カナイセイジ

木皿儀隼一

ワンドロー

2人
30分

RRR

いつの時代も、権力は人を魅了する。
仁政を施す賢明なる王であっても、神の教えを説く誇り高き聖職者であっても、この誘惑から逃れることはできない。
平和が長く続いたとある国で、国家の元首たる国王と宗教の最高権力者たる教皇に、小さな声が囁きかけた。民を導くべきはただ一人である。あなたこそがこの国を支配するにふさわしい、と。
〜公式HPより





プレイ感

TGF2010にてオビ湾が購入したんで、フリー卓にてプレイ。作者はカナイ製作所のカナイさんで、ゲームマーケットの時に出したゲームをワンドローの木皿儀さんが追加見直ししたらしい。オビ湾がさくさくっとルールを読んでゲーム開始。
ちなみにRRRはスリーアールと読むんか、アールアールアールと読むんかは解らんが、アールアールアールとしておく。
正式な名前は Regality vs Religion : Revolutionらしい。


プレイヤーは国王側と教皇側に分かれ、それぞれのタイルを手元に置いておく。手番に、自分のタイルもしくは中立タイルを1枚ボードに置く。タイルには特殊効果が描かれており、基本的に置いた瞬間にだけ発動する。最終的に3×3の9マスに全てのタイルが埋まればゲーム終了で、自分の勢力の多い方が勝ちだ。

勢力は絵柄が違うだけで能力は全て同じになってる。中立タイルは毎回5枚だけランダムに選ばれ、これによりゲームにバラエティを持たせるようにできてる。

タイルの主な効果は、タイルを裏返す(次の手番開始時に取り除く)、タイルを取り除く、勢力を反転させる、の3点である。1つ目と2つ目の違いは、一旦タイルを裏返す事で、直後はそのマスに相手はタイルを置けなくなることだ。


7枚ずつ同じ特殊能力のタイルとランダムに選んだ5枚の中立タイルがある。また左に1枚あるのは市民タイルで一番最初はこれを置く事になっている。9マスが埋まった時、どちらの勢力が多いかで勝敗を決める。

これら3つのアクションをどのタイルに及ぼすか、隣のマスなのか、直線上のタイル全てなのか、斜めに接するタイル全てなのか、などが特殊能力として描かれている。ちなみにスタート時に打つ市民タイル以外は全て特殊能力付きのタイルとなっている。

実際にオビ湾とやってみると、1手番毎に悩む。全ての情報は公開済みの完全アブストラクトであり、それに加えて特殊能力のオンパレードだ。どうやればいいのか、様々なパターンを想定するとどうしても長考気味になるのだ。

オビ湾もわしもあまり深く考えずにゲームするタイプなのだが、まるで最初の1手目から千日手かのような錯覚に陥った。あれこれ考えてもしょうがないと、見逃したところはまあええかという感じで打つとようやくゲームが進み出した。

基本は置く度に相手を吹き飛ばすだ。そうして自分側の駒を増やしていく。


基本的に置いた場合にのみ特殊効果が発揮される。置かれた後は他のタイルと同じ扱いだ。また最後の9マス目に置く場合はタイルを裏返す効果は使えずそのまま置いて終わりだ。というのはほとんどがこの能力なので、泥仕合になるから最後だけは発動しないようになっている。

中盤になると、選択肢も限られてくるので、ゲームは一気にスピードアップするが、それと共に、どうあがいても勝たれへんやんという状況が見えてきたりする。

結局、わしが勝利。

所要時間20分

中立タイルを変えて2回戦目

今回の中立タイルには死神という面白いタイルが出た。こいつ、ゲームの最後にあったら、その勢力が負けというもの。

是非使って雪隠責めにしてやろうと思ったら、先にオビ湾に使われる。

意外と老練な手口で、わしの勢力にさせて、前後左右を覆いニッチも察知もいかなくしてきた。

げぇ、やべえ。

と、ふと他の中立タイルをみると、場にあるタイルを自分の手元に戻すというタイルがあった。

わし「じゃ、これで死神をわしのストックに戻すわ」

オビ湾「え? 全然、死神強くないですやん」

わし「いや、このタイルが無かったら負けてたで」

その通り、たまたま、このタイルがあったおかげで雪隠責めが阻止された。無ければ負けてたのだ。

2回戦目もわしの勝利で終わった。

オビ湾のコメント

これは非常に良く出来てますね。長考気味の人がやると時間が掛かりそうなのが残念です。

ソマーリオ

やろうとしている事は非常に面白い。特殊能力付きのオセロといったプレイ感だ。元々はカナイさんが500円ゲームとして売り出したRRというカードゲームらしい。それを木皿儀さんと改良してRRRとして出したとの事。
タイルは全て絵柄が違って凝っており、タイルの素材が軽い感じがするところはあるが、厚みもあるタイルでなかなかの完成度である。むしろそのタイルの軽さが、良い感じだったりする。またそのタイルを納める箱が気持ちが良いくらいぴったりで、高級感が漂っている。

