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Alan R. Moon
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Days of Wonder
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2〜3人
45分
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チケットトゥライド 拡張:スイス
これからあなたをレマン湖のほとりから、ダヴォスのゲレンデまで、スイス山岳地帯の中心部を通り抜ける旅へと招待します。マルティニからフランスに抜けるモンブラン・エクスプレスに乗り込み、イタリアへのベルニナ・エクスプレスでアルプスの最高峰をかけぬけましょう。(バネスト訳より)
プレイ感
チケットトゥライドを2〜3人用にチューンナップしており、付属品はボードと目的地カードだけなので駒と列車カードは元のチケットトゥライドかヨーロッパ編から借りてこなくてはならない。なるほど、これでコストとスペースを抑えているのかと思うとなかなかなのだが、実際にやるときにいちいち別の箱から出さなくてはならないのでちょいめんどくさい。ルールブックは非常に簡素で、追加のルール部分しか書いていないばかりか、列車駒をおいた場合の得点シートもボードに印刷されていない。うーん、これはいかんでしょ。とりあえず二人プレイでも、絡みが多くておもろいと評判なので、miaと二人プレイにてやってみた。
ルールは、元のチケットトゥライドに、ヨーロッパ編のトンネルを追加して、目的地カードに国に接続するカードが増えた。また機関車カードは、トンネル路線にのみ使えるワイルドカードになった。代わりに、2枚補充してもよくなった。駒は通常より5個少ない。
これが新しい目的地カード。例えば手前はイタリアからドイツに接続すると13点入る。複数接続した場合、その中で一番点数の高いだけはいるが、全て失敗しても一番低い点数しかマイナスにならないというお得なカードである。国は複数の場所から接続出来るのもいい。
最初に5枚の目的地カードから2枚以上取るのだが、路線が少ないので4枚とがめってみた。今回は国間のお得カードがあるので、これは取っておいて損はない。
わしはいつものようにカードを引いたが、miaは、いきなり列車をおいてくる。
わしはまた引くと、miaは再び1個おく。
ま、待て! 二人やと単線しか使えんルールやから、それをやられるとわしゃチューリッヒに接続出来んようになるやんけ!!
超びびったわしは、同じように列車を1個チューリッヒから出発させる。
さらに、置くmia。
わし「お、おまえええ!!! そこ置かれたらわし、むちゃくちゃ遠回りせんとあかんやんけ」
mia「だって、しょうがないじゃない」
なんつうこった! わずか3距離しか離れてない駅に連結するために、恐ろしく遠回りをさせられる。鋭角なくの字に!
これみて。青のフランスへの断線と、たくさんの起点となっているチューリッヒからの断線。右に回して僅か3の距離を迂回しまくる。
これはやばいぞ。いきなり序盤から絡みが多すぎる。今までのチケットトゥライドのように溜めて溜めてドン戦法やってたら、目的が達成できんようになる。
なんせやばいところを早め早めに押さえるべし!
mia「ひっどーい! どうしてそんな事するの!」
わし「阿呆! わしかて、ここ押さえとかんと無理なんじゃ」
喧々囂々
なんせ、目的地ごとにどうのこうのつうよりも、相手がきたら、即座に反応して自分の礎を築いとかんとえらい目に遭うのだ。数ある目的地カードの全体像をイメージしつつ、多方面にわたって線路を引いて行かねばならん。
しょうがないので左側の路線からフランスに接続。このように国は複数接続する場所があるのがいい。
わし「今までのチケットトゥライドのプレイ歴の中で、ここまで計画性がなくて酷いつなげ方初めてやわ」
もう、ボロボロである。チケットトゥライドと言えば、自分の線路が美しく連結したモニュメントが出来上がるというのに、どこかしこに分断され、無意味に鋭角に曲がって無理矢理接続する。一筆書きなんて夢のまた夢…
しかし、結構な勝率を誇るチケットトゥライディストのわしとしては、こんな状況であってもまだまだ素人のmiaに負ける訳にはいかん。ボロボロの線路プロジェクトをたたき直す。
あれ? こ、駒がぁ!!
そう、気づいたら駒が既に5個しかなく、いつの間にかゲーム終盤なのだ。本来より5個少ないので、思ったよりも線路をのばせない。しかしそれよりも、ゲームの終了が早くなる事で、新しい目的地カードを引くことすら出来なかった。最初に配られた目的地カードを達成した頃、ゲームは終了した。
なんとかギリギリ100点を出して、勝利。miaは、山ほど手札を握ってほとんど配置出来ずに惨敗。
所要時間60分 スイスの地図を確認するのに手間取ってしまった。
最終。なんだかんだと最長距離を確保。このときごっそりmiaは手札を残していた。それでは勝てない。あちこち断線して酷いなあ。
mia「もっかいやりたい!」
つう訳で再戦。
最初の目的地カードはベルン-チューリッヒ、チューリッヒ-クール、クール-イタリアなど、全部一筆書きでつながっており、イイ感じ!
わし「5枚全部貰っとくわ」
mia「ええ!」
元々スケールが小さいので、よっぽど変なとこ以外は全部取って問題はないのだ。
今度は、5個少ないのを計算にいれて線路を引いていく。
2回目はさすがに美しく路線を敷いていける。ポイントは右下にあるイタリアである。トンネル連発のアルプスを抜けるのだ!
