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Reiner Knizia
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KOSMOS
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2〜4人
20分
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ケルト
駿河屋で購入
かつてローマに追われた民族はドーバー海峡を渡り、新天地イングランドにたどり着いた。
そこに宗教色の強い独自巨石文化を築き上げた。
かれらをケルトと呼ぶ。
プレイ感
とうとう無冠の帝王と言われたクニッツィアが本作でドイツゲーム大賞を受賞した。ノミネートされた段階からノーマーク。いつもの頭数合わせと誰もが思った。開けてびっくり、クニッツィアにしては弱いと思われていたケルトがあっさり大賞受賞。
そればかりか受賞した後でも、やれ今までの苦労の功労賞だの、リメイク品だの、値段が高いだの、何もケルトでとらんでも他に受賞に相応しいゲームは過去にあっただの、と散々の言われようだ。誰やっつうの、そんな事いうのは! ってわしか。すまん。
それを裏付けるように、日本でようやくプレイされ始めた評判も芳しくない。そのデザインセンスはわしの天敵ともいうべき、ロストシティそのものだという。こりゃ、わしが買うんは、価格が1500円に値崩れした時やなと言われ、アブストラクトチックで魅力のなさそうなコンポーネントに2年後にやろうと思ってた。
ムゲンが、メビウス頒布会で手にいれてたので、ちょっくら持ってきてくれやとお盆に持ってきてもらった。またプレイヤー人数が4人まで非常に狭くて出番もないように思われたが、たまたまTAM夫妻が赤ちゃんにご飯を食べさせるという事で帳尻合わせ的にプレイする事になった。ドイツゲーム大賞の権威もへったくれもないシチュエーションだw
メンバーはムゲン、ケイ、TAM夫妻交互にだが、最初にやったTAMよりも嫁とのプレイにてレビュー。
手札から、カードを自分の場に出すか、全体の場に捨てるかする。それから、山札か全体の場からカード補充する。自分の場に出すには条件があり、数が同じかそれ以上か以下になるように列を作っていく。一度、数が昇順になると、ずっと昇順で、降順だとずっと降順になるように出さねばならない。例えば8、5と出せば次は5以下を出すし、1、1、2とくれば2以上を出せる訳だ。カードは5種類、0から10まで各2枚ずつ入っている。
手札は8枚。大きな数字か小さな数字を持ちたいところ。
5種類の列があり、自分の場にカードを出す毎に1マスずつ進めていく。より大きな数値か、より小さな数値の場だ。各列にはボーナスタイルがランダムに置かれ、これがロストシティとは違うプレイ感をもたらす。数字の描かれているのが点数である。3マス目まではマイナス点である事に注意。また背の高い駒が1つずつあり、これは得点が倍になる。もちろんマイナスも倍になる。
カードを出せば、その種類の自分のマーカーを1つ上にあげる。3段階目まではマイナスでそれ以上だとプラスとなるので、あまり進められそうにない種類は1つも動かさないほうが0点なのでお得だ。なんだか解らない感じでぼーっとしてたので、わしゃ初回プレイ時に5つとも進めてしまい、大幅なマイナスで採集得点がぴったり0点に戻った。4人プレイでは、3カ所くらいを進めていくのが良さそうである。
各マスにはボーナスがあり、最も重要なのは願いの石タイルである。こいつは早い者がちで、最低2個は取らないとマイナスになってしまうのだ。初期段階は低めにセットされたこいつを狙いに皆は駒を進める。
TAMの願いの石作戦。すぐに2つゲット。ピンクは10-9-8とペルフェットな出し方である。
わしの白駒は全て進んでいる。背の高い駒は得点が2倍になるので、どこを進めるかは重要だ。駒は全て木製でクローバーの形になっている。ピンクは10があったばかりに先に出したが、その後1枚も手札にこず。ある程度目星がついてないとこういう事になるので注意が必要である。わしの目玉は緑だ。こいつをガンガン進めていくぜ。
と、思いきや、TAMが5つ目の駒を6以上のところに進め、いきなりゲーム終了。うっそーん! まさかこんなに早く終わるとは……。ここまでの画像が1回目のへっぽこプレイ。
ケイ「もう、まじ、つらっすわ! もう見せれるものなら手札みせたい」
わし「お、ナイスアシスト。じゃ、これ頂き」
むやみやたら進める事は出来ないので、カードを捨てるケイ。しかし、捨て場のカードは、わしが欲しいカードばかりで好アシストばかりとなる。
ロストシティと同じく、自分の要らないカードは、相手が欲しいカードとなる。捨てるのは楽だが、相手に楽をさせてしまうので、出来る限り我慢するのが鉄則だ。
レビューしている2度目の画像。このピンクは当然2倍の駒を進めていくべし!
