Paul Randles
with
Bruno Faidutti
&
Mike Selinker
Tilsit
3〜5人
50分
キーラルゴ
西暦1899年
ここはカリブ海に浮かぶさんご礁に囲まれた楽園キーラルゴ。
ベイエリアには、ヨットが停泊し、日曜日になると多くの観光ダイバーたちが訪れる。
ここで俺は、とある情報を手に入れた。それは海に眠る沈没船の財宝である。
やった! これで俺はお金持ちだと思いきや、そうはいかない。
ハリケーン・ケイティが10日後にこの島にやってくるというのだ。ハリケーンが去った後は、大手企業がこの島にやってきて、俺たちを追い払うという噂だ。
そう、つまり、この10日間が命だ。この間にお宝を洗いざらいサルベージしてやるぜ!
プレイ感
東京でジョイフルハイパーに行ったとき、この箱が目についた。すさまじくわしの琴線に触れるテーマである。biscoに電話して聞いてみると、結構おもろいという評判ですよとの返事。すぐに大阪に送ってくれるように注文した。
※このゲームはランドルスの遺作で、それを眠らせるのは勿体ないとフェドゥッティとセリンカがバランスを取って出したらしい。
TAM、たっかんとの3人プレイにて。
手番に午前と午後の2アクションを行う。アクションは、財宝探しに潜るか、潜水器具を買うか、観光客相手にアルバイトするか、財宝を土産物屋に売るか、酒場で飲むか(新しいダイバーを雇ったり、酒場に入り浸りの引退したベテランダイバーに噂話を聞くかを決める)を選ぶ。
これだけですっかり雰囲気ばっちり、RPG気分にすっかり入り込めるのが分かってもらえると思う。またわしゃ、こう見えてもダイビングライセンスを持っているので、午前午後の2アクション制というダイビングを知ってるものなら思わずニヤリとするルールもワクワクさせる。ダイビングというのは窒素酔いというのがあるので、体に溜まった窒素抜きのために、午前1本、午後1本潜るのが一般的だ。それから、ダイビングログを書き、他のダイバーたちと語ったり、飯を食いに町に繰り出したりするのだ。このゲームではそういった観光地ムードがたっぷりと楽しめるカードやボードの絵柄になっている。この絵はかなりイイ!
※厳密には、潜った深度と時間を使った計算式があるのでどれくらい窒素抜きに時間をかけるか決める。
早速、ダイビングを始める3人。このゲームでは、目的地がバッティングすると値段が上がったりして損をするシステムになっている。いきなりTAMと酒場でバッティング。
ボードの周りに深度の違うカードの山を作る。これがいわゆる潜水スポットである。ボードに配置するのではなく、こうやって周りに置く事でゲームの雰囲気が上手くアップしている。
わし「お、お前ぇ。お前も酒場にきやがったのか!」
TAM「そら、そうですわ。最初はやっぱり有力ダイバー雇わんとね。マンパワーですよ」
わし「そやな。ふふふ(ギラリ)」
…こんボケ、かぶったら雇うん高なるやんけ!
TAM「ですよね、ふふふ(ギラリ)」
…いきなり、そうくるとはむかつく!
