Bernhard Weber
&
Jens-Peter Schliemann
Zoch
2〜4人
30分
チーズのお城
ちゅーちゅーちゅー
あっちにカマンベールチーズがあったちゅー
ちゅーちゅー
こっちにはモッツァレラチーズだちゅー
ここのお城には、たっくさんのチーズがあって、最高だちゅー
ちゅーちゅー
ところで、ネズ太郎はどこにいったちゅー?
そういえば、見あたらないちゅーね
プレイ感
ネットでの評価も高く、バースのような仕掛けがおもろそうだったが、値段が高くて買えずにいた。joeyamaさんから買う事にして、mia、コツミ、joeyamaとの4人プレイをしてみた。
自分のネズミ駒2匹を、同じ絵のチーズタイルマスに乗せると、そのチーズを貰う。重要なのは1匹ではなく2匹という事。同じ絵のチーズタイルを2カ所抑えなければならない。最初、これが間違ってて1匹でチーズを取ってた。どうにも簡単にチーズが集まりすぎておそろしくつまらない。ネズミ駒は4個も不要だ。これはおかしいとjoeyamaさんが英文ルールを読み直して、ようやく解った。このチーズタイルを4種類集めたプレイヤーが勝ち。
箱がそのままボードになる。4つの塔からネズミを侵入させてチーズをゲッツするのだ! 屋根、動かぬ床、動く床と三重構造になっている。ネズミはどこの塔からも侵入可能。ちなみにこの塔がなおすときにうっとおしいのよ。
このゲームのポイントは恐ろしく精巧に作られた仕掛け。ボードは幾層にもなっており、ネズミが屋根裏を移動するという事で、移動させるには、まず一番上の屋根タイルをはがす事からしなければならない。この屋根タイルは手番の終了時に誰も載っていないと伏せられる。こう書くと記憶力ゲームのように思うが、実はその下の床タイルはスライドさせる事が可能で、それによってチーズの場所が変わるのだ。またそのスライドによって相手の手番にもチーズをゲット出来るチャンスがある。さらに面白い事に床にはネズミトラップ穴があって、駒がスコンと落ちてしまうように出来ている。
誰もいなくなった場所は、手番終了後に屋根タイルを元に戻す。ちなみにタイルを差し込める場所ってのは横サイドの緑の縁どりの赤旗があるところ。この直線上はタイルが動くが、それ以外の場所は動かない事は覚えておかないと勝てない。
手番になると、4つのアクションを使ってネズミを城に送り込む。屋根を取り、どんなチーズがあるか調査する。あれば、とりあえずその上に乗ってキープしとく。そうでないと誰かに取られてしまう可能性があるからだ。
わしは、2方向の塔からネズミを2匹ずつ送り込む作戦にでる。別にこれがいいという訳じゃなく、単に狙ったチーズがそこに出てきたからだ。ポイントは、残りのタイルがチーズの時に、端っこにネズミを寄せておくことだ。そうすれば、自分の番になればそのチーズを端っこにさしてチーズを抑える事が出来る。ただし、これは自分の事に夢中な不慣れなメンバーだからこそ出来る技である。
なんといっても、穴の開いたタイルであっても、それを差し込めば確実に落ちるであろう場所に突っ込まないという節穴っぷりなのだ。そう、慣れてくると解るが、穴の開いたタイルが出た時は、絶対に、端っこにいてはならない。ネズミが1つ減るというのは予想以上に痛いのだ。
作戦としては塔はキーである。どこから自分のネズミを侵入させてもいいのだが、塔におられると、隣接する屋根タイルしか取り除く事が出来ないので、実質、そこから侵入する事は出来なくなる。それは自分の駒も殺す事かって? いや、そうではない。一度めくっておいて、何があるか覚えておくのだ。そして別のネズミがそのチーズの上に乗った時、改めて出陣すればいいだけの話なのだ。
穴はなかなかに楽しい仕掛けなのだが、自分の駒を動かした方が効率的に取れる事が多いので、床タイルを突っ込む事はそれほどない。これは手番には1度だけしかタイルを移動させる事が出来ないというルールがあるからだ。本当なら、穴を使って相手を落としたりしたいと思うのだが、1アクション無駄になってしまって、他のプレイヤーを利する行為となりそうなのだ。
コツミ「あ!」
とりあえずタイルをスライドさせようとしたコツミは、自分の駒が穴に当たるのを見てしまう。
おろかー! 自らボンバーで死亡するか!
