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Anthony E. Pratt
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エポック
1974年
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3〜6人
30分
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名探偵/クルード
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ミスターブラックが殺害された!
犯人はこの洋館に集まった誰かである。
アリバイを崩し、凶器と犯行現場を特定しろ。
イギリスゲーム古典中の古典クルードにはたくさんのバージョンがある。日本では、この名探偵がイギリスのCluedoの忠実な移植として1974年に発表され、舞台を日本に変えた金田一耕助の推理ゲームとしてリメイクされた。オールドファンには結構売れた金田一耕助のほうが懐かしいだろう。
近年では殺人事件というのでは子供が遊ぶに不適切という理由で凶器を、隠した財宝にした名探偵コナンとして復活した。しかしそれも絶版のようである。金田一耕助からコナンまでかなりの年月の隔たりがあるが、その間にも凶器の中に靴(!)があるミステリーゲーム、舞台は宇宙船、乗組員の体を乗っ取った宇宙人を探すエイリアンパニックなど、色々出てたようである。ここらへんについては、クルードに詳しいこちらのサイトを読んでみて下さい。こちらではWindowsでクルードが出来ますが、PCでやると結構むずいなあ。
プレイ感
わしゃ、小さい頃誕生日プレゼントでこの名探偵を貰った。ルールがさっぱり解らず、大人に混じってやってた気がするが、印象に残ってたのは気持ちの悪い容疑者の絵であった。人の顔に駒の胴体が付いてる。怖い印象を持っていたが、いつの間にかなくしてしまった。子供の頃の強烈な思い出があり、ずっとこのバージョンを探してたらようやくオークションにて見つけることが出来た。タカラトミーがクルードを再発売するという事で、久々にTAM夫妻と3人でやってみた。
容疑者、凶器、犯行現場の3種類のカードから1枚ずつ黒い封筒に入れておく。これがプレイヤーが探す真犯人、凶器、犯行現場である。残りのカードをまとめてシャッフルして全員に配る。つまり手札になっているカードは、アリバイがあるという事だ。推理ノートにチェックしておく。
ゲームはサイコロを振って、洋館内を進めていく。部屋に入ると聞き込みが出来る。聞き込みは「犯人はグリーン牧師、凶器はピストル、犯行現場は書斎」という風にたずねる。犯行現場は駒がいる場所だけしか指定できないが、容疑者駒、凶器駒は即座にその場所に置かれる。
左隣のプレイヤーがそのカードのどれか1枚でもあれば、たずねた相手に見せる。それで手番は終わりである。ただそのプレイヤーがなければパスして、その左隣のプレイヤーが同じようにする。こうして誰かが1枚でも見せれば手番は終わりである。推理ノートにチェックしよう。
あちこちの部屋で質問をするのだ。隅っこの4部屋には隠し通路があり、サイコロを振らずにいける。金属製の凶器が雰囲気を盛り上げる。真ん中にある封筒の中に真犯人と凶器と犯行現場が入っている。
こうやって推理をしぼっていき、全て解れば手番に解明といって推理を公表して中身と合ってるか自分だけチェックする。合ってれば勝ち、間違っていればゲームから脱落する。
TAMグリーン牧師、TAM嫁ミススカーレット、わしプラム教授でゲーム開始。なんとこのゲーム、自分は容疑者のひとりであり、当然、犯人である可能性もある。自分で犯行に及んだことも忘れて自分が犯人だって公表するのも変だが、ここはご愛嬌という事で。
最初の手札が悪い。犯行現場のカードが1枚しか入ってこない。犯行現場だけはサイコロを振って進めなければならないので、結構時間がかかる。
これがわしの貰ったアリバイカード。これは除外出来る。駒に顔が付いた絵が気持ち悪い。これらのカードをうまく隠せばいい訳だ。
※恥ずかしながら、昔ずーっとルールを間違ってやってたおかげでこういう曲解が起きている。実のところ凶器と犯人カードが多いほうが良さげであると今回気づいた。
温室に続々と容疑者が集まりだした。
む! 温室が怪しいのか!
