Michael Kiesling

Wolfgang Kramer

KOSMOS

2〜4人
120分

深海のYrr

新種のゴカイが大陸棚にあるメタンハイドレートを食い始め、大陸が沈み出す。
鯨が船舶を襲い始めた。まるで何かに操られるが如く。
甲殻類の肉質はドロドロに溶け、それを触れた人を一瞬にして死に至らしめる。
今、地球の海に大異変が起きようとしていた。

プレイ感

ドイツ人のSF作家が書いた深海のYrrをクラマーがゲーム化。miaと二人プレイにて。


ヴァイキングで使われたような方法でアクションカードを購入する。で、全員に同じ枚数が行き渡れば、手番に1枚ずつそのアクションを行っていく。アクションは、調査、攻撃、基地建設、探検などがある。

まずしなければならないのが、調査である。調査は船を動かして海洋タイルを手に入れるアクションだ。この海洋タイルがなければ、どうする事も出来ないようになっている。というのは、このゲーム、ちょっと毛色の変わった陣取りゲームなのだ。陣取りに使うタイルを手に入れる事が出来るのがこの調査である。


最初はこんな感じですべての海洋タイルは裏返しになっている。これを調査する事で、そのタイルを受け取ってのちに陣取りタイルとして使う事が出来るようになる。中央部にYrrが見える。ここに連結していくことがひとつの目標となるだろう。
横にアクションカードが並べられ、順番に取っていくのだが、いきなり後ろをとろうとすると価格が高くなるヴァイキングと同じ方式。勝利点を払って、色々と買う事が出来るので、お金と同じ感覚だ。


これがアクションカード。今回めぐりが悪くて、妨害タイルばかりになってしまった。カニを動かしたり、鯨を動かしたりと、相手の邪魔をする。手札から1枚ずつ出して実行していく。

実は今回が2回目。1回目は勝利点にルール間違いがあったので、もう一度やり直しをした。で、1回目では、この調査をおざなりにしてしまった結果、非常に苦戦をした思いがある。今回はなるべく調査アクションを手に入れるように心がけた。

ある程度、海洋タイルが集まれば、探検アクションによってタイルを自分の基地から繋がるように海上マスに置いていく。これは早いもの勝ちなので、ここで遅れを取ると後で辛いことになる。海洋の真ん中にYrrがいるのだ。このYrrと連結すれば得点が貰えるので、全員がそこを目指すことになる。

既に置かれているタイルに被せて置く事も出来るが、その場合、必ず前の持ち主の連結状態を保ったまま、前のタイルより分岐の多いタイルだけを被せられる。つまりマックスの4つの分岐タイルが置かれたら、もうそのマスには進出出来ないという事である。ラウンド終了時に陣地の連結具合によって得点が入るので、非常に重要だ。


右下にある海洋タイルは陣取りに使うタイルになるので集めるのは非常に重要。分岐によって得点(点)が描かれているが、分岐が多い方が上書き出来る為、強い陣取りタイルになるので、得点は低くなっている。その横にある黄金タイルは最強の4分岐タイルだ。これは順番カードを取ると同時にもらえるスペシャルカードの1枚で手に入れる事が出来る。

攻撃は原作にも出てくる、鯨、津波、ロブスターを動かして相手プレイヤーの基地や船にぶつけて技術点(このゲームでのお金)を削るもので、与えたダメージと同じだけ自分の技術点が貰える。このゲームはドイツゲームには珍しくかなり攻撃的である。一度に動けるマス数が決まっており、ぶつけただけダメージを与えられるので、序盤では船も数が少なくそれほど有効ではないが、中盤以降、ガンガンと駒が密集してるところにぶつければ、±の点差が付くのでかなり強力である。

2回目のプレイで、かなり感覚が掴めたわしに対してmiaはいまいち勘所が掴めていない感じ。愚かにも自分の船を中央部に集めてしまった。

わし「ほな、鯨で、ばっちゃ〜んと」

mia「あー!!」

更に次回にもあまり代わり映えしない配置。

わし「津波で、どっぱ〜んと」

mia「あー!!」

わし「カニカニカニカニカニカニカニカニカニカニッ」

mia「あー!!」

±の差でどんどん差が開いていく。


阿呆が、2隻まとめて同じエリアに置きやがった。ほれ、津波でばっしゃ〜んと。本来この探検船は、海洋タイルを入手するのにも使うし、自分が連結出来なかったマスに配置してパイプのように連結する事も出来る基幹駒(この場合、miaの基地は船を使ってYrrに連結している)なのだが、2隻一緒に置く意味はまったくない。
海洋タイルの上に置いているマーカーは自分のタイルですという意味で、海洋タイルに色分けがされていないのでこのようにブイを置くようになっている。2個置かれているのは上に書いたタイルの上書きによって両方のタイルになったという事。

