Stefan Feld

Ravenburger

3〜5人用
90分

薔薇の名前

アヴィニョン教皇庁の時代、フリードリヒ美王の特使としてバスカヴィルのウィリアム修道士が北イタリアの某所にあるベネディクト会修道院を訪れる。ウィリアムはかつて異端審問官としてそのバランスのとれた判断が高く評価されていた。物語の語り手である修練士メルクのアドソは、見聞を広めてほしいという父親メルク男爵の意向によってこのウィリアムと共に旅をしている。

ウィリアムの本来の目的は、当時「清貧論争」と呼ばれた、フランシスコ会とアヴィニョン教皇庁のあいだの論争に決着を付ける会談を調停し、手配することにあった。ところがその修道院において、両者の代表の到着を待たずに奇怪な事件が次々と起こる。二人は文書館に秘密が隠されていることを察知し、これを探ろうとするがさまざまな妨害が行われる。修道院内で死者が相次ぎ、老修道士がこれは黙示録の成就であると指摘すると、修道士たちは終末の予感におののく。

やがてフランシスコ会の代表と教皇側使節一行が到着するが、論争の決着は付かず決裂する。教皇使節と共に会談に訪れていた苛烈な異端審問官ベルナール・ギーが、修道院で起こっている殺人事件は、異端者の仕業であるとして、異端審問を要求した為、事態は、まったく異なる方向へと進行して行く。ウィリアムはそれでも、事件の秘密解明に全力を注ぐことを決意する……

WikiPediaより

プレイ感

薔薇の名前+フェルドファンとしては、メビウスがいつ扱うかと待ってたんやけど、どうにも入らない。しょうがないので個人輸入することにした。mia、OEC、コツミ、タナカマと5人プレイにて。このうち前もってOECとタナカマには映画を借りてみておくようにというといた。


一言でいうと、正体隠蔽の佳作アンダーカバーをややこしくしたゲーム。最初に6人の修道士カードを配り密かに自分の色をみておく。自分の色の修道士に殺人犯の疑いが掛からないようにするゲームである。最大5人プレイなので必ず1色はノンプレイヤーとなる。

ボードは修道院の中を表しており、豚小屋や写字室、菜園、図書館など、小説にでてきた場所がしっかりとある。


アクションカードを3枚ずつ配る。アクションカードは場所を記したものと、修道士の色を示したものがある。数字は所要時間でカードをプレイするとこの時間消費される。ボード左上にあるのが時計である。これが1周すると1ラウンド終了である。

手番はカードを出して指示された修道士を動かして、日々の作業を行わせるのだが、このとき、用もない場所を訪れると疑惑があがるのだ。各場所には2つずつ色マーカーがあり、これがそこに作業がある修道士の色となっている。

カードには場所が描かれているのと、修道士が描かれているのがあり、場所カードは、好きな修道士をその場所に移動させ、修道士カードはその修道士を好きな場所に移動させる。

当然、自分の修道士は、作業がある場所に移動させてその作業を済ませれば、疑わしい行動ではないので疑惑が下がるのだが、そればっかりやってると、正体がばれる。
このゲームでは正体がばれると「ほれほれぇい」と苛められる以外に、ルールとしても勝利点に罰則があるのだ。

またカードには所要時間が描かれており、そのカードを使う事によって、その時間が進むのだ。1日(つまり1ラウンド)が終わると疑惑ポイントが、確証ポイントという勝利点に変わる。

疑惑ポイント確証ポイントについては、ちょっと覚えにくいと思うので色つきにしておく。確証ポイントってのが勝利ポイントに値するものだ。


ボード上部から右にかけて疑惑ポイント、下から左が確証ポイントの表示位置である。最終的に確証ポイントの低いプレイヤーが勝利する。まずは疑惑が高まり、日の終わりに確証に替わるという2段階のシステムだ。ウイリアムとアドソは一緒になっており、どちらかを動かせる。ウイリアムなら5時間、アドソなら0時間経過という非常に使い勝手のいいカードなのだ。

それは疑惑ポイントが高い順から順番に確証ポイントを得ていくというものなので、1ラウンドは相対的に自分の色の修道士がどこにいるかを注意してゲームを進めることになる。変換が終わると、疑惑ポイントを元の位置にリセットして2日目に突入。これを6日間繰り返して、確証ポイントがもっとも少なかったプレイヤーが勝利するというものだ。最も高かったプレイヤーは異端審問を受けるという事になっている。

わしはオレンジ。やばぇ。このオレンジつうのが非常にやばい。オレンジのキャラクターは、映画のあいつにそっくりだ。

OEC「じゃあ、このデブを、厨房でつまみ食いさせます」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

(やっぱりか!)