ケイ「たまには僕にもアシストしてくださいよ」
ムゲン「ほんまですって。あきおさんが、僕の欲しいカードをほかしてくれたら、僕もTAM嫁さんに欲しいカードを出せますし、TAM嫁さんもケイさんに出して、ケイさんもあきおさんに出しますよ。因果応報です」
わし「なるほどなあ。じゃ、これ出すわ。これ欲しいやろ」
ムゲンの列に2が出ており、わしはその1を出す。
ムゲン「どう思います? このプレイ。最低ですよ」
わし「えー、なんで、それ取ったら2、1と出せるやん」
と、こんな感じで、ムゲンの欲しいカードを握りしめるわし。
初プレイの茶色のTAM嫁は既に3つ目を進めてしまっている。わしはピンク一本勝負である。左が苦しんでいるムゲン。しかしむやみやたらデカいボードやな。絵柄は非常に美しいけどね。
わし「じゃ、これは要るやろ」
ムゲンが2、5と出した時に握りしめてた3をようやく捨てるわし。
ムゲン「むっちゃ腹立つわぁ。もうこの人の言うこと聞きません」
わし「じゃ、これはいるでぇ! 4ね」
ムゲン「……無視、無視」
ケイ「またあきおくんにアシストしてしまいます」
わし「お、ラッキー」
満を持して青色を進めるわし。9-8と来てるのであとは楽勝である。ボードの周りは得点で、右下が願いの石の個数による得点である。0個はマイナス4なので、これだけは避けたい。最低2個だ。
そのころ、虎視眈々とプレイを続けるTAM嫁。
TAM嫁「うーん、どうしようかな。4つ目いこかな」
わし「まじ? 4つ使うのは禁断のプレイやで」
TAM嫁「他で挽回してみる」
TAM嫁のカードの引きは相変わらず強く、次々にいい具合にカードを積み重ねていく。
このゲームのポイントは四葉のクローバータイルである。ここにたどり着くと、好きな駒を1段階あげる事が出来る。そこでまたクローバータイルがあれば、さらにあげるという感じに連鎖させる事が出来る。で、これが連続して配置されるケースが多々あり、1つ進めただけで、一気に4つ程あがるパターンがあるのだ。またゲームの終了条件が、7段階目以降に達した駒の総数が5個になった時点であっという間に終わるので、これらをうまく使えばカードのめぐりが悪くても、なんとか戦えるように出来ている。
ムゲン「いいなあ。なんで10とか0とか持ってるんですか」
ケイ「ほんまっすわ。むっちゃ苦しい」
わしは、なんせ2倍となる得点を稼ぐ駒をなんとか最高得点である10のマスに進めるように作戦を企てる。
しかし、ゲーム勘の鋭いTAM嫁もしっかりと2倍マーカーを10のマスに進めてくる。そして、最初にやった時のようにゲームの終演は早かった。
TAM嫁「じゃ、これを進めます」
5つ目となる駒を7段階目の6点貰えるマスに進める。これで7段階に達した駒はTAM嫁2つに対してわしは1つ。
しまったぁあ! 気づいた時には、すでに終わりとなるゲームなのだ。じっくりとあげてなんていけない。
結果、僅差でTAM嫁の勝利。
所要時間20分
禁断の4つ目を使いTAM嫁見事勝利。6以上のマスに5つの駒が入ればこのように終了となる。4人だとほんま一瞬なので、最期のマスを自分が進めるようにしたい。
おもろいやん! という事で実は4回連続でやったが、勝者は常に交代で入るTAM夫妻であった。二人ともロストシティをかなりやりこんでたので、ゲームの勘所が鋭かったようだ。
TAMのコメント
これ、むっちゃおもろいですよ。既に買うリストに入ってます。
ケイのコメント
おもろいですねえ。まだドイツゲーム持ってないんで最初にこれ買おうかな。チケットトゥライドと並んでおもろかった。これがドイツゲーム大賞なんですね。なるほど。まじで買おうかな。
