Wolfgang Kramer

Richard Ulcich

Hans im Gluck

3〜5人
90分

エルグランデ(2回目)

amazonで購入
駿河屋
駿河屋(10周年記念旧版中古)

15世紀スペイン
レコンキスタの末期、有力貴族の大公は、分割されたスペインの領土に騎士を送り込み、勢力を争った。

プレイ感

過去のゲーム大賞の中でも一番好きな作品。当時はヘビーゲームとされ、短縮ルールまである。今でいう中量級のゲームで、短縮やと1時間以内に収まるが、このゲームを短縮でやるのは非常に勿体ない。
というわけで、クラマーの大傑作エルグランデ(前回のレビュー)の2回目レビューである。2024年に日本語版としても再販されており、パステルカラーの色使いとなった。カードアクション効果の見直しとミニ拡張「新摂政」「力の変動」に、2、3人で遊べるよう調整されたマップもついている。わしは旧版を持っているのでこちらでレビューする。色使いは重厚な旧版の方がわしは好きだが新板の内容を見ると買うかどうか悩ましい。
そーじろ10歳、miaとの3人プレイにて。ほんまは4人プレイしたかったがコタが体調不良で断られた。


なんか当時、ルールがややこしいなと思って読み始めたらめちゃめちゃ簡単だった。慣れというのは恐ろしい。

準備は大公を表す大きな駒と王のデカ駒を、カードを引いて初期配置する。自分の大公の駒のところに騎士駒2個、点数のところに駒をおき、7個の駒を手元に置いておく。残った駒はストックとして別の場所においておく。

特徴的なのは、ボード上の駒、手元の駒、ストックの駒と状態が3つあり、これは絶対にごっちゃにしてはいけないところだ。昔やった時はこの3段階の形態がちょっと分かりにくかったが、今読んでみると非常にすっきりしたルールに思える。
それと巨大な塔をボードの指定場所に立てとく。

それから各自同じパワーカードを手元に持つ、秘密ディスクを1個ずつ配る。
アクションカードを騎士アイコンの数ごとにシャッフルして、それぞれ山札から1枚ずつめくる。
黒のラウンドマーカーを1ラウンド目に置く。

親プレイヤーから手持ちのパワーカードを1枚ずつ時計回りに出す。この時、同じ数字は出してはいけない。これはラウンドの手番決めと、ストックの騎士を手元に移動させる数を指示している。


カードランダムの初期セットアップ、しょっぱすぎやろ。クソセッションになる予感がしたが、そんなことはなかった。

パワーカードの大きい順番に手番を行う。まずパワーカードで指定した数の騎士駒をストックから手元に移動させる。パワーカードは大きな数ほどこの騎士駒の数が少なくなっている。つまり手番順が先のほうが強く、そのデメリットが手元の騎士駒の数というわけだ。
手番は、アクションカードを1枚選び、そのアクションを実行するのと(しなくても良い)、アクションカードに描かれている騎士の数だけ手元の駒をボード上の王駒の隣のマスか、塔の中に好きなように配置する。塔の中に入れる時は数を宣言していれること。

1から5までの騎士を出せるアクションカードはこれまた、数が小さいアクションほど強いカードとなっている。5のカードは王駒を移動させる1枚しかない。
王駒はなんの役割を果たすかというと、上に書いた騎士駒を配置するときの指標になるのと、状態の変化を許さない効果がある。王駒のおる場所、得点表を変えたり、騎士駒を移動させたりできないのだ。

手番の終わりに、使ったアクションカードを捨てる。また自分が使ったパワーカードは基本的にゲーム中二度と使えない。
ここから分かるように手番が先だとアクションカードの選択肢が増えるということだ。

全員が手番を終了すると1ラウンド終了で、選択されなかったアクションカードを捨てて、新しく1枚ずつ表向ける。5の王のカードだけは1枚しかないので、ずっとそのままにする。ラウンドマーカーを1つ進めて、先に小さいパワーカードを出したプレイヤーから時計回りに再びパワーカードを出していく。

3,6,9ラウンド目の下のマスは横に伸びている。これはラウンドマーカーを横に動かして、二度集計しないようにするための配慮だ。

最初に塔を開けて、得点を行う。得点はエリアごとに3つの数字があり、駒が多い順にその得点が入るということだ。タイの場合は、一つ下の数字をそれぞれ手に入れるが、3人以下の場合は、3位は得点できない。

