Richard Ulrich

Wolfgang Kramer

alea

3〜5人
100分

フィレンツェの匠(2回目)

ヨドバシで購入(新板)
amazonで購入(英語版)
駿河屋(中古旧版)

16世紀はじめのイタリア。ルネッサンス文化の最中、あなたはフィレンツェのメディチ家やボルジア家のような名門貴族のリーダーとなります。
壮大な建物を建てたり、美しい空間を創出したり、高名な芸術家や学者を招いたりして、あなたの家の名声を高めていきましょう。それらの人物は良い作品を世に出すためには森であったり、アトリエであったり、はたまた手品師の娯楽だったりと多くのインスピレーションが必要です。

プレイ感

いくつか古いゲームでやり直したかったのがこのフィレンツェの匠である。1回やってみてイマイチと思ったら、次の機会がなかなか得られずにそのまま放置されてたのが昔である。なるべく新しいゲームを紹介しようと躍起になってた時代だ。
というわけで、ようやくリプレイするに至った。
コタ14歳、そーじろ10歳、miaとの4人プレイにて。


このゲームは1ラウンドはA,Bの2つのフェイズに分かれる。どっちも同じようなものを購入するので、ワケワカメになる。それぞれ買えるものが違い、メビウスの旧訳やとこれが図になってないので更に分かりにくくなってる。Aは左側、Bは右側に配置する。新板では、それぞれ置き場があって迷うことはない。

Aでは、景観タイル3つ(湖、森、公園)と建築家トークン、手品師トークン、名声カード、スカウトカードを200フローリン開始の時計回りの競りで購入する。
Bでは、建物タイル10種(大3、中5、小2と3タイプある)と職人カード、ボーナスカード、権利トークン3つ(旅行、宗教、言論)を建物は700フローリン、それ以外は300フローリンで購入できる。

※フローリンという通貨単位は1252年イタリアのフィレンツェ共和国が発行したフローリン金貨 (fiorino d’oro、フィオリーノ金貨とも) に由来している。

手に入れたタイル系は、すぐに自分のボードに配置する。カード系は、5枚引いて、そのうち1枚を手札にする(いらないカードは好きな順番にして山札に下に戻す)。トークン系は指定された場所に配置する。
ゲーム通じて景観タイルは複数手に入れる事ができるが、建物は1種類しか手に入れることができないのに注意。

手番はAから行い、自分が欲しいのを宣言する。競りは必ず200フローリンからで、時計回りに100フローリンずつ上げていくことができる。競り落としたらお金を支払い、自分の四角マーカーをその上に置き、このラウンドから抜ける。
最後のプレイヤーは残ったものを200フローリンで手に入れることができるということだ。全員が手に入れたらこのフェイズは終わりである。


こちらがAフェイズで競られるもの。競り落としたらお金を支払ってマーカーを置く。このラウンドでは選ぶことができない。

Bは自分の手番で2アクション行える。以下から同じアクションを選んでもいいが、1度しか選べないアクションもある。
・建物タイルは700フローリン支払って建てて、3勝利点貰う。ただし建築家が1人いれば300フローリンになるし、2人いれば建物同士をくっつけて配置でき(通常建物タイルをくっつけて配置できない)、3人目がいれば、無料で手に入る。
・権利トークンは300フローリン支払い、規定の場所に配置する。プレイヤー人数より1枚少ない枚数しかなく、同じトークンは手に入れられない。1度だけ。
・職人カードは、300フローリン支払い、このゲームのメインカードで、この芸術家を使って、得点を行うカードだ。1度だけ。
・ボーナスカードは、300フローリン支払い、上の職人カードが作品を出す時に作品点を上げる役割を担う。
・最後にこのゲームのメインとも言える手札の職人カードのプレイである。
プレイしたら作品点を計算する。自分が持っている景観や建物によって何点入るか記載されているので、それらを合計する。作品点が10点なら1000フローリン貰い、マーカーを10のところに置く。つまりこのために色んなものを購入する訳だ。プレイはラウンドに従って、最低作品点が決められている。

お金を貰う時に、200フローリン返金する毎に勝利点が1点貰える。(ここの単位はちょいと分かりにくい)
マーカーを示したようにこのラウンドで、一番作品点が高いプレイヤーは勝利点3を貰える。その後、マーカーを全員手元に戻す。