しかしわしのプラム教授は事情聴取を受けず、ひとり玄関などをうろつく。
やばいぞ。
TAM「じゃ、プラム教授も呼んで事情聴取しましょう」
よっしゃ。
部屋に呼ばれると自分の手番でサイコロを振らずに即座にその場所で、事情聴取を行えるのだ。
そして、わしの手番、「ほな、ミセスホワイト、ロウソク立て、温室で」
TAMがさっとカードを出す。
(ロウソク立てか。ふーむ、益々温室は怪しい。ほとんど現場はこれで決まりでは?)
さらに「マスタード大佐、鉛パイプ、温室で」
TAMがさっとカードを出す。
(鉛パイプ。温室決定か!?)
さらに「ミセスホワイト、短剣、温室」
TAMがさっとカードを出す。
(温室…)
「ぶっころーす!」
TAM「わははは」
※質問のカードが複数あった場合、1枚見せるだけでいいので、こうやって隠すことが出来る。
続々と温室に集まる。お呼ばれするといきなり部屋に行けるので、そのまま留まって質問出来る。
こうなったら温室に用はない。全員、蜘蛛の子を散らすように別の部屋に移動開始。
突然、短剣の駒でTAMの腕をついた。
TAM「痛っ。何するんですか。犯人、わかりました。この人です」
そういや、小さい頃、”短剣”という単語がわからずに”探検”がなんでナイフなんやろと思ってたよなあ。他にもあって、なぜかマスタード大佐が異常に犯人率が高かった。
次に入った部屋がどんぴしゃやったみたいで、TAM嫁の質問で、わしゃ全て解った。こういう場合、犯人、凶器カードを多数持つわしが有利である。
最終確認で「犯人はミセスホワイト、凶器は短剣、犯行現場は舞踏室」
一同、シーン…
この場合わしが、この3枚のカードのうち1枚でも持っていれば解明にはならないが、わしも持っていない。つまり、事件は解明されたのだ。
TAM「やられた」
確認すると、間違いなし。
勝ち。所要時間25分
TAM嫁「わー、もうちょっとで解ったのに」
続けて2戦目は、中盤、自分の犯行場所カード1枚交えて適当に言った凶器、容疑者カードがどんぴしゃやったみたいで、一同シーン。
やべぇ。
TAM「解明! いやあ、全然わからんかったんですけど、あの質問でわかりましたわ」
TAM嫁「なんで、ミススカーレットが犯人じゃないってわかったん? 私ずっと隠してたのに」
TAM「いや、あきおさんが、ミセスピーコックで言うて誰も答えんかったやん。だから消した」
TAM嫁「あ、誰が何を言うたか推理ノートでメモ書きしてチェックしてたんや。なるほどー」
所要時間20分
TAMのコメント
これは持ってても損はない一品ですね。
ソマーリオ
今となってはサイコロで駒を進めるというシステムに古臭さは残るが、全員がプレイヤーとして同じようにゲームに参加して、謎解きを楽しむシステムとして非常に完成されている。実際に推理を扱うタイプのゲームは全てクルードといっても過言じゃない。
同じ推理ゲームの修道院殺人事件は、クルードから派生させた少し変わった質問方法をとるが、実際には質問ではなく手札を回すルールで事件の全容に迫るようになってしまっている。当然、クルードのほうが俄然、推理しているという感覚があるが、クルードとは違う推理ゲームを作ってやろうという作者の思いが十分伝わってくるゲームである。またクルードを難しくしたシドサクソンのスルースというカードゲームもあるがこちらはまだ未プレイなのでまた後日。
TAMのやったように、誰が何を訊いてきたかチェックするのはもちろんのこと、ちょっとしたゲームのヒントを書いてみよう。
文中に書いてある凶器、容疑者カードを隠す話だが、隣のプレイヤーがもし犯行場所カードを示してきたら、次は移動しなければならない。次手番、そこにとどまって質問するのは愚行であることはわかる。それはすなわち相手にターンの消費を強制することに繋がる。その間、凶器と容疑者を隠す時間が増えるという訳だ。
これを使えば誰かが質問した左プレイヤーが証拠カードを出して、次手番に移動を開始したら、犯行場所がそこではないと解る。また一人目がパスして、その隣が出した場合は、そこに留まって別の質問をする意味が出てくるのが解るだろう。