※映画薔薇の名前ではこのデブは結構目立つ存在なのだ。ゲームで狙われるのは目にみえている。


ちょいとややこしいのだが、カードの数字は所要時間で、ボードに置かれているマーカーの数字は疑惑ポイントに関係する。このようにオレンジが用もないのに厨房にノコノコやってくると、怪しい行動という事で疑惑が増える。マーカー分なので、疑惑ポイントが9も増える訳だ。(|| ゜Д゜)ガーン!!
逆に例えば青色がここにくれば作業があるので、疑惑ポイントが4下がる。で、そのタイルは1時間減らすマーカーとなり手元に置いておける。マーカーが両方とも無くなったら初めて補充する事になる。

作業もないのに、その場所へ移動させられると、そこにある作業チットの合計数の疑惑があがるので、かなりきっついことになる。

わしの最初の手札には最強とも言うべきウイリアムが2枚もある。ウイリアムは薔薇の名前の主人公のひとりで、もう一人の主人公弟子のアドソと一緒のカードになっている。

主人公らしくこのカードは非常に強力で、アドソを移動させれば時間消費は0だが、同じ場所にいる修道士の一人の疑惑ポイントを±5ポイント出来る。ウイリアムはもうひとつ強力で、なんと確証ポイントを±3ポイントするのだ。ただし時間は5時間かかる。

このゲームでは時間の消費は非常に重要で、日の最後を越えさせたプレイヤーはゲームの最後に確証ポイントを2増やしてしまう罰則があるのだ。

※間違っていけないのは、このゲームでは勝利点に値する確証ポイントも、前段階の疑惑ポイントも少ない方がいいのだ。

わしゃ、いきなりウイリアムを発動させるのを恐れてアドソを使って、他のプレイヤーの色の疑惑をあげることにした。

OEC「相対的にオレンジを下げた訳ですね」

(ど、どきぃ! こ、このガキ)

タナカマ「うわ、これ凄く面白いですわ!」

OEC「ほんまですねえ」

それからというもの、皆、作業を忘れて、ひたすら怪しい行動を取らせ疑惑をあげることに専念する。

よく出来ているのは、作業をすると、そのタイルが貰える。その作業タイルは裏向きにしておき、1枚消費するごとに1時間減らす事が出来るのだ。先に述べたように、日の最後を行いたくない場合これが重宝する。

タナカマ「あー、日を越えさせてしまった」

タナカマは、イベントタイルを取って裏向きにおく。イベントタイルってのは、その日一日に起きる特別措置を表しており、例えば、誰もいないところに移動させたら疑惑ポイントを3減らすとか、2回連続で行動を行うとか、そんなんがゲームの最初にランダムに6枚選ばれている。これは1日そのものを表しているので、日をまたがせたプレイヤーはこれを裏向きに取り、最後に罰則を受けますよというマーカーとするのだ。


これがイベントタイル。1日の特殊効果が書かれており、とんでもないイベント多し。で、1日の終了を迎えたプレイヤーはこいつを貰って裏向けにしておく。終わってからこれが確証ポイントになるので、なるべく日を超えさせてはいけない。(ラウンドを終わらせてはいけない)
その下にあるのが、ベヘリット……じゃなくて、作業タイルの裏面である。このチットを使うと1枚につき1時間減らせるので、日を跨ぎたくない時に使いまくる事になる。左にちらりと見えてるのが、暴露タイムと最後に使うチットで、各色1枚ずつある。暴露タイムでわしは黒が怪しい! と宣言したので表向けにしている。これは自分の色を選べないので、相手の色の推理の手助けになる。

疑惑ポイントをみる。高い順から確証ポイントを5、4、3、2、1、0と進ませる。それが終わると、疑惑ポイントを再びリセット位置の10において、イベントタイルの2枚目をめくり、2日目が始まるのだが…

その前に、暴露タイムがある。ここでわしゃ、この色じゃないんじゃ! つうのを1つ告白するのだ。で、その告白された色は確証が+2される。これはゲーム的にどういう事かというと、自己保身に走った修道士が「あいつこそが犯人だと思いまーす!」と先生にちくる感じだ。だから確証があがる。
この暴露タイムは1日目、3日目、5日目の後に1度ずつあり、他のプレイヤーの推理の助けにもなる。

OEC、コツミがオレンジを選び、せっかく抑えたオレンジの確証が一気に延びて怪しさ満開となる。

ちきしょー!