※ケイについては後日談があって、今回のゲーム会は今までになくハイクオリティだったらしい。褒め称えたのはアルハンブラ、カタンの開拓者、マンハッタン、ケルトと、まさにドイツゲーム大賞の面目躍如である。今回はたまたまドイツゲーム大賞作品を多くやったのだ。
ムゲンのコメント
前におとんとおかんとやった時は眠くてよう解らなかったけど、よく出来てますねえ。面白いですわ。
miaのコメント(今回は居なかったが二人プレイにて)
さすがクニッツィア! って俄仕込みですがw。この人のゲームは今のところ全部面白い。
(メディチ家とストロッツィ家以外…未熟者にはまだよくわからない…)
妙な緊張感もたまらないし、仕様も可愛い。で、ジャンプアップコンボが決まると気持ちが良い!
後日やったOECのコメント
ロストシティにシステムを追加・変更したような作品なので、そこら辺を語ってみる。
まず一番の違いは、数字手札の出し方が昇順・降順のどちらでもよくなったこと。この要素がなければ多人数対応できなかったんじゃないかと思うくらいキーになる変更点。タイマンとは違う多人数でやるゲームの妙の一つに「あいつには利するけど、こいつに利するわけにはいかない」って判断とジレンマがあると思う。手札が数字の上下から出せるようになったことで、ロストシティの「相手が諦めるまで出したくない」ってジレンマから上記のジレンマへの以降がスマートにされているように感じた。
次に、得点方法の変更。カードの数字が直接得点になるロストシティから、ケルトではプレイしたカードの枚数が得点になるようになった。
マイナスから始まるという点では同じだけれど、ケルトでは得点の上昇幅が基本「1」で3回「3」ってのがポイント。2倍ゴマを最上階の「10」まで押し上げたいのはもちろんだが、全てのコマで「3」の壁を越えるようにしてやるってのが肝となってくる。
しかし、言うは易し。ここで追加要素としての「願いの石」集めのルールが効いてくる。石を集めて得点ならまだしも、石が少ないと減点を喰らってしまうので、他の人よりも早く進んで石を拾って行きたいということになるから、壁うんぬんよりも、進めたりしなければならなくなる。多分もともとは、そういうジレンマを演出するためのシステムではなくて、他の人よりも前に進みたいと思わせるシステムだったんではないかと思うけど、自分にはそう思えてならない。
なんという素晴らしいルールの絡み合い。出陣したコマは全て目標の「3」壁越えさせて(あわよくばもう+1歩ありで)効率よく得点し、石も「他人と同じか、より多く持っていればなお良し」ってスタンスが功をそうして2プレイとも1位だった。
コンポーネントも可愛いけど、内箱のデザインの秀逸さには舌を巻いた。
ジレンマが分かりやすいし、ほんと良いゲームだ。
ソマーリオ
皆、大絶賛。なんと、わしも大絶賛。非常にプレイ感は軽いながら、クニッツィア特有のジレンマがしっかりと織り込まれ、さらに特殊タイルにより不均衡の場を作る事で戦略的な奥深さを与えている。
特に特殊タイルは、絶妙ともいえる配置と効果を持ち、ケチの付けようがない。無味乾燥としたロストシティに、立体的な構造を与えて、それが見事に機能している。
※倍のマーカーなら得点タイルも倍にした方が良さそうに思えたが、4人プレイだと勝利者は大体30ポイントいくかいかないかくらいなので、悪くはない。
それだけでなく僅か20分で終わるくせに、しっかりと考えどころがある。運の要素が強めに感じるが、それでもあっと言う間に終わる終了条件と1段階上がる黄金のクローバータイルを上手く活かせば、カードの不運もある程度コントロール出来るのではないかと思えるのだ。
