Michael Schacht

ABACUS

2〜5人
60分

ズーロレット

動物園の経営で一番大変な事って解る?
それはね、たくさんの動物たちが一斉にやってきて、きちんと君たちに見られるように手配する事なんだ。
今の動物以外にも、たくさんの動物が、飼育場所にいるんだよ。
もう少し待っててごらん。ほら、あそこの檻にたくさんのパンダが見られるようになるよ。





プレイ感

イスファハンヴァイキングテーベの東と並み居る強豪を抑え、2007年度の大賞に輝いたのはこのズーロレット。ABACUSも初受賞なら、ポストクニッツィアと呼ばれたシャハトクニッツィアをさしおいて大賞ウイナーになったってのが大ニュースである。年の後半に出たズーロレットは日本では情報がまったく伝わらなかったので、どんなゲーム?? と誰もが思った。とりあえず大賞マークが付いてから買うた。早めにやりたかったが、初心者を鍛える事から始めなければならなかった。見計らったところでmiaとその友人のコツミとの3人プレイにて。


ルールはこの作者を一躍有名にしたコロレットとよく似ている。タイトルどころか、よく見りゃロゴにカメレオンまでいてやがる。コロレットとの大きな違いはお金という概念があり、これを使って不要タイルを廃棄したり、他のプレイヤーから購入したり出来るってところ。また得点計算も違っており、コロレットのシステムを使った別のゲームと考えて差し支えない。


トラックは木製。それぞれ個人ボードを持ち、そこに動物を置いていくという形をとる。コロレットよりもテーマ性は優れている。

相手に出来る限りジレンマを起こさせるようにトラックに置いていけばいいのだが、初心者に毛の生えたようなmiaと、ほぼ初心者といって差し支えないコツミでは、なかなかこれを理解出来ない。むしろコロレットの方が得点計算がシンプルで、初心者にも解りやすかったように思う。


最初15枚のタイルを抜いて山にしておく。こいつが1枚でも引かれるとラストラウンドだ。このように赤のチップを置いて、区別しておく。ちなみに最初やったときは、残りのタイルを袋に入れて引いていたが、そうすると残り枚数が解りにくくなり、最終ラウンドがいきなり始まってしまうケースもあるので、このように山積みにしておくべきだ。

しかし、ゲームも中盤にさしかかった頃、わしの教えの甲斐もあって勝負所が解るようになってきた二人。


得点は、各檻の下に書いてある5/4という奴で、タイル満員で左側、1つ空きで右の得点を貰う。檻のサイズは4,5,6とサイズが違うのでどこに配置するかは重要だ。今回、引いてきたのは売店。売店は、各檻に配置され空きマスが2つ以上あった檻の動物タイル1枚1点にする貴重なタイルで、さらにそれ自身も1種類につき2点ある。これをどこのトラックに配置するかで他のプレイヤーにジレンマを与えるというところはコロレットで完成されたシステムだ。

mia「お金大事だよね」

確かに、お金があれば、相手の飼育小屋にあるタイルを購入したり、動物の配置換え、さらに動物園の拡張まで出来るのだ。お金は最初は2銀貨しかないので、タイルからか、檻を満員にした時に貰える追加銀貨でまかなっていかなければならない。


左下にあるのが飼育小屋で、種類を混在しておけるスペース。最終的にここにあると1種類につき2ポイントマイナスされるので、お金を使って廃棄するなり、買うて貰うなりしないといけない。動物には♂、♀マークが付いてるのがおり、こいつらがペアになると子供を産むのだ。

コツミ「わーい! カンガルーの子供が産まれた!」


雄と雌が同じ檻になると、丸い子供が産まれる。これは他のタイルと同じように扱う。

わしは、ラクダの数が増えてきたので、そろそろ1枚しかなく役に立たない象との一気交換を企てる。1銀貨で1種類のタイル同士を丸ごと交換出来るのだが、移動ではないのでタイルが何もない場所とは交換出来ない。


