Alan R. Moon

Days of Wonder

2〜4人
40分

チケットトゥライド -カードゲーム-

アメリカ大陸横断鉄道レースがカードゲームになって帰ってきた。
今回のターゲットも、たくさんの鉄道網を敷設した者が勝つ。
ボード版にないお手軽さがあるが、奥の深さは変わらない。







プレイ感

チケットトゥライドも、数え方が間違っていなければ、アメリカヨーロッパドイツスイス、カード、全5部作、おそらくこれで終わりである。当初5部作なんて要らんなんて思ったものだが、なんとなんと、結局全て買う事になってしまった。恐るべし、続編商法。miaと二人プレイにて、最後のチケライをやってみた。


基本的なハンドリングはボード版そのままであるが、目的地は同色カードを使うのではなく、場所によって色違いの組み合わせが描かれている。一番大きな変更は、カードを出すと手元の場(レイルヤード)に置かれ、そのまま次ラウンド以降まで持ち越し、手番の頭にレイルヤードに置かれているカードを各色1枚ずつ裏向きに山積みにしてストックしていく。これが最終的に、目的地カードに組み合わせて使えるカード群となる。
ここに目的地カードの要件を満たすカードを次々に放り込んでいけばいいのだ。

文字で書くとやたらとややこしいが、流れはこうだ。

手札 ⇒ レイルヤード(表向き) ⇒ ストック(裏向き)

要は2段階の過程をへて、カードが手に入ると思えばいい。

最初は目的地カードを6枚ずつ配り、最低1枚残して戻すのだが、各目的地にはボード版のような繋がりはないので、丸々貰っておく。手札はワイルドカードとなる機関車を各1枚+7枚の8枚構成からスタート。


目的地カードにはそれぞれ必要とする色が描かれている。最終的にその色の組み合わせを取り除いて、目的を達成したかどうか決めていく。左下に描く数字は勝利点。

ストックに置かれたカードは二度と見てはいけないので、自分が達成した目的地カードをある程度覚えて行かなければならない。これがやたらと苦しいので、確実に1枚ずつ目的地を達成する組み合わせをレイルヤードに出していけばいい。レイルヤードに出すには2パターンある。同色2枚以上か、違う色3枚であるから、例えば、白、赤、オレンジで達成する目的なら、そのまま3色出してしまえば、達成した事になる。

最初は記憶が辛いという話を聞いてたので、こりゃあ、あかんわと思ってたが、こうやって確実に地道にやっていけば間違いないのだ。そして達成した目的地カードは脇によけておけば、問題ない。このあきおハンドリングに全然気づかず、miaは全てのカードを手に持ったままゲームを続ける。


手札のカードは、3色のトリオで出すか、同一色2枚以上(機関車を含めていい)で出す。手番の最初にその出されているカードそれぞれの色を裏向きにして自分の山札としてストックしていく。最終的にこのストックが目的地カードの色を満たしていけばいいのだ。ストックのカードは何を置いたか見る事は出来ないので、記憶力が必要だ。

mia「えー、これやったっけ?? あー、解らんようになってきた」

(いや、そらそうやろ…)

横にのけておくハンドリングのおかげで次々に達成させては、追加の目的地カードまで手に入れた。

mia「うそー!!」

同色のカードを複数枚出して、確実に毎ラウンド1枚ずつストックに置いていくパターンが多いmiaに対して、わしは、違う色3枚のトリオ出しにて、ストックに重ねていく。各色1枚ずつストックに積んでいくので、一度に3枚もストックに向かうトリオ出しの方が圧倒的に有利な気がするのだ。miaもそれに気づいて途中からトリオ出し作戦が多くなってきた。


記憶力に自信のない人は満たしたと思った目的地カードは横にのけておいた方がやりやすい。機関車は非常に強力なワイルドカードなので、ボード版のように余る事は少ない。

ただしこういう嫌がらせも出来る。

わし「じゃ、白を2枚に機関車2枚と。お前の白捨てろや」

mia「腹立つわぁ!」

全ての場には同色は1グループしか存在出来ない。それを上回る枚数で出した時、既に出していたカード群は、捨て札となるのだ。これを列車強盗という。

mia「なんでそんな事するかな」

という訳で、トリオ出しは有効ではあるが1枚ずつ出す為に1巡するまでにこれをやられると捨て札とさせられてしまうのだ。これがチケライカードに許された唯一の絡みでもある。