それを尻目に、観光客案内して、バイトするたっかん。
たっかん「で、電話番号教えて!」
(こいつ、観光女性客狙いか…)
※ゲームにそんなんはありません。念のため。
初期から戦略が分かれる。まずは深いところを潜れるように重装備を買い付ける。財宝がある場所は3つの深度があって、当然深い海ほど価値のある宝物が沈んでいる。が、その分、海のモンスター(ダイオウイカと思われる)が出て危険度が高いのだ。
わし「TAM、お前もか!」
TAM「わー、もう勘弁してください」
店のおっちゃん「さぁさ、お二人さん。いらっさい、いらっさい(ラッキーね!)」
わし&TAM「潜水チューブ、ください!」
わし&TAM「げぇ!!」
店のおっちゃん「これ、人気商品なんで、安くは売れないよ」
わし&TAM(ちきしょー)
※装備はより深く潜れるようにするチューブ、怪物退治に使う銛、潜水時間が長くなる重り(1回の潜りで2枚貰えるが使い捨て)の3つがある。チューブがない状態では浅瀬のみ、1つ追加で中深度、2つ追加で深海に潜ることが出来るようになる。
よーっし、ダイバー二人体制完了。ケーブルがないんで浅瀬なら2枚ゲット出来る。ヨットがいるのが現在地。これはカードで一斉にオープンしてから置くのだ。浮き輪の近所に2艘泊まって人気なのは、ここで遭遇カードが手に入り、色んな人と出会ったり出来るからだ。
と、それを尻目に、たっかんは地元の少年を雇い(そういう特殊カードがある)、浅瀬をひたすら潜っては、財宝をサルベージしていく。
たっかん「よしよし」
わし「お前、同じポイントばかり潜ってるやんけ」
たっかん「いやあ」
(こいつ、地元の少年に情報貰いやがったな…地元の少年のおねいちゃん狙いだろうが…)
※3つの深度ごとにいくつかの山札があり、地元の少年のように浅瀬ならもう1枚余分にカードを貰う事が出来るルールもある。
しかし、ダイバー二人体制で、中深度狙いのわしとTAMはここから一気に潜りまくる。さすがに潜るときは、山さえ違えばバッティングする不利はまったくないので、ひたすら財宝を取る。
それにしてもTAMのダイバーの姿はすごい。銛持って完全武装してやがる!
ダイバー「わしも海の怪物怖いから銛買うてちょんまげ」
わし「やだ。成せばなる。潜ってこい」
とか言いながら、ほんまに成せばなるもので、結構成功したりする。
わしのダイバーには銛持たせずチューブだけつける。さらに重りをつけて大阪湾に沈めて……じゃなくてこれがあると2枚いっぺんに取るという強欲装備。現在、奥の青ヨットが中深度を潜ってるとこ。しかし、紙幣に何故
フェドゥッティ
の顔がw
人生ゲームM&A
の堀江と一緒の感覚か。
それに反してTAMは…
TAM「わ、怪物や! 銛でびしっと! ふう、備えあれば憂いなし」
(ほんまに出やがった。こわー、わしもやっぱり買おう」
ダイバー二人に銛を持たせる。
TAMの怪物に襲われたのをみて怖なったわしはダイバーに銛を持たせる事を決意。さすがはわし。しかしまさかここで2本も失う羽目に陥るとは……海の怖さを知った。
ダイバーA「わー、怪物だ! 死ねやぁ」
ふう、備えあれば憂いなし。
ダイバーB「わー、また出た! 食らえ」
えー! 銛2本も損した!
※銛は一度使うとなくなるのでまた買わねばならない。
ここで、わし、あまりの衝撃に作戦変更。
わし「おっちゃん、このイカしたご老人に酒を一杯やってくれや」
古ダイバー「なんや、あんちゃん。わしになんぞ用か?」
わし「単刀直入に言おう。あのヨットハーバーの横にある深海にどんな宝がある? あんた、昔、潜ったことあるやろ?」
古ダイバー「なるほど。誰に聞いたかは知らんが、辞めたほうがええ。お前みたいな都会もんはあそこに化け物がおるんを知らん。ほれ、わしの体を見ろ。吸盤の痕が残っておろう。海をなめたらあかん」
わし「俺ならやれる。あんたの仇とったる!」
そうやって、こっそり山を見る。
お?
おおおおおおーーー!! 価値の高い宝がわんさかある。しかも怪物なし(きらりん☆)
※このように酒屋で情報を集めると山札をひとつ選んで中をこっそり見る事が出来るのだ。つまり何が沈んでいるか分かる。
チューブを繋げてばりばりの最高深度まで潜れるようになったTAM。ここまで潜ると恐ろしい怪物の出現率が高い。そして海の怪物に襲われ死亡w 合掌チーン
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三三 三三 三三 三三
もうケイティは近い。当然、銛なしで、重りを買い、ひたすらそのポイントを攻めに攻める。
TAM「銛なしで深海大丈夫なんすか?」
わし「ここは勝負じゃ(おらんけどねw)」
そして、たまの休日に、土産物屋に財宝を売りに出かけると
わし「またお前かぁ!」
TAM「お、これは奇遇ですね」
TAM、そこで今までさらったアーティファクトをごっそりと売る。品物は3種類あって、バッティングすると価値があがるもの、下がるもの、同じものがある。つまり価値のあがるものを売ったのだ。
一度に同じ種類しか売れないので、わしは一番多い、価値の同じ金を売った。ちぇ。
たっかん「ふへへ」
わし「どうした?」
たっかん「なんかやばいっすわ。これ、おもろすぎ。ワクワクします」
結局、ダイバーを怪物に殺されたり、へんてこな客にあったりと、嬉し楽しの10日間は終わった。
最後、情報を集めた深海にてごっそり価値の高い財宝をサルベージしまくったわしの勝利。
所要時間50分
TAM「あー、あっこ居らんかったんか!! くやしー」
最後はおっちゃん情報で一気にたくさんのお宝ゲットして勝利!
