Michael Rieneck
&
Stefan Stadler

KOSMOS

2〜4人用
90分

大聖堂

いつかこの手で大聖堂を建てたい―果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が!十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語。

プレイ感

ケン・フォレットの同名小説をボードゲーム化。なんでもすでに2007年ドイツゲーム大賞の呼び声が高いとか。なんだかごちゃごちゃしたコンポーネントはあまり好きじゃないなあと思いつつ、TAM夫妻と3人プレイにて。


袋の中に入れた駒をひとつ出す。その色の人がその駒を色々な特典が得られるマスに配置する。それを繰り返して全部の駒の配置が終わると、順番にマスの指示に従ってプレイをこなす。モルゲンランドのタイル配置形式を、競りじゃないようにした感じかな。プレイ感はまったく違うけど。最初に選ばれるほうが有利とならないように、お金を払って配置しなくてはならないようになっている。その値段はだんだんと下がっていき最後は無料となるが、パスすることで最後に無料配置も出来る。


各場所によってカードを貰えたり、資材を切り出したりといった効果がある。袋からランダムに取り出した自駒を配置していくのだが、先に出ると金額が高くなるのだ。金額は下の時計の黒チップが示している。パスすると自駒をそこに配置して、最後に無料で置けるようになる。サイコロは、毎ターンおきるイベントで、徴税などの額を決めたりするのに使う。

このゲームは大聖堂を建てるということで、石、木、泥という3つの資材を取り出して、勝利ポイントに換えていくのを繰り返すようになっている。大聖堂は皆がしょぼい働きをしようが、徐々に組みあがっていきなにがなんでも6ターン目には立派な大聖堂が出来る仕組みになっているのが、ちょっと残念かな。


資材はボードの下半分にごっそり置いている駒である。3種類ある。切り出しには労働者駒が必要で、どれだけの人数を割いて資材を切り出せるかは、カードに記されている。労働者の数を自由に調節出来るのではなく全てカードに描かれている。労働者駒はターンが終わると戻ってくる。真ん中のでかい駒は大聖堂で、これが完成したらゲーム終了。徐々に出来上がるようになっている。

資材を勝利ポイントにするには、資材の切り出しと職人カードがものをいうようになっている。現実世界のように、同じ資材の量を使っても素晴らしい働きをする職人と、てんでどうしようもない奴がいるのだ。この職人カードは後半になればなるほど、有能な奴が出てきて、「良い仕事してますねえ」となる。

原作ものなので、原作を読んでないからなんともいえないが、トム・ビルダーつうのが主役らしい。建築職人がビルダーって!! という安直な名前は、華麗なる一族の鉄工所で働くから鉄平、銀行で働く弟は銀平と同じ感覚やな。で、そいつが序盤に出てきたので主役やから相当強いとにらんだわしはこいつを無理して落とすことにする。

簡単にいえば、勝利ポイントは、資材を交換効率の書かれた職人カードで転換していくという感じである。資材は、手元にいる労働者駒で配置することにより得られる。で、それにフレーバーをもたらすのがキャラクターやら、もともとエリアにある特殊能力と考えていい。


左下にあるのが、職人カード。ここに勝利ポイントの交換レートが書かれている。右の2枚は人物カードで特殊能力を持っている。左がトムビルダーその人。真ん中にある大聖堂は徐々に出来上がってきている。これはイコールターン数である。

わしはモルタル職人に重きをおき、TAMは木材、TAM嫁は石職人に自然と分かれた。これが4人なら良かったのだが、こうなってしまうとバッティングがおきず、ただの談合と同じになってしまう。

こつこつと役割分担をこなし、大聖堂は立っていく。エリアにおける駒はわずか3個しかないので、相手にちょっかいを出す暇もないのだ。

うーん、資材から職人カードを使って勝利ポイントを稼ぎ出すという構図は、非常に理にかなっていて良いのだが、こうもバッティングしないとあまりゲームした気にならない。3人でやったのが失敗やった。

結局、わしが勝利ポイントで抜け出して勝利。

所要時間90分。


大聖堂完成! 写真では見難いが、駒の下にある丸いところが駒を置ける場所である。ここに配置する事によってカードを手に入れたり出来るのだ。

TAMのコメント

これは結構いけますね。おもろかったです。

ソマーリオ

文中でも書いているが、3人プレイではどうしようもなく淡々と進んでしまった。運の要素が強いという話は、確かにそんな感じである。いつ自分の駒を引くかという順番は非常に重要なのだ。モルゲンランドイスは、数字を使うことによってより戦略的に出来るようにしたのに対して、見た目はヘビーゲームっぽい大聖堂は、明らかにファミリーユースをターゲットにしているといえる。

2007年度のドイツゲーム大賞の最有力候補と騒がれているようだが、3人プレイでそんな感じには思えなかった。別アプローチをしたクレオパトラと建築士かも知れない。とりあえず他人との絡みのある4人でやらないことにはどうしようもないゲームなので、是非、近いうちに4人で再戦したいところ。アマゾンで見ると小説の評価が高いので、こちらを読んでからやるとそれだけで評価はあがるかも。とはいっても、このだらーと進む感じはリーネックのデザインそのもので、どうやらリーネック自体がわしにあまり合わないようだ。80日間世界一周しかり、ドラキュラしかり、全てだるい感じでゲームが進行する。

そうそうコンポーネントは素晴らしいとよく評されるようだが、個人的には自分の部屋のように散らかってる感じがしてあまり好きなタッチではなかった。

並み居る強豪を抑え2007年度のドイツゲーム賞で1位に輝いた。
小説は、おもろいのはおもろいのだが、あまりに次から次へと不幸が襲ってくるため、終始「ぜぇぜぇ、はぁはぁ」とうなりながら読んだ。なんせ、作中、主人公たちが、努力で越えても越えてもドンドンと酷い目にあうのだ。途中、可哀想になって投げ出しそうになったくらい。まさに不屈の主人公たちに乾杯。最後はハッピーエンドになるのを信じて読み終えた。作者に一言いいたい。ここまで酷い目に遭わさんでも…。ま、おもろかったけどね。

gioco del mondo