Michael Kiesling

Hans im Gluck

2〜4人用
40分

ヴァイキング

複雑な地形をもつフィヨルドで、海の男が所狭しと暴れていた時代がある。
ヴァイキング
帆先に龍の形を模した独特のヴァイキング船にのり、略奪を繰り返す。彼らに脅える人々は、戦士を雇い島からの略奪を阻止しようとした。
しかし彼らは海賊ではなく、中には交易をしに島から島へと渡ったものも多い。

プレイ感

引っ越しを控え、あまり今ゲーム数を増やしたくない。個人的に好きなステファンフェルドのノートルダムが欲しかったのだが、我慢に我慢をしていた。ところが待望のイスファハンが久しぶりに入荷となった。ノートルダム売り切れにつき送料無料にするために色々と物色していたところヴァイキングというのも非常に評価が高い。というわけでヴァイキングに決定。果たしてクラマーとのコンビで有名なキースリングの単独デザインとはどんなものか。TAM夫妻とタカダによる4人プレイ。


島タイルを順番に購入して自分の箱庭を作っていくだけのゲームなのだが、様々な工夫が見られる。回転ボードがあり、タイルが0で購入されるとぐるっと回って全体の価格が下がる。購入はタイルと駒とセットで購入していく。島タイルはL字形の自分のボードに配置していき、大きな島を作ったり、たくさんの島を作ったりする。駒は、購入したタイルに配置出来るのだが、同色の行に置いたタイルの上にしか置く事が出来ないようになっている。駒が載って初めて勝利ポイントが加算されるので、この配置は重要だがなんせ今買うたタイルにしか配置出来ないので、上手く自分の島の形とあっているタイルと駒の組み合わせを選ばなくてはならないのだ。


円卓の騎士のようにぐるりとタイルとコマを配置。タイルとコマの価格は丸テーブルの値段である。0は、置かれている同色コマがなくなった場合(この図なら1と2が売れたら)にのみ取れる。そして0がなくなったら丸テーブルを時計回りで一番近いコマとタイルにセットされるまで回す。つまり徐々に値段が落ちるという仕掛けである。
タイルは1枚ずつ引いて島なら時計回りに、ヴァイキングなら半時計回りに置いていき、コマも青、黄、緑、赤…と色毎に置く順番が決まっている。

しかしそれより最も重要なのが、タイトルとなっているヴァイキングの存在である。島タイル以外にヴァイキングタイルがあり、なんとこのゲーム、災厄をもたらすヴァイキングをわざわざお金を出して買わなければならないようになっているのだ。お金がある限り、手番にはタイルを1枚買わなくてはならない。ヴァイキングは、行の一番上に配置され、帆の色のところまで同列を攻めてくる。早い話、ヴァイキングにやられると駒があっても勝利ポイントが手に入らなくなる。

「野伏からおらたつの村さ守ってくださるなら、お侍さんたつに腹一杯お米を食べさせるだ」

と長老が言ったらしい。ヴァイキングの下は戦士を配置出来る。こいつがいれば「うぉー、菊千代参上でござる」となりブロック出来るようになる。


第一ラウンドでいきなり海賊が2枚。。。購入したタイルとコマは即座に配置する。コマは今購入したタイル上にしか置けないので、駄目なら左上の大陸マスに置いてプー太郎生活を楽しむという寸法だ。列と行が重要で、コマは指定された場所にしか置けない。例えば黄色は5行目にのみ配置可能。


ヴァイキングタイルは一番上に配置し、同じ色の配置マスまで列を下って攻めてくるイメージだ。だからヴァイキングのいない場所に一列縦隊でこんな感じに配置となった。つまり最初の青のヴァイキングは鬼で、一番下までせめてくるのだ。

TAM嫁は、女性らしくヴァイキングの驚異をひしと感じ、戦士をやたらと購入して、ブロッキングに励む。


TAM夫妻。一番上は戦士(黒)のマスで、こいつがいるとその列をヴァイキングは攻めてこれない。得点ラウンドでヴァイキングに攻められなかったコマのみがお金や勝利ポイントを獲得出来る。コマの役割(色)によって、得点方法が違う。黄色の金細工師は、お金を手に入れる唯一のコマなので重要だ。

わしは手番的にその煽りを食って、ヴァイキングに荒らされ放題である。

「わすらは、野伏を食わすために田圃を耕すてんじゃねえだ。七人のお侍さまぁ、なんとぞ、この飯で引き受けてくだせぇ」

また辛い事に序盤に出てきたヴァイキングどもが、ごっつやる気満々の奴等でいっちゃん下の漁師の場所まで攻めてきやがる。

奇数ラウンドは、お金を稼ぐフェイズなので、漁師ひとつ上の金細工師のみが重要となりヴァイキングの魔の手から守らねばならない。よって、全てが一列縦隊になって左右からくるヴァイキングを凌ぐ。


タカダは、ヴァイキングを上手くとらずにすんだので、結構、土地は豊かである。島タイルは当然のように、繋がるように置かなくてはならず、タイルをひっくり返して置く事は出来ない。

