポイントの高いプレイヤーの勝ち。

プレイ感

TAM、たっかん、ホモ好きの従姉妹ふたりを加えて5人プレイでやった。
プレイ人数が増えると、時間がかかるみたいなので短縮ルールの1回の移動は2から3マスに変更した。

わしの手札は、テンプル修道会の容疑者が多いのでそこらへんを他のプレイヤーに重点的に訊く事にする。「テンプル修道会は何人いますか?」とか「テンプル修道会で太ってる人はいますか?」みたいに。

ピノキャットが訊いてくる。「ベネディクト修道会でハゲの人は持ってる?」

ハゲはちゃう。。。ハゲは容疑者の特徴じゃないって。。。確かにハゲは特徴に見えるけど、特徴はあくまでフードを被ってるかどうかやから。

MIRUが聞く。「太ってて、アゴが割れてる人は何人おる?」

アゴが割れてるはちゃう。確かに特徴としてアゴが割れてるように見えるけど、ヒゲが生えてるかどうかやから。


うーむ、、、確かに割れてる。ゲームとして、どんな質問をしても良いので、禿げとかはOKになるけどさ。アゴが割れてるもかなりむずいが見ようによっては大丈夫。

まあ、そんな感じでゲームは淡々と進む。

うーーーーん、答えて貰うのはいいが、全然、犯人像は見えてこず。なんかまったく分からんねんけど?

他のプレイヤーも同じで、色々質問をやってみたが、解らない感じ。

このゲームはクルードと違って、他のプレイヤーの受け答えも聞く事が出来るので、耳を澄ますが、まったく覚えれん。しょうがないのでメモ帳まで持ち出してメモりだしたが、途中でカードが増えたり減ったりするし、4回行動を終えるとカードを交換するので、過去の情報となりまったくメモを取る意味がない事に気付く。

犯人像が少しずつ見えるどころか、暗中模索、五里霧中とはまさにこの事。

そうこうしているうちに時間だけが経っていく。

途中、MIRUがイベントカードの中身をみて順番を入れ替える本カードを引く。

「なんかよう分からん」

そういって戻すと、一番上のカードは『このターンは単旋律聖歌調に話をする』やった。

「こぉーんなのお、あーたまに持ってくるなーよー」

と皆で大ブーイング。これに従わなければ懺悔として教会で1回休みを食らうのだ。

自分の番以外でもグレゴリオ聖歌調で率先して語る、俺とTAMは段々とこの調子になーれーてゆくううー。

しーかーしー、なれたこーろー、ミーサーがはじまーりー、このぉ、イベントもぉ、終了となりましたー。

ざーんねーん。

これがまた訳の分からんまま中盤に差し掛かった頃に引いたおかげで、冗長さが益々増大。

わしは「犯人はテンプル修道会である!」と偉そうに公表しておきながら「犯人はフランチェスコ修道会である!」に変更。当てると2点貰えるが、外れるとマイナス1点なのだ。これでとにかく1点プラスになるのだ。

※相反する事を告げてもよい。

最後は、フランチェスコ修道会の奴が怪しいと睨んでいたが、4人ほど残っていた。そこで唯一容疑者リストから消せなかったベネディクト修道会の一人に一か八かの賭けにでる。

「犯人は、ベネディクト修道会のブラザー、ベネンガルである!」
そう告げるとピノキャットが嬉しそうにそのカードを見せた。

※犯人の告発をしても犯人をみない。代わりにそのカードを持ってる人がそれを見せるのだ。

(畜生! やられたー)

ピノキャットはこのカードを隠してやがったのである。
わしは告発失敗のマイナス2点をくらい懺悔室へ。


集会場で告発するMIRUの青コマ。上の教会で懺悔するわしの白駒も見える。ボード右下は超強力図書館カードと筆写室のカード。これがクルードとの差別化に成功しているのだ。運の要素が大きくなるけどさ。

すぐさまMIRUが集会場で「犯人はフランチェスコ修道会のノービス、アンドレ」

一同、しーん、、、

「当たりちゃいますか?」TAMが恐る恐るいう。

ボードをめくると正に真犯人が。

得点ターイム!

わしマイナス1点、TAMマイナス1点、たっかん、マイナス3点、ピノキャット、0点、MIRU3点。

おい! MIRU以外全員マイナスかよ!

疲れたー。時計を見ると2時間も経ってるやん。

短縮でこれえええ??


これが3000部しか売れなかった旧版。カラーが地味ですな。

いまいちやったけど、ゲームの雰囲気は抜群やしきちんとやるとおもろいんかなあ。

そこで正しい遊び方を考えた。まず一番時間のかかった他のプレイヤーへの質問。これまったく意味なし。最初に嬉しがって訊いてメモまでとったけど、このおかげで犯人像に近づけた人は誰もいない。

質問のやり方が間違ってたのよ。質問変えてどうすんねん!

「テンプル修道会は何人持ってますか?」の質問をしたなら、全員に同じ質問せんと意味ねーじゃん!

それも4回移動するとミサが始まって、カード交換が起こりパターンが変わってしまうので、次のミサまでに完了せんとあかん。

あるいは同じプレイヤーに、同じターン以内に上手く質問を変えて訊く方法もあるけど、これは1回の行動で行ったり来たり出来ないルールのおかげでちと厳しい。

そして自分的に大きく間違った戦略は、事実の公表として、テンプル、フランチェスコ、ベネディクトとわざわざ3択を選んだ点である。特徴は2択があるのだからこれは愚の骨頂である。

ハゲかどうか、デブかどうか、アゴが割れてるかどうかの……違うって。。。

このゲームは是非もっかいやって、再評価したいとこである。何がなんでもおもろくなるまでやってやる、そんな気にさせるコンポーネントである。それにきちんと捜査すれば時間は絶対、短縮出来るはずだ。

ちりんちりん、ミサの時間です……


Are you sleeping?
Are you sleeping?
Brother John?
Brother John?
Morning bells are ringing,
Morning bells are ringing,
Ding, ding, dong!
Ding, ding, dong!

