|
菅沼 正夫
|
グランディング
|
2〜6人
30分
|
すきもの
日本全国で様々な茶器が売られています。
何がどこで売られているのかは、いってみるまでわかりません。
あなたは、茶器屋の主人から毎ターン5両の給金をもらえます。
茶器屋の主人が求めている商品と買取価格が伝えられます。
プレイ感
久々のゲーム会で、ローとタメラが持ってきたものがバッティングしたのがすきもの。街コロ、ひつじがいっぴきでボードゲーム界に鳴り物入りで登場したグランディングの3作目の巷の評判はすこぶる良くて、いっぺんやってみたかった。ロー、タメラ、miaとの4人プレイにて。
各地を表す畿内、東海道、北陸道など8カ所に茶器カードの山札を作る。需要ボードに需要茶器カードを5枚めくって、それぞれのランクに応じた価格にセットする。
茶器には松竹梅のランクがあり、松は10両、竹は6両、梅は4両と最初の価格が決まっているのだ。
5枚の茶器カードをめくり、松竹梅のランクにあわせて需要ボードの上に並べる。その位置にある価格で売れるという事だ。
1の番号タイルを持っているプレイヤーから順番に、好きな山札を選んで受け取る。
よーいどんで、その山札を各自一斉に見て、欲しい茶器カードを選んで、裏向けにして抽出していく。これらのカードが買い入れにあたる。値段は裏面に書いてるので、自分の予算に合わせて好きなだけ買う事が出来る。
もう要らないと思ったら、場にある番号タイルを若い順に取っていく。全員が番号タイルを手に入れたら、購入した代金を支払う。
番号順に、自分の買い入れた茶器カードを需要ボードにある値段で売っていく。売った枚数だけ需要が満たされ価格は下落してから次の番号のプレイヤーの手番になる。
次のラウンドを始める前に、完全に需要が満たされたカードを取り除き、残っている中で一番左のカードを取り除いてから、まだ残ってるカードを1段階価格を上げて全体的に左に移動させてから足りない場所に需要茶器カードを補充する。文章にするとややこしいけどドイツゲームでよくある処理で、残ったカードの価格が1段階あがるところがミソ。
こうして最初に50両にしたプレイヤーが勝利。
8箇所に山札は分けておかれる。ここにお宝が眠っているという事。
いんじゃんで決めた順番タイルからmiaが最初に山札を選ぶ事になった。
mia「じゃ、畿内」
わし「お前、こういうのは畿内に決まってんのに、汚いのう。そこにええのが眠ってるに違いない」
このゲーム、早い話、現在、需要にあがってる茶器カードを選び出して、それを売っていくゲームだ。
次にわしが東海道を選ぶ。
こうして全員が、揃ったところで、1のタイルを持っているmiaがよーいどんのかけ声。
一斉に、中身を確認して、需要にあがってる茶器を選び出すのだ。
(おお、結構、あるやん。価格も1両やし、どんどん買え買えー)
山札に置かれた茶器カードは複数枚の同じカードがある。松などランクの高い茶器ほど全体の枚数は少なくなっている。面白いのは裏面に書かれている価格がバラバラなのだ。例えば梅の茶器は1〜3両となっており、松は8両、10両だ。今回の手番でわしは、最初に貰った5両で買えるように、梅のカードを選んだのだが、運の良いことに全部1両だったのだ。
タメラが一番最初に終えたようで、1の順番タイルを取る。
わしも3枚選んで2のタイルを取る。
こうして全員が買い入れ完了。
それぞれ裏向けに出した買い入れた茶器のお金を支払う。
タメラ「じゃ、これを売って、お金を貰います」
タメラが売った茶器の価格がその枚数だけ下がる。次にわしの番だ。
わし「わしは、この3枚を売って10両ね」
1の札を持ってる人が合図をすると一斉にこのように山札をみて、自分の欲しいのをピックアップしていく。価格は裏面に書いてある。横に見えるのがそれだ。今回は運良く需要にある梅の茶器がみつかりすべて1両ばかりだったのだ。
タメラが売って2両にされた梅カード1枚と、別の梅カード2枚を4両で売った。
