Dominique Ehrhard

Zoch
Gigamic

2〜4人
15分

ズライカ

スルタンの娘ズライカの結婚相手を探すため、王の忠実な僕オマールが空中バザールへ出かける事になった。
「わしの娘婿は、アラブで最もお金持ちで、最も美しい絨毯を持っているものじゃ」
さてさて、我らがオマール君、王のわがままな注文を聞き遂げることが出来るでしょうか?







プレイ感

誰もがまだ手にしないまま、フランスのギガミック社が出したMarrakech/マラケシュを1年経たずしてツォッホ社が版権を買い上げズライカという名称でリメイクしたというその事実とコンポーネントの可愛らしさだけ(まあ、オーストリアゲーム賞に選ばれているが、その権威の程は定かでない)で、2008年度ドイツゲーム大賞の最右翼とあちこちで目された。わしも目したw
その実力は如何に? Jyama、OECとの3人プレイにて。

※一応、今回のレビューではギガミック社を立ててフランスゲームにしている。ちなみにギガミックのシチュエーションは、花婿捜しではなく魔法の絨毯を売る市場で、No1商人になるという設定だ。またオマールではなく、アサームという名前になっている。


手番にオマール駒の向きを後ろ以外に向けて、サイコロを振る。進んだマスに他の人の絨毯があれば、面積につき1ディルハムを払ってから、自分の絨毯をオマールに接するように置いて手番終了。その時、相手の絨毯丸々1枚を重ねておけないが、半分ずつなら置いてもいい。全ての絨毯が置かれたら、見えてる部分をお金に換算して、手持ちのお金が一番多いプレイヤーが勝利する。


オマールを後ろ以外に向けて、サイコロを振る。そこでオマールに接するように絨毯を1枚引くだけだ。オマールは壁にぶつかるとパイプに従って方向転換して戻ってくる。

ルールは非常に簡単である。実際にプレイしてみると、サイコロ運が非常に強いゲームだと解る。サイコロの目は1,2,2,3,3,4である。これを考慮して、なるべく相手に振り込まないようにオマールを向けてサイコロを振ればいい。

序盤は、なるべく自分の敷地面積を大きく配置していく。縦横で接している絨毯のひとかたまりの大きさが貰える金額となるので、なるべく大きく合体させるように置いていけばいい。今回は割と和平的なゲーム展開で、相手の絨毯を重ねておくという作戦を誰もやらなかった。確かに相手の絨毯を重ねておけば、相手が1マス減って有効なのだが、こういった3人プレイで互いに憎しみが増すと、1人が利する事になる。泥仕合をしてはいけないのだ。


止まった絨毯の面積に応じてお金が貰えるので、出来る限り広大な面積になるように配置したい。オレンジのわしが真ん中、赤のOECが端っこに自分の陣地を広げる。

よって、今回のプレイでは、自分の絨毯の設置面積を増やすにはしょうがないという限り、空き地に絨毯を配置していった。

OECは、端っこ辺りを狙ってOEC帝国を築き上げる。一旦、絨毯を広げられると、そちらを潰しに行くにもかなりの危険さが伴う。とはいってもOECも狙って出来た感じではない。自然発生的に、巨大帝国が出来るというのがこのゲームだ。


強力なOEC帝国に止まってしまい8ディルハムも支払う羽目に陥るJyama。

わしは相手がどう動いても止まる可能性が高くなるように絨毯を配置していく。これまた、段々と繋がっていくので、戦法としては悪くない。2手先、3手先を読むのは無理なので、わしの下家にあたるJyama狙いで、絨毯を配置していくと

Jyama「あ、しまった」

わし「ほれ、金よこせ」

Jyama「あ、しまった」

わし「ほれ、金よこせ」

Jyama「あ、しまった」

わし「ほれ、金よこせ」

Jyama「あ、破産しそうなんですけど?」


そしてわしに9ディルハム支払ってほんまに破産しかけのJyama。

となった。かたやわしは、なるべくリスクを避けてオマールを動かすが、時にはギャンブルを賭けなくてはならない時がある。

わし「そういや、これサイコロの目どうなってんねんやろ?」

ここにきてサイコロの目がどうなってるか調べるわし。明らかに間違っているが、わしの適当プレイさが現れている。大体、わしゃこんな感じ。

OEC「2と3が2個ずつで、1と4は1個ずつです」

こ、こいつ! なんつう抜け目のない。ちゃっかりと調べてやがった。

そしてギャンブル。

わし「セーフ!」

目がついていたので、何故かほとんど振り込まずに、するするっと抜けていく。

3人プレイなので15枚の絨毯を配置したら終了である。つまり全員が15回手番を行うと終わりだ。2人プレイなら24回、4人プレイの時は12回の手番で終わりである。

結局、そのまま大量にディルハムを持ちながら、逃げ切ってしまった。Jyama破産しかけだが、かろうじて残った。ちなみにお金を払い切れなくても、あるだけ払えばよく、ゲームはそのまま続ける事が出来る。

