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Reiner Knizia
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Rio Grande Games
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2〜4人
70分
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ロストシティボードゲーム
ジャングルに埋もれたティカル神殿、エジプトのピラミッド、海底に沈んだギリシャ神殿、峡谷に囲まれたペトラ遺跡…
調査員は、かつて栄華を誇った文明の跡地を研究するために奥地へと侵入する。
そこでは見事な彫像、美しい壁画、煌びやかな宝物が備えられ、往年の繁栄を現代にまで伝えている。
プレイ感
ドイツゲーム大賞を獲ったケルトのアメリカ版がこのロストシティボードゲームである。カードハンドリングが似ているので、このままアメリカ人好みの発掘テーマであるロストシティを4人用に変えて出したれ! というマーケティングだけで出来上がった感じ。とはいってもマーケティングというのは最重要項目なので、あえてそれを否定はせんが、4人用ロストシティとなってるだけにちょこちょことケルトからロストシティぽくルール改変されてる。本体を買えとお叱りはごもっともですが、さすがに同じゲームを2つも買いたくないんで、ケルトを流用してレビューします。雰囲気が重要ぽいのでボードだけはGEEKのを印刷して使う。かなり貧乏臭いけど。ケルトが大好きなmiaとの二人プレイにて。
ちょっとしょっぱいが、GEEKからボードだけ印刷して、ケルトの部品を使ってゲームをやってみた。紙がぺらぺらで動くのよ。。
ケルトとの違いの第一は、点数の単位。なんか知らんが5点刻みだ。1点とか2点とかのしょぼい単位ではアメリカ人には受けんらしい。というよりロストシティの出だしの点数であるマイナス20点というのに合わせたぽい。点数は全てケルトに準拠しているので、ケルトの点数を5倍すればよろし。
で、違いの二点目は、3ラウンド勝負になったところ。これまたロストシティに合わせたように思うが、ケルトの願いの石にあたる彫像タイルの最終得点は、3ラウンドの合計で決められるようになったのは大きく違う。
そして違いの三点目はもっと大きな影響を与える。カードの出し方はロストシティと同じく、小さい数字から大きくなるようにしか出せなくなったという事だ。
ボードは放射線状に広がるので、終了条件の場所が若干見難い感じ。このボードでは橋が架かってるところを越えると終了条件エリアとなる。数字は上に書いてるように、小さい数から大きい数にしか並べられない。これによりカードを捨てる必要が高まった。
なんかルールの違いを読んでると、クニッツィアが考えてきちんとルールを整備したんかいなと完全に疑いの目。プレイバランス考え無しに単にロストシティに合わせてるだけじゃ??
と、そんな感じでゲームスタート。
mia「なんかこのボード見難い」
わし「まあ、そういうな。こういうのも検証しとかんとな」
ボードは放射線状に広がっているので、誰がどのマスに居るのか解りにくい。遺跡の絵柄を描くためにしょうがなしにこうなったのだろう。
カード捨て場からカードを取る事で、意外と同じ色のカードが集まりやすくなっている。ここらへんは多人数プレイではどうなるか確かめてみたいところ。ボードに書いてる点数は5点単位であることに注意。意味ないと思うけどw
わし「手札にでかい数字しかこん。これはもうほかすしかないわ」
mia「確かにきつい。なんだかなあ」
ケルトでは降順でも良かった為に、結構早めにコマを進める事が出来たが、昇順のみのこのルールでは、10とか9なんて数字は無用もええところだ。
次々に捨てるに限る。後半必要になるかも知れないが、相手も手札が厳しいので、それを取るなんて事はほとんどない。なんせ捨てだ。
わし「まあ、将来のために預けとくって感じやな」