得点ボードであると共にマーカーを使って作品点の記録にも使う。が、が、数字が10単位でしか書いてなくて物凄く解りにくい。

こうして7ラウンド終了後に、一番勝利点が高いプレイヤーが勝ちである。

最初は皆、わからないというのでわしがスタートプレイヤーとなる。以降、時計回りに移動する。

最初は競りだ
わしの職人は4枚中3枚も湖を欲してる。

わし「湖を200フローリンで」

コタ「300」

mia「パス」

そーじろ「パス」

わし「400」

コタ「パス。別に欲しくないけど釣り上げてみた」

ムカつくな、こいつ。

それからもちょこちょこ釣り上げて、結局コタが最後に残った。

わし「最後は今回競りに出なかったもので好きなんを200で買えるぞ」

コタ「じゃあ、建築家」

あ、それ考えたら強いな。

フェイズBで、旅行の権利を購入して、時計職人を出そうとした。

わし「あ、作品点が6しかないやん」

1ラウンド目は7必要なのだ。

しょうがないので、工房を700で購入して、手番を終えた。

※ゲーム中盤に確認のためにルールを読んだら、そもそも今回出した職人で+1作品点が与えられるので、これは出せたのだが後の祭り。処理として全員に足りなかったお金を配布した。


湖と工房を建てた。この工房の位置は後々、わしとコタに大きな影響を与える。

コタは建築家がいるので300で建物を買う。
建物はどれも同じ価格だが、大中小と分かれており、作品点をあげるボーナスカードに指示されている。

そーじろ「じゃあ、大学建てて哲学者を出す」

大学+4、森+3、職人+1で作品点8

800フローリンをもらい、勝利点には使わずそのまま懐に収めた。

このラウンドはそーじろしか出さなかったので、最優秀作品賞として3勝利点加算された。

わし「げぇ」

実のところこの1ラウンド目でそーじろの勝利が近くなったともいえる。
この時失念してたが、職人カードはすでに場に置かれてるとその枚数だけ、作品点が増すのだ。つまりそーじろは2枚目を出す時はすでに+2貰うことになる。
もちろん次ラウンドで2アクションとも職人カードを出すこともできると追いつけるのだが、久々のプレイすぎて頭が回らなかった。

2ラウンド目、Aフェイズでわしは建築家を狙うものの、コタの釣り上げで撤退を余儀なくされる。しょうがないので再び湖を買うことにした。
建物を同じものを2つ建てられないが、景観は複数可能で、すべて作品点に加算される。

そしてmia。

mia「じゃ、森」

200で買おうと思ってたらしいが、わしがそこでそーじろに複数建てられるとアドバイス。

そーじろがここを思いっきり突っぱねて落札してしまった。

mia「なに、それ! むっちゃむかつく」と激怒。

エエ年やねんから10歳児に真剣にむかつくなよ。

Bフェイズでコタは建築家二人によるパズルチックに建物を建てる。

わしは音楽家のために音楽堂を建てて、先の時計職人に仕事をさせた。


手品師を雇い、音楽堂をたてたわしのフィレンツェ。手品師は自分の邸宅に置く。

このラウンドはコタ以外、全員が作品を公開して最優秀作品賞はまたしてもそーじろが取った。やはり一人目の底上げがでかい。

コタは、建築家ばかりとって作品を出さないのでぶっちぎりのべったである。

3ラウンド目、わしは皆が抜けたあと、建築家を雇う。

わし「よし、大学を300払って建てる」



……

わし「あれ? あれ?」

なんと、たった一つ、工房を上部中央に建てたせいで、どうしても建物(自分の邸宅も含む)と隣接してしまうのだ。

mia「笑。絶対に、最初に真ん中に建てるの失敗してると思った」

くっそお、二人目の建築家を雇うしかない。


3ラウンド終了時。そーじろの青が突っ走りついでわし。コタは建物による3点のみでぶっちぎりのべった。

そして運命の4ラウンド目。

ここでもコタはなんと、わしが欲しかった建築家を競りに競って落札しやがった。

あまりにも競ってくるので、アホらしくなって降りたのだ。

なんつう嫌がらせや。

確かに無料で建物できるけど・・

コタ「じゃ、アトリエ建てる」

わし「は? お前すでにアトリエ建ててるやんけ。同じのはあかんぞ」

コタ「えーー、そんな事言わなかった」

mia「2,3回言うてたよ」

コタ「僕の作戦がこれで全部こわれた。お金がない。詰んだ」

アホみたいに建築家で競って金を使って、建物以外何もできなくなってしまった。
あのなー、昔のドイツゲームはバランスよくやらんと勝てんようにできてるんや。建築家抑えたら勝ちのゲームやったら他のルール要らんやんけ。クソゲーやろ、それ。

クソプレイ過ぎてげんなり。最近、こいつこんなプレイばっかりする。
自分でシステムの裏の金脈を見つけたと思って、そればっかりやりやがる。
そういうとこはうちのお父んに似てるな。ゲームのシステムを試してるのか、極端なことばかりする。

