Wolfgang Kramer
&
Michael Kiesling

Hans Im Glueck

2〜4人
90分

カッラーラ

駿河屋で購入
カッラーラは、人口65,296人のイタリア共和国トスカーナ州マッサ=カッラーラ県のコムーネの一つである。
大理石の生産で最も重要な中心で、有名な白大理石はアプアーネ・アルプス近辺から産出する。
マッサとは15世紀から19世紀までマッサとカッラーラで公国を構成していた。 街の記念碑としては12世紀の大聖堂と現在は「美術アカデミー」なっている16世紀のドゥカーレ宮殿などがある。
あなたはこのカッラーラに美しい宮殿を建てる建築士となる。

プレイ感

2013年のエキスパート賞ノミネート作をCOQさんに持ってきて貰った。タメラ、miaとの4人プレイにて。クラマー&キースリングの復活なるか?

COQ「これ、上級ルールはこんな感じで袋とじになってるんですよね」

わし「週刊誌のエロ部分を袋とじにして買わせようって奴やな」

COQ「ただ残念ながら、HJの日本語ルールでは一緒に上級ルールが書かれてるので、ワクワク感がないんですよ」

袋とじには基本ルールで数回やってからこれを開けろみたいな事が書かれてるが、最初から上級で大丈夫やろという事でいきなり上級スタート。


手番に出来ることは、建築用資材を買うか、資材を使って建物をたてるか、決算を行うかのどれかを行う。建築用資材の価格は、輪っかに載っかっており、同じマスに置いている資材を好きなだけ、その値段で買う事が出来る。

建物を建てるには、9枚置かれている好きな建物タイルをとり、それに必要な資材数を袋に戻す。それから建築するのに使った資材の一番価値の低い土地以下の好きな土地にその建物タイルを置く。
資材には価値があって、白、金、赤、緑、青、黒の順に価値が高い。建物をたてる土地も同じように色分けされているのだ。


メインボード。 左に9つの建物タイルが売られており、右側に資材駒の価格が変動する輪がある。この輪を資材を買う人がいたら1マス分回転させてその価格で買う事が出来る。外周にあるのがその価格で価格が載っていないのは無料だ。

決算は、全体で1度しか出来ない土地による決算か、プレイヤーごとに決算できる建物の種類ごとの決算がある。決算すれば、自分の決算駒を置いておき、土地によって勝利点かお金が入る。

気をつけなければいけないのは、お金は金、緑、黒の土地での決算でしか手に入らず、カツカツになるという事だ。

終了条件は建物タイルが全て使われるか、別ボードに描かれた3つの終了条件を満たしたプレイヤーが終了宣言をするかで、全員が均等に手番を行って終了する。その後ボーナスなどを加味して、勝利点が一番高いプレイヤーが勝利する。

上級ルールでの違いは、終了条件がプレイ毎に変わるようになっていることと、資材8個を使う建物が使える事だ。

今回の終了条件は建物を6つ以上建てており、そのうち4つ以上が街タイルであり、同種4つ以上の報償駒(決算時に貰える)を集めるかである。


こちらが終了条件。上から3つが終了条件で一番下がボーナス得点。右側に並んでるのが上級ルールで使う上級タイルとアップグレードタイルだ。

このチェック漏れで、わしは最初に大きなミスを犯した。建てやすかった郊外タイルばかりを建ててしまったのだ。


これがゲーム開始時のスタートプレイヤーのみに与えられる彫像である。ゲームは同じ手番だけ行って終了するという意味だ。この仕切りは非常に良くできている。

COQが準備で貰った黒の資材を1個使って、街タイルを黒の土地に建てた。
経験者に逆らわずわしも真似して準備で貰った緑の資材を1個使って、すぐに1個の別荘を建てた。
緑の土地はお金を貰える土地なので、悪くない筈だ。

※準備で貰える資材は手番順が早い方が有利なので、しょぼい資材になっている。


これが個人ボード。ここにこのように建物タイルを置いていく。また決算をしたい場合もここに駒をおいて決算を行う。資材の必要数は建物タイルに描かれている。決算時に貰えるボーナス褒賞駒の種類も建物タイルに描かれている。建物の左4つ(橙)が街タイルで、右側2つ(緑)が郊外タイルである。種類はボーナスや終了条件に影響する。わしは郊外タイルばかり建てている。緑の決算の場所はアップグレード済み。

今回のボーナスは同種の報償駒を集めれば集めるほど高くなるというもので、わしは最初に別荘を建て、その後も別荘を建てた。同じ建物には同じ形の報償駒が付いてくるのだ。
3つ目の別荘を建てたところで、「わし、終了条件満たすん無理やんけ。。。」と悟った。というのは、長考しやすいシステムの割にゲーム展開が早いので、そんなにたくさん建物を建てることが出来ないのだ。

COQ「じゃあ、白と黄の資材を買います」

タメラ「ちょっとちょっと、何狙ってんすか!」

もの凄い金額を使って白と黄の資材を買いあさるCOQ。
経験者である2人は、どこにポイントを絞っているかをよく知っている。そう、黄の土地である。ここは決算時に建物の価値×3ゴールド手に入る、黄金都市なのだ。

このゲームの1つ目のポイントは資材の購入価格である輪だ。資材を購入したい場合、輪を1つ回転させる事で、全体の価格が1段階落ちる。中には無料になる資材もでてくる。それから全体で11個になるように一番高い場所にランダムに資材を袋から取り出して補充して、好きなマスから買うのだ。
このシステムのせいで、下家の発展は全て上家の責任となる。上級ルールでは、廻さないという選択もある。

