Bruno Cathala

Ludovic Maublanc

Days of Wonder

3〜5人
100分

クレオパトラと建築士


荘厳なコンポーネント。BoardGameGeekより拝借。

クレオパトラは、自分の権力の巨大さを示すために世界で最も優雅で美しい神殿を建てる事にした。
エジプトに数多くの建築士が集まった。
クレオパトラは高らかに宣言した。
「最も素晴らしい建築士には、黄金で帰りの船をいっぱいにすることを約束する」
ただしと続く。
「ただし、建築するは聖なる神殿。もし汚職にまみれた職人や資材を使ったものはわらわの最も可愛がっているワニの餌にする」


プレイ感

フィストオブドラゴンストーン修道院殺人事件キャメロットを覆う影、メモワール44に続き、現時点でおそらく最も豪華なコンポーネントを持つボードゲームである。こういうのはスカが多いが、ネット上で割と評判も良さそうなので購入した。TAM夫妻、タカダとの4人プレイにて。


一見すると、一体全体どういうややこしいゲームなんやろと思うが、実はルールは簡単やったりする。場に並べられた資材カードを取り、それを使ってオベリスクやら、スフィンクスやらを建てるだけである。カタンと同じように、何を建てるにはこの資材とこの資材みたいにチャートがある。で、建てるとお金が貰える。お金が勝利ポイントとなる。


箱を裏返して箱そのものがゲーム版を形成するナイアガラと同じ。左に見えるのが市場である資材の3つの列。ここから1列まるまる貰うか、石切場から建設するかのどちらかを手番に行う。手番の最後、ばらばらに表と裏の組み合わせの山札から1枚ずつ資材の列に置いていく。

たったこれだけではゲームにならないので、資材カードには汚職カードがまぎれている。これは資材2枚分とか特殊効果などがあり強力なのだが、汚職チップを受け取ることになる。最後にこれが一番多い人はワニの餌になりべべになる。じゃ、汚職しなけりゃええやんと思うだろうが、これが結構混ざっており、汚職カードを使ったほうが効率よく建てることが出来るようになっているし、たとえカードを使わずともどこかで必ず汚職チップを受け取らざるを得ない状況になるので、汚職は必要なのだ。要は一番集めなければいいだけだ。


何かひとつを建てきるとクレオパトラが1歩前に進む。6種類あるので5種類建設完了するとゲーム終了。現在、3つが完成しているという意味。上に乗っているフィギュアは聖域といって、ゲーム中重要な役割を果たす。

そんなわけでルールを読んだだけでは、誰も汚職せんかったらええやんと思ってゲームになるんかなと思ったが、徐々に汚職チップが溜まりだす。

一度溜まりだせば、皆、関を切ったように周りの様子を見ながら汚職を繰り返す。

ああ、人間だな。。

それでもワニの餌になるのは嫌だと見えて、TAM夫妻なんかは唯一汚職を減らすことの出来る大神官の供儀で、恐ろしくお金を握る。これは不定期に行う競りでトップを取ると汚職チップを減らすことが出来るのだ。

お金ががっぽり入るオベリスク(石柱)と玉座は各2つずつしかないので、すぐに建った。このゲームで最も愛らしいスフィンクスは、同じ資材を使うくせに奇数個目よりも偶数個目のほうが圧倒的にお金が入るので二個一で建てないと損をするので意外と人気はない。

※手番に資材が許すかぎり同時に建ててよいし、また同時に建てると追加でボーナス金が入る。

それよりもこのゲームの肝ともいえるところが、モザイクの存在だ。モザイクちゅうたら、あのHなところにかぶせられて、G-maskとかで外したアレだ。昔の人なら、エロ映画を目を細めてなんとか局部を見ようとしたアレだ。
というモザイクの説明をいいとして、庭にモザイク模様の様々な形をしたタイルを置いていくのだが、これがもうモザイクタイルをどう考えてもおけないように配置すると、聖域が生まれる。マス目ひとつにつきひとつ汚職チップを埋めるという荒業が出来るので、皆、聖域を作ろうと躍起になる。

