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Alan R. Moon
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Days of Wonder
バンダイ
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2〜5人
50分
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チケットトゥライド -アメリカ-
駿河屋で購入
1872年10月2日はロンドンが熱狂した年だった。フィレアス=フォッグ卿が80日間で世界一周を出来るかと2万ポンドの賭けをし、それが成功したのだ。
その28年後、当時同じ大学生だった5人は、毎年行われる新しい冒険がないかと相談しあった。既に初老を迎えた一人が提案した今世紀最初の冒険に皆は興奮した。
掛け金は100万ドルで勝者の総取り。目的は7日間でアメリカの都市を最も多く鉄道で旅した人が勝ち。
即座に賭けはスタートです!
プレイ感
ゲーム大賞コレクターでムン様ファンのわしとしては、異例の遅い入手&プレイ。もう次のゲーム大賞がオールドタウンに決まるっちゅうねん。(←現在4月29日でノミネートもまだの段階)
ルール読むと設定が最高にいかしてるので、短くしてゲーム説明に使わせて貰った。まんま映画や小説になりそうな設定ですなー。アメリカ人なら作りそうw
TAM夫妻、ぴのと4人プレイにて。
ゲーム全景。ボードはカラフルで美しい。
ルールは凄く簡単。都市間にある色と同じカードを集めて升目の数を一気にどんと出したら線路を置く。その数に応じて得点が貰える。
まずは目的地カードを選ぶ。これは非公開情報なのだが、やってると「こことここを繋げようとしてやがんな?」とばれるが、邪魔しあうゲームでもない。回り込んでつなぐ事も可能なのだが、やっぱり繋げなかったらそのままマイナス点になるので、慎重に選ぶ事にする。ショートからミドルの路線である。
この最初に目的地カードを貰うってのはとてもよく出来ているルールである。これがなければ最初にプレイヤーはどこを繋げて行こうかという指針がないので戸惑うだろう。これが圧倒的に初心者に優しい作りである。
右に置いている5枚のオープンカードもしくは山札から2枚取るのだ。一番下に見えるのはワイルドカードで、この場合は1枚しか取れない。ボードの色に対応するカードを都市間の数だけまとめて出せば自分の駒を置ける。灰色はワイルドカードで、同じ色ならなんでもいい。都市間は1〜6マスである。
わしゃ被り気味のアメリカ東海岸から南部の目的を2枚選んだ。こりゃ、ラッキーである。目的地は繋げるとその都市間の升目の点数が入るのだ。被ると労せず繋がるのでラッキーなのである。
TAM嫁が青色6枚出していきなり最長路線を作る。そして15点ゲットして一気にロケットスタートを決める。
※ 1つは1点、2つは2点、3つは4点といった風に繋いだ升目によって得点が高くなっていく。6が最も長い路線に設定されている。
ポートランドーソルトレイクシティに黄色の駒が連なる。ちなみに駒の色とボードの色は関係ない。
わしも手元に黄色のカードが5枚とワイルドカード(ジョーカー)があるんで6の路線を繋げる事は出来る。しかし、自分の目的地エルパソーピッツバーグ間を先に抑える方が先決である。繋げた路線がめぐりめぐって役に立つ事もあるかも知れないがワイルドカードを温存しておく事にする。よって、
わし「じゃ、ここに5個繋げるんで10点ね」
路線は無制限に繋げる事が出来るのではなく、ボードに描かれている数だけしか置く事は出来ないのだ。最大2つの線路しか描かれていないので、早い者勝ちである。
駒数によって点数は一気に跳ね上がるので、出来る限り長い路線を選びつつ展開する。