※細かく言えば、大都市ボーナスっていうんがあり、大都市にたくさん目的を達成したプレイヤーに得点が与えられるという絡みもあるが、なんせ自分の事に手一杯なので、相手がどんな都市を狙ってるかなんて見てられない。自分でさえ見てられないのだから。

同色出しの有利なところは、数ターン相手にその色のカードを出させるのを拒ませる事が出来るのだが、そんな事よりももっと重要なのは機関車カードを出せるところだ。というのはトリオ出しでは機関車は出せない。同色出しの時にしか出せず、ストックに置いていくのは機関車からという有利さを持っている。

※ちなみに自分のレイルヤードに追加で同色カードを出す事は出来ない。

もう一度、目的地カードを補充して、次々にストックに置いた頃、山札は尽きた。二人だと山札が尽きたら1巡だけ行ってゲーム終了である。


機関車カードは常に一番上に置かれるので、最初にストックに移動させる事が出来るばかりか、最終的にどんな色でもなるので(今回は紫に置いているが、最終的に好きな色に決められる)非常に強力だ。また、相手のカードを捨てさせるのにも容易で、例えば、わしの緑を捨てさせたければ、僅か緑1枚あれば+機関車1で簡単にペースを乱す事が出来るのだ。

ここで、自分のストックの山札カードを使って、どれだけたくさんの目的地を達成したかを判定していく。ここに必要とする目的地カード分のカードを集めておけばいい。マンマミーアのようにやればいいのだが、途中に目的地カードを挟む訳じゃなく、ストック全体にあればいいので、もっと楽だ。このときに機関車カードを好きな色に決めていくので強力さは解るだろう。これで達成出来なかった目的地カードは全てマイナスとなる。

miaは1枚、わしは2枚達成出来ないカードが出た。

むー、決まったと思ったのにな。

そして、達成した目的地カードを使って大都市ボーナスを判定していく。シアトル、ロサンジェルス、シカゴ、ニューヨークなどの都市毎に違った得点カードがあり、目的地に書いてあるこれらの都市の数を競うのだ。


満たした目的地カード。これらの得点集計はちとめんどくさい。ビッグシティボーナスは、その都市の名前を目的地に描かれている数を競って貰う事がボーナスカードである。ビッグシティの都市は色に分かれているので、識別はし易い。

それが終わると、全てを得点集計する。

まあ、ぶっちぎり勝ちやろうなと思ったら、意外と接戦でわしの勝利。やっぱりマイナスはでかいんよなあ。

所要時間30分

その後、miaがこれはお手軽で楽しい! と言うので4回も連続でやった。最後に1回だけ負けた。

miaのコメント

これ、いいわぁ。かなりお手軽で楽しい!

ソマーリオ

最初やったときは「うーん、記憶しておくんがしんどいな」やった。ところが、miaが「面白いのでもっかい!」つうのに何度もつきあってる内に、これはこれで悪くないかもと思いだした。

確かに記憶しておくのがめんどくて、いちいち確認しながらやらんとあかんし、他の事を考える暇は一切ない。ずっとゲーム、というより自分の手札に集中しておかねばならないので、会話もなく淡々と進む。しょうもない話でもしようものなら、何色をストックに置いたかスコンと忘れてしまうのだ。だから周りからみると「つまんなさそう」とか「盛り上がりなさそう」なんて思われるだろう。

