Klaus Teuber

FX Schmid
alea

3〜5(6)人
60分

貴族の務め

紳士、淑女の皆さん、ようこそわたしの館へおいでくださいました。
たいしたコレクションはございませんが、どうぞごゆるりとご観覧くださいませ。
あとで、一緒にお茶でもしながら、数々のアンティークについて語らいましょう。
あ、そうそう、噂では当館に泥棒なんて無粋な輩が入ってると聞きますので、探偵をお呼びしております。皆様にはご迷惑をおかけすることをあしからずご了承くださいませ。

プレイ感

最も早くドイツゲームを買うたひとつで、なんどかやったがまったくおもろくない。ルールの間違いかと思うほど、へんてこな感じがして、なんでこれがゲーム大賞になっとんねんと、不思議に思っていたが、5人プレイでないとまったく面白さが解らないらしいというのをネットで読んだ。今回、正月に5人集まったのを機会にやってみる事にした。TAM夫妻、たかだ、たっかんと。


このゲームは2段階に分かれている。アンティークショップか、お城かをまず同時に公表する。その場所によって、次の選択肢が限られ、それもまた同時に公開するのだ。

アンティークショップでは、小切手によってものを買うか、今使った小切手を泥棒で盗むかをする。

お城では、自分のコレクションを公開するか、コレクションを盗む泥棒を使うか、その泥棒を捕まえる探偵を使うかを行う。ゲームの肝はこの公開でこれこそがゲームのタイトルになっている貴族の務めなのだ。たとえ泥棒に盗まれようと自分のアンティークをみせびらかさなくてはならない。公開することで駒を進ませる事が出来る。凝った方式だが、ゴールすれば勝ちの双六方式である。


2つのアンティークショップがあり、どちらかを最大の小切手を出した者が買える。真ん中においてる2枚の泥棒は捕まったカード。6人目が捕まると一人出所である。

ゲームを通じて団子状態が続く。たかだは、アンティークショップでコレクションを購入したり、公開したコレクションを盗んだりして、まったく進まないが、おそろしいまでのたかだコレクションを持っている。

アンティークは、ABCDEFと6つに分類されている。公開するときの条件は3枚以上であり、そのどれもが連番によって繋がっている事である。AABBBはオッケーだが、AACでは駄目である。素晴らしいコレクションとは、枚数が多い事であり、同数ならアンティークの最も古いほうを出した方が勝つ。端のカードを使いにくい分、古い年代のが多い。


わしの手札はやたらとDの厚みが大きい。Dはパイプである。絵柄は非常に美しく、いかにもアンティークという感じがする。

やたらめったら集めまくるたかだを尻目に、ちょこちょこと公開して、進めるわし。わし以外は後方で団子状態にしてやってくる。


先行をキープするわしの青コマ。アンティークショップでは映画関係のFが2つ並んでいる。Dが多いわしには願ったりかなったりだが、小切手で1番以外は何も買えないのだ。

同時にたかだと公開したときは、あまりの枚数に驚いた。わしの7枚に対して、9枚なんてとんでもない枚数のコレクションを見せびらかす。こういうのって性格でるのう。

公開した時、1位と2位のプレイヤーのみが進むことが出来る。進める数は、トッププレイヤーのマス目に書かれている数、4/2などである。この場合、1位が4、2位が2マスである。


Aのお面は、端で使いにくいがやたらと年代が古いのが多い。ここで泥棒が捕まれば、ところてん式に一番端の赤が出所となるわけだ。

こうやって公開して進めるのだが、恐ろしいのは泥棒の存在。誰かが公開を選んでいる時に泥棒カードを出すと、みせびらかしたコレクションから1枚盗む事が出来るのだ。まさに貴族の裏側をみた感じである。もし同時に公開したプレイヤーが複数いれば、そのそれぞれから1枚ずつ奪え、逆に泥棒が複数いれば、全員が1枚ずつ奪えるという鬼ルールである。

この鬼ルールのおかげで、複数がお城を選ぶとびびって公開に踏み切る事が出来ないのだ。探偵は、誰かが泥棒を出した時に出せば、自分の順位分を進める事が出来る。捕まった泥棒は、監獄に送られるが、次々に泥棒が捕まれば押し出されるようにして出所する。泥棒カードは各自2枚持っているので、なんせ盗め、というゲームっぽい。

