Marcel- Andre Casasola Merkle
Rabensburger
3〜5人
45分
呪いのミイラ
駿河屋で購入
何世紀ものあいだ、アメンホテプ王のピラミッドは砂の奥深くに埋もれて失われたと思われていた。それがいま姿を現し、4人の勇気ある探検家が宝を求めて探索を始めた。
しかし、アメンホテプ王のミイラが安息を知ることなくピラミッド内をさまよっている。探検家たちが自分の宝を盗むことを奴は決して許さず、探険家を見つけたら玄室に放り込んでしまう。だが、探検家がお守りとして持っている貴重な3つのアンクを1つ差し出せば自由になることができる。
探検家の誰かが求める宝をすべて集めるだろうか?それともミイラが侵入者たちを撃退するだろうか?
(hirocean訳)
プレイ感
今回のゲーム中会の目玉はずばり、こいつだ。一見するとバース作品のようだが、デザイナーはなんと、ゲーム業界にマンネリの危機感を抱いているというカサソラである。mia、コツミ、OECとの4人プレイにて。
衝立を挟んで、ミイラ役と探検家役が向かい合う。探検家は5つの宝を見つけたら勝ちで、ミイラは探検家を捕まえるとアンクを1つ奪い、これを規定された数(4人プレイならば6枚)集めたら勝ちだ。始めは、わしがミイラ役をやってみた。
これがミイラ側からみた図。ミイラは、自分しか見ることが出来ないので、写真撮ってもあまりつまらんなあ。実は下のキャンプのボード、逆なのです。この写真を撮ってから気づいて変更したんやけど、ボードの絵を変えてるところといい非常に凝ってる。
こっちが探検家側の図。ミイラは白の駒なのだが、ちょっと反射して見難いが、こっちが全ての情報を見る事が出来る。探検家は、宝物の場所に止まると、その宝を手に入れた事になり、カードを表向ける。
探検家が5個のサイコロを振る。で、その中でミイラの絵が描いてあるサイコロは横にのける。これがミイラの移動力となる。探検家は、出た目の好きな数をミイラに宣言して進むのだ。もし、好きな数がなければ、ふり直していいが、ミイラのマークが出るたびにのけていかねばならない。
序盤からコツミは2つのミイラマークを出す。出目は1〜4と突き当たりまで直進し続ける矢印マークがあるので、それを宣言して、進めた。
コツミ「お宝ゲット」
ボードには、お宝の絵が描かれており、最初に貰ったカードと一致するマスにきちんと止まると、お宝を撮りましたとミイラに見せて宣言するのだ。
というのはミイラ役は探検家がどこにいるか解らないのだが、探検家はミイラがどこにいるか解るようになっている。お宝をゲットした時に、ミイラはその探検家がどこにいるか解るようになっている。
これがサイコロである。茶色はミイラ専用サイコロだ。このようにミイラの目が出たら、横にどけておき、この目がミイラサイコロと足してミイラの移動力となるのだ。矢印マークは、突き当たりまで真っ直ぐ前進する目で、ミイラを騙せないように必ず1マスは前進する方向に移動しなければならない。
ミイラ「ど、どろぼー!! わしの宝を返せー!!」
まったくその通りだ。探検家というと聞こえは良いが、住居不法侵入の泥棒である。
半べそをかきながら、ミイラをコツミに向かって突進させる。
OEC「うわ、こわっ! でも考えたら、王自ら見回りするって可哀想ですよね」
がっちゃーん!
プレイヤーと同じマスに達すると、磁石の力で探検家駒は吸い付けられるようになっている。
コツミ「あー!」
ミイラ「アンク寄こせ」
プレイヤーはそれぞれ3枚のアンクを持っており、これが無くなるとゲームから脱落する事となる。そして捕まったプレイヤーはとりあえず玄室に移動させられて再スタートとなる。
mia「じゃ、わたしもお宝ゲット!」
OEC「僕も、これゲットです」
今、赤のmiaが宝物をゲットしたところ。白のミイラ駒が同じマスに入ったら、磁石でがっちゃーんとくっつくことになる。捕まった駒は、中央下にある玄室から再スタートしなければならない。
ミイラターン。ミイラは確保したミイラの数と、別にあるミイラサイコロを振った合計だけ進める事が出来る。ほとんどは1だが3の目なんて出たら、一気に進める事が出来るのだ。
ミイラ「おぉぉぉ、あぁぁぁ!」
mia「うわぁ、来た」
がっちゃーん。
ミイラ「玄室入って反省しろ! 反省を! ぷんぷん」
最初は、宝を手に入れようと躍起になるあまり、ミイラの位置をあまり考えずに次々にお宝を手にしようとする。そして何度か玄室に放り込んだが、段々と探検家も注意深くなっていった。
OEC「これ思ったよりも速いですよ。気をつけないと」
mia「手の動きでばれてるんじゃないかな? もっと隠そうよ」
コツミ「じゃ、わたしがボード支えたげるから、隠してやって」
ミイラ(…こ、こいつら。盗人猛々しいとはこのことやな)
こそこそと動きだしつつ、コツミは3枚の宝をゲットしている。他の二人も2枚ずつ持っている。や、やばい。
王としては姑息かも知れんが、玄室付近から出た奴を狙おう。なんせ6枚集めたら勝ちだ。
アンクを既に4枚集めている。緑のアンクはコツミのだ。
ここで重要となるのが、相手が宣言する数である。玄室からは2カ所の出口があるので、そのどちらから出たかを憶測すれば…
ミイラ「ぉぉおおおお、あぁぁぁ!!」
コツミ「あー、やられたぁ」
最も重要なのが割り込みミイラターンといえる。脇によけておいたミイラの描かれているサイコロをプレイヤーはリセットする事が出来る。リセットを宣言すると、先にその数だけ割り込みで移動する事が出来るのだ。それから、プレイヤーは全てのサイコロを振って行動する事が出来るようになる。
OEC「リセットしていいですか?」
mia「しょうがないな」
さすがに振れるサイコロが1個になったらリセットするしか方法がないだろう。
OECがリセット宣言すると、ミイラが4マス動く。OECはラストプレイヤーなので、その後すぐにミイラターンが出るので、その移動力は強力なものになるだろう。
OEC「じゃ、…あー、ミイラまた2つ出してしまいました」
これにより更にミイラは動きを速める。しかし…
ミイラ「あ、あれ、ここらへんに居ったのでは??」
mia「そんなんずっと前だよ」
こ、こいつら、段々と動きにブラフを交えてきやがった。くっそー!!