モザイクタイルは5個のマスが連なった形になっており、全て形が違う。ブロックスみたいな奴である。ここがこのゲームの欠点となりうるらしい。つまりもう置けないかどうかを調べるためにやたらと長考する奴が出てくるらしいのだ。まあ、確かにこういう簡単なゲームで長考するとダレるだろうが、そこはわしら、サクサクとやってのける。めんどくさいので同じ形がないんやからと、それだけで判断。


これが聖域。ゲーム中2つまでしか確保出来ないのでいつ抑えるかは重要だ。

ある意味、このゲームはモザイクがないと非常に単調な展開になりそう。モザイクタイルは一番上から使っていくので、(わ、次、むっちゃ大きな聖域を確保できるやん)と気づいたときには、気づかれるな気づかれるなとかなりドキドキする。結構おもろいシステムである。個人的にはフィレンツェの匠の庭システムよりも楽しめた。


ここまでくると完全にゲーム終盤。左下に見えるサイコロでアンクマークが出ると別のところに置かれ、5つ共アンクになれば大神官の供儀が行われる。まあ、いわゆる袖の下って奴で、お金を一斉に握って、順番によって汚職チップを返せたり増えたりする。大神官という職がいかに美味しいかを物語るルールである。

オベリスク、玉座、モザイク、スフィンクス、門、壁の6つのうちどれか5つ完成したらゲーム終了である。
最後に門を作ってタラント(お金)を稼ごうとするが、その一瞬早くタカダが最後の門を完成させる。しょうがないので、壁を作ろうと思ったが、資材カードが門向きに特化させていたので1つしか建設できず。くそー。
汚職は割りとはけたので、大丈夫のはず。問題はお金である。

おーーーーぷん!

TAM嫁が一番お金を稼いでトップ。あーあ、最後に門を完成させてれば勝ってたのになあ。


ゲーム終了。汚職チップを埋めてみました。

ほな、タカダ、ワニの餌な。ぶっちぎりで汚職チップを持ってた。ちなみにその次にTAM嫁が持っていたのでギリギリが一番良さそう。とか言いながらワニの餌にならずともタカダはお金もべべやねんけどな。

所要時間100分

タカダのコメント

面白いんですけど、悔しい。もっかいやりたい。

TAMのコメント

これ、むっちゃ欲しい。高いけど買いたいなあ。面白かった。

ソマーリオ

仰々しいコンポーネントとは裏腹にゲームは至極単純で、誰にでも楽しめるように出来ていると思う。特に見た目が派手なので初心者に対して評価が高いんじゃないかな。

周りの評価は高かったが、ゲームとしてはまあまあといったところ。ちょっといらいらしたのはオフィス新大陸訳だったのだが、個別に日本語チャートがなかったため、どれを作るためにどんな資材が必要か、特殊効果カードの内容をいちいちルールと見比べなければならなかった。最近のメビウスやバネスト訳では、ゲームをスムーズに進行させるためにこういったチャートまでプレイヤー人数分用意されてるので、この部分はなんとかして欲しい。訳は悪くないだけにここは残念である。このおかげでゲームのテンポが悪く感じられ、私的に評価を下げてしまった。

プレイアビリティが悪いので次回のために自分でチャートを作ろうと思ったところ、バネストがカラーの日本語チャートをダウンロードできるようにしてくれていた。非常にありがたい。ちなみにテキスト訳の日本語シール化はお勧めできない。3枚配置するときにシールが貼ってるのと貼ってないとではすぐに手触りで解ってしまうからだ。そんなにたくさん量がないので、バネストのチャート表だけでいいだろう。

豪華なコンポーネントで、少しずつ美しいエジプト建築が出来上がっていく様は、確かに見てて楽しい。ボードゲームならではの楽しみを再認識させてくれる。値段が高いため、買え買えと薦められるものではないが、誰かが持っていれば一度はやってみるといいだろう。中にはやりすぎだという意見もあるが、実際にみてみると、プラッチックは意外とちゃっちくまあ、こんなもんでしょという感じである。上記のようにGeekでは美しい絵がいっぱいあるのでみてると楽しくはなってくるが。ちなみにこのゲーム、クレオパトラとはまったく関係なく、モチーフは明らかにルクソール神殿のようだ。

gioco del mondo