ポイントは、ベルン、チューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルの主要都市だ。ここからほとんどの路線は連結している。この場所をある程度見とけば、目的地カードを見る時間の短縮になる。
わしはジュネーブから一駅離れたフランスから、ベルンまでを引いてくる作戦にでる。山岳地帯を通ってトンネル工事するのは避けたいので、miaとかぶりそうな部分から置いていく。
mia「ちょっと! どうしてそこにおくのよ!」
とマジで切れた。
わし「お前、たかがゲームで切れんなや!」
とわしも切れかけw
わし「回ったらええんや。回ったら。チケットトゥライドつうのはそういうゲームや」
わしの説得に応じつつも怒りのmia、南部地方の山岳トンネルを怒濤の突破。
mia「回した」
うむうむ。そうやって人は成長するんや。成せば成る! 思い通りにならんからといって投げたら終わりや。
これぞ、人生。
miaは左下から大迂回をして目的地に接続した。まさに人生を教えるチケットトゥライド。
そのころ、わしは目的地カードをさらに追加して、達成している目的地カードを選択して追加ボーナスを得ていた。
再び、勝利。所要時間45分
miaのコメント
やっぱりチケットトゥライドはおもしろい! もう完全に駄目やと思ったのに、ねばり強く回してみたら連結出来た。負けたけど凄い達成感! この絡みが楽しいのね。前のアメリカよりも絡みが多くて、こっちのがおもしろい。
このバネスト日本語ルールについてる副題『チョコレートの旅』って、全然チョコレートに関係ないんだけどw 確かに箱絵は、スイスのチョコレートにそっくりで可愛いけど。スイスの地理に詳しくなりそう。
ソマーリオ
二人でも序盤から絡みがあるように出来ている。特にチューリッヒとジュネーブは相当アツい取り合いになる。
おもろいのは、トンネル経路。確かに通常路線の方が確実に線路を引けるのだが、この通常路線ってのはひとりくらいしか使う事が出来ないようになっている。早い者勝ちに破れた場合、トンネル経路で連結せざるを得なくなっているのだが、北部モンブランのトンネル路線はよくよくみると通常路線より短い区間でつなぐ事が出来るようになっているのだ。
またイタリア方面はその名の通り悪魔の山と呼ばれたアルプス山脈に阻まれ、恐ろしく険しいルートとなっているが、後半になるとここに連結出来るか否かで大きく得点が変わってくるのが良くできている。スイスは国土のほとんどが山脈だけあって、簡単に敷設出来る場所は少ないので、いずれトンネル職人にならざるを得ないのだ。
一度、頭からトンネル路線をあえて進んでみた事があるが、それでも勝利する事が出来た。機関車カードは、1枚制限を持たない代わりにトンネルにのみ使えるワイルドカードになったおかげで、こいつを集めてトンネル路線を突き進んでみて成功した。ルール改正の弊害として後半は欲しいカードがなかなか来ず、ひたすら山からめくって、要らない手札ばかり増えてしまった事もあるが、これがチケットトゥライドではかなりヘボヘボプレイなので、上手く使うようにしなくてはならない。カードをたくさん余らせてるプレイヤーは、使い切ったプレイヤーにまず勝てない。
スイスは思ったよりも狭いので、数回プレイしたら大体どこに何があるか掴めるし、重要な都市が目的地に描かれてる事も分るだろう。やりこめば、どこを先に押さえておくか、定石のようなものすら見えてくるように思う。ある程度、主要都市を結ぶスイス網が出来あがれば、そこから目的地カードを引きまくるという作戦も有効だろう。
二人プレイでなら、これほどエキサイティングなチケライもない。レビュー通りに、完全に二人向けにチューンナップされているので、最初からあちこちで路線の激しい取り合いが行われて、相当おもろい。同じゲームにをつけるのもなんだが、これはさすがにつけておきたい。二人でチケライやるならスイスの一択と断言してもよい。
阻まれたら、回せ。スイスは、プレイヤーに不屈の精神を育むのだ。まあ、それでもメルクリンの3人プレイに比べればマシな方だ。このゲームの弱点は、先に書いたルールの不備と、駒やカードなどがついてない癖に思ったより値段が高いところと、目的地カードの地名がすべて大文字に対して、ボードの地名が大文字と小文字になっており、非常に調べにくいところだ。さっぱり意図が分からんわい。そういや目的地カードの品質が悪いという事で、代替品のカードをDays of Wonderが無料で送ってくれるサービスがあるので、ひょっとしてそれか! と思って送ってもらったが、やっぱり全部大文字でやんの。(|| ゜Д゜)ガーン!!
これでチケットトゥライドも残り1作となった。Days of Wonderも、なんだかんだとほんまに5作も作りやがったのかと感心するが、つい全部を買い集めてしまいそうになる自分にも呆れる。とはいえ、確かに初心者を交えてやるにはこれほどうってつけのゲームはなく、つい欲しくなってしまう素晴らしいゲームなのだ。人生ゲーム、モノポリー、カタン級の後世に残る名作ゲームなのかも知れない。