Wolfgang Kramer
&
Markus Lubke

HABA

2〜4人用
10分

星降る金貨 グリム童話『星の銀貨』より

星の銀貨
DIE STERNTALER
グリム兄弟 Bruder Grimm
楠山正雄訳 青空文庫

 むかし、むかし、小さい女の子がありました。この子には、おとうさんもおかあさんもありませんでした。たいへんびんぼうでしたから、しまいには、もう住むにもへやはないし、もうねるにも寝床(ねどこ)がないようになって、とうとうおしまいには、からだにつけたもののほかは、手にもったパンひとかけきりで、それもなさけぶかい人がめぐんでくれたものでした。
 でも、この子は、心のすなおな、信心のあつい子でありました。それでも、こんなにして世の中からまるで見すてられてしまっているので、この子は、やさしい神さまのお力にだけすがって、ひとりぼっち、野原の上をあるいて行きました。すると、そこへ、びんぼうらしい男が出て来て、
「ねえ、なにかたべるものをおくれ。おなかがすいてたまらないよ。」と、いいました。
 女の子は、もっていたパンひとかけのこらず、その男にやってしまいました。そして、
「どうぞ神さまのおめぐみのありますように。」と、いのってやって、またあるきだしました。すると、こんどは、こどもがひとり泣きながらやって来て、
「あたい、あたまがさむくて、こおりそうなの。なにかかぶるものちょうだい。」と、いいました。
 そこで、女の子は、かぶっていたずきんをぬいで、子どもにやりました。
 それから、女の子がまたすこし行くと、こんど出て来たこどもは、着物一枚着ずにふるえていました。そこで、じぶんの上着(うわぎ)をぬいで着せてやりました。それからまたすこし行くと、こんど出てきたこどもは、スカートがほしいというので、女の子はそれもぬいで、やりました。
 そのうち、女の子はある森にたどり着(つ)きました。もうくらくなっていましたが、また、もうひとりこどもが出て来て、肌着(はだぎ)をねだりました。あくまで心のすなおな女の子は、(もうまっくらになっているからだれにもみられやしないでしょう。いいわ、肌着もぬいであげることにしましょう。)と、おもって、とうとう肌着までぬいで、やってしまいました。
 さて、それまでしてやって、それこそ、ないといって、きれいさっぱりなくなってしまったとき、たちまち、たかい空の上から、お星さまがばらばらおちて来ました。しかも、それがまったくの、ちかちかと白銀色(はくぎんいろ)をした、ターレル銀貨でありました。そのうえ、ついいましがた、肌着をぬいでやってしまったばかりなのに、女の子は、いつのまにか新しい肌着をきていて、しかもそれは、この上なくしなやかな麻(あさ)の肌着でありました。
 女の子は、銀貨をひろいあつめて、それで一しょうゆたかにくらしました。

プレイ感

あまりにも可愛らしいので買うてみた。クラマーが子供用とはちと珍しい。初登場miaと二人プレイにて。

ルールを簡単に説明すると、さいころの出目色の一番近いタイルに移動する。そこに天空からの門がかかっていれば、金貨をまるまる少女の前に落とし、それを袋に入れる。これが一番多い人が勝ち。上級ルールとして、銀貨もあるのでこれも採用してゲーム開始。

さいころには門のマークが2面あり、これをあわせると基本的に半分の確率で門に達することができる。思ったよりゲーム展開は速く、次々に星がころころと落ちてくる。


フラッシュ焚き忘れのためピンぼけ多し。。。こんな風に門の上に金貨を流し込み、その下にきたらたたき落とすのーみ!

「わーい、落ちてきた」

それをいそいそと袋に入れていくmia。

あさましい。

ああ、なんというあさましい光景だろう。


ごそごそと落ちる金貨を集めては、あさましい光景をさらすmia。それにしても藍色に輝く袋は素晴らしい。

近所で、餅を配るからといっては、地面に落ちたものを拾い集め、豆をまくからといっては腰をかがめて拾い集めるおばちゃんの姿そのものだ。

「わーい、いっぱい落ちてる」

いや、むしろ、食い物に困って群がっている乞○といっても過言じゃない。

人のあさましい姿を見事にゲームにしている。それがテーマなのか!

それでも、勝ったのは俺だった。奴はただあさましいところだけを見せただけだ。

所要時間10分


ぶっちぎりの勝利。

mia「もっかい!」

つうわけで、再び、やってみることに。

ゲーム自体はただのさいころ振りなだけに、盛り上がる場所というのを作らねばならない。

そこでわしは、罠というか、お宝を仕掛けておいた。手番の最後に金貨か銀貨をひとつ天空の門に置くのだが、これを集中して集めまくった。同じ種類のコインを丸々落としてもらえるので、金貨は金貨ゾーンに、銀貨は銀貨ゾーンに仕立て上げる。


まっさりと大量に仕掛けた金貨。まさに一攫千金。そこはグリム童話とはまったくかけ離れた大人の世界。

mia「えええー。そんなことして大丈夫?」

「うむ。ほら、わしの前に落ちてきた」

mia「くやしー」


ひゃっほー!

次から次へと、仕掛けてはわしの前にたくさんの金貨が落ちてくる。かたやmiaの前にはひとつころっと落ちてくるだけ。

もちろん、勝ったのは俺だ。

時折、わしの袋を取り上げてどれくらい入ってるのかを確認するところや、わしが落としたたくさんの金貨をこっそりと拾おうとする様がとてもあさましい。

あまりにも可哀想なので、ひとつくらい知らんぷりをしてあげようかという気にすらなってくる。

mia「もういっかい!」

そこから延々と5回連続やらされて、最後にようやく同点。

ふう、心の汚い人間には落ちてこんねんて。

miaのコメント

戦略とかならともかく、ただのさいころだけでこんなに負けるなんて悔しすぎる! でも落ちてくるのが、凄く可愛くていいなあ。

ソマーリオ

何か微妙に戦略があるのかと思ったけど、特になさそう。二人プレイやと、交互に落ちてくる可能性が高いのでコインを配置していくのみで、あとはさいころ勝負。子供用ならこれで十分なんやろうけど、もう一捻り欲しかったという感じ。銀貨を使う上級ルールでも、特に戦略の幅に違いは感じられなかった。

コンポーネントはさすがに素晴らしいのだが、いくつか不満もある。まず、天空の門のストッパーが高すぎて、コインを押し込んでも、それを乗り越えることができずに横からぽろりと落ちてしまう。溝の幅が広いのも原因になってるかも。
これはゲームのルールに関係することかも知れないが、色ではなくタイルをマークにして、夜光塗料を塗ってくれれば、もっと幻想的なゲームになったかと思うととても残念。まさに星降る金貨となったと思う。

それでも青色に光る袋に金色ロープの口紐は、それを使って空から落ちてくる金貨を集めてるだけで小さい子供は、間違いなく大喜びするだろう。miaは大人やけど(笑)

ゲームとしてはバースのお星様キラキラとまったく変わらないが、あちらが夜光塗料を使ったのに対して、こちらは暗闇に頼らず立体的なコンポーネントとしっかりとしたアイテムを使って子供を楽しませようとしたゲームといえる。

gioco del mondo