TAMのコメント
こ、こ、これ、どんなけおもろいんすか! 買います。もう、明日にでも買います。ゲーム大賞はこれっすよ。
たっかんのコメント
思わず笑っちゃうくらいほんまにワクワクします。ツボです。
ソマーリオ
青い大海原、潮の香りがする浜風、空にはカモメの姿、地元民がサングラスをしてサンダルを履いて観光土産を売る。そんなリゾート地をまさに体感できる完璧なテーマとルール、そして絵柄である。
テーマにそくして作られたルールの数々は、雰囲気を盛り上げてくれる。こういった観光地に遊びに行った時、一番嬉しいものは何だろう? 間違いなく、地元の人を含めたくさんの人と知り合うことである。その出会いが、様々な遭遇カードによって表現されている。これは上級ルールだが、いきなりこれを入れることを薦める。これでどっぷりとキーラルゴという観光地の世界に浸れるからだ。ゲームバランスも大丈夫。これほどリゾート気分を味わえるゲームは生まれて始めてというくらい見事なのだ。
徐々に強化されていくダイバーにワクワクしないものはいないだろう。どんな宝があるかワクワクしない男が居るだろうか? そして怪物である。男の海洋冒険ロマンが全てこのゲームに詰まっている。3人の大の男が大はしゃぎでゲームをやった。これは子供も大人も、男なら絶対に夢見るアドベンチャーなのだ。
とまあ、こんなに褒めちぎったけれども、ルール自体は、現代風のドイツゲームとは思えないところがある。昔のシミュレーションゲーム風だ。データ型のゲームで、最初に埋め込まれたデータ(財宝カード)が徐々に明らかになっていくというゲームである。つまりコンピューターゲームに近い。
カタン
などの最近のドイツゲームは、他人との絡みを中心に組み立てる対人型ゲームなのだが、キーラルゴは、最初にセットされたデータ環境に対して、アプローチしていく形をとる。装備を買うて深いところに潜ったり、仲間を雇ったりといったところは、コンピューターゲームのRPGそのものである。光栄が作ってもおかしくないような、コンピューターゲームにとても合うゲームのシステムなのだ。プレイ感は大航海時代に似ているとわしは思う。
※ちなみにこのデータ型うんぬんは安田均のゲームを斬るで紹介されている。なるほどと唸らせる切り口。読み物としてもゲーム本としても非常におもろかった。この本を読んでるとゲームが欲しなって興味のなかった奴まで購入してしまったわ。何故かこの本、マニア層には受けが悪いがw
そういうところが、
ドイツゲーム大賞
にノミネートされなかった理由だろう。わしの評価もそれで
だが、ゲームのワクワク度は、ぶっちぎりのものがある。海底二万マイルなど冒険物が好きな人は、是非、やってみて欲しい。テーマ自体がとても分かりやすいので、初心者にもお勧めできる。それにしても
ヒマラヤ
とか
マカバナ
とか、最近Tilsitが熱いかも。今更、マカバナは欲しいんやけど、最近日本に入ってこんなあ。ティキやで。ディズニーランド知ってる人なら知ってる観客のおらんティキ(笑)
※海底二万マイル、はっきり言うておもろすぎ。今読んでもまったくおもしろさが損なわれてない。というか大人になってから初めて読んだが、たまらんくらいおもろかった。海洋アドベンチャーでこれを超える本はないでしょ。ディズニーシーに行きたくなるね。今まで何度も映画化されてるけど全部駄作。ピータージャクソン当たり3時間もので撮り直してくれへんかのう。。
別の日にやった写真。これ、最終ラウンドにわさぁっと市場に群がってお宝を売りにくる輩。基本的にお宝は市場で売る方が圧倒的に高価格で売れるので、清算前に売っときたいところだ。
gioco del mondo