カナイセイジ

カナイ製作所

2~4人
10分

ラブレター

駿河屋で購入
ここではない場所、今とは違う時代、とある小さな王国に、一人のお姫様がいました。 そのお姫様は気立てが良く、誰とも分け隔てなく接したため、国の皆から好かれていました。
「そうだ、このわたしの愛する気持ちをお姫様へお伝えしよう」 そんなお姫様に心から惚れ込んだ若者たちは、お姫様の心を射止めるべく、恋文をしたためることにしました。
城に仕える様々な者たちに協力を仰ぎ、自らの想いをお姫様に伝えようとする若者たち。 彼らは一癖も二癖もある協力者達の力を使い、見事お姫様に恋文を届けることができるでしょうか?

プレイ感

独特の絵柄と、特殊効果のオンパレードであるカナイ製作所が作った500円ゲームズのひとつ。500円ゲームズというのは賛同した有志が500円で提供できる同人ゲームを提供しようという試みである。正直、この試みについては玉石混合で、あまりにも石が多くて個人的には思うところがあったのだが、今回のような後にAEGから一般販売されるようなものが誕生するのだから、やられた感が強い。
ちょっと待て。というか、そんなんてRRRといい、カナイだけやん!

同人向けにはショートレビュー集というのを作り、このラブレターもそちらに載せたが、既に製品版が一般流通し始めているので、金井さんへの敬意を表すと共に正式にレビューとして書き直す事にした。ちなみにこれはTGIWの行った2012年春のゲームマーケットの評価で1位を獲得している。


最初はタメラがいっぺんやってみてくださいと持ってきてオビ湾と3人でやったのが始まり。自分の手番を迎えずして勝利したりするので面食らった。
次にmiaと2人プレイをやってみたが、プレイ感は3人の時とあまり変わらず。そして今回、年末に帰省した折にTAM夫妻、タカダ、mia、アマバのメンバーコロコロ入れ替えて4人プレイ、さらに禁断の5人、6人プレイまで行った。

最初に手札を1枚ずつ配る。手番にはカードを山札から1枚引いて、1枚プレイするだけ。その時、プレイしたカードの指示には絶対に従う事。ほとんどの場合、相手プレイヤーを脱落させるような指示が書かれている。1人以外が全員居なくなったら、そのプレイヤーが勝利。山札が尽きてもまだ2人以上のプレイヤーが脱落していなかったら、一斉にカードを公開して、一番数字の高いプレイヤーが勝ちである。


ほかしたカードの効果を必ず適用しなければならない。カードはたったの1枚だ。これはタメラの初期バージョン。

カード枚数は1が5枚、2,3,4,5が2枚ずつ、6,7,8が1枚ずつの合計16枚。すぐに終わるので、わしの持ってる改良バージョンでは、チップを獲得して2回もしくは3回勝てば勝利(姫で勝てば2ポイント)というヴァリアントが追加されている。といってもすぐなので4回でも5回でも適当な数を決めればいい。

数の最も多い1の兵士カードの特殊効果は、プレイヤーを指名して兵士以外のカード名を宣言する。当てられたら、脱落するというもの。
たった16枚のカードなので、カウンティングがいかに簡単で重要かが解るだろう。手番プレイヤーがどちらのカードを捨てたかどうかは推理するのにより重要な情報となるので、しっかりと見定めるべきである。ヴァリアントでは、どちらのカードを捨てたかどうかをきちんと明示するというのもある。

4人でやると、手番が廻ってくる間に終わるというケースがほとんどなくなり、かなりの好勝負になる。
白熱した展開で、2人、3人プレイではあり得なかった山札尽きて最後のカード勝負にもつれ込むケースも多々でてきた。

TAM「しまったぁ」

大臣+姫のバッドエンディングも健在で、その確率も4人だと低くなる事から、丁度良い塩梅となる。3人以下だとすぐになってしまうので、この2枚は数字の割にあまり良いカードではなかったのだ。


捨てたカードは麻雀のように自分の前に並べていく。こうすることでカウンティングと推理を楽にするのだ。一見するとドメモのような感じだが、プレイ感はククの方が近い。

わし「内容的に5人でも6人でもいけるんちゃうか?」

という事で、やってみた。

しかしそうすると、やはり濃度が薄くなって、ラブレターの面白かった推理要素がかなり減退してしまった。
このゲームはやはり4人専用といっていいかも知れない。

所要時間10分


こちらが最新バージョンで勝利点チップとオマケの姫カードが付いている。

ソマーリオ

3人以下だと、ククのプレイ感だが、4人だとそれはまた違ってくる。
ククに推理要素が加わってきて、プレイ濃度が俄然と増してくるのだ。
今回、評価をに変更したのは4人プレイをした結果である。

カナイさんのゲームは、特殊効果がやたらと多くて、初見ではさっぱり意味が分からないのが多い。全てのカードに特殊効果が付いており、それがシステム全体を支えているので、もの凄く取っつきが悪い。
ところがラブレターは僅か8種類の効果、さらに脱落させれば良いというシンプルなシステムなので、1、2度やってみればすぐに理解出来てしまう。そのプレイ時間も5分も掛からない。

カナイさんの特殊効果満載が、500円という制約から、幸か不幸かもの凄く上手にブラッシュアップされ、とても良い方向に出たようだ。

出来れば、ずっとこの調子でお願いしたいところだが、カナイさんは特殊カードという手法にとても拘りを持っているようなので、それが吉と出るか凶と出るかは、これから出すゲームを念入りにチェックしていかねばならないだろう。
試みは面白いが朧というキャラクターのおかげでバランスが完全に崩れている舞星なんかはその最たる例だ。

ただ、この癖のあるデザインは、大衆迎合せず、このまま進んでいくべきと思う人も多いだろう。これにデッキ構築を組み入れたり、ワーカープレースメントを組み入れたりしないで我が道を進めばいい。そこに新しい何かが生まれる気がするのだ。といっても、そういうのも見たくはあるし、いつかは採りいれねばならない日がくると思うが…。

この頑ななポリシーは幅は狭いが、世界市場でもニッチなファンを獲得出来そうだ。

その後

このゲーム、やればやるほど楽しくなった。こんな簡単なカードだけでこれほど面白いとは恐れ入った。1度や2度ではこのゲームの真価は絶対にわからないので、続けて何度もやってみて欲しい。

海外ではブルーノフェデュッティはラブレターを日本のミニマリズムとして大絶賛した。わしもその意見に大賛成だ。ただし、海外版のラブレターの絵柄は頂けない。やはり杉浦のぼるの絵であって欲しい。
日本では何故かオリジナルのラブレターは相変わらずの同人発売されており、入手出来ない人も多いと思う。一応、アークライトから萌え絵にかえて、ワンドローの他のゲームも混ぜてプリンセスワンダーとして出しているのでどうしも欲しい人はそれを買えばいいだろう。ただし絵は杉浦のぼるの絵ではない。

さらにその後、
ようやく本家のラブレターが発売されるようだ。絵はもちろん杉浦のぼるで、オリジナルの絵を採用している。

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