阿呆なんは、そういうやばい配置のくせに、

mia「じゃあ、探検とる」

わし「ほな、鯨取るわ」

と、攻撃アクションを取らずに残してしまうところだ。

Yrrに向けての陣取りも着々で、その周辺を3分岐、4分岐で固めてしまう。


ゲームの終盤は、Yrrに連結しようと躍起になる。これに連結することで大幅に得点が変わるのだ。東西南北4つの方角から基地を作ってそれぞれYrrに連結すると最高点だ。グネグネになってるのは、海洋タイルのせいであるが、わざとこうして面積を広げるという意味合いもある。面積は得点になるからだ。

mia「これ、迂回しなくちゃ無理なんじゃない?」

わし「そう。4分岐ならなんとか置けるけど」

もう、わしのやりたい放題。

わし「じゃあ、鯨を…、まあ、許しといたるわ」

なんて事も出てきた。

取り方が悪いのか、海洋タイルの持ち数も少なく、這々の体である。

mia「蟹。蟹で攻撃。しゃかしゃかしゃかしゃか…」


これがカニカニ攻撃。陸上を時計回りに移動するが、自分の基地はパスするので、使い勝手もよく意外と足が速い。食らってしまった。。

わし「むう、時計回りにしか進められへんけど、意外と蟹、手強い」

※原作ではロブスターなのだが、ゲームでは蟹の駒になっている。

結局、このまま4方向からわしの基地がYrrに接続し、ぶっちぎりの勝利。

所要時間120分


最終。4方向の基地から接続してぶっちぎりの勝利。

miaのコメント

津波がなんか妙にリアルで怖かった。カニカニカニカニってやられるのがすっごい腹立つ!
つなぎ方が難しくてあんまり得意じゃないけど、楽しかった。

ソマーリオ

非常に変わった陣取りゲーム。さすがはクラマーと言いたい。ただ今までとは違う陣取りゲームにしようとひねりに捻っているが、どうにもシステムがリッチ過ぎてあまり美しいデザインとは言えない。こういったシステムリッチのゲームは他にハチエンダがあるが、あちらが無骨ながらもゲームとして楽しい方が勝ってたが、本作ではシステムの荒さの方が目立つ事になった。

まずあげたいのが、ドイツゲームでは禁則とされるプレイヤーへの直接攻撃ができるばかりか、それが強力であるという事。基地からの連結が、1方向からならボードに示されている点数なのだが、2方向、3方向となると途端にそんなものがどうでもよくなる均一の得点となるところ。

プレイヤーがしくじってしまえば、惨敗してしまうシステムは、まるでアメリカゲームである。ドイツゲームは、プレイヤーがよほどの下手をこかない限りそれなりの点数を確保出来るようにシステムによってがちがちにガードされている。熟練する必要がないのがドイツゲームの特徴で、誰もが最初から勝敗に絡めるようにデザインされている。ところがこいつは途中で手を緩めないと駄目だったように、システムはプレイヤーを保護してくれない。選択を間違うと完全に脱落してしまうのだ。

ドイツゲームはそういったシステムのガチガチさにより、連続して何度もやれば飽きてしまうところはあるが、プレイヤーにバランスを求めるこういったゲームは飽きにくい性質があるから、一概にこれが駄目とは言えない。アクワイアなんかは、下手をするとにっちもさっちも行かなくなる。習熟度が要るがこれを駄作と呼ばないだろう。

なんとなくだが深海のYrrはハチエンダに似ているのだ。システムの猥雑さだけでなく、陣取り部分の本質が似ている。市場に連結させる、Yrrに連結させる、その事自体が陣取りそのものになっている。そしてまたアクション選択システムはキースリングのヴァイキングだ。つまりこれは、名コンビである二人がそれぞれ自分だけで作ったハチエンダとヴァイキングを融合させたゲームなのだ。

もう少しシステムを簡素化して、プレイ時間を60分以内に収めることが出来れば良かった。試みは非常におもろいので、是非ともこれを発展させた陣取りを出してきて欲しいものだ。コアなクラマー&キースリングファンに勧める。

このゲームをやる前に原作を読んだが、まあ、なんとも下手くそな文章でした。また内容の割に文字が多くて、まともに読むとかなり疲れると思う。内容自体も「えー! そんな単純な正体でええの!」みたいな感じで、がっかり度は高い。ただし途中までは割と科学的な話が載っててわしゃおもろかったけど、一般の人なら最初から読む気が失せると思うわ。噂では映画化されるという事なので、それを待った方がいいと思う。まあ、内容が内容だけに映画がおもろいかどうかは微妙やと思うけどw

gioco del mondo