売る場合は何枚であってもその価格で売ることが出来るが、下がる時は枚数分下がる。梅は2段階落ちると買い取り不能となる。
これにより2枚の梅カードの需要が満たされ、売ることが出来なくなったのだ。
タメラ「全部1両仕入って、無茶苦茶、効率的じゃないっすか!」
わし「近江商人の三方良しや。売り手良し、買い手良し、世間良し、やでぇ」
mia「あああ!!! ひっどーい!」
わし「なんや、お前、売らへんのけ?」
mia「不良在庫になった」
需要に出てくる茶器は1枚ずつしかないので、一旦そのカードの需要が満たされてしまうと再登板はないので二度と売ることは出来なくなる。不良在庫として抱えるしかないのだ。しかもたかが梅の茶器に対して3両とかで買うてるしw
ロー「じゃ、僕も売りません」
わし「え、なんで?」
タメラ「先物買いで、出てきた時に売る作戦なんですよ」
ロー「前にそれで勝ったからね」
タメラ「でも、全部出てこないうちにゲームは終わりますから、出てこなかったら不良在庫なんです」
これで1ラウンド終了。
需要ボードにある残ってる茶器カードの一番左と既に需要が満たされたカードを捨てて、新しいカードを配置。
それからラウンドの開始時に5両の俸禄が貰えるので、すかたんをこいたとしても、ゲームオーバーにはならない。
(お、おおお! この松の茶器は、さっきの東海道に入ってたで!)
なんとなく茶器の絵柄を覚えてたおかげで、再び東海道を手にすることにした。
どこになにがあったかという記憶力もこのゲームでは面白い要素のひとつなのだ。
そうそう、わしの記憶力のなさについてはここで何度も書いてるので疑問に思うかもしれないが、プレイした感じやあったかもというざくっとした曖昧な記憶に関しては強い。神経衰弱のようなきちんとした記憶となるとさっぱり駄目なだけで、マンマミーアみたいな100%覚えきることが出来ないようなケースでは、大体こんなもんやろとざっくり見積もる事が出来るのだ。
このラウンドでは、わしは8両で手に入れた松の茶器を売るのを辞めた。1回、スルーすることで価格をつり上げて売る作戦に出た。松の茶器は2枚ずつしか入っていない。誰かがそれを手に入れた可能性がないのを確認したからだ。どのように? 買い入れたカードは裏面の買い入れ価格を表示して場に並べる必要があり、10両のカードが無かったのだ。
初花肩衝。一回スルーして、天下の名品にしてから売ってやる。ちなみにラウンドの最後の処理は需要がまだ残ってるカードのうち一番左にあるカード(一番古い需要という意味)もなくなってしまうので、天下の名品にするときには注意が必要。
松は1ランク上がると、天下の名品となり、15両となる。
面白いのは天下の名品となると、1度売ってしまうと、需要は終わる。天下の名品は1個しかないのだ。もう1枚はゲーム的に贋作となるのだ。
3ラウンド目。ポイントは誰よりも速く、手番タイルを取ることだ。周りで8両、10両クラスの買い物をしてたからだ。速攻で、1のタイルを掴んだ。
わし「じゃ、これを売る」
タメラ「天下の名品じゃないっすか!」
mia「ちょっと!! 何それ! またしても不良在庫」
わし「三方良しやでぇ。売り手良し、買い手良し、世間良し」
ロー「先物買いした奴が出てこない」
タメラ「前は絶好調だったじゃないすか」
ロー「今回は上手くいかない」
人は成功から学ぶことは出来ないものである。
更にラウンドは進むと、こういった葛藤も生まれる。
またしても見たことのある松カード。選んでみると、なんと2枚とも同じ山札に埋もれていた。
確実に自分だけが売ることが出来る。天下の名品になるまで待てばいい。しかし、ここで効いてくるのは、一番左端のカードが捨て札になるという事だった。ここで悩んだあげく、松の初期値10両で売ることにした。ほとんど儲けはなかったが、近江商人と化したわしは圧倒的な商売上手さで無理することはない。
俸禄の5両を足したらぴったり50両となった。このラウンドで終わりである。
ぴったり50両になった。ここで無理する必要はないので、1のタイルを取ることを最優先事項とする。