まあ、探検気分味わえるかつうと、四つ葉のクローバーの駒に、願いの石タイルをみて、浸れるとは言い難いw
彫像(願いの石)は3ラウンド勝負となって非常に重要な要素となっている。捨て札は溜まりやすいルールなので、ある程度覚えておく必要がある。
そうするとケルトとは違ったプレイスタイルとなった。なんと、捨て札がやたらめったら出てきて、思った以上に回転するのだ。当初、こんなルールやと運が更に増すと思っていたが、逆にここに捨てる事によって新たな戦術が生まれた。
わし「じゃ、これ取るわ」
ある程度煮詰まってくると、でかい数字ばかりのエリアカードをどんどんと手札に戻していく。実際に捨て札の枚数は目に見えるので、どれだけ進める事が出来るかの作戦が立てやすい。また例えそこにあるのがでかい数字ばかりであっても、その枚数だけは進めるという事が確約出来ているのは非常に大きい。
mia「あ、やばい。そこ預けてただけやのに、次々取っていく」
同じようにmiaも別のところでやろうとするが、それを見越して自分が取って嫌がらせする事も可能だ。
mia「ずるい!」
願いの石を取りまくったった1ラウンド目。5個の駒が橋を渡るとラウンド終了である。
わしらの間で、捨て札はゲーム中ほんま数える程しか出てこないのだが、ロストシティボードゲームのルールではそうもいかず相当な枚数が山積みされる。一番上のカードしか見てはいけないので、若干の記憶力が必要であったり、捨て札へのマネージメントという要素も出てくる。例えば…
(よし、捨て札の10を貰えば、手札と合わせて5マスは確定出来た)
mia「じゃ、これ捨てる」
捨て札の10の上に6を重ねる。
わし「お、お前! もう7まで出しとるから6なんて要らんのじゃあ!」
とほほ。しょうがないので、意味のない6を取って、ガードを空けて10を貰う。一手番損した。
mia「なんか、面白い!」
わし「確かに、おもろいな」
ぺらぺらの紙に印刷しただけのボードが動いたりしてかなり貧乏くさいプレイであったが、やってることはおもろい。
一番上にある場所が彫像の数による点数である。これだけケルトにない点数表である。
点数がめんどくさい。点数チップを内緒で裏向きに持っておくという、トップ叩きのし難いケルトで非公開にする意味があるんかと問いたいルールだが、点数チップまでは用意出来てないので、紙に記述していく。これが結構頻繁なんで、うっとおしい事この上ないが、あえてロストシティボードゲームのルールに従わねばレビューの意味がないので、我慢して記述していく。
※よくよく考えてみれば、今回は二人でやった為にトップ叩きもクソもなかっただけであって、ケルトよりもプレイヤーの絡みが確実に増えているので、多人数だと非公開情報でないとトップがやたらと叩かれるのかも知れない。
1ラウンド目が終わり、2ラウンド目の始めに彫像の数を記録して、再び点数タイルと混ぜ合わせてボードに並べ直す。
ケルトとは違い、カードが非常に効率よく使われる為、カードがなくなる事でゲームが終了するという条件がほとんど起こらなかった。
捨て札利用が起きることでカードが無駄なく使われたからだ。
3ラウンド目が終わり、得点集計。
わし「うわ、めんどくさ」
ずらーっと並べられた得点を足していかねばならない。※本物のロストシティボードゲームは得点タイルとなっていてそれほどめんどくさくはないらしい。
彫像については、ボードにマークがあるので、それで表したが、3ラウンドの合計というので、かなり勝敗に影響を及ぼす大きな得点となっている。願いの石の重要度はケルトよりも比重がでかくなっているのだ。
結果、わしが700点オーバーに対してmiaは600点台でわしの勝利。
所要時間70分
mia「今から出かけなきゃ行けないから、残念だけど、本当ならもっかいすぐにでもやりたい!」
miaのコメント
ボードゲームならぬペーパーゲームでケルトのコマを使ってやるという…ちょっとビンボーくさかったがこれが面白かった!
ケルトに比べ、カードの出し方に制約があるけどその制約が意外にも別の面白さを生んでいる。ケルトよりも面白いかも!