辛いのが正体隠蔽ゲームなので、おくびにも顔に出せない事だ。

OEC「面白いですわ」

そして2日目、ここにきてゲームの流れがわかったのか、皆生き生きとゲームを進めていく。要は異端審問にかけられないように、相手を陥れ、自分だけが助かる修道士の物語なのである。

とりあえずぶっちぎってしまった、オレンジの疑惑を下げねばならぬ。しかし、ウイリアムで直接下げるといかにも、ばれる。そこでウイリアムを使うにしろ、他の色の確証をあげて相対的にオレンジを下げる事にする。

タナカマ「ウイリアムってきついすねえ」

皆、ここで自分の色がばれたくないのか、想定的に、あくまで相対的に自分の色を下げようとするのだ。

だーれも、作業しやがらん、修道士。

ひたすら怪しい、関係のない場所をうろうろうろうろ…

時々、オレンジを作業させたりするとばれるのではないかと思いつつも、そこに作業があるのだからとやってみさせる。

つらい。そこに日々の作業があるのに、作業出来ひん。

(ばれたかなー)

そうこうするうちに2日目が終了。

タナカマ「また俺ですか! きついなあ」

2枚目のイベントタイルをゲットするタナカマ。わしはなんとかオレンジぶっちぎりを防ぐように成功した。

3日目、ここで若干の変化が訪れる。あれほど作業せんかった修道士が作業をし始めたのだ。やはり最後の罰則がきついので出来る限り日の最後をやりたくないようだ。

わし「どんなけもっとんねん!」

あちこち見渡すと、3枚4枚も持っていやがる。わしゃ、1枚。さぼりやな。

しかーし、この日のイベントは、聖堂に移動させれば、他のプレイヤー全員は時間タイルを1枚捨てるというもの。

mia「ええー! せっかく集めたのに」

もうこうなりゃ、聖堂行きまくりじゃ。

OEC「じゃ、聖堂に移動して…」

当然、皆もそのつもりらしい。

結局、ここで多くの時間チップをはき、全員横並びとなった。


ここまで確証ポイントは並びつつ進行。わしのオレンジは一番後ろでいい感じである。ちなみに場所はアイコンで表記されているので何をやる場所か解ると思うが、雰囲気を出すためにボードに和訳シールを貼ってみた。

これは時間チップをひたすら集めても無駄になるようにバランス調整のイベントなんやろな。なるほど。

わし「じゃ、白の疑惑あげる」

コツミ「え!」

わし「だって、わし白じゃないって暴露したから安心してあげれるやん」

皆「なるほど」

この台詞は非常に不味かった。

というのも目下二人からオレンジじゃないと暴露されてるので、オレンジをばんばんあげられる事になる。阿呆かっつうの。

早く次の暴露がこないとやばかったが、ここもかろうじて横並びにする事が出来たが、わしが日の最後をやってしまった。

ちぇ。

そして3日目が終わると暴露が始まる。頼むからもうオレンジは辞めてくれえ、という悲痛の叫びが通じたのか、他の色にばらけだす。

ほっほう。

ここにきて、皆の大体の色の目星がついてきた。

mia「えー、うそ!」

わし「お前とOECがわからんねんなあ」

コツミは皆から白やと完全にばれてる。なんせ非常に解りやすい動きをしたからだ。タナカマはなんとなく黒の動きが怪しいので、おそらくそうかと。miaはおそらく赤か青のはず。OECは残りの灰色か残った方のどちらかやろ。

mia「後で教えて」

わし「阿呆か。最後にちゃんと推理タイムがあるちゅうねん」

探りを入れるに一番解りやすいのは、疑惑を突出させる事である。疑惑が高ければ、相対的に下げるか、その駒を落とすかの働きがあるはずだ。そこでまずは赤色をあげることにする。