ところが、やたらと皆がミイラのサイコロを増やしてくれるのとOECの何度かのリセットのおかげで、ミイラは非常に活発に活動出来るようになった。狙うは、玄室付近だ。
ミイラ「おらおらー! 洗いざらいサルベージじゃあ!」
OEC「こえええ!!」
ばっちーん!
ミイラが近づくとこんな感じでばっちーんとくっつくのですぐに解る。これが勝利の瞬間である。
ミイラ「アンク6個達成! 勝利!」
所要時間20分
初代ミイラ「次、ミイラやりたい人!」
OEC「はいはい!」
つう訳ですぐに2回戦目。
わしがミイラやった時考えたのが、すぐにお宝を目指してはいけないという事だ。ミイラは予想以上に速いのだ。嬉しがって宝を取りに行っては、すぐに捕まってしまう。
そこで、チャンスが生まれない限り、逃げ回るという作戦に出た。
確かに4を選べば、最初の宝は手に入る。しかしミイラとの距離が5マスと近い。ここは一旦スルーだ。
二代目ミイラ「おおおお!」
ばっちーん!
せっかく逃げた場所にミイラがくるとは…_| ̄|○
二代目ミイラ「やった! これ楽しい!」
しかし、そこからは全員、前とは手のひらを返したように、お宝を徐々に集めようと逃げまどう。
それ以上に、腕を見せないようにして、ブラフの手の動きを交えてOECの目をくらませる。miaの動きなど、ほとんど、ブラフの動きだけで駒にまったく触っていないのだ。
(こいつ、前もこんな姑息な事をやってたのか…)
わしもようやく1つ目の宝をゲットする。しかしそこは行き止まりなのだ。当然
青色のわしが突き当たりのマスに入っている。ここからリセットされ、恐るべきスピードでミイラが迫ってくるのだ。
二代目ミイラ「そこですか。いきまーす!」
徐々に近づくミイラ。次のターンにはやられそうである。そこでわしは映画でよくある方法を思いつく。
一旦出たと見せかけてぐるっと回って元の行き止まりの位置にかえってきたのだ。サイコロの目は余らす事は出来ないが、行ったり出たりはOKなのだ。
二代目ミイラ「あ、あれ?? あきおさんどこですか?」
目の前でウロウロするミイラ。miaもコツミもそれをみてニヤニヤ。
周りをうろうろするミイラw わしゃ出たと見せかけて同じマスに留まってるんよ。サイコロの目は全て使わなければならないが、折り返して元の位置に戻ったって寸法。
そして、ミイラがウロウロしている隙にダッシュして逃げる、わし。
二代目ミイラ「あーー!! ひょっとして! その手があったのか! やられた!」
わし「ふぃー、助かった。もうそこには居ません」
二代目ミイラ「悔しい!」
しかし、こういったのもつかの間、中央部に陣取るミイラはかなり手強く、あっという間にコツミがアンク3枚取られて脱落。そのおかげでミイラは楽になったのか、またしてもミイラの勝利となった。
今回はじっくりやったにも関わらず、宝の集まり具合は前より悪かったとさ。
所要時間40分
OECのコメント
お宝が欲しくても、物音を立てるとミイラが猛スピードでやってくるのが怖い!
目標を見失ったミイラが、ふらふらと徘徊してるのが怖い!
ミイラと同じますになった瞬間にマグネットで「ピタッ!」とくっついた瞬間「ぎゃー!」と叫びたくなる!
やってるのが大人だからか、ミイラが強すぎたけど、もっと慎重になれば・・・サイコロ次第かw
miaのコメント
あー、次ミイラやってみたかったな。ゾンビとかこんなの大好き!
