ゲームマーケット2012ショートレビュー集

ゲームマーケット2012年春に行ってきた。いつものようにオビ湾とロビーで待ち合わせして入場。情報をまったく手に入れないままだったので、前々からゲームデザインに信頼を置いている骨折とカワサキだけ買うつもりである。他の同人ゲームの情報は、最近ではツイッターで色々やりとりしているようで、時間のないわしにはその情報がまったく追えていないのだ。だからボードゲーム界隈の話題についてはとんと疎い。なんか色々と話題に上ってたみたいだが、さっぱり解らん。

そんなブログみたいな事を書いてもしょうがないので、このHPの本業であるレビューを書く。フリースペースでやったゲームは、一瞬で売り切れた骨折のアンモナイト、カワサキの昨年販売のダチョウサーカス、シャドウハンターズの作者が作った2人用セブンスナイトの3点である。

アンモナイト / 本間直樹

タメラ、オビ湾と3人プレイ。今回発掘したい化石、アンモナイト、セコイア、うみゆり、ビカリア、三葉虫のどれか1種類を宣言して、山札から5枚めくる。その中に宣言したものがあれば、全て貰って自分の前に置いておく。残りのカードは元の山札に戻すが、その際、1枚だけ一番下に埋める事が出来る。それから一番上のカードを1枚表向ける。

最後の2つのルールのおかげで相手をはめたり、山札を循環させる仕掛けは、さすがはBoneさんといったところ。さらに最初に4枚のカードを貰いそのうち1枚だけ点数が倍になるようにもする。残りの3枚は何の役にも立たないと思えるが、実は自分だけが知ってる情報としてゲーム内で活きているのだ。
シンプルなカード構成の中にもこういった行き届いたシステムを活かしているあたり「Boneさんの失敗は日本で生まれた事や」と話題に上ったくらいである。海外で生まれてたら、有名デザイナーに間違いなくなってただろう。


取ったカードはこのように並べておく。山札の1枚目だけを表向けておくが、面倒なので横によけている。
これがヒントとなるのだ。

ただしこのアンモナイトについては、カードのハンドリングがゲームテンポを落とすという欠点がある。山札の下に入れる行為が、つるつるのテーブルでは山札を取りにくくてめんどくさいのだ。絵柄は美しくカードの品質も良いので、取りやすくするためのゲームマットまで用意すれば完璧だったw
所要時間20分で、オビ湾が勝った。

ダチョウサーカス / 川崎 晋

カワサキのゲーム全般に言える事だが、ルールブックが解りにくくてわしゃ苦手なのだ。タメラに頼む。そこにhiroceanがやってきて4人プレイになった。テーマはダチョウ倶楽部が、体を張った仕事を引き受けるかどうかとなっており、親プレイヤーから順番に、めくられている仕事カードを引き受けてもよいか抜けるかという意思表示をする。早めに抜けるとマイナスチップをたくさん貰う事になり、一巡すると、めくられる仕事カードが1枚ずつ増えていく。一人しかいなくなったらカードは総引き受けだが、複数いたら分ける事になる。

引き受けた仕事カードは種類毎に分けて置いておき、2枚までがプラス点、超えたらマイナスというコロレットのような仕様である。つまりほどほどに仕事しろという事だ。


最初に配られた手札2枚とにらめっこして、今回の仕事を受けるかどうかを決める。ビビりチップのマイナスはかなりでかい。

なんとも不思議なプレイ感で、全員が協力しているようでいて、協力していない。このプレイ感はダンジョンレイダースのようだ。様子見が出来る下家が圧倒的に有利で、一気に5枚押しつける事が簡単にできてしまう。自分が勝つために動くというゲーム慣れしたメンバーでないと、簡単に陥れる事が出来て不満が出るかも知れない。
2枚の仕事カードをたくさん貰ったわしが勝ったかに見えたが、マイナスチップがかなりキツく、少なかったタメラが勝利した。この不思議なプレイ感とバランスはさすがである。所要時間15分