それに対して、ひたすら何色でもいいショート区間を刻むぴの。1つ2つの区間は何色でもいいのが多い。そしてわしが最初の目的地、東海岸から南部にかけて路線を伸ばす横断鉄道に対して、南北にばかり伸ばすぴののショート路線はアメリカ縦断である。
またTAM嫁はアメリカ西部から南部にかけてのばし、TAMは北部を真田虫のようにぬぺーっと伸ばしている。
わし「つーか、お前、ウイニペグって、アメリカちゃうやん。カナダやん!」
百聞は一見にしかず。青わし、黄色TAM嫁、赤ぴの、緑TAM
まあ、そんな感じでゲームは展開していくが、ここでぴのがわしの目的地にある中南部に手を伸ばしてきやがった。
ちょ、やめろー。
このままでは目的地に行く事が出来なくなるので、慌ててショート路線を刻みなんとか帳尻を合わせようとするが、先に路線を取られて泣く泣く、意味もなく伸ばす羽目に陥る。
※ 最後に一本で一番長く路線を伸ばした人は10点のボーナス点が貰えるのだ。このように分岐させると損である。
ぐわー! デンバーがああ!! その中央部を攻めるのをやめろー。フェニックスから伸ばすしかなくなった。
TAM嫁「あ、じゃあ、私も分岐してるからあかんやん」
わし「いや、ここをぐるっと回してしまえば一本になるで」
カタンでよくする手である。輪にしてしまえば一筆書きになるのだ。
その通り回し始めるTAM嫁。
ぴの「あんた、一体どこが目的地やねん」
やたらと被って激しい取り合いになっている南部。
わし「阿呆! そんなん言えるけ!」
密かにぽそっと繋げてほっとするわし。
更に、先に集められて、フェニックスを抑えられてしまったぁぁ!! とほほ。オクラホマシティから分岐させるか。。。
ある程度、路線が落ち着いてくると、新しい目的地が欲しくなってくる。3枚見て最低1枚取るのだが、ここでぎょっとする目的地発見。
それは、それこそ、アメリカ旅行の夢、ニューヨークーロサンジェルス間を繋げるロングカードである。もうひとつロングカードを引いた。マイアミーロサンジェルス間である。
地図を確認するわし。
駄目だ、マイアミは遠すぎる。これはTAM嫁の管轄。しかし、このニューヨークーロサンジェルス間はいける! 成功すれば21点も入るのだ。
これは絶対にばれてはいけない。ばれて阻止されるとマイナス21点である。残りの目的地カードを山の一番下に戻す。
ニューヨークは既に繋がっているので、問題は西部である。南部から西部に伸ばすには長い路線が多いのだ。周り道のないところから攻めるのが基本である。
ついている事に西部はTAM嫁しかいないのだが、その活動拠点は北西部である。南部からくるっと回すのは難なく成功した。
わし「やった!」
TAM「なんすか?」
わし「わしゃ、今、偉業を成し遂げたぞ」
このゲームは目的地が分からないので、この達成感は本人しか分からないのが寂しいところ。しかし、これはかなり嬉しい!
見事ニューヨークーロサンジェルス間を達成!! 更に上を目指してロサンジェルスーシアトル間もゲットする。
今いっちゃん、恐いのはあのわしが戻したマイアミーロサンジェルス間のロングカード20点である。TAM嫁が繋げてしまっているのだ。
TAM嫁「あ、これにしよ」
と嬉々として選ぶTAM嫁。引かれたか!? そろそろ出てくる頃である。出てくれば自動的に20点入ってしまう。
しかもわしの路線とどっちが長いか何度もチェックするTAM嫁。こいつは手強いぞ。
そうこうしているうちに駒がほとんどなくなり、わしが残り1個になりラストターンを迎える事となった。
最後の1個を置く事で1点入るので適当に置く事にしてゲーム終了。
目的地が達成してるか確認しあって、得点ボードを進める。
TAM嫁「わ! 21点のカードがある!」
ふふふのふー
TAM「グレイト!」
最長路線はTAM嫁と引き分けで両方獲得して、わしぶっちぎりの勝利。所要時間60分
TAM嫁はあのカードを手に入れてなかったようなので、説明してあげた。
