2007年ボードゲーム総括

2007年を簡単に振り返ってみる。
今年後半はバタバタとして、最も重要なゲーム友達のTAMと離れてしまいあまりゲームを出来なかったが、メビウスママのブログと最近、古本で手に入れた安田均のボードゲーム大好き! に喚起され、ジョーコデルモンド的な総括をしてみようと思う。

今年は爆発的なおもろさを誇るゲームは少なかったが、佳作という事であれば目白押しといってもいいぐらい揃っていたように思う。ややもすれば、そんなゲームあったっけ?? となりそうだが、ここ1,2年は誰もが「おもろかったなあ」といえるゲームだ。

ドイツゲーム大賞のノミネート作品からみると、ネットで人気を博したイスファハンを筆頭に、地味な印象を持つが短時間で楽しめる本格的なヴァイキング、遺跡発掘と男のロマンをくすぐるテーベの東など、そのどれもが佳作という名にふさわしいゲーム本来の楽しさを兼ね備えているといえる。アルカディアの建設はドーンが嫌いな為、未プレイだが、ネットでの評判は上々のようだ。唯一、バグダッドの盗賊の評判だけがすこぶる悪い。

こういった並み居る強豪を抑え、ドイツゲーム大賞に輝いたのは、ズーロレット。システム先行型ドライのシャハトが、クニッツィアよりも早くドイツゲーム大賞ウイナーになってしまった。またABACUSという小さいメーカーが初受賞した。クニッツィアがドイツゲーム大賞を獲る事はもう考えられなくなっているが、それにしてもシャハトが獲るとは、と驚いた。

ズーロレットはご存じの通り、シャハトを一躍有名にしたコロレットのシステムをメインに据えて、動物園という肉付けを行っているが、どうにもゲームがぼやけてしまった感がある。コロレットはカツカツなジレンマを誘うように、不要なものを一切取り除いた快作だったが、ズーロレットのテーマ的要素で、コロレットの一番面白かったジレンマ要素をスポイルしてしまったように感じる。このシステムはカツカツだからこそ活きてくるシステムのように思うのだ。他にいいのがなければしょうがないが、前述の通り今年は佳作が目白押しでどれが大賞になってもおかしくはなかった。審査員も悩んだ事だろう。

今年のノミネート作は、去年のノミネート作に比べて明らかにレベルは高い。去年の候補作は「ん??」みたいなのが多かった。ドイツ人からすれば、自国をテーマにした郵便馬車が選ばれて当然だっただろうが、ここ日本ではゲーマーズゲームである郵便馬車が選ばれるとは思いもよらなかったので、またまた悩んだ。個人的にこの年のナンバー1はチケットトゥライド〜メルクリンを除いてハチエンダだと思うが、推薦リストにすら入らなかった。実のところ毎年こういったコラムをやりたいのだが、てんでノミネートされたものをやったことがなくて断念してたのだ。去年などは、ノミネート作でやったのは郵便馬車ただ一つというお粗末ぶりだから書こうにも書けない。今年はそう言った意味で、大阪を離れたもののやってるものがノミネートされた年だった。

去年の事はいい。その気の迷いにふと顔をあげると、どでかいパンダの箱に目がいったのかも知れない。かくしてズーロレットが大賞に輝いた。

ドイツゲーム賞には、かねてからドイツゲーム大賞はコレと評判になった大聖堂が1位となった。個人的にはリーネックデザインがあまり合わないのか、それほど面白くは感じなかったが、ゲーマーには大人気だったようだ。小説をテーマにしたゲームが1位に輝くとは、簡単に原作自体の人気にあやかって内容はヘボヘボな日本のメーカーには、TVゲーム業界問わず爪のあかを煎じて飲ませたい気分になる。マニア受けしたイスファハンを抑えて1位になったのは凄い。こちらもテーマの勝利といったところか。あと、忘れてはいけないのがアレアブランド復活の狼煙をあげたノートルダムローマ革命ラムと名誉を作ったこっちの作者のフェルドは前にもどこかで書いた記憶があるがこっちのが明らかに好みである。いつかこの人は大賞ウイナーになると思う。ただ大聖堂は、各国の賞を総なめにしているので、やはり良いゲームなのだろう。

最後に子供ゲームを見てみると、今年はたくさんのバラエティに富んだゲームが出た。紐を操ってお城を皆で協力して建てる騎士たちの塔、お絵かきを当てる言うとおり描いて!はまさに子供達とのコミュニケーションにはうってつけだろう。前者は、モノを作る時の協力の大切さ、後者は想像力を養う。その中で子供ゲーム大賞になったのはベッポ。まあ、これぞ仕掛け中の仕掛けとほとほと感心した。磁石はくっつけるものだから、駒をはじけ飛ばすなんてアイデアはちょっと思いつかない。他の2つは相手が悪かった。そうでなければ、どれが大賞に輝いてもおかしくない。いずれこれらのシステムを使った大賞作品が出てくるだろう。去年今年と記憶力に寄らないゲームが多くて大人でも十分に楽しめるものが増えてきたのは嬉しい限りだ。

2007年の総括としてテーマの力がたぶんに強かったように思う。
来年はどういった年になるのか。それでは皆さん、良いお年をお過ごしください。

gioco del mondo