タメラも同様に黄色の土地を狙って、建物をたてる。
しかしもっともえげつないのはCOQの次の一手。

COQ「8個だして、黄色の土地に上級建物タイルをたてます。バージョンアップはもちろん黄色の土地」

上級建物タイルは資材8個も必要なのだが、追加で決算時の効果を上昇させる好きなバージョンアップタイルを貰えるのだ。本来なら黄色の土地は先に書いたものだが、バージョンアップすることで建物の価値(必要資材)×1勝利点まで手に入るようになった。


全体で1度だけ決算できる場所ってのは、決算を行える最低建物数が描かれている。例えば赤のルッカなら2個、緑のヴィアレッジオなら3個である。

タメラもなんとか追随するが、どちらが先に黄色の土地で決算できるかというのは流れで読めるので、諦めて別路線に切り替えた。土地で決算するには、最低でも2個建物がたってるなどの条件がある。

そして

COQ「じゃ、黄色で決算。42ゴールドと14勝利点貰います」

わし「なんじゃ、そりゃあ!」

このゲームの2つ目のポイントとして、建物の価値がある。建物は1から5までの資材を使って建築できるのだが、1の建物が簡単に建てれて有利かというとそうでもない。何故なら、基本的に建物の価値合計の何倍のお金か勝利点なので、へぼい建物だけたてても倍数が小さくなってしまうのだ。
COQが鬼だったのは、黄色に8の価値の建物をたてた事だった。

タメラもそれからバージョンアップを果たして、お金と勝利点をごっそり頂く。

今回の終了条件でつまらなかったのは、同じ種類の報償駒を集めた方がボーナス点が貰えるので、皆、同じ建物ばかりをたてることになったところだ。

COQ「剛力ばっかり居ますよ」

と何度もいうCOQにようやく気づいたわし。

わし「それって、ひょっとしてビブリア古書堂の事言うてんの?」

COQ「そうです」

街には図書館ばかり建てられていた。

タメラはタメラで、凱旋門ばっかり建てるし、miaは宮殿ばかりでわしは別荘ばかり。

なんの都市計画もしてない阿呆な街やわ。。。


これが凱旋門の街タメラタウン。白をアップグレードしてる。また凱旋門で決算をしたので自分の駒を載せている。

終了条件を満たせないわしもようやく2つ目のポイントに気づいて、別荘の上級建物を建てて、バージョンアップタイルを取得した。そのタイルは、郊外タイルの価値×1勝利点となる決算を×2にするタイルだ。
そう別荘ばかり建てるわしに、死角はなかった。

わし「決算」

タメラ「うわぁ、このままあきおさんが勝ったら、上家の僕がCOQさんにしかられるじゃないすか」


右下をアップグレードして、郊外タイル(資材数)×2の決算をかましたった。

タメラは終了が近いことを悟り、白の土地にひたすら建築物をたてるようになる。ここは勝利点が最高に高い場所である。

そして白で決算を行い、終了条件を満たした瞬間

タメラ「終了します」

スタートプレイヤーマーカーのあるCOQの手前のmiaでゲームは終了。

報償駒をマックスの6個集めたプレイにまったく印象のなかったmiaがもの凄い伸びを見せトップかと思われたが、タメラが見事に1点差しきって勝利。

COQはお金に走り得点伸びず、わしは最下位。
ボーナス関連はしっかりと見てんとまったくあかん。

所要時間90分


終了図。

miaのコメント

なんで1点差の2位になったのかよく解らない。今ひとつシステムがぼやっとしてて解らなかった。

COQのコメント

今回は、終了条件が重なった感じがあって、残念でしたね。最初はこの部分だけは固定の基本ルールでやった方が良かったかも知れません。

ソマーリオ

システムに要素を追加して新しい試みをしようとしているのはよく解った。ただし様々な要素が密接に絡み合ってしまい、勝つための見通しが非常に悪くなってしまった。特に気になったのは、資材の輪の購入価格と場に出ている建物タイルと、終了条件と、他のプレイヤーの建築状況という4つの要素を交互に比べて、最善手を計算しなければならないという作業感である。

戦略を考えるよりも、どうやれば効率的に得点やお金が稼げるかといった答えを探し出すような感じを受けた。
答えをはじき出す為に長考してしまうのだ。タイクーンの長考の意味合いとよく似ている。

2年前に使い古したシステムでSDJノミネートされたアサラと丁度、両極端だが、個人的な見解でいえば、アサラの方が使い古されたシステムだけに見通しが良くて楽しかった。

ただしカッラーラも何度かやれば見通しが良くなり、クラマーが仕掛けたおもしろさが解ってくると思うので、ここらへんは人の好きずきだろう。何度もやらなければ解らないという点で、時間のないわしにはどうしても評価が低くなってしまうのは承知して欲しい。逆に言えばリプレイ率が高いプレイヤー間ではアサラは物足りなく感じるだろう。

コンポーネントについては、気合いが入っており、クラマーの大作でメーカーが一押ししているという匂いがプンプン漂ってきた。エキスパート賞にノミネートされているが、見通しの悪さと、答え探し感でプレイテンポが悪いように感じる。

昨今、ボーナス点の入り方や勝利条件などがプレイ毎にカードによって変わるってのが流行ってるが、セッションのマンネリ化に対抗する自信がないのだろうか?

gioco del mondo