島タイルはL字ボードに接するか、他のタイルに接するようにおくのだが、ヴァイキングは最初の3枚まではL字のどこかの場所に置いていかねばならないので、いっちゃん外側に置いてからその外に置くという卑怯な手段は使えない。最初にL字のいっちゃん外に置いたら、次は、真ん中か一番内側にしかけない。それを満たしてから、4枚目以降のヴァイキングはヴァイキングの隣に接するように置いていく。ま、4人プレイならヴァイキングなんて取って4枚なんやけどさ。


さすがに真ん中は戦士を確保してブロックせねばなるまい。後は…見ての通り、ヴァイキングの猛攻でぱったりとコマを倒して無得点である…_| ̄|○

最初に戦士をキープしたTAM嫁は順調に、島タイルを配置し駒を置いていくが、わしのほうはヴァイキングの脅威にさらされ、駒を配置出来ず、大陸でニートと化していた。

こいつらのように親から散々甘やかされ、何かあれば誰かがやってくれると思ってまったく働かない糞ガキどもは、船乗りコマ(灰色)によって再配置する事が出来るのだ。

「ようこそ、戸塚ヨットスクールへ」

しかし、この戸塚校長もわしの手元にほとんどこず、TAM嫁が独占する。

駄目だ、騙し騙し経営してきたんも限界だ。

ヴァイキングが、がんがんと攻めてきて、勝利ポイントを獲得できない事態に陥る。


ニートは増えるわ、とうとう4枚目のヴァイキングまで取らされるわで、散々である。

それに反して、タカダはめぐりが良かったのか、戦士がおらずとも、見事な一列縦隊でヴァイキングをすか振りさせて得点を稼ぐ。TAMはその中間形態だ。

偶数ラウンドでは勝利ポイントが計算されるのだが、そこから徐々に差が開いていく。こっそりと一番重要なんじゃないかと思っている漁師は最後の最後にしか意味を持たない。一人につき5人分の駒をまかない、足りない分はマイナス、余剰の分は勝利点がプラスになるという、まさに一家の大黒柱。もちろん大陸ニートも賄わなくてはならないという。こんな奴等ほっといたらええのに。つかこのニート作戦は大失敗。とりあえず配置しとくべきやった。


タカダは、ヴァイキングが攻めてきても、1枚目は赤まで、2枚目は黄色までだが1つしか配置しておらず、被害はわずかに2個だけである。

しかし、TAMもこっそりその重要性に気づいており、わしとTAMで漁師を分けてしまい、たくさん獲得出来なかった。

最後、漁師を甘くみた(というか忘れていた)TAM嫁は、漁師を2個しか配置せず、最大の島ボーナスや戸塚校長たくさんいるボーナスを吐き出してしまい、タカダと同点。となるとお金のあるほうが勝ちなのでタカダが勝利。


最終。最後の得点計算でもヴァイキングは祟ってくる(戦士ブロックしないとタイルに書いてある得点やお金を削られる)ので、無理矢理戦士を購入したが、てんで奮わず。最後は、島の大きさや数などがトップの人はボーナスポイントを貰える。

所要時間60分

本来なら30、40分くらいで終わる感じのゲームだが、あまりゲーム慣れしていないタカダがちょいと時間を食ってしまった。

TAM嫁のコメント

漁師がそんなに重要やとは。悔しい。最後に船乗りで配置したら良かっただけやのに。

ソマーリオ

プレイ感はとても軽くゲーム時間も短いくせに、たっぷりと陣取りゲームをやった気にさせる非常に満足度の高いゲーム。クラマー&キースリングコンビは、ティカルトーレスで連続でドイツゲーム大賞を受賞した他、ラージャ勝利への道など佳作が多く、ムーン&ヴァイスブルム以上に有名なコンビだが、単独でも十分な実力があることが解る。

ヴァイキングが攻めてくるムードは素晴らしく、エントデッカーやカルカソンヌの別バージョンといっても差し支えないだろう。出来上がった島が小さく、壮快感はないが、プレイ時間の少なさからヴァイキングのほうがプレイアビリティは高そうだ。

円形にくるくる回るボードのシステムは単に奇をてらってるという感じではなく見事にゲームとして機能している。またタイルと駒の配置も、島は安い順、ヴァイキングは高い順という風に置いていくので、なんでこんなんがこんな値段で? というのもほとんどなく、金額の折り合いが見事にジレンマとなっている。

これと同じようにちょっと変わった値付けシステムを持つ大聖堂は運の要素がかなり占めているように感じてあまり好きになれなかったが、こいつは秀逸だ。もちろん、このヴァイキングもかなり運寄りのゲームであるが、なんとなく納得出来るのだ。それにしても自分にとって敵であるヴァイキングをわざわざ金を払って買うというシステムに最初は驚いた。ルール上、買わざるを得なくなるようになっている。新しい島を発見しようとしたら、ヴァイキングに見つかったという感じだろうか? こういうシステムはなんとも言えず癖になる。

地味な印象のあるゲームだが、二人でもしっかりと楽しめる作りのゲームで、何故、出色の出来であるヴァイキングかイスファハンドイツゲーム賞に選ばれず大聖堂が選ばれたのかちょっと不思議に思えてくる。今回は基本ルールだけでやったが、もう少し高度な戦略の取れる応用ルールを是非試してみたい。

gioco del mondo