Reiner Knizia

KOSMOS

2人用
60分

メディチ対ストロッツィ

14世紀フィレンツェでは、メディチ家とストロッツィ家が熾烈な権力争いを繰り返していた。
権力争いの基盤は、経済である。
銀行、毛織物、貿易、これらを牛耳ったものがフィレンツェを制す。
この権力争いは、後、ストロッツィ家がその邸宅に莫大な資産を投じて破産するまで繰り返す事となる。

レビュー

名作競りゲーム、メディチを二人用にしたということで、人気が出そうなゲームである。早速miaとプレイしてみるが素人ではまったく競りの相場が分からず、後日TAMとやってみることに。メディチわし、ストロッツィTAM。


手番にタイルを引く。タイルには商品情報と価値が書かれている。商品は4種類(+金の5種類ともいえる)ある。このタイルは3枚まで引いてよく、引いたタイルをなんぼにするかを相手に告げるのだ。その価格で買わなければ自分がその値段で買うことになる。

買ったタイルは、すぐに自分の船(船倉が3,4,5の3種類ある)に配置するが、すべて同一の船にまとめて配置しなくてはならず、配置後、港につける。港には商品の絵が描かれており、これと同じ商品のタイルなら、特典が貰える。


商品タイルを買うと、すぐに船に載せてどこかの港に着けなければならない。船倉は3,4,5の3種類。一度載せてしまうと、交換する事は出来ない。港にはそれぞれ特産物のゲージがあるので、これらと同じ商品の港に着けると特をするようになっている。

まずはタイルを引いて値付けをする。この値付けの相場がさっぱり分からず、このゲームをルールの少なさに反して上級者向けにしているのだ。なんせなんぼでもつけることが出来る。かつてmiaとやったときの最初の値付けは…

mia「うーん、じゃ、200」

あ、あ、阿呆かあ!!

最初に貰えるお金は300。で、港についた船それぞれについて商品タイルの価値を足して多いプレイヤーは20貰える。基本的にそれだけの入金である。つまりこれだけじゃ例え勝ったとしてもマイナス180なのだ。で、それを説明した次の値付けのとき…

mia「じゃ、150で」

ぜんぜん分かってねえ…_| ̄|○


どちらかの船倉全てが満杯になったら決算である。数字を港毎に足して多い方が20貰える。つまり全部で勝てば60入る訳だ。さらにそれぞれの商品の数の差分、独占ゲージを自分側に寄せる。(このとき0の商品は2枚分に当たる)さらに数字の書いてあるところまで寄せたら即座にその金額を貰う。一見するとストロッツィ家が優勢のようだが、実は高値で商品を買わされているだけという。

こんな調子やったので、TAMとのプレイに戻す。

わし「15で」

TAM「厳しい値付けきますねえ」

わし「だって、これ足して7もあるし、2枚ともこの港にあるで」

※タイルの価値はそれぞれ0,1,2,3,4,4がある。金は5。なので、2枚で7は大きい。

TAM「買います」

競りは一度だけ。それで買うか買わないか、である。あ、つうことは別に競りゲームじゃねーな。

TAM「う、これは…よ、40で!」

それはいくらなんでもぼったくりやろ。

わし「要らん」

TAM「くそ。メディチむかつく」

港では描いているその商品に1枚につきゲージを1つ自分側に移動させる。それが10、20の書いてるところまできたらその金額を貰えるのだ。こういう独占はメディチでも重要であった。これを寄せることを考えて値付けするのだが、いくら港にある商品3つがどんぴしゃでも40はつけすぎだ。またタイルは自分が船に載せられない枚数はめくれないことになっている。つまり、いつでも3つ置ける船倉をおいとかないと、相手に言い様にされてしまうので、値段だけでなく配置もとても重要だ。

わし「15かな」

TAM「くう、なんかさっきからいいように値付けされて、買わされてる」

ストロッツィは、商品の買占めを主に考え、ぐいぐいと自分側に寄せるが、それを1つ戻すだけで金額を獲得できないようにわしは動かした。

※これはルール間違い。寄せている方がとりあえず10貰える。そこからさらに金額のところまで持っていけばその金額が貰える。nasikaさん情報ありがとうございました。


さらにストロッツィ家が優勢を誇ってるかのように見えるが、史実と同じく大金を投じて破産への道へ進んでいるようだ。

TAM「30…あ、いや、25」

わし「今、なんか30って聞こえたんやけど?」

TAM「気のせいですよ。気のせい。…皆さん、メディチには気をつけたほうがいいですよ」

わし「ま、要らんわ」

TAM「くう、メディチむかつく」

結局、182対137でメディチ家の勝利。どちらも300の資金からなので、この値付けでも多かったみたい。損しまくってる。

所要時間45分

TAMのコメント

難しいですねえ。相場がさっぱり分かりませんでした。ほんま言い様に買わされてました。基本は20で、それで儲けることが出来るかどうかをみた方がいいんでしょうね。

ソマーリオ

なんぼでも価格をつけられるので非常に相場が難しい。最初の資金は300だが、借金をしても罰則はないので、無制限と考えていいのだ。

この値付けの相場感覚は元のメディチにもあったのだが、あちらは全員が競るので、なんとなく妥当性があるように思えてしまう。

内容は、船倉がある分メディチよりも難しい。相場観さえ身につければ非常におもろいゲームになることは間違いないが、慣れるまではゲーム時間も1時間以上かかりそうでちょっとしんどいかも知れない。

商品はタイルになってしっかりとしているし、お金チップの割合がなんかおかしい気がするだけで、コンポーネントは良い。ただこのゲームの良さを知るには、まず本家のメディチでなれたほうがいいように思う。

ここらへんのルネッサンスの権力闘争は、漫画のチェーザレか、塩野七生の本がとても面白い。漫画の方は、ちょいと史実と違うところもあるが、雰囲気は抜群である。残念ながらストロッツィ家は出てこないが、当然メディチ家は出てくるので興味があれば一読をお勧めします。こういうルネッサンスの権力闘争をテーマにしたゲームは、他にルネッサンスの君主フィレンツェの匠がある。

gioco del mondo