Michael Rieneck

KOSMOS

3〜6人用
60分

80日間世界一周

1872年、ロンドン。イングランド銀行に強盗が入り5万5千ポンドが盗まれた。実に鮮やかな手口で犯人は逃げ失せた。
社会改良クラブのメンバーたちもカードをしながら銀行強盗の話題だった。
「これだけの犯人だ、もうとっくに世界のどこかに逃げたさ。今じゃ3ヶ月で世界一周できるからな」 この時、フィリアス・フォッグ(デビッド・ニーブン)が言ったのだ。
「私なら80日間で世界一周するね」 「それは無理だ、出来ないほうに5000ポンド賭けてもいい」 メンバーたち(トレバー・ハワード、ロバート・モーリーら)は次々と賭けに乗った。
「それでは受けて立とう、今夜出発する。9月21日土曜日の午後8時45分までに戻る」 フォッグは平然と言い放った。
きっかり80日後に、このロンドンに帰ってきたら僕の勝ち。

プレイ感

ジャッキーチェンが出ている映画80デイズは面白く、ジュールベルヌ好きとしてタイトルは惹かれるが、どうにもこうにもbiscoの地雷備忘録でこけおろされていたので、大賞にノミネートされていたにも関わらず買わずにいた。値段もやたらと高い。もうちょい安ければ買うてもいいかなと思っていたところ、ヤフオクにて手頃な価格で買うことが出来た。TAM、タカダとの3人プレイにて。


汽車、船カードを使って、80日間世界一周に出てきた主要都市を周る。カードには所要日数が書いてあり、都市間は何を使って移動させるかが描かれている。例えばロンドンからパリに移動するには汽車、船それぞれ1枚ずつ同時に出すのだ。そして出したカードによって日数が加算される。

カードは毎ラウンド、人数枚のオープンになったカードから選ぶが、どの位置のカードを選ぶかによって、気球を使うなど特典が違うように出来ている。またカードは同じ種類の数字カードなら、片方の数しか加算されない。これは同じ手段を必要としている都市間で利用できる。例えば船2枚必要なところで船3を2枚出せば3日しか加算されない。
ほかにも、新しい都市に最初に到達したプレイヤーと、最後に到達したプレイヤーには特典がある。


カードは毎ラウンド、ボード下に人数+1配置されて、それを順番に取っていく。上に書いてるのがその場所で貰った場合の特典である。例えば船の8なら1ゴールド貰えるといった寸法。都市から都市への移動は、矢印に描かれている移動方法で移動する。最初に都市に到着したものは赤色のタイルを、最後の人は青のタイルをそれぞれ貰える。

TAMが先行し、タカダが最後に到達する。ずっとこのペースでゲームが進んだおかげで、わしには特典タイルを入手する機会が少ないが、ベベのプレイヤーは自動的に1日余分に加算されるのであまり離れず進んでいく。

なんとか日数を稼ごうと、同一カードを集めようとするが、カードに付随する気球の特典があまりにも魅力的で、なかなか思い通りに進まない。

皆、決め手がないまま、インドに到着。インドでは最低12日間かかってしまうが、ここで必殺の象カードがあれば一気に短縮できるのがウリである。しかし、誰もそれを入手できず。。。12日間を進めて次の都市へ。この経路だけは特殊なのだ。


特殊な移動方法のあるインド。黒い駒は探偵駒で、プレイヤーを邪魔する駒。手番の始めにこれと同じ場所にいるプレイヤーは日数が1加算される(たしか)。特典などで動かして相手を急がせたり、このように先送りして時間稼ぎに使える。

このゲームでは最初にゴールしたプレイヤーが勝つのではなく、経過日数が少ない人が勝つ。またそれぞれが同じ都市に居たとしても時間軸が違っており、一概に誰が勝っているかは分からないように出来ている。業を煮やしてTAMはそのままイギリスに到着。最初に到着したプレイヤーが居たら、残りの人は毎ラウンド余分に1日加算されるのだ。TAMはそれを狙っている。


カードは数によって絵が違うのはなかなか凝っている。この時点でTAMは79日間でゴールしている。周りが日数表。緑のところが80日。

最終的にわしがアメリカ大陸から最後のロンドンまで、同一カードを使って一気に日数を短縮。最後もTAMの攻撃にひるまず、きちんと同じ船カードをだしてロンドンまで75日間で勝利。タカダは80日オーバーしてしまった。

所要時間60分


最終。タカダは4日間もオーバーで賭けにまけて丸裸。きっと。

TAMのコメント

まあまあですかね。

ソマーリオ

なんつう切れ味の無さ。ゲームがだらぁ〜っとしててまったくといっていいほど爽快感がない。カードを集めて進めるということは、ある意味チケットトゥライドにもつながる行為であると思うのだが、何故だかまったくおもろく感じない。欲しいカードが、なかなかめぐってこないのだ。

めぐる都市は少ないので、あっという間に終わるかと思えば、不思議とたっぷり時間がかかる。
うーん、なんだかなあ。カードも使いづらいものが多くて、別にあってもなくてもって感じである。なんだか昔の日本ゲームのカードの使い方に似ている。

このゲームにはカタルシスというか盛り上がりどころがないのだ。ただ、のぺーっとカードを引いて出してるだけ。このゲームやったのは結構前になるのだが、レビューする気が起きないくらいとらえどころのないゲームだった。作者であるリーネックは、ネットでも評判になった大聖堂で2007年度ドイツゲーム賞を獲得しているが、このゲームもまた同じように同作者と分かるくらいのぺーっとしたプレイ感だった。

またbiscoが言うてたように、箱にきちんと入らない事入らない事。こんなにでかい箱のくせにタイル類もボードもがっさがさ。それどころかボードに至ってはサイズがあっておらず明らかに箱に入りきれていない。ぼわっと横に膨れるのだ。噂ではこのゲーム、別の会社から出そうとしてたらしいが、それを無理矢理KOSMOSが買収したようだ。映画に合わせて慌てて既製の自分の箱に入れた。だからこんな訳の分からないのになったらしいのだ。感じわるぅ。

大聖堂ドイツゲーム賞を獲得したようにヘビーゲーマーに好評のようなので、単にリーネック自体、わしに合わないデザイナーなのだと思う。ドーンと同じく、リーネックデザインもこれからあまり買わんようにしよ。有名どころでは、ドーラのゲームもあまり合わない。ドーラはつまらなくはないのだが、普通、と思うのが多い。実は意図的にドーラも買うていなかったりする。ここらへんのデザイナーが好きな人には、あまり参考にならないレビューなので、申し訳なし。

ちなみに映画版は原作を忠実にしたものが以前に映画化されている。結構長い映画で、今の展開の早いハリウッド映画に慣れた人にはだるく感じるかも知れないが、有名俳優のオンパレードで美しい観光シーンなど、名作にあげる映画ファンは多い。さらにわしが一番最初にみた80日間世界一周は東映まんが祭りで見に行った長靴をはいた猫80日間世界一周である。「びっくりしたニャ、びっくりしたニャ♪」パンダコパンダと二本立てやった記憶があり。

gioco del mondo