(今、使ってないのでは青1緑1のストックがある…)と常に念頭にいれてゲームを行う。達成したであろう目的地カードは横にのけて忘れておくのがいい。

まあ、大変だ。

しかし、それでもある程度繰り返し遊んでると、それほど苦痛ではなくなってくるのだから不思議だ。

慣れてくると、相手が何色を集めようとしてるかで、どこの大都市に対してたくさん接続しているかが解ってくるようになる。というのは、大都市カードには色があって、その色と列車の色がある程度対応しているのだ。目的地カードはマルチカラーなので絶対ではないが、青色をたくさん取り始めたら「ああ、こいつ、ニューヨーク間をたくさん持ってるな」と推測できる。もちろん、これは慣れてこないと余裕がないと思うが。

機関車カードは、通常のチケライよりもよっぽど重要で、始めにやった時こそ、3枚でてお流れにした(ルールには書いてないが、多分そうだろう)のを何度もやったが、このレビューにも散々書いている重要性に気づいてからは機関車カードが売れ残る事は少なくなった。

※きちんと英文ルールに書いてた。通常のチケライと違い、機関車3枚流しのルールはないとの事。あきさんお知らせありがとうございました。

というのは、列車強盗のルールである。相手の目論みを打ち砕くには、相手より枚数の多いカードで捨て札にさせるのが最も効果的だ。事実上、同色出しでしかこれは出来ないので、機関車カードが数枚あれば、例えその色のカードが1枚しかなくても簡単に列車強盗できるのだ。そして、機関車カードは常に一番上におかれるので、次々にストックにおかれ、これはゲームの最後に好きな色として使える。そう! つまり例え自分が現在使う必要がない色であっても、相手にダメージを与える為にわざわざ組み合わせて使って列車強盗しても、機関車の色は最後に決めるので、まったく問題ないのだ。

プレイ感は、チケライというよりも、サンファンそっくりに感じた。あれもカードを使って勝利点をたたき出していくが、記憶力が必要な分、特殊カードがなく、こっちの方がシンプルにまとまっているように感じる。また、ほどほどの絡みどころもあって、なかなか優秀なカードゲームではないかと思った。

チケライカードというと、昔、りんちゅさんが出した同人カードゲームはちみつを思い出す。けがわが「これ、チケットトゥライドよりおもろい!」とかのたまうので、買うてみた事があった。確かにチケライのカードハンドリングはそのままで、枚数によってポイントを加算(たしか4枚を超える分がポイントとなる)していくゲームだったと記憶している。(残念ながら、既に譲ってしまって手元にない)他プレイヤーとの絡みがほとんど無くて、カードを集める動作が強調され、プレイ感はむしろノミのサーカスに似ているなあと思ったものだ。
当時、けがわが「ムーンもカードゲーム版出したらこれとほとんど変わらない仕様になるよ」とか言うてたが、「他者との絡みやジレンマがないから、ゲームとしての楽しさが損なわれている。違う仕様になるはず」とメールでやりとりした。


これがチケライカードゲームの元祖というべきはちみつである。この萌え系の絵はたまらん人にはたまらん筈。残しとけば良かったなあ。残念。

例えば、チケライはボードという二次元的なものを加える事で早めに取らなければ先にやられてしまうとか、回り道しなければいけないだとかで、間接的にプレイヤーに絡みを持たせジレンマを与えている。ノミのサーカスはバーストルールによってジレンマを持たせている。

その数年前のやりとりの答えがようやく出たのだ。さすがはムン様、見事に他プレイヤーとの絡みを持たせてきた。その改良点がでかくて、チケライのカードという雰囲気ではなくなり、新しいカードゲームとなった。はちみつで足りなかった部分をしっかりと補っている。

欠陥は、先にも書いた記憶力がいるというところと、得点計算がめんどくさいというところがある。二人でやるとやたらめったら目的地を達成するので、足し算がかなりめんどくさい。miaはいつも電卓を用いるほどだ。

これにて5部作のチケットトゥライドも最後だろうが、いやはや、よくぞ5個も買わせやがったなと感心する。そのそれぞれに特徴がある。個人的には、最後はカードではなく、イギリスマップの機関車トーマスバージョンを出してくるのかなと思ってたが、まったく外れた。

さてさて、チケライの呪縛から離れたムーンが、次にどんなゲームを持ってくるのか楽しみである。

gioco del mondo