ソマーリオ
く、悔しい事におもろい。。密かにケルトよりもおもろいんでは? とさえ思ってる自分がいる。散々、クニッツィアがほんまに調整したんけ? と、とってつけたようなルールに苦言を並べ立てていた自分に反省。
昇順のみのルールにより、気軽にカードが捨てられるようになった。そのせいで、プレイ感はケルトよりもスムーズに感じ、さらに捨て札を上手く活用するという面白みが出た。その後、おもろいので、3回くらいやったが、最初にでかい数字ばかり手元に来たケースでは相当な苦戦を強いられた事もあるが、3ラウンド勝負ということで、1ラウンドの失敗を別のラウンドで取り戻す事が出来て最後に勝利した事もある。
3ラウンド勝負というのはケルトと比べると確かに長いが、逆転の目もあるのでそれほど悪くはない。じっくりとやるにはむしろロストシティボードゲームの方がいいとさえ思う。ちなみに1ラウンドで終わる短縮ルールもある。
特に重要なのは、彫像で、あまり取れなかった事があったとしたら、次のラウンドでは闇雲に狙っていくという作戦もありとなったのはラウンド制によるものだろう。
またその闇雲に狙っていくという作戦も、終了条件が全ての駒で五個以上というルールのおかげで割と気軽に挑めるようになっている。
一言でいうと、戦術の幅が広がった。
もっと運よりのゲームかと思っていたが、結果はまったくの逆であった。より自分がゲームを動かしているという感覚がある。
その後、ケルトをやったが、ロストシティボードゲームのおかげで、捨て札に違和感がなくなり、要らない中間のカードをバンバンと捨てるプレイスタイルに変わった事は興味深い副産物だ。
こうして実際にやってみると、ロストシティボードゲームルールは、ドイツゲーム大賞を獲ったケルトの上級ヴァリアントとして素晴らしい仕上がりだと思う。
軽くやりたいならケルトルールで、重厚に楽しみたいなら、ロストシティボードゲームルールでやればいい。むしろ楽しみが広がったように思う。
得点だがボードに得点表がついているケルトのボードでやっても問題ないだろう。得点がばれてもトップ叩きが出来にくいこのゲームでは、まったくといっていいほど問題はない。どうしても遺跡探検というテーマにこだわるなら、ロストシティボードゲームを買うて、ケルトルールで楽しむヴァリアントをやればいい。
※よくよく考えてみれば、ケルトさえあれば、ロストシティボードゲームも、ロストシティもチームプレイであるロストシティ4人ルールも出来てしまうことに気が付いた。かなりお得なセットですな。ロストシティは数字の2〜10を使うので、使わない0と1を適当に3枚入れてスポンサーカードとして利用すればいいのだ。
インディジョーンズの大ファンであるわしはアメリカ人と同じく、遺跡探検というのは大好きなんやけど、さすがに同じゲームを買うのは大きさからも値段からも気が引けるのでここはぐっと我慢だ。ケルトのデザイン性の良さには勝てないと思うが、探検という駒とか雰囲気はやっぱり魅力的なんよな……
ケルトに直した願いの石の得点パターンは以下である。重要な変わり目である11個と12個、14個と15個には注意しなければならない。まあ、3ラウンドやって取得0個なんて考えられないと思うが、念のために入れているのだろう。
オビ湾さんの和訳がこちらにあるので、こちらをみてケルトでやるなり、個人輸入するなりしていっぺん試してみてください。
あまりにも連発でケルトもロストシティボードゲームもおもろいので、感性が変化したのかとケルトを使って本家本元のロストシティを久しぶりにやることにした。ロストシティに追記しているので気になる人はどうぞ。
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こちらがほんまもんのロストシティボードゲームである。GEEKより拝借。緑色のタイルが彫像である。得点タイルは裏向けにして非公開情報であるが、最後に足すのはめんどくさいだけで意味がないと思う。つか得点タイルのサイズが違うらしいので、かなり謎仕様だ。