チェスの初心者用駒裏に動かし方が印刷されるように、タイルに特殊能力が上手くアイコン化されているのも非常に好感が持てる。

ただし弱点がある。上にも書いたが、全情報が公開されており、特殊能力がある為、その手順を見つける作業になってしまうところだ。慣れた人、賢い人ならば、出てきた中立タイルを見た瞬間、ひょっとして最適手を見つけるんじゃないだろうかと思ってしまう。ここらへんはRRの時代に解ってた問題であり、RRRでは中立タイルを作り種類を増やすことで解決したらしい。しかし例えそれで最適手を見つけるのが難しくなったにせよ、その結果、RRRでは1手目からかなり悩む事になり、長考になる事は間違いない。

ゲームをやっててあまり気持ち良さを感じないというかなんというか、釈然としないプレイ感なのだ。
非常に出来が良いだけに、このプレイ感は勿体ない。なんとか軽く楽しめないものか。

特殊能力の固まりで、出す毎に、何かが起きて、っていえば陰謀に似ていないだろうか?

陰謀も(システム的に無理だが)カード公開ならば、恐ろしく長考となったはずだ。それを軽いプレイ感に仕上げて、面白くしているのは、なんつっても非公開カードの部分だろう。
言い方を変えれば、RRRは陰謀を二次元的に広げたゲームとも言える。

そこでヴァリアントを考えてみた。どこかにも書いたが本来、ゲームは遊び方を含めた包括であるので、1ユーザーがヴァリアントを考えて遊ぶというのはゲームの評価にはならないし、作者にも失礼だ。それを承知の上で、ゲームは自分たちが楽しめればいいというスタンスで考えてみる。

中立タイルも、自分の勢力タイルも、全て裏向けにする。そして、自分の勢力タイルを3枚だけ(少ないようなら5枚の方がいいかも)手札として見る。中立タイルはめんどくさいので5枚ともオープンでもいいと思うが、3枚だけ表向けにするのもいいかも知れない。その場合順次使えば1枚ずつ手札補充したり、中立タイルを表向けにする。

これで最適手が見つかる事はなくなり、手札3枚という事で考えるパターンが大幅に減るだろう。とりあえず出すしかないという状況が作られる事になる。また場にあるタイルをストック勢力に戻す場合は、表向けに戻し、手札補充するときは、表向きのタイルを手札に加えてもいいし、裏向きのタイルを加えても良いことにする。

相手のストック勢力を除外する効果は、ブラインドで手札をほかしてもいいし、ストック勢力をほかしても良いことにする。ほかしたタイルは表向けにする。

あるいは、上記のヴァリアントをちょっと変更して、ボード上に5枚目のタイルが置かれたら、全て使えるように裏向きのタイルを公開するというのは面白いかも知れん。というのは長考しがちになるのはゲームの序盤で、ある程度進むとどうすればいいのか見えてくるのでさくさく置けるようになる。

現状だとどうしても長考してしまい、ゲームの楽しさが完全に損なわれている。もうひとつ何かがあればいいと思って提案してみた。他に何か良い案があれば、やってみればいいと思う。

詳しいルールやFAQなどは公式ページにある。
あと、プロモーションタイルが3枚だけTGFにて配布された。ルールなど概要はこちらを参照のこと。
わしも備忘録のためにここに効果を書いとく事にする。

●《冒険者》アクティブ
効果:中立の場に存在する中立タイル1枚を自分の場に加えます。

●《木皿儀隼一》アクティブ
効果:このゲームで使用していない中立タイルをランダムに1枚引き、自分の場に加えます。

●《カナイ セイジ》パッシブ
効果:このタイルが味方である場合、あなたの手番中にこのタイルを捨て札にすることができる。

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