7th Night / 池田康隆

予約で速攻売り切れた、シャドウハンターズの池田さんの久々の作品。2人プレイ専用で、オビ湾とタメラが予約して買うたのを遊ばせて貰った。手札3枚から、妖精駒のいる得点カードの場所に1枚出してその数字分、妖精駒を動かす。ポイントとして、妖精駒はその数字分確実に右か左に動かさなければならないので、出せないカードが出てくる。最終的に、それぞれで数字カードの合計が多い方が得点カードを貰い、これが多いプレイヤーが勝ちである。

最初は闇雲にやってたが、途中で相手をはめるのがこのゲームの勝利の秘訣だと悟る。つまり、相手に同じ場所で散々カードを出させてしまえば、他がおろそかになり勝てるという寸法だ。


このように勝利カードを並べて、駒のあるところにカードを出したら、妖精駒をその数だけ左右どちらかに動かす。勝利カードに番号が振ってあるのは、同点になった場合最も高いカードを取っている方が勝ちというものだ。

デュエルのような読み合いがありつつも、運の要素が適度にあり、さらにパズルチックで、素晴らしいゲームだった。箱も円形で可愛らしく、絵柄も特徴があって良い。また再販するかもという話なので、その時には絶対に欲しい。ゲームはオビ湾をはめまくったわしが勝利。所要時間10分。をつける。

その後miaとやってみたのだが、説明書を読むと、妖精駒を動かした先にカードを置くとある。という事はタメラに説明受けたあのときはルールが間違ってたようだ。はめるのではなくしっかりと勝ち筋を見据えていく良いゲームだった。

ノーラックポーカー / 川崎 晋

今後、カワサキが力を入れるという話の2人用ゲーム。コンポーネントが魅力的なので、miaとやってみた。タイトルの通り、運がない完全アブストラクトゲームで、お互いに5枚のチップを置いていき、ポーカーの手役を作って勝負を決めるというもの。
ポーカーの手役を揃えるというよりも、やばそうと思ったら先に降りるのにアクションを使ったりするところがよく出来ている。なんせ今回負けて次回に活かすという戦術眼が必要となってるのが良い。
見た目以上に難しい独特なシステムで、初見ではその良さを実感できなかった。というのはお互いに強い手役であるスペードやAに張り付きまくって、そこからダイナミックに動かなかったのだ。


5枚のタイルを使って手役を作っていく。ポイントは降りる事も出来るという事。アクションを強化出来る+チップの使い方が決め手となる。

カードの配置を変えたらもっとダイナミックに動きそうとは思ったが、当然それは調整済みでこうなったのだろう。ならば少し運の要素を加えただけでダイナミックに動くんじゃないかと思った。コンポーネントを含めて満足度が高く、色々と面白い試みがされているので、このシステムを昇華させるともっと面白くなるんじゃないかと思った。プレイ時間20分。アブストラクトがあまり好きじゃないわしとしては、リトルラックポーカーを希望したい。

皇帝なき帝国 / 樫尾 忠英

半年前、カバレロさんが、テストプレイして欲しいと送ってきたゲームは同じボードを使い2種類のルールがあった。1つは既存ゲームと被りすぎており良さが活かし切れていないと思ったが、もう一つの方は十分オリジナリティが感じられ、システムでやらせたい部分が無駄なく強調されており面白かった。こっちの方を一本でやってみては? とアドバイスした。そこから調整が加えられたかは定かではないが、それが今回、完全なコンポーネントとしてゲムマで売られたようだ。カバレロさんに挨拶しようと思ってたのだが、オビ湾に付き添ってあちこち廻ってたら忘れてしまった。

タイル配置で得点マーカーを取り囲み、あちらを立てればこちらが立たずといったジレンマ全開のゲームデザインとなっているのが素晴らしい。おそらく1つめのルールを知っていなければナゲッツが元ネタとは解らず、囲碁を元ネタにしたような印象を受けるだろう。むしろ柵がない分、ナゲッツよりもテンポが良く違うゲームといっていい。Boneさんも賞賛したように90年代のドイツゲームスタイルのジレンマがたっぷりとあり、目新しさは無いものの同人ゲームの中では頭ひとつ抜き出ている。陣取りゲームの佳作としてをつける。所要時間30分。
※本品を持ってないため写真なし。