場の流れで、パンダがやたらと増えてしまったので、ラクダ計画は一旦保留。パンダに仔パンダが生まれた。はっきりいってズーロレットの箱絵にもなっているように、パンダを集めずして何を集めるって感じだ。売店はいくつかの種類があり、同じものを取っても得点にならないので、なるべく違う種類のを集めよう。

結局、ポイントとなった売店を全種類集めたわしが、1種類につき2点という高得点をたたき出し、勝利。

所要時間60分


ここで拡張工事をして、ラクダの檻を作った。コロレットと違って、4種類以上でもプラスにする事が出来るのだ。また檻をいっぱいにすると銀貨マーク分のお金が手に入る。左上のカンガルーの檻なら2銀貨貰えるので、このゾーンは序盤から厚めに。


さらに最終局面で、配置転換を行い出来る限り得点を高いように配置し直す。得点はたとえばパンダの檻なら満員で10点なのだが、今回は1つ空きがあるので6点獲得。もし2つ以上空きがあったなら、その檻に売店を配置している場合に限り、1枚1点貰える。


他の二人の最終局面。右ボードのmiaは飼育小屋に3匹しかいないが、3種類だったのが響いた。1種類につきマイナス2点も食らうのででかい。さらに売店は1種類ごとに2点はいるのだが、miaは4枚あるも2種類しかないので4点しか入らなかった。

mia「もっかいやろ」

というわけで、ゲームの勘所が解ったのか、二回目に突入。

コツミ「じゃあ、あきおさんの産まれたシマウマの仔どもを買います」

まあ、なんだ。別にいいけどねw

miaのコメント

確かに面白いけど、ゲーム大賞じゃないよね。またやりたいとは思わないし。でも子供は可愛かった。

コツミのコメント

面白かった。子供が可愛い。

ソマーリオ

うーん。なんか凄く切れが悪いってのが第一印象。丁度、先週にゲームをやったことのない奴とコロレットをやって、その恐るべき切れ味に感心したところだけに、ズーロレットのだら〜とした印象はとても悪く思える。

檻に入る数が決まっており、同じ動物でもそれ以上過ぎてしまうと、マイナスになるってのがどうにもこうにも。また得点計算がややこしく煩雑に思える。コロレットという優れたゲームがあったから特にそう思ってしまうのだろう。しかしプレイ感といえば、まったく違ったものに感じた。無駄となった動物を仕入れてしまう事による経営の失敗というイメージなど、テーマは上手く合致しており、コロレットとは別物といっても差し支えないレベルに仕上がっている。コロレットのように指数関数的に得点は伸びないし、先に書いたように同じ動物をひたすら集めればいいって訳でもない。そういう事を考慮に入れたとしても、大賞レベルかと問われれば、箱絵のパンダが大賞レベルとしか言いようがないのだ。パンダで大賞を獲ったと言われてもしょうがない。

最近ドイツゲーム大賞はわしに合わないんが多いなあとネットで他の評判を見てみた。そうすると5人プレイでないと面白くないみたいな事が書かれているじゃないか! Geekをみても7.2と評価は高く、これはひょっとして3人でやったから、だるく感じたのかも知れんと思い出してきた。そういえば3人でやると、動物が簡単に集まった。他の人とバッティングしてようが、普通に檻いっぱいに動物を取る事はそれほど難しくない。2回目などは、拡張マップを含めて、全ての動物を満タンにしたのだから。売店ボーナスなどまったく関係なかった。ここにジレンマの薄さが生まれたのかも知れない。ジレンマのないシャハトなんて、特殊カードのないフェドゥッティと同じだ! というわけで、非常にネガティブなレビューだったが、後日(といっても何時になるか解らないが)5人でやったときに、評価がごろっと変わる可能性があるので、今回は暫定レビューとしておく。ただ初心者でも、2回目にはある程度勘所が解るというゲーム大賞の最低ラインはクリアしているようだ。