TAM嫁「うわあ、残念。こんなんあったんかあ。もっと引けば良かった」
そしてぴの、唯一達成出来ずにマイナスを食らって、しかもショート路線ばかりだったのでぶっちぎりのべったくそ。
最終結果。アメリカの地図はこんな感じになった。やたらと点数の低い赤、ぶっちぎりの青。下にぽつんと1つ青駒あるのは1点獲得の為。
TAMのコメント
これ、むっちゃおもろいっすわ。ルールもこんだけ? という感じで、素晴らしい。納得の大賞受賞ですね。
「もし買うんなら、ルールが増えてるヨーロッパ編買えよ」こいつ絶対買うんやろなあ。
ソマーリオ
見事。その設定から、ルールの簡単さ、目的の明確さ、失敗を許容するシステム、平和的で建設的、つまり楽しみ方の容易さは初心者に圧倒的に優しい。カタンからドイツゲームにはまったって人は多いが、カタンは実際問題としてルールが初心者には多い。そう考えるとチケットトゥライドの初心者への導入の平易さと面白さは群を抜いている。史上最強の初心者キラーゲームと言って差し支えない。なんせ、初心者ことごとく、こいつの面白さを実感していくのだから恐れ入る。
わしのようなゲーマーとしては物足りない部分はあるが、そもそもゲームプレイヤーの裾野を広げるという大賞の理念にぴったりのこいつは、ドイツゲーム大賞のお手本のようなゲームである。
真っ白けのボードは以前掲示板で「同人ゲームかと思った」と書いてくれた人がいたが、これは色鮮やかな駒で浮き彫りにするよう配慮されている。好みの問題だろうが、わしゃ、これでとてもいいと思う。そこらへんはヨーロッパ編と比べるといいだろう。
これが出たばかりのヨーロッパ。フェリーや駅舎などの新要素が追加された。
駒はプラスチックなのが残念だが、もう我慢しておく。青色ももう少し綺麗な青が良かったけどな。。。
プレイテンポは目的地カードを引く時に都市を確認するのに落ちる程度で、とてもいい。(時間が勿体ないので、わしゃ目的地カードを引いたプレイヤーは無視してプレイを続行している。こうしてもそれほどプレイに影響を与える心配はないし、丁度選んだ頃に、その人の手番が再びやってくるくらいになる)アメリカをある程度知ってる人ならストレスなく行えるし、そんなに多くの都市があるわけでもないので、すぐに慣れるだろう。またマップ上に色があるおかげで、相手がどの路線を狙っているか解るようになってるところなど、恐ろしく洗練されたシステムと言える。相手とバッティングしてると解ると焦る焦るw
つまり、、欠点ないねえ、これ。ほんま駒だけか。
プレイ感はトランスアメリカにとても似ているが、チケットトゥライドの方が目的は明確、システムの中にジレンマも見事に織り込まれ、初心者でも簡単に楽しむ事が出来る分、完全に上である。確かにこのシステムは突き詰めればトランスアメリカで十分なんかなと思ってしまうところもあるので、ヘビーゲーマーなどはトランスアメリカの評価は高いようだ。トランスアメリカ自体、同じ作者ムーンのサンタフェから派生してるのだから、いろんな形があっていいだろう。
記念としてミステリートレインという追加目的地カードが販促として出たが、これはまたの機会にやってみる。欲しい人はDays of WonderのHPからダウンロード出来るようである。またファンがイギリス、ハンガリー、フランス、ベルギーとか勝手に作ってるんで、飽きた人は作ってやってみるといい。日本編は残念ながら、ない。
最後に、「乗車券」と名付けたこの日本語タイトルはなんとかならんかなー。確かにTicket to Rideは直訳すれば乗車券である。でも、この英語は語感がいいからいいのであって、それをそのまま訳せば何の変哲もないタイトルになってしまう。ドイツ語訳はZug
um Zugで直訳すれば大陸一周である。こっちの方が内容に合っている。内容から考慮してアメリカ大陸横断鉄道にすれば高級感もあって良かったのになあと思う。これは、後日バンダイがチケットトゥライドとして日本語版を発売した以前の話でした。