それから皆、秘密ディスクを用いて、塔にいた騎士駒をどこのエリアに送り込むかを秘密で選び、同時に公開する。この時、間違って王駒の場所を選んだら、不可侵ルールがあるので手元に戻す。

それからエリアごとに得点を行っていく。上記の塔の出陣があるので、かなり読み合いがエキサイティングになるのだ。
ボーナスとして王駒エリアや自分の大公駒エリアが、最多プレイヤーが一人の場合+2点もらえる。ちなみに大公駒は騎士数としては数えず、場所を表すだけだ。

こうして9ラウンド目の得点計算が終わったら、一番得点の高いプレイヤーが勝ちである。

リードプレイヤーは年少からと書いてるが、これ、リードプレイヤーは不利なんでいんじゃんで決めた。

初期は王含めて、辺境の土地からスタートである。
わしとそーじろが隣り合わせになったのはちょっと嫌な感じ。

わし「つうか、これ王端っこ過ぎて自分ところ強化できひんやん」

王の位置は伊達にでかいのではなく、めちゃめちゃ重要である。
ある意味、この配置は静かなスタートに向いているのかも知れんが。


キングを動かしさえすれば、ゲームは動く。そーじろとわしが周りに騎士をうまく配置。
当時はキング駒がクソでかいと思ったが、今みるとそれほどでもない。慣れとは恐ろしい。

皆に5枚のアクションカードをめくり公平に説明する。めくられたカードを見て、今回は先に選びたいとか、残り福で構わんわとか決めるのである。

パワーカードトップのそーじろが5のアクションカードを使って王をいきなり中央部に移動させた。
そして周りに5個のコマを配置する。

たしかにこの配置やとそーじろは安心だが、わしとmiaはターゲット圏内になる。

自分の大公の土地は+2点ボーナスがあるので、是非とも死守したいところ。

わしは最大得点が5のエリアで得点計算をするアクションカードを選び先に突っ走る作戦をとる。これやとわしの大公エリアでのみ得点が貰えるのだ。
本来の得点は先に書いたようなラウンドでしか行わないが、2アクション、3アクションカードは追加で得点計算に関係するカードが入っている。

序盤は、わしは得点計算のカードをできるだけ選び、また小さなパワーカードを使って手元にコマを多く持つように心がけた。

mia「11」

そーじろ「13」

とこうなったら無理に突っぱねる必要はなく1のパワーカードで、手元にコマを6個もってくる。
また初心者が忘れがちな塔にコマを入れることも忘れずに行う。

miaのやり方がえげつなかった。
自分のエリアに9の得点カードを置き、更にキングを呼び寄せて固めてしまいやがった。
これは後々ひっぺがすのに苦労することになる。なんせ王を移動させて、得点カードを移動させるという2アクションが必要なのだ。


この秘密ディスクが慧眼。相手プレイヤーとの駆け引きが熱い。これで塔にある駒をどこに送り込むかの読み合いが生まれるのだ。
miaは自分の領土に9の得点カードを置き、キングでガードしてやがる。パワーカードの1は手元に6駒おけるカードなので、べべでもいいやというこのタイミングで使った。

そして3ラウンド終了後に初の決算がきた。
秘密ディスクを使って、自分が派兵するエリアを決める。

ここで本来なら2個放り込んだコマをGranadaあたりに派兵したかったが、miaがこっそり3個放り込んだコマがわしの大公エリアに攻めてこられると困るので、まずは守備固めでAragonとした。あとから考えると初心者が最初に他人の領土を攻めることはなかったので失敗ではあった。


mia3個、わし2個、わしはびびって自領地Aragonへ派兵した。

この塔からの秘密ディスクがエルグランデの最も秀逸なシステムで、相手との直接的な読み合いが熱い。
miaはAltkastilienに移動させた。


もう少し攻めても良かったが、まあ、守られたのでヨシとしよう。

その後わしは前半にとったリードを守りつつ進めていく。全員、自分の大公の土地は譲らない。

ここでこのゲーム随一の強さである拒否権カードが出た。
拒否権の強さとはなんたるやというのを実感できるのはエルグランデのこのVetoカードだけだ。他人のアクションを1度だけ拒否できるのだ。

かつてローマ皇帝が皇帝足らしめる権利、それがVetoである。これは現在の国連の常任理事国が持っている拒否権をみれば分かるだろう。拒否権のおかげで国連は機能不全に陥っている。