【和訳】
眠っているの、眠っているの?
ブラザー・ジョン、ブラザー・ジョン
朝の鐘がなっているわ。朝の鐘がなっているわ
ディン、ディン、ドン! ディン、ディン、ドン!

たっかんのコメント

いやあ、おもろかったっす。捜査中は、かなりドキドキしました。こんなゲーム初めてですからね。

TAMのコメント

以前にこういった推理するゲームにアンダーカバーをやって楽しかったんですが、このゲームはあれとは違った本格ミステリーを解くという楽しみがありました。ゲーム自体、コンポーネントも含めて、文句なしに良かったです。

まあ、このゲームやる前に『薔薇の名前』を観ろとそそのかしたからTAMがある意味一番楽しかったかも知れんのう。

ちなみにたっかんとTAMは推理ゲームの名作クルードをやった事ない。残念ながら今の評価ではクルードの方が単純にミステリーを解く感じがしておもろいな。

2回目

というわけで、ようやく2回目をプレイする事が出来た。今回は兄貴を加えてここに書いた、禁断(?)の6人プレイである。当然、短縮ルールはフル採用。

今回は皆に説明してたとおり、同じ質問を繰り返す事により、捜査は効率よく進む。ん? 6人なのに何故って? それは、質問すれば質問返しというルールがあるおかげで、まったく問題なくミサまでに全員に訊く事が出来たのだ。

実際、わしは最初のミサまでにベネディクト修道会の全員がシロだと目星がついた。凄い!

MIRUが、ベルの移動忘れで懺悔を食らい、懺悔を食らったくせにその後、益々態度が悪くなりやがった。ああ、神様!

ちなみに、懺悔の時は、「私は何々をしました」と実際に言葉に出して懺悔するのがわしらのローカルルールとなりつつある。代りにあの単旋律聖歌調に話すというカードは抜いた。Are you Sleeping? を皆で歌うは楽しそうなので入れてるが。

そしてたちの悪いのが兄。「これよう見たら、ベネディクト修道会士って顔つき悪いな。それに対してフランチェスコは穏和や」とかごちゃごちゃとつまらん事ばっかり言いよる。阿呆! ただでさえ長いねんからちゃっちゃと質問済ませんかー!

また前回にも書いたが、初心者がよく間違うのに、「これって、髭生えてるかどうか結構微妙な奴おるねんけど?」という質問。だから、それは人物の下に3つのシンボルとして書かれてるでしょ!

捜査はぶっちぎりでかなりの進展具合を進めていたが、最後、二択で、間違ってしまい、TAMに勝利をかっさらわれた。死ぬほどクヤシー!!! どうやら隣のTAMと俺が最も犯人に近かったらしい。そして、わしら二人は一回ずつ、告発を失敗しているが、相変わらず隠匿してたのはピノキャットやった。。。(T_T)

さすがに6人やと最初の容疑者カードがわずか3枚しか配られないので、この超効率的捜査方法でも2時間かかった。でも、ミステリーはかなり説いているという感じはする。やりこんで、どんどん楽しくなるのは間違いないし、確かにおもろいのだが、質問のやり方(Who、How、Whenがとても重要)や捜査方法(こちらも同じく、誰に? どのように? が重要)がかなり難しいので、慣れが必要なところがある大人のゲームだ。あと、時間が掛かるのも難点。やりこめばもっともっと楽しくなるし、お気に入りになっているのでまたやると思う。ミステリーファンなら絶対におもろい筈。このゲームの真の楽しみ方は、勝ち負けよりも修道会の厳粛な雰囲気に浸って自分で役割を演じるのが正しいあり方だろう。最低、映画は観なければならない。劇中の人物になりきれる雰囲気がある。そういった意味でRPGファンにも薦められる。難しい、時間が2時間もかかる、そういった事をさしおいても、この雰囲気はやっぱりわしにはツボだ。以前、一般的にをあげられないと書いたが、やっぱりどうしても付けたくなった。

最近、薔薇の名前の小説を購入したが、このゲームの被害者、ブラザーアデルモってのは、薔薇の名前の被害者と同じ名前なのに気が付いた。アリストテレスの笑顔など、凄まじく薔薇の名前チックだ。というより、このゲーム、完全に薔薇の名前そのものやん!

実は、フェドゥッティは薔薇の名前で出そうと作者に問い合わせたらしいが、ウンベルトエーコは、映画の薔薇の名前の出来映えにいたくショックを受けて、もう嫌だと断ったらしい。ふーむ、、、映画でモチベーションをあげてたわしは阿呆? いや、でも映画おもろかったけどなー。大体、短い映画で長編を表現しよってのが無理あるわ。8時間の連続テレビでやればかなりおもろいもん出来ると思う。誰か作ってー!

ところが2008年になって大御所ラベンスバーガーからそのまんま、薔薇の名前でこのゲームをリリースする事になった。シュテファン・フェルドの手腕が楽しみである。果たしてこのゲーム以上の仕上がりを見せてくるだろうか?

gioco del mondo