コツミ「辞めたら駄目?」
わしら「あきまへーん! 突っ込みなさい」
コツミ「わーん」
奈落の底へ。周りの何も知らない笑顔のネズミたち。なんか、こわっ! アガサクリスティの『そして誰もいなくなった』みたいや。
こちらでも断末魔が城内に響く!
きゃあー! ここに2つの同じチーズが見えた。ここに1つずつおけば手に入れる事が出来るが、それがどれだけ恐ろしい結末を迎えるかは火を見るより明らかである。
それ以外は至って穏和で、パーティゲームというよりも論理的なゲームといった印象だ。
どうやって効率的に駒を動かしてチーズをゲットするかに焦点がおかれる。
結局、こういった事を上手く立ち回ったjoeyamaさんがチーズを4種類集めて勝利。
所要時間30分
ネズミ大量発生。
最初にルール間違いがあって、少々気持ちがだれてしまった感があったので、後日miaと二人プレイをやってみることにした。
思った通り、二人プレイでも十分にゲームとして成り立っている。ただ二人プレイの場合、チーズタイルを2箇所発見したら、一匹はそこに留まっていなければいけない。そうでないとどいた瞬間に、相手も同じチーズを獲得してしまうのだ。
逆転が難しいという事もあるが、思った以上に楽しく、二人プレイでも十分楽しいゲームである事が解った。
joeyamaのコメント
これは、やっぱり評判通りのゲームじゃないでしょうか? 良かった、一時はどうなる事かと。
miaのコメント
楽しい! ネズミ駒はあまり可愛くないけど、結構わたしでも勝てるんだよね。
ソマーリオ
このゲームはチャレンジ精神が旺盛が故にコンポーネントにいくつか欠点がある。まず視認性の悪さ。ネズミが床タイルの上を占拠するので、ネズミ駒をどかしていちいちチェックせねばならない。次に、ネズミ駒が落ちたら、穴が狭くて取り出しにくい。それと相まって、箱全体がボードになるので、収納性が非常に悪い。穴に駒やパーツ類を入れていくのだが、出すときにどこに入れたか解らなくなるのだ。穴は全て区切られていて、床タイルをめくって調べていくしかない。塔にあたる部分もきちんと収納出来ず、箱全体がもわっとふくれるような感じになる。
さらに床タイルのスライドである。上下左右にきちんとタイルが収まっていないと、スライドさせたくても、引っかかってしまってスライドさせる事が出来ないのだ。
こういった構造上の欠点はあるが、ゲームは意外と本格派で、何度でもやりたくなるなんともいえない楽しさがある。見かけとは裏腹に爆発的な楽しさではなく、じんわりと楽しさがこみ上げてくる、そんなタイプだ。二人でもつい時間があればやりたくなってしまうゲームで、何度か二人で対戦して愉しんでいる。
内容はしっかりと硬派な作りで、子供向けという訳ではなく一般の
ドイツゲーム大賞
向けの作品といえる。ドイツゲーム大賞の推薦リストに入ったことからも解るが、なんでノミネートされなかったのか、不思議なくらいだ。どうにもこの年の大賞には不満が残る。ノミネート作は
ズーロレット
、
ヴァイキング
、
イスファハン
、チーズのお城、
テーベの東
で、大賞は僅差でチーズのお城を抑えて
テーベの東
というのが個人的見解だ。
また他に似たようなゲームとして
バース
の
ブラックロック城
があるが、ゲームのシステムはまったく違っており、あちらか記憶力を頼りに勝負するパーティゲームなのに対して、こちらは限られたアクションポイントを効率よく使うパズルチックなゲームとなっている。特に床タイルのスライドは、予想外の動きをするもんではなく、あらかじめ予定した通りに動かすツールなのだ。
最初に書いたように、様々な欠点はあるにせよ、それはアナログゲームの限界に挑むチャレンジ精神の現れであり、多少の事は目をつむってみたい。まあ、ほんま最初は心の中で、ヤフオク行きやなと思ってたw
そしてこのレビューを書くにあたって
はなしのつもりでいたが、30分で終わるお手軽な時間と相まって思い出せば思い出す程またやりたくなってくる。かつての
カリフォルニア
がそうであったように。そこで
を付けることにした。
gioco del mondo