ドイツゲームは、貴族の務めのように人数によって大幅に評価が変わる奴があるので、これでアウトとは断言できない。人数が少ないと駄作であったとしても、多いときにそれに勝る面白さがあれば、それは買うに値するゲームとなる。まあ、いっぱい持ってるから言える台詞なのかも知れんけどさ。

という訳で、5人プレイをやってみた。

まあ、確かに絡みというか、動物の数が増えて、不要な動物がやたらめったらくるようになった。わしゃ基本的に3枚で取るんで、もう、ありとあらゆる動物が来たね! そしてまた売店がこんのなんのって。檻いっぱいにするのは結構難しいのでかなり売店が重要となってくる。拡張檻だが、joeyamaさんは最初にやってたが、かなり閑散とした動物園になってたので、作るかどうかは結構微妙でバランスは上手く出来てるように思う。

でも、mia曰く「3人でも5人でもあんまり違わなくない?」との事。

かなり動物の数が増えるので、自分が欲しい動物をトラックに集めやすくなった。その分、コロレットで培われたシステムが益々、濃度が薄まり、まったく違ったゲームとなっているように思う。
3人よりは、動物がバラエティに富むという事、お金は常にカツカツ状態という事で、評価は少しあがったが、大きく雰囲気が変わったという印象は受けなかった。というわけで評価はこのまま。システム先行型であまり動物園を作るというイメージがないのが、残念。個人的には、楽しい動物園の方がよりテーマにマッチしていて成功しているように思う。

拡張について

ズーロレットはダウンロード出来る無料の拡張がやたらと多い。まったく試していないが、ちょっぴり彩りを添えるような拡張ばかりである。入手と日本語訳はこちらでどうぞ。
その中で、「お?」と思わせるのがひとつあった。
まだ訳されてないようなので、簡単なので訳してみた。Geekの情報ではドーン作と書いてあるが、ほんまかいな〜。わしの嫌いなルイ14世のドーン作ねw

で、拡張についてはどんなん入れたらええのか解らんという横着者のためにArea51さんから感想を頂きました。追加する参考にどうぞ。

お言葉に甘えまして、ズーロレット擁護派の私がレビューとまではいきませんが手短に感想を(^-^)

「シロクマ」
これはマイナス点が半分になるものですが、あまり効果はないように思います。

「工事中」
他のプレイヤーの動物園に配置し邪魔をするタイルです。これはいけません。ズーロレットは各自が得点を重ねていく明るいゲームですが、その本質が損なわれ険悪な雰囲気になります。一番良くないタイルです。

「新建物」
レストランはまず使わないでしょう。コインに不自由するゲームでこれを買ってもあまり得になりません。休憩所はゲーム終盤でコインがあれば非常に有効です。お土産店は赤ちゃんが生まれると無償で手に入るので是非欲しいタイルです。

「ふれあい広場」
我が家では非常に人気のあるタイルです。コインの枯渇を軽減できます。私はこれを使うのが下手なんです。

「3つの檻」
何と言っても使い勝手が良く、しかも強力なのはこれ!このタイルによる得点の差で勝ち負けが決まるなんてこともしばしばあります。

「任務」(下記参照)
ウチの子はこのカードにとらわれ過ぎてプラスポイントになる動物しか集めないヤツも居ます(^o^)うーん、どうでしょう?確かに強力なカードですが、これを入れるとミッション達成者が有利になり、幾分違ったゲームになってしまうのです。私はこれは入れない方が好きです。

ズーロレット拡張 任務

ゲームの最初に任務カード(先に印刷しておいてください)を1枚ずつ受け取ります。中身は自分だけみて伏せておきます。
ゲームの終了時に、以下のボーナスがあります。

+3 この動物を檻一杯にした場合、追加で3ポイント貰えます。
+2 この動物を檻一杯にした場合、追加で2ポイント貰えます。
0  この動物を飼育小屋に置いてたとしてもマイナスにはなりません。

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