これが最強とも呼べる拒否権カードである。アクションカードは、手元の騎士をボードにおける数が少ないカードほど強いように作られているはずだが、戦局次第でなんともいえない。

無制限に与えても強すぎるのでこのターンと次のターンまでしか保持できない。

そーじろ「13」

取ってきた。

わしが次のターンにすっかり忘れて

そーじろ「じゃ、それ拒否する」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

忘れてた。。


とんでもないことになったGranada攻防戦。

そこからそーじろの快進撃が始まり、美味しい得点を繰り返す。
最初に辺境にいたせいで、誰からも攻撃を受けなかったのがでかい。

やばい。

なんと最終ラウンド、あれほどリードしてたのに、一気にわしを追い抜いた。

まじかー!!!

しかし、わしはmiaとの2位タイの得点1点を忘れて、同点勝利となった。

所要時間60分


最終。miaだけ大差負け。まあ自領地付近が戦禍に見舞われてるからな。

これは4人で絶対にやりたいと、翌々週にコタを交えて4人プレイとなった。

今回はわしがNeukastilienというど真ん中になった。他の3人は辺境。

コタ「え、これ損じゃん」

mia「と思うでしょ? 辺境やとあまり激しくないからコンスタントに得点できるのよ」


初期配置。しもうた。ど真ん中でしかもキングが隣におるやんけ!

最初の2のアクションカードが酷かった。

「他のすべてのプレイヤーは任意の領土にいる自分の騎士2個をストックに戻す」

そーじろ「13」

わし「いきなりかい」

なんと最初のラウンドにそーじろ以外のプレイヤーのコマが0個になるという珍事からスタートした。

大公のコマがぽつんと残るだけ。
大公のコマは勘違いしやすいが、攻撃力0だ。単に位置を示すだけのコマなのである。

そーじろ「やった、やった、やった」


そーじろのクソプレイのおかげで、閑散とした第2ターン。とりあえずキングは避けたが、当然、アクションカードを使って得点の高いわしの領土に皆が進出してくる。

自分の土地でありながら得点できないという妙な展開に。

おかげで

わし「じゃ、ここに置くか」

mia「なんで、自分のとこに置かないのよ!!」

わし「アホか。王ここにおるんやから自分のとこに置けんのじゃ」

もう他人の領土に脚踏み入れまくる展開になる。
手元の騎士をカードアクションに従って置くには、王の隣接ルールが聞くが、1のアクションにある移動させたりするのはそんなんお構いなしなので、わしの領土にもたくさんの外国客が訪れる。

お・も・て・な・し

ふざけんなよ。

最初の決算で、塔に放り込んだ勢力で、自分の任地に向かわせてトップを取った。


とりあえず、任地を抑えておく。

4ターン目、とうとう拒否権がでた。

そーじろ「にんまり」

コタ「13」

コタが取りに来た。流石に賢い。

コタ「え、でも、これって同じカード複数あるの?」

わし「ある。拒否権は同じ2のアクションカードにもう1枚ある。1枚しかないカードもあるけど、複数あるのもあって、例えば2のカードは相手にストックに戻させたり、3のカードは得点計算させたりと、それぞれに特徴があんねや」

コタ「なるほど」

そこからコタの拒否権に触れないようにアクションをおこす。

コタ「これ、行使しなくても、持ってるだけで強いよね」

その通り。持ってるだけで抑止力になる。

次のターンの最後にしっかりと拒否して十分に活用しやがった。

最初に塔の力を知ったコタは、これ以降、塔にコマを入れまくる。

そーじろも負けじと入れまくる。

おいおいおい。それは入れすぎやで。



塔ブームの到来。でもこれは序章だった。

mia「これ、向こうへいってよ。邪魔」

わしが最多のmia任地のコマをわしの土地へ放り出す。

おかげでNeukastilienは大量にわしのコマだらけに。でもそのたびに

わし「じゃあ、ここに配置する」

miaの土地でまた最多を取る。

mia、放り出す。

わし、送り込む。

mia「まじで、ムカつくわ」

コタはわしの支配を諦めて、自ら任地移動でもっと肥沃なGranadaへ引っ越す。


Granadaは、前回と同じく激戦地となった。わしが自分の領土を固めるためにキングを置いたからだ。
自然と得点が2番目に高く、置きやすいGranadaへ集中する。