所要時間15分


最終はこんな感じ。最期は面積に応じてポイントが貰える。それとお金の多いプレイヤーが勝ちである。

OECのコメント

お偉いさんにいっぱい自分の絨毯を踏んでもらうゲーム。
一言で言うと『陣取りモノポリー』。
自陣の拡張と敵陣の分断、そしてモノポリーで言うボードウォークとも言える大絨毯にはまった時のショックと、そこを抜けたときの感激(言いすぎ)は筆舌しがたい。書いたけど。
ほいで、面白さのキモとなってるんはオマールさんが「決して後ろを振り向かない」男の中の男の気質。その性質を利用して自分の陣地に引き込むってのはさることながら、他の人のやりたい事・嫌がる事を予想して次の自分の手版にやりたいことを実現させたりと・・・それが決まった時が気持良い!
でも、自分の番になるまでに絨毯の状況が結構変わってしまうというw

miaのコメント

なんだかモノポリーみたい。これで本当にノミネートされたの??

ソマーリオ

なんともあっさりなプレイ感。しかしあっさりとしてる割にかなり攻撃的で、遊ぶ人を選びそうである。特に個人攻撃が出来るってのが、どうにもこうにも。更にやられたらやり返すという手段が出来るってのもどうかと思う。あまりにもドイツゲームらしくない。フランスのゲームやけど。

このゲームを一言でいえば、あっさり終わるモノポリー。皆が言うようにプレイ感はモノポリーにそっくりだ。モノポリーが同色グループを集める事によって強化する楽しみがあるのに対して、ズライカでは、そういう楽しみはじわりじわりと絨毯の面積を増やすという事でしか達成出来ず、また簡単に分断されてしまうので、なんともな印象を受けた。

相手の手番を見越して、絨毯を配置するところなんかモノポリーそっくりだが、相手の絨毯の勢力を簡単に削ぐ事が出来るところはむしろモノポリーよりも攻撃的といえる。
実は前にmiaと二人でやったのだが、途中、ばんばん止まると拗ねだしてゲームが非常につまらなくなった。二人プレイの場合は相手を叩けば自分が勝つという構造なので、かなり攻撃的にゲームをしたのだ。
勝っても負けても楽しめる大人なプレイヤーしか、出来ないんじゃないとさえ思う。


これがmiaと先日やった時の写真。ディルハム通貨の質感はかなりよろしい。


オマールさんの片眉毛はつり上がってるが、ちと写真が遠いのう。。


最終。散々な目に合わせたわし。左がmiaのお金である。2人プレイだと2種類の絨毯を交互に用いる。ちなみに青色の絨毯は最初から4人用の12枚しか入っていない。

一旦、沈み出すと挽回が難しいのも最近のドイツゲームに慣れた身としては、印象を悪くしている。沈んでるプレイヤーが可哀想になってくるとゲームとしてはお終いだ。お金の直接的な受け渡し、サイコロ運、直接攻撃、全てのシステムが古いとしか言いようがない。

逆に良いところをあげるとするとモノポリーのように時間の掛かるゲームを僅か20分で出来るというのは相当な進化だろう。それほど考えどころもないので、サイコロを振るだけならこのプレイ時間の短さは神様のようにありがたく感じる。

このゲーム最大の売りは、その素晴らしいコンポーネントだ。木製で顔まで描き込まれたオマールを始め、メルヘンチックな雰囲気のあるボード、マークまで印刷された布製のカラフルな絨毯、大きな木製サイコロにスリッパの絵が描かれた目。全てがよく出来ている。

元のマラケシュは、絨毯の色は地味なので、どちらを選ぶかは好みによって決めればいいだろう。ルールはちょっと違うところもあるらしいが、微々たるもので、好きなルールを採用すればいい。中身はまったく同じだ。ツォッホ社は海外に販売する権利まで持っていないようなので、日本ではズライカは個人輸入に頼るしかないが、マラケシュは販売店で手に入れる事が出来る筈だ。


こちらがマラケシュの画像。シックな色合いである。

まあ、なんでズライカが2008年度ドイツゲーム大賞にノミネートされたか疑問に思うが、きっとわしと合わないだけで、好きな人は好きと思わせる何かがあるのだろう。ただゲーム時間が短く、あまり頭も使わない事から、やるのにそれほど億劫さがないというのはゲームにとって大切な事かも知れない。或いは、ゲームにあまり詳しくない人が選ぶオーストリアゲーム賞を受賞した事から、お金の受け渡しが直接的で、やったやられた感が明快なのは初心者に非常に受けるのかも知れない。モノポリーの人気の秘密を垣間見た感じがする。

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