コタ「これ、どうやったらお金入るの?」

わし「作品を公開するか、勝利点を1下げるごとに100フローリン貰うこともできる」

しかし、4ラウンド目ともなると最低でも作品点14必要である。

コタ「足りない。完全に詰んだ」

ここでボーナスカードの登場である。皆、中身を知らないので誰も買わなかったが、これに賭けるしかないとめくる。

さすがに5枚もめくったら、1枚は当たりはあるもんである。
このゲームではカードは全部5枚めくり好きなのを1枚選ぶという親切設計だ。
これでなんとか14作品点にして出せた。

わしはコタの嫌がらせによる建築家をようやく購入して大学を建てた。

というわけで、二人目の建築家を雇い、無事建てることができたが、景観は真ん中あたりにおいてもいいが、建物は端から置くべきという教訓を得た。

6ラウンド目、ここまでくると手持ちの職人カードも尽きてきて、自分の都市にぴったりの職人が少なくなってくる。
ここで最も強いカードはなんといってもスカウトカードだ。

わしはこれを200で手に入れる。

そしてあたりを見渡す。
こいつは、既に働き終わった他のプレイヤーの職人カードを再利用するカードだ。
わしは湖の庭を持ってるので湖を強く求めている職人が欲しい。

わし「こたろうくん。君んとこの地図職人、良い働きをしそうだねえ」

というわけでスカウトする。このスカウトカード自体は置かれたプレイヤーの元にとどまるのでコタの作品点に影響は与えない。

そして地図職人を手に入れて再び作品を公開させる。

コタ「そんなことができるのか」

ルール聞いとけや。

しかし、そーじろは3人目の手品師を家に招いて、作品の底上げをはかる。
めっちゃ楽しそうな家やな。

最終ラウンド、そーじろぶっちぎってるが、ここで一か八かの名声カードの購入である。どんなカードやねんと中をみると、めちゃめちゃ強いやん!! 7点も入る!

これは逆転できるかもと密かに期待する。なんせそーじろには職人が1枚ビハインドしているし、手品師の底上げがでかい。


わしのつくった最終フィレンツェ。湖しかないな。

わしはこのラウンドにすべてを賭ける。前のラウンドでは先手番のそーじろが幾ばくかのお金をもらったが、わしはすべて勝利点に変えた。
この時、すべて勝利点に変えられてたら可能性はゼロだった。

そして

「じゃあ、作品を公開する」

満を持して出した。

最低作品点に足りなかった。

引っ込めた。

(|| ゜Д゜)ガーン!!

そーじろ勝利。

所要時間100分


最終得点。そーじろとmiaの作品だけが公開されて得点を伸ばした。作戦失敗。


そーじろの最終フィレンツェ。景観が3つとも揃い良い雰囲気で手品師を3人も雇ってる。

そーじろのコメント

やったやった。

実はルール説明し終わったあと、ルールを理解したみたいですぐにやろうとやる気を見せてた通りとなった。
コタはその時、ほとんど寝てて聞いてなかった。最近そういうのが多い。

miaのコメント

最近、そーじろ、本当に強いね。1位か2位だもん。
最初、ルールがややこしくて分かりにくかったけど、段々と分かってきた。

コタのコメント

このゲームつまらない。(そらそうやろ。ボードゲームを単純化しすぎ)

ソマーリオ

いやあ、前回は、あんまりしっくりこなかったけど、今回はひっじょーに楽しめた。当時、プエルトリコと並ぶ傑作と呼ばれたことはある。
見た目もテーマも雰囲気が良い。やってることも建設的でルネッサンスって感じ。

ただ欠点としては初見としては見通しが分かりにくいところがある。特にAフェイズはできる限り簡素にしようと100単位ではあるが、競りは競りである。どれくらいつけたらいいのかプレイヤーに委ねられており、コタはその罠にはまったとも言える。もうひとつプレイアビリティの問題だが、得点ボードには数字を割り振って欲しい。

システム自体は単純で、手持ちの職人カードを出すために、その人が求めているものを手に入れて設備を整えるだけである。

職人カードもどの職人がどれを求めているかは個人ボードにすべて載っているので、それを確認しながらプレイできる。
作品点計算はしにくいと前にも書いたが今回も同様に感じた。単に景観は+3で建物は+4+職人カード枚数だけなんだが、複数あると脳が戸惑う感じ。

古いゲームだが日本語版でリメイクも出ている。リメイク版ではAとBのタイル置き場もあってわかりやすくできている。旧版の方が雰囲気はルネッサンスな感じがして良いが、拡張セットがついている新版も悩ましい。見てたら欲しくなってきたので買うてしまった。

BGGに旧版用のタイル置き場ないかなと探したらあった。
わしはこれを加工して日本語と、ついでに金額と得点ボードに数字も追記しといた。ありがたい。これでプレイアビリティがあがる。

というわけで、評価を改めてとする。
やっとこのゲームの良さが分かってきた。

gioco del mondo