このように質問者が自分でなくても消せる事が出来るし、それを逆手にとってTAMがやったようにあえて自分の持っている犯行場所で質問するのは捜査を混乱させる良い方法である。他にも自分のカードを使う有力な方法がある。例えばどうしても犯人が知りたい場合、凶器や犯行場所を自分の手持ちカードにしたら、他のプレイヤーは選択肢が限られてしまうので、持っている容疑者カードを見せてくるだろう。
もうひとつのテクニックはもっとやらしい。相手プレイヤーの捜査が進んでいると感じたら、例えそのプレイヤーが犯人じゃないと解っていても、質問に加えることでこちらに駒を呼び寄せることが出来るのだ。解明は、犯行場所にて宣言するルールなので、どこに移動しようとしているかで一発で解るはずだ。
30分という手軽な時間で、皆がプレイヤーとして参加できて、何度も推理を楽しむことが出来るクルードは、イギリス人がいかにミステリー好きかを物語るゲームである。さすがアガサクリスティを生んだ国だ。タカラトミーの発売する今度のクルードは、駒が人形フィギュアになり、部屋の中身も描かれた出来のいい物になっている。この名探偵は、駒は軽いプラッチックキャップで、ボード上の部屋の中身は描かれず真っ黒け、サイコロは4の目も赤いという訳の解らない規格である。ただ犯行に使われる凶器だけはクルードの伝統にのっとって金属製で、ロープも本物の紐を使っている。この凶器駒、ボードの部屋に集める意味はまったくないのだが、雰囲気を高めるのに一役かっている。お奨めはサイコロ2つ使っての移動である。別に1つだけ使ってタラタラ移動する意味はまったくないので、サイコロ2つでプレイ時間を短縮すべし。
を与えるような爆発的な面白さはないが、ゲームとして家族で十分に楽しめるレベルであり、昔から女性受けのいいゲームでもある。相手の推理の裏を読んだり、わざとカマをかけたりとちょっとした駆け引きや心理戦も楽しめる。なんだかんだいって、わしの家には名探偵、金田一耕助の推理ゲーム、ヒッチコックエディションと3つのクルードがある。そして今度発売される新版も予約してしまった。クルードばっかり集めてどうするんだと思うのだが、つい買うてしまう魅力がこのゲームにはある。残りの2つはまた簡単に内容紹介させて貰うとして、クルードがどれほど世界的に有名なゲームかは、クルードの世界観を丸々使った映画があることからも解る。殺人ゲームへの招待という映画で、マスタード大佐やミセスピーコック、ロウソク立て、鉛パイプなどの凶器がそのままに出てくる。部屋の配置もゲームの場所とまったく同じという凝り様である。さらに映画は3つのエンディングがあり、どのエンディングを迎えるかは映画館次第という仕掛けもあった。DVDでは全てのエンディングが収められているので、クルードファンなら観てみよう。
後日、最大の6人プレイにてゲームをやってみた。メンバーは、ムゲン、Kei、mia、タカダ、フジの6人。6人でやると手札が僅か3枚しか持てないので、隠す事が出来ないからあまりおもろくないのではないかと予想していたが、やってみると非常に推理部分が増えて少人数より圧倒的におもろかった。ムゲンも3人でやってもすぐに推理できておもろくないというのでやってみたのだが、評価を変更したようだ。全員に評価は高く、わしも6人プレイならばをあげてもおかしくないゲームのように思う。人数はたくさんいれば居るほどおもろくなるようだ。3人やと確かにいまいちなので最低4人は欲しい。
ちなみに凶器は、一体何に使うんやろうとずっと思い続けていたが、人数が増えるとややこしくなるので、確認の意味で部屋に置く目的だとようやく解った。つまり推理するときに、凶器が部屋に複数存在してたら、今回の推理に関係のない凶器は他の部屋にどけて推理する凶器1個にしておくと皆がボードで確認し易い。(さすがにキャラクター駒の集結はしょうがないが)