ここらへんは時間があれば、膨らませて単品レビューにするかも。同人ゲームはユーザーの手に入れやすさに格差があるので、なるべくこのようなショートレビューとして紹介するようにしたい。他に付け加えたくなったらここに追記する。

星矢の拳

オビ湾がゲームマーケットの時に、ずっと人気があって未だにメンテされてる同人ゲームなんですよと言って買うてきた奴を持ってきてもらった。入れ物がクロスの形になってる拘りの一品。きちんとしたレビューをしようと思ったが、非常に長くなりそうなので辞めた。

いくつかのルールがあるが、今回は2対2の対決にした。ペアを組むといっても、一発殴らなければ正体が分からないという車田正美テーストがぷんぷんに漂う。クロスの数はかなりあって、最初は背負ってる。で、手番にサイコロを振ってそのクロスの装着が成功したかを判定する。クロスが自分の主人にそぐわないと装着出来ないという意味だ。


これが全然似てない星矢のカード。カードにはキャラクターの特殊能力が書かれている。クロスなどは上に置くが、絵がないのが残念だ。

わしゃいきなりオビ湾に一発殴られて星矢とばれる。オビ湾は魔鈴さんやった。阿呆か! その後、ゴールドクロスを来たオビ湾はタメラ、mia連合軍をしばきに行くが、miaのダンテがHPが高くなかなか死なない。わしはクロスが全然来ずに瀕死の重傷を負ったものの、星矢はセブンセンシズに目覚め、強力な星矢となる。しかしいかんせん、クロスがこない。そして死亡。

しかし、「実は生きてた!」カードで華麗に復活。


華麗に復活!

余裕で構えてたオビ湾もバルゴの必殺技千手観音なんちゃらとクロスを無効にするコンボ攻撃を食らって死亡。

しかし、「実は生きてた!」カードで華麗に復活。


オビ湾の魔鈴さんは似てる。このゲームのポイントは緑の間合いや回避するカードだったりする。

もう最後はぐだぐだのまま、わしとオビ湾が死亡して終了。カード効果とルールとのギャップを埋めるのに時間が割かれた。が、わしとオビ湾、タメラは終始にやにやしながらゲームをやっていたという。

あきれるくらいの大量のカードに星矢に対する愛があった。他にも拡張が一杯出てるが、一度ルールをすっきり整理してプレイアビリティを高めれば、かなりいける気がする。最初の基本セットの中の主人公5人の絵柄が非常に酷いので車田正美テーストの絵に差し替えたいところだ。

Love Letter / カナイセイジ

これ、いっぺんやってみてくださいよとゲムマ2012で1番人気となったカナイ製作所のラブレターをタメラが持ってきた。数字の書かれたカードを1枚ずつ持って、相手の数字を当てたりして脱落させていくゲーム。

※その後一般販売されたので、正式にレビューした。


ほかしたカードの効果を必ず適用しなければならない。カードはたったの1枚だ。

カードには相手の数字を当てたら脱落させるとか、このカードが組み合わさると負けとかカナイ製作所お得意の特殊効果が満載。最初、わしは手番が廻るまでに2人とも勝手に脱落して勝った。

なんじゃこれ?


捨てたカードは麻雀のように自分の前に並べていく。一見するとドメモのような感じだが、実のところ勝負は一瞬で決まってしまうのでそこまでの読み合いはない。

すぐに2回戦目、ここでも1回手番廻った時点で勝利。最初このプレイ感に面食らったが、3回目、4回目とこういった形で勝敗が決まってくると、このゲームがそういう味付けだと解ってきた。ククの一発勝負みたいなイメージで、確かに悪くない。
500円と安いし再販されたようなので、購入した。第二版ではチップが付き、姫様を若様に交換できたりもする。

gioco del mondo