そして2枚目の拒否権はそーじろが全力で取り、普段から恨みを持つコタへ即座に拒否権発動。

コタ「え、まじで! めっちゃムカつくそーじろ。覚えとけ」

わし「コタ、べべやからもうちょい持っといた方がいいんとちゃう?」

そーじろ「やる」

人に恨みを買わない方がいいという見本ですな。

基本的にわしの作戦は、手元の騎士コマを増やし、それをボード上になるべく早く展開する。この作戦の怖いところは手元の騎士をストックに戻すというアクションカードがあることで、これをやられると結構詰むのだが、今回はそのカードがでたときは、手元のコマが少なくてダメージはあんまりなかったのだ。

そのせいで、わしのストックは枯渇した。手元にもない。
つまり、大量の騎士がスペインに溢れてた。これは強い。ちなみにこうなった場合、手元に騎士を寄せる時、ボード上のコマを取って手元に持ってきても良い。

問題は自分の任地にコマが集まりすぎてるところ。確かに抑止力にはなるが、この時代のドイツゲームで勝つにはいっちょかみや、1個差で勝つのが一番効率が良いのだ。

ただ、コタとそーじろの大量の塔へ放り込んだ騎士が怖くて、自分でキングを呼び寄せて不可侵とした。


この量。入れすぎやろ。確かに怖いけど、駒が勿体ない。

最終ラウンド、コタはわしの土地へ攻めるために5の王の移動アクションを使う。

そして、王を移動させて騎士を送り込む準備をする。

が、

わし「わし、4のカードでキング動かすわ」

タイミングよく4で唯一の王を動かすアクションが出てたので、再び自分の土地を守りに動かす。

コタ「くっそー」

最終決算で、わしがぶっちぎり、そーじろが2位、miaとコタは1点差でmiaの勝ちでした。

所要時間90分


最終。わしがぶっちぎった。自分の得点力の高い領土にmiaがわしの駒をガンガンと追放してきたのでキングを使い守りきったのと、駒を数多くだせたのが勝因。

そーじろのコメント

拒否権強っ!

コタのコメント

最近のゲームはルール聞いてて全然分からないまま始めることが多かったけど、これはすぐに理解できた。分かりやすい。そーじろには復讐する、絶対。

miaのコメント

コタに勝てて良かった。でもこの時代のゲームってルールがすっきり入るよね。

ソマーリオ

いやあ、素晴らしいな。もうそれ以外の言葉がない。評価も当時のレビューではなかったにしとく。
アクションは基本的に強く、アクションによって場をぐちゃぐちゃにするかと思えば、きちんとそれをパワーカードによってコントロールできる場合もある。
相手の思惑と思惑が塔の騎士によって、直接、読み合いもありこれが非常に熱い。

塔が強すぎるかといえばそうでもなく、程よいバランスの上で成り立ってる。
ただ塔に入れとくとお楽しみが増えるということ。

運と実力が程よくミックスされ、それに他プレイヤーとの濃密な絡みが加わって、最高の陣取りゲームになってる。
ルールは全員が話すように、すっきりとしてて非常に分かりやすい。ルールは簡単、でも作戦については考える必要があるというのが昔のドイツゲームだったはずだ。まさにその通り。

今回は4人プレイをしたが、すべてのアクションカードを選ぶ5人プレイはもっとカオス状態となり、深い洞察力が必要となるだろう。

冒頭に書いたように日本語版がリメイク発売されてるので、やったことのない人は絶対にやって欲しい。これぞ、ドイツゲームの真髄とも言えるゲームだ。

当時としては非常に複雑で90分でも長いと考えたHans社はターンをいくつかスキップする短縮ルールまで用意しているが、今のゲームから考えると、中量級のゲームである。
当時はカタンと並んで評されてたが、前回のレビューにも書いてる通り、わしはカタンよりもエルグランデの方が面白いと思ってた。それを再認識した。

拡張セットも持っているので、もう1回くらいやってから、拡張セットをレビューしようと思う。王と参謀に関しては、運要素を減らしており、アクションカードとパワーカードが一体化となり準備段階で選ぶので、どういったアクションが効果的かを知っておく必要があるからだ。

そういった意味ではもう一つの拡張、異端審問官と植民地の方がそのままできるかも知れない。当時はひたすら新しいゲームを追ってたので、拡張までやる暇がなかったが、これからは好きなゲームをじっくりと楽しむ方向に進みたいと思ってる。

gioco del mondo