即座に反応するmia。

(こいつ赤か…)


真ん中にいるのが凶悪師弟ウイリアムとアドソ。こいつらは凶暴がゆえに使いどころを間違いたくない。ウイリアムを使うのはやっぱりびびってまうねんなあ。ちなみにウイリアム役はショーンコネリーです。

今日のイベントは誰もいない場所に駒を移動させると確証ポイントが+1されるというとてつもない凶悪なもの。

とりあえず、ばれまくってるくせに悠々自適のコツミの白をあげまくってやれ。

駒はそんな風にやってると、ほとんど横一列状態になる。ここで一度有利な事をしてしまうとちょんばれになってしまうので、それを恐れてまるで社会主義国家のように横並び路線を取るのだ。

わしのオレンジも一度はぶっちぎりに低い確証であったときもあったが、ここで差をさらに広げてはばればれなので、皆がやるに任せていた。

そして最後の暴露が終わり、ゲームはラストラウンドへ進む。

わし「げええ、なにこのイベント!」

毎手番、疑惑が一番高い修道士は確証ポイント+1。

タナカマ「という事は、毎ターン、+1ずつ増えるってことですか?」

わし「みたいやな。どんべやと、どんどんと加算されていく」

これは強烈だ。オレンジも一度は下になったが、これはさすがに酷いので、なんとか相対的に下げる。二転三転すると青色が疑惑トップになった。

誰も青の下げようとしないので、毎手番どんどんと確証ポイントが高まっていく青色。

(こりゃあ、青色はノンプレイヤーやな)

このゲームは最大で5人までなのだが、駒は6個ある。つまり1つは確実に誰も動かしていない駒なのだ。
さすがにこの状態で、ほっとく阿呆はいないので、ほぼ色は確定した。OECは灰色だ。

そしてこの終盤で圧倒的な粘り腰が炸裂する。なんせ溜めに溜めた時間チットを使いまくって最後は0の連発。ぐるぐる手番がやってくる。

わし「なんぼ程もっとんねーん!」

タナカマが作業をこなしまくったのか、おそろしくチットを持ってる。既に3枚もイベントタイルを確保してしまってるので、それに懲りて時間コントロールしたかったのだろう。


タナカマの場。おっさん、どんなけチット持っとんねん! タナカマは白、灰色、赤でないと暴露している。公開は3枚で終わりなので、後は推理で解くことになる。

最後1時間で終わるところから2週目にわしが燃え尽きて最後の日を終わらせてしまった。

疑惑確証に変換して、ここからが推理タイムだ。今まで暴露してた色タイルを元に戻して、それを使って、誰がどの色かを裏向けにビッドしていくのだ。

わしの予想は、mia赤、タナカマ黒、OEC灰色、コツミ白だ。

5人プレイだと当てられるごとに、確証ポイントが+3される。


最後は暴露に使ったチップをすべて元に戻して、今度は相手の前に推理した色を置いていくのだ。5人なのでこのように4種類のチットが置かれることになる。もちろん自分も相手の前にチットを置く。わしゃ結局イベントタイルを3枚も獲得したのがへぼかった。

せーので!

わし「えー、誰にもばれてへん」

しかし、わしが当てたのは二人だけであった。

わし「コツミ、お前、青色やったんか! えー、OECが白やとお」

つかね、青色、ぶっちぎりのべったやのに、なんで、あのときさげへんの?? どちて??

コツミ「待ってたら誰か下げてくれるかと思って」

阿呆か? 下げる訳ないやん。毎手番、確証ポイントが+1される中、自分のが助かったらほっとして、そのままにするに決まってるやんけ。どうもこの手の奴は駄目だわ、この人…たっぷりと異端審問受けてくれ給えよ。

でもそのおかげで白のOECがぶっちぎりの勝利。うまく隠れ蓑に入っただけともとれる。

所要時間90分


じゃじゃーん、オレンジでした。お、誰にも当てられてへん! 左のタナカマ(黒)はわしとOECの二人から、正面のmia(赤)はわし一人が当てました。灰色はなんとノンプレイヤーでした。おいおい。意外と当てるのが難しかった。見れば分かるとおり確証ポイントの一番低い白が勝利。