ミイラのコメント
ALSOKにはいりてえ……
ソマーリオ
いやあ、おもろかった。皆にも大評判でした。メビウス能勢さんの
呪いのミイラのブログ
に載ってから、何時メビウスで取り扱ってくれるかとずっと待ってたんやけど、まったく出ない。ひょっとしていまいちおもろないんかなとさえ疑ってたが、面白さはまったくもって想像通りやった。
ミイラが近づいてくるとドキドキしてボードを見ていられなくなるのだ。ミイラが向こうに行った時のほっとする事。まさに作者カサソラが描いた通りのおもろさがきっかりとプレイヤーに伝わるように出来ている。
一見すると子どもゲームに思えるが、そういうジャンルではなく大人も子どもも同じように遊べる非常に優れたゲームだ。今のところミイラがやたらと強く感じるので、探検家はお互いがもっと協力しあわなければ勝てないのだろう。そういった意味では子どもゲームというより、完全に大人のゲームかも知れない。じっくりと周りの探検家の事を考えて移動させなければ、どうしようもないのだ。
ミイラ側から探検家は見えないが、探検家からはミイラの動きが解るという仕掛けもさることながら、非常に良くできていると思ったのは移動方法である。単にサイコロを振って進むというのでもゲームは成り立つのだが、それではあまりにも子どもゲームすぎる。子どもゲームなら衝立と磁石という仕掛けだけで十分ゲームとして成り立っただろう。これが大人向けという理由はここにジレンマを持たせた事である。
サイコロを振るとミイラの目がある。通常そのサイコロの数がミイラの移動力となるのだが、プレイヤーは何度でもミイラの目以外のサイコロを振り直す事が出来るのだ。プレイヤーにとってリスキーだが、矢印が出ればたくさん進める事が出来るかも知れない。しかしこれは次のプレイヤーの事をよくよく考えねばならない。また溜まりすぎたミイラの目をどうするかという問題もある。ミイラの目はずっとそのままミイラの移動力となるので、たくさん溜まる前にリセットを掛けてしまう必要がある。でないと、毎回ミイラは高速移動してくる。今回はそれに気づかなかったので、ミイラが凄く強く感じたのかも知れない。まさに大人が楽しめるジレンマをしっかりと織り込んでいる。
カサソラはゲーム業界が末期的症状と言うだけあって、非常に優れたデザインをする。余裕でボードゲーム並のボリュームを持つ
フェレータ
、モイタラという傑作カードゲームを世に送り出したかと思えば、ガチンコ勝負出来る(わしはあまり好きじゃないが)
アッティカ
などもデザインした。まさに開けてびっくり、見事なデザインセンスで、今回も十分にそれを堪能する事が出来た。
コンポーネントは見たとおり、素晴らしい。サイコロも木製でしっくりと手になじむ。磁石の埋め込まれた駒は、ミイラはミイラの頭部の形となっており、非常に掴みやすいし、探検家の駒にはよく見るとホルスの目が描かれているところは芸が細かい。ボードも雰囲気たっぷりなエジプト風の絵だ。
ちなみに
バース
のテーマにこういったエジプト物が多いが、
ファラオの墓
、スフィンクス、
ルクソール
とエジプト物ではないが、
サルの神殿
と合わせて、探検家気分を味わえるゲームを通じて探検家ゲーム大会なんかをやってみたくなる。
また逃げる側の探検家がおもろいのは当たり前だが、たいていこいう追いかけっこのゲームは
スコットランドヤード
のように追いかける側ってのはつまらないものだ。しかしこのゲームは違う。ミイラも楽しいのだ。ヒントがしっかり出ているからだと思う。追いかける側ってのは最初、割と当てずっぽうでやらなければならないのが多く、それが結構苦痛だったりするが、これにはそれがない。プレイ時間も短く、ガチで勝負も出来、しかも全員に勝ち負けまであり、スコットランドヤードデザインの正常進化がこの呪いのミイラじゃないかと思えるのだ。
しかしまあ、ミイラも大変やなと思う。王様自らが巡回して、自分の宝を守って、あちこちで宝が盗られたという警報装置が作動すると、そこに急行して。ホラー映画なども見方を変えねばならないかも知れん。そら、ツタンカーメンも呪いのひとつも掛けたくなるわいな。
それはそうと今度は是非、探検家で勝利してみたいものだ。どうやったら勝てるのか、上記のリセット問題も含めてちょっと考えてみたい。と、思いきや
hiroceanさん
によると「ウチではミイラの勝率低めですけど、走りすぎる探険家が狙われているあいだに他の人が勝つっていうパターンが多いような気がします」だってさ! おぉ!
メビウスでも取り扱いを開始したようで、紛らわしいのでミイラの呪いから呪いのミイラという名称に変更しときます。最初、メビウスが掛かってる言葉を間違うて訳してるんかと思ったけど、おそらく検索でヒットさせやすいようにと前と後ろを変えてるのでしょう。
gioco del mondo