Wolfgang Kramer

AMIGO

2〜10人用
10分

6ニムト

牛を貰う間抜けは誰だ?
1〜104の数字が織りなす不思議なカード。
何が起こるか解りません。







プレイ感

今更ながら、6ニムトをレビューするという。実はちょこちょこ二人でやってたのだが、これは多人数でこそ活きてくるゲーム。というわけで、TAM夫妻、ムゲン、ケイとの5人プレイ。


10枚ずつカードを配る。一斉にカードを1枚出し小さい順に、場にある4列のカードに最も近い数に横に並べていくのだ。例えばゲームが進んで…


12-28-33
54-55
61-88

とあったとする。一斉に出したカードは、8、35、52、56、87とすると、こんな風に並べられる。カードは小さい順に解決していく。

5-
12-28-33-35-52
54-55-56-87
61-88

数字は、このように上回るようにしかおけないのでこうなる。で、これを手札10枚がなくなるまで繰り返すだけなのだが、各列の6枚目に置いてしまったプレイヤーは、丸々その列を引き取らなくてはならない。カードには牛のマークが描かれており、それが失点だ。


このように4列に並べて同時に出す。この場合だと15が先なので、どこか一列を引き取るそれから34は15の次におくという処理になるだろう。失点はカード上下の真ん中にある牛の数であり、色がどぎついカードカードほど失点が高い。現在のテンパイは80の列で、この次に置くカードを出すとごっそりこの列を取らねばならなくなる。

例えば次に53を出すと、二列目にくっつく事になるので、12-28-33-35-52のカードを自分の場にさらしておく。そして、53を新しい列としておいておく。実際にはこうなる。(実際には全員同時に出して小さい数字順に解決するが、解りやすくするため、1枚だけの処理)

5-8
53 (→ この列にあった12、28、33、35、52は、失点として手元に表向きの山札として置いておく)
54-55-56-87
61-88

また、全ての列より数が小さいのを出した場合、どこにもおけないので、どれか好きな列を丸々失点しなければならない。例えば6を出したら、どの列にもおけないので、好きな列を引き取るのだ。この場合、失点が一番少ない53を取るだろう。こうなる。

5-8
 (→ 53を失点として手元に)
54-55-56-87
61-88

重要なのは各列の一番右にきているカード。早い話ここだけみとけばいい。下記の例だと青字になってる3、42、59、88だ。ここに全員が一斉に出したカードを小さい順に並べていく訳だ。


12-28-33-35-42
54-55-56-59
61-88

こんな単純なルールなのだが、多人数になるとドラマが生まれる。


もうここまできたら誰かが死ぬしかない! どれも取りたくねえ!! ここで一番低い数を出した23がまず引き取らねばならない。でもわしも一番下引き取ったんよな。。

TAM「げぇ、もうあかん」

ケイ「こっちこそもう駄目」

そんな会話がなされるのだが、実は

TAM「ほっ」

ケイ「ほっ」

ムゲン「僕すか!」

となったりするのだ。なんせ、出したカードの小さい順に解決するので、もう6枚目になってまうという状況でも、先に誰かが引き取って助かったりするのだ。

特によく間違うのは確実に6枚目になってしまうカード。先に例にあったように……

5-8
12-28-33-35-52 (←53なら誰が何を出そうとここが一番近いのでここに置かれる)
54-55-56-87
61-88

これなら53を出してしまうと何が起きようとくっつくのは52の次なので6枚目になってしまう。

TAM「あ、やってもた。。」

まあ、よくある話だ。前日、家族7人でやったときも、姉が何度も同じ事を繰り返してたw


暴風雨が吹き荒れた後は、こんな平穏な場に。ところが多人数だとこんな平和はほんのつかの間なのだ。

1ゲーム10分なので、何度もやれる。

このゲームのおもろいところは、失点食らうとカードが集まるヤツが出てくる事だ。ぞろ目やきりの良い数字はマイナスが高くなっており、なかでも55はマイナス7と最強になっている。