かつてロストシティが、各地で大人気してたのに、わしだけ蚊帳の外でどうにもあのジレンマの良さが解らんと思っていたが、ようやくここにいて皆が感じていたジレンマの良さを感じる事が出来た。なるほど、これか、と。
けがわが「理由は特にないけど、ロストシティよりあきおさん向きだよ」なんて掲示板に書かれたが、まさにその通り。わしの求めているゲームとしての立体感がこのケルトにはあった。
ドイツゲーム大賞の審査員が選考理由として「ルールが短く簡単で、すぐに遊ぶ事ができ、30分程度の短時間で信じられないくらい面白い」なんて評していたが、ドイツゲーム大賞の審査員とクニッツィアに、ごめん、と一言謝りたい。審査員もしっかりとゲームを選んでたし、クニッツィアの代表作と言ってもおかしくない素晴らしいゲームデザインだった。
コンポーネントは、もっとコンパクトにして欲しかったし、値段も高いように思うが、ボードなどは緑がとても美しくデザイン性はとても高い。これについては最初から綺麗やなと思っていた。またロストシティでわずらわしかった得点計算からも解放させているのは凄いの一言である。
いやあ、ほんま、あなどってた。びっくりしたわ。
チケットトゥライドが初心者キラーだとよく書いているが、ケイの意見を聞いてると、こいつも双璧を成す初心者キラーゲームとなるかも知れない気がしている。ルールは簡単、ジレンマあり、作戦あり、運あり、プレイ時間は短し、綺麗に四葉型に加工した木製駒を含むコンポーネントは美しい。
残念ながら、GEEKや他の日本人サイトの評価はよろしくないようだが、体勢に逆らってでもジョーコデルモンドでは一押ししたい。初心者を巻き込むのに是非使って欲しい。ドイツゲーム大賞という権威と一緒に説明すれば、その効果は絶大だと思う。
ルールを読んだ限りではトランプゲームのミッチというのに似ているように思うので、いつか、ミッチをやってみて、その違いなどを書いてみたい。
大賞はズライカだとか、ストーンエイジ、魔法にかかったみたいとか騒がれていたが、なんて事はない。間違いなく、このケルトこそが大賞に相応しい。
その後面白い傾向がある事が解った。元になっているロストシティという腐れゲームが合わなかった人はケルトを楽しく感じるようだ。逆にロストシティが好きな人はケルトをいまいちと思うので、そういう人はシステムが似ているからといってケルトを買わない方が良いだろう。ロストシティをやっとけって話だ。二組買えば4人で協力プレイも可能だ。
そしてわしのようにロストシティがつまらんと思った人にこそ、二の足踏まずに是非このケルトをやって欲しい。かなり楽しめる筈だ。同じシステムでありながら、その肝となる部分が違っているからこそこういった好悪が出るのだろう。
アメリカではケルトというテーマは受けないらしく、探検ものが受けるようだ。逆に探検ものはヨーロッパでは受けないらしい。で、とうとうリオグランデ版のケルトが出た。ロストシティボードゲームという名前に変え、テーマを遺跡探検にし、ロストシティの4人版として発売されたようだ。Geekから画像をみるに、得点が違う。ちなみにケルトさえあれば、ロストシティもロストシティボードゲームもチームプレイであるロストシティ4人ルールも出来るのでかなりお得なセットともいえる。ロストシティは数字の2〜10を使うので、使わない0と1を適当に3枚入れてスポンサーカードとして利用すればいいのだ。
見る限り雰囲気は悪く無さそうだが、放射線状に広がったマスが誰が進んでいるか見難いように思う。
こちらでレビューしてみたので、参照してください。