ロー「え、まじ。しょうがないんで、これ売ります。8両」
タメラ「一体いくらで仕入れたんですか? 裏面見せて貰っていいすか?」
わし「13両ってw」
ロー「だって、しょうがないじゃん」
所要時間20分
わし「三方良しやでぇ」
最終。ちなみに需要が満たされたカードはこのように裏返しにしていく。
ローのコメント
前にやったときに面白かったから、買ったんだよね。古き良きドイツゲームって感じ。耳かきみたいな奴は、間違うので要注意よ。ずっと違うの持ってたから。
miaのコメント
運が良いだけよ。不良在庫は痛すぎた。
ソマーリオ
最初に並べたときに想像したのは、キーラルゴだった。キーラルゴのように眠っているものが、複数の山札となって存在しており、様々な情報から引き揚げを行うシステムとなっている。同様のシステムとしてテーベの東もある。あちらは袋にタイルを放り込んで、それをランダムに引き出すことで、発掘の不確定さを加味している。どちらもその実際の雰囲気が上手くアナログゲームとして落とし込まれており、非常に面白いゲームだ。
そしてこのすきものでは、各地に散らばっている茶器を探し出して儲けを得るのだが、その過程がリアルタイムで、本物のように目利きをして選択していかなくはならない。プレイヤーが行う動作が、まるで本物の商人のような気分にさせてくれる。茶器というテーマ、商人というテーマ、そしてリアルタイム制、全てが上手く合致しており、ゲームシステムとして上手く落とし込んでいる。
アナログの良さをこれほど見事に再現しているのはそうそうお目にかかれないだろう。プレイヤーの一挙一動が本物の目利き商人の気分にさせてくれるのだ。
この手のシステムはどうにも男心をくすぐってくれる。
システムのオリジナリティもさることながら、ランクによる価格変動、カード枚数、需要ボードのハンドリングなど非常によく調整されており、丹念なテストプレイをしたのが伺える。
価格の変動システムについては、王妃のネックレスを参考にしたように思うが、天下の名品ルールなど、非常によく練られている。
よくぞ茶器というテーマにしてくれたものだ。と思う。
すぐにでもドイツの一般流通にのせるべきである。このゲームは楽にドイツゲーム大賞のノミネートくらいされそうだ。そのとき如何にも日本的な茶器というテーマが間違いなく後押ししてくれるだろう。
43種類の茶器カードは全て実在しており、絵柄は美しく、松竹梅によって需要ボードの背景色と一致するように出来ている。これはプレイするための視認性の向上だけでなく、高価な茶器というアイテムとしての高級感をも同時に醸し出している。
作者の菅原さんには街コロ、ひつじがいっぴき、僅か3作目で、これほどアナログマインド溢れるゲームを作りだすとは、はっきり言って驚きである。
唯一の欠点は、リアルタイムということで得手不得手があるということだ。順番タイルを持ち回りでというオプションもあるようだが、このゲームのシステムの良さが目利きのスピードという部分に包括されてるので、なかなか難しいところ。
例えば黄金の茶室などの勝利点カードを別に用意して、それを買う権利は数字タイルの逆順にし、規定枚数買えば勝利という形にしたら早い者勝ちという欠点を補い、さらにゲームに深みを与えるような気がする。勝利点カードの枚数や値段など調整は必要だが、何時買うかという作戦もでてくるだろう。
リアルタイムの得手不得手をこのシステムの良さを潰すことなく少しでも緩めることが出来たらドイツゲーム大賞を狙える。というか当確かも。
こうして書いてると益々欲しくなったので、今度のゲームマーケットで買う。6人までプレイ出来るので大阪帰省のおりに持って帰ってやろう。信長の野望 戦国群雄伝でやたらと茶器が欲しかったのを思いだした。茶器をテーマにした小説と言えば、司馬遼太郎の短編『割って、城を』の一読を勧めたい。茶器とは偉そうな人が良いと言えば価値があがるもんなのだ。
せっかくなのでルールブックなどに茶器の由来などが欲しい。自分のものではなく未確認なので、書いてたらすまん。