兄嫁「わぁ、もうたまりすぎだよ」

ごっそり溜めたカードは色とりどり。マイナスが高いほど、カード色合いがどぎつくなるのでもう毒々しい山となっている。

わし「松井おるやんw」

兄「お、やるな。わしもいっぱいあると思ったけど、これは負けたかも」


取ってしまったカードはこのようにオープンにして手前に置いておく。後で精算。

中2の甥っ子は、いたく気に入ったようで、楽しくてしょうがないみたい。
翌日も、時間を作ってやったとさ。

ちなみにこの日も、正月の朝5時くらいにTAM家から帰ろうとした矢先、ドイツゲームにはまりだしたケイとムゲンがどんなゲームから買えばいいですかね? という話になり、TAMのゲーム棚を眺めながら値段が安く手に入りやすく、一家にひとつあってもいい6ニムトを薦めた。ところがTAMがやったことないというので、簡単なんでやってみようと、帰り支度をやめて上着を脱いだんやけど、そのままついつい3ゲームもやってしまった。

TAMのコメント

これ、ごっつおもろいですやん。今までやってなかったんが悔やまれますわ。

ソマーリオ

6ニムトは、お手軽で面白いという事で、ドイツゲーム大賞筆頭と言われた。ところが、これほどのゲームでありながら、ノミネート止まり(この年はマンハッタンが受賞)で終わってしまった。これ以降ドイツゲーム大賞にカードゲームは選ばれないという通説が出来たが、その通り近年ではノミネートすらされないようになってきた。これはドイツゲーム大賞の理念に安価なカードゲームを選んでしまっては、メーカーの儲けが薄くなりボードゲーム界にとって良くないという理由からだそうだ。

何故、6ニムトが大賞に選ばれないんだ! と多くの人が思ったように、その年、カードゲームでありながらドイツゲーム賞に選ばれるという快挙を成し遂げている。またアラカルトドイツカードゲーム賞にも選ばれ、それ以来ずっと定番ゲームとして君臨している。

日本でもメビウスが、完全日本語版(といっても、言語依存はないので何語でも一緒だ)を手がけ、2001年から記録しているメビウス販売記録では過去7年間で、5回も首位(うち2回は2位)なのだ。これは日本で僅か1000円という価格の安さと、年齢や人数を選ばず楽しめるからだと思う。特に人数に関しては2人から10人というとてつもない幅広さを持ち、人数が少なければガチンコの読み合い、人数が多ければパーティーゲームと、ゲーム性が変わるところも何とも憎々しい。

1000円手元にあるならば、UNOなんて有名なだけのくだらないカードゲームを買うのではなく6ニムトを買うべきだと強く言いたい。小栗旬も6ニムトにはまっていたというブログもあるくらいだ。

ゲーム自体はとても簡単なのだが、解らない人には解らないところがある。それは失点という概念。通常ゲームは、プラスで勝ちを決めるのが普通だが、6ニムトの場合、カードを1枚も取らないのが一番いいのだ。たくさん取れば負けてしまう。失点を押しつけるトランプのブラックレディハートなどのトリックテイキングを知ってる人には理解し易いだろうが、あまりゲームになじみのない人には、一瞬戸惑いがあるはずだ。といってもそんな戸惑いは、3回ほどゲームをやってみればすぐに氷解するだろう。カードを取るという事は牛のようなうすのろ間抜けって意味だ。

数字は4列のうち、最も近い小さい数の隣に並べる。なければ、どこかの列を引き取る。今、出したカードは必ず場に残る。初心者に解りにくいところは、この部分だけだ。ここをしっかりと説明してあげれば、これほど良くできたゲームはないように思う。今回はTAM嫁も最初意味が分からなかったとコメントしているので、ここらへんをきちんとやって置いた方がいい。

今から20年後にはUNO以上に知名度の高いゲームとなっている事だろう。人生ゲーム、UNO、モノポリー、黒ひげ危機一発という誰もが知ってる定番ゲームは、いずれ6ニムト、カタンの開拓者チケットトゥライドとなるに違いない。

わしゃ、この値段の安さとおもろさ故に、何人か友人にプレゼントした事がある。おそらくそういった事があるから、売れ行きもナンバー1なのだろう。そうそう、読み方なのだが、シックスニムトではドイツ語と英語が混ざってしまっておかしいし、ゼクスニムトが正しいのだろうが馴染みがない。それならロクニムトでもいいだろう。そこでメビウスではニムトという名で販売したようだ。これにならって五十音順では6ニムトと書きながらもナ行に入れておいた。

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