鬼ルールでたっかんも順調にコレクションを増やすが、連番が多く、間を引き抜かれてしまい、大きくコレクション枚数後退。


ここで一気にゴールを決めたいところだが、カードパワーが足りなくて白コマたかだに差されてしまうのは見え見え。カードを集めるしか方法なし。

ゲーム終盤、誰もがゴール出来る位置についた。リードしているのは後半、圧倒的コレクション枚数で一気にのびてきたたかだである。

むう、最後には全員公開して8マス4マス進めるので、これでは勝ち目がない。なんとかあいつのコレクションを盗むか、しなければ。ここまで来ると誰もアンティークショップには向かわないので、それさえ選べばほぼ確実に買う事が出来る。徐々にコレクションを増やすオレ。しかしそれでも足りない。また大きく後退したたっかんだが、泥棒で一気に2枚ゲットするなどして、再びコレクションを充実させてきた。


ここで抜かれてしまっては勝ち目なし。紫のたっかんが伸びてきた。

最後は、全員がお城を選ぶも、皆、びびって公開せず。間隙をついて、たっかんだけが公開し、そのままゴールへ。ここから、全員がコレクションを公開して、最後の調整を行う。

たかだにコレクション1枚及ばず、8マス進めてたかだぶっちぎり。わしは勝負をかけて負けたので、3位。コレクションはぼろぼろながらも上手く立ち回ったたっかんが2位である。

所要時間60分


結局、勝負を賭けたが、1枚のカードパワーの無さに負けを喫してしまった。

たかだのコメント

最後、あきおさんが、泥棒で狙ってくるのが解ってたので、上手くかわしました。

ソマーリオ

なるほど。今までの評価を変えねばならん。バッティングが命のゲームなので、人数が少ないとどうしようもない。しかも2段階もバッティングがある。5人どころか6人くらいでやるともっとおもろい筈だ。現にaleaの新版は6人までプレイ可能になっている。

誰かが泥棒を選んだ時に公開するという時の動作がルール間違いちゃうかというところもあるが、5人でやるとそんなに不備に感じられなくなる。例えば泥棒がひとりと公開が3人選んだとする。次のステップで公開を選んだプレイヤーは何枚コレクションを出すか決める(この場合泥棒がいるので、コレクションが奪われる為、何枚出すかは重要になってくる)ので、相手の手の動きで解ってしまうのだ。ルール間違いかと思ってしまう。

また泥棒が強くて、引き抜かれた時のショックは甚大である。ゲーム中通じて、買えるコレクションは4枚(小切手が4枚しかない。アンティークショップで泥棒で盗む事ができれば増えるが)、最初の手札は4枚という少なさを考えるとその痛さが解るだろう。それを抜きにしても泥棒された時の気分が最悪なのだ。また探偵は泥棒を捕まえる事が出来るが、その時も泥棒行為自体は成功するという泥棒まんせーなところもある。

アンティークカードは非常に美しく、木製の駒、各マスに描かれたお城の絵などコンポーネントにはゲーム名に恥じないほど高級感が溢れているが、こういったアンティークを活かすシステムとしては不満もある。アンティーク品を持っている喜びをあまり味わえないのだ。俗っぽい話だが、それはアンティーク品に価格というのが設定されていないからだろう。例えば、昔、エポックから出ていた大競り市ゲームは同じようなテーマだが、価格が付くので凄く楽しかった記憶がある。

※大競り市ゲームは、アメリカのマスターピースというゲームを真似しているらしい。ただアンティーク品は清水の次郎長のキセルや加藤清正の槍など日本テイストのものも入っておりまったく違うとの事。

しかし、こういった欠点を補うほど、読み合いは面白い。上手く一人でお城を選んだ時など、最高であるし、誰かが泥棒を出すと思って、周りは全員探偵、自分だけ公開を選んだ時も至福である。

5人プレイなら、それ以外なら並以下という評価だ。とてつもなくつまらなくなる。きっと審査員は5人でやったのだろう。だからゲーム大賞になったと思う。ゲーム賞とダブルクラウンに輝いてるのも納得出来る。5人もしくは6人プレイ専門のゲームである。結構古くからあるゲームなので、クズだと思い押入に眠っている人は多いと思う。そういう人は是非5人でやってみて欲しい。非常に満足のいくプレイになると思う。事実わしも今の今までタンスの肥やしだった。

gioco del mondo