タナカマのコメント

これ、メビウス取り扱ってくれんかなー。元々正体隠蔽系のゲームは好きなんだけど、これは非常に楽しかった。欲しい!

miaのコメント

自分の駒がばれないようにごまかしながらやるのが難しかった。映画同様緊張感たっぷり。自分のことでいっぱいいっぱいになり最後の誰がどの駒か当てるとこで、かなりとんちんかんな答え出してた気が…。誰も彼も怪しく、みんな芝居ウマイなぁと思った。

OECのコメント

DVDで予習してると、オモシロさ1.5倍増しセール☆
『インコグニト』のロジカルな推理ではなく、『キャメロットを覆う影』の裏切り者当てのようにプレイ内容からの他人の正体の推理がメイン。
そこへ暴露フェイズのスパイスが絶妙。
序盤、プレイの拠り所が分からず、自分の疑惑の高まりを抑えつつ、みんなが団子になるように。あきおさんとmiaさんのそれぞれが「赤」「オレンジ」と推理。
中盤、結局みんな固まるようにプレイするので、そうなる。2度目の暴露でタナカマさんがほぼ「黒」と判明。コツミさんが前後と脈絡なく急に「青」をいじるので「青」疑惑をかける。自分が「白」なので、ノンプレイヤが「灰」と確証。あきおさんとmiaさんの色が逆かもしれない疑惑浮上。
終盤、あきおさん、miaさん、コツミさんの行動が推理とちぐはぐになってしまう。最後の一日のイベント効果で、ぐんぐんと疑惑確証に変わっていく「青」と「オレンジ」。この流れの中の言動でこんがらがって、3人の色を総入れ替えして告発。
結果、全員を欺ききって相対的1位で終了。
今回のマイベスト☆
どえりゃあオモシロ!
こんなに他人観察が面白いゲームはなかなかないんじゃないか!
奇数日終了の暴露と、毎日変わるイベントが絶妙に翻弄してくれる!
インコグニトよりも推理とフェイクの自由度が高くて好き好きすき

ソマーリオ

システムとしては、それほど目立ったところはないが、テーマとしての再現性はなかなかに見事だ。疑惑確証と2段階のシステムを持っているためにどう動かせばいいのか解りにくいところがあり、プレイ時間も長くなってしまうという欠点はあるのだが、修道士たちの疑心暗鬼な雰囲気はしっかりと再現されているように思う。

たしかにシステムがそっくりなアンダーカバーの方がプレイに対する視野が解りやすくルールも簡単で、短時間で出来るというのは解る。一般の人には大賞を穫っているそっちを勧めたい。しかしもしあなたが、薔薇の名前、中世キリスト、異端審問、修道院、この手のキーワードにピンとくるならばこのゲームを勧めたくなってくる。

とはいえ、個人的には皆が絶賛しているように手放しでは褒めたくはない。まだ1度しかやっていないからだと思うが、勝ち筋がまったく見えない状態なので、なんだかぼんやりしたプレイ感があったからだ。もっと馴染んでくれば、そういったものも無くなるかも知れないので、何度かやってみたい。やればやるほど味がでるタイプのゲームのように思う。

同じ内容をゲームにした修道院殺人事件との対比だが、同じテーマなだけで内容はまったく違うアプローチをしているのが面白い。修道院殺人事件では、本当に犯人を推理するゲームだった。しかし本作では、疑心暗鬼陥っている修道院をテーマとしている。どちらも雰囲気はいいが、今のところ修道院殺人事件の方が阿呆っぽくて好きである。

ただし修道院殺人事件はメモしていかないと駄目なところがネックだ。一言でいえばめんどくさい。そのてん、こちらは同じ推理でもプレイヤーを推理するゲームとなっており、色チットによってメモする煩わしさを解消している。

どちらもちょっと時間がかかるところは欠点だが、薔薇の名前ファンならば、一度はやってみて欲しい。つうか映画を見て欲しい。映画を見なければこのゲームの楽しさは半減すると断言しておく。この怪しいホモホモなムードが、中世ヨーロッパの暗黒時代を現しててたまらんのよ。

ちなみにこの手のテーマが好きな人は同人ゲームだが写本と修道士というのもあるので、是非薦めたい。


gioco del mondo