Matt Reacock

Gryphon Games

1〜4人用
ひとり10分

ロールスルージエイジズ

青銅器時代。
人類は文明を作り上げ、巨大な建造物を造った。
それは今へと繋がる基礎作りだったのかも知れない。
素晴らしい指導者の誕生、医学の進歩、灌漑事業など、自然にあらがう人類がここに生まれる。






プレイ感

シヴィライゼーション以来発売された長時間かかる文明発展ゲーム、スルー・ジ・エイジズをさいころゲームにしたらしいが、デザイナーはまったく別という異色作。デザイナーはパンデミックのマットリーコックだ。全て木製で作られた内容物は、昔ながらの木製玩具の雰囲気がある。miaと二人プレイにて。


とその前に、ちょっと苦言を。わしの買うたのはNGOが出してる完全日本語版だが、恐ろしく説明書が解りにくい。ルールは非常に簡単なのに、なんつう解りにくさ。最初は原文ルールが解りにくいのかと思ったが、NGOの出してるゲームの日本語ルールは全て解りにくい事に気づいた。チーキーモンキーですら大阪に帰った時TAMが「ルールよう解らないんですよ」とわしに説明をもとめてきたくらいだ。
NGOは日本語版を出してくれるのは嬉しいが、ゲームの内容を知らん人間が翻訳機にぶち込んで日本語の体裁だけを整えた程度のルールを付属するのは消費者の目から許し難い。いや、日本語としてはおかしくない。ただ何をしていのかさっぱり解らん。日本語版と銘打ってるならルールまでしっかり作れと言いたい。日本語ルールが分かりにくいおかげで、そのゲームに対するモチベーションが下がってしまいやらないゲームってのはあるんやから。
既にラーダイスゲーム、モダンアートカードゲーム、チーキーモンキー、ロールスルージエイジズとこんな簡単なルールが打率10割ですぐに理解出来ないルールを添付してる。こう思ってるんがわしだけならいいが、皆ルール分かってるんかいな? わしゃ何度も読み返さんと解らずかなりイライラしたけど。もう添付されてるのはしょうがないとしてもネットでルールを公開してるようなので是非とも校正してアップデートして欲しいところだ。このレベルの日本語ルールを添付し続けるなら、おそらくもう二度と買わないだろう。いや、ほんま、まじで解らんねんて。


手番にはさいころを振る。さいころは2回まで振り直しが出来る。で、確定させた目に応じて文明を発展させたり、モニュメントを建築したりする。一番大事なのは食糧で、これがなくなるとマイナス点を食らう。一定の基準を満たしたらゲーム終了。

さいころの目には、労働者、食糧、資源、お金、災害がある。出た労働者の目の数だけ自分の建築物シートにチェックをして全てチェックが完了したら完成だ。都市を完成させれば振れるさいころの数が増え、モニュメントを完成させればそのまま勝利点となる。
食糧は毎ラウンド、都市の大きさによって支払わなければならず、足りない分はそのままマイナス点だ。
資源は、資源の目の数だけ資源ペグを進めるが、順番に1個ずつしか手に入らない。例えば資源3個でたら、下から順番に木、石、壺と1個ずつ資源ペグをあげる。この資源は文明を買う時のお金代わりになるのだが、同じ資源なら段階を踏む毎に指数関数的に価値が高くなっている。一番上の鏃は最低でも5個でないと手に入らないが、当然、価値も高くなっている。
お金は文明を買う時に7価値として使えるが、保持しておく事が出来ない。文明は一手番に1つだけしか買えない。
そしてこのゲームの最大のポイントは災害の目である。災害は一概に悪いといえない目で、必ず資源が2個入る良い目でもある。目の数によって災厄が違っており、自分はまったく影響を受けない災害もあるので、かなり使える目だ。


手番にサイコロを振り、その目によって個人ボードのペグを右に移動させる。上の例でいえば、資源が4個出てる(災害の目だが同時に資源が2つ付いている)ので、木、石、壺、布をそれぞれ1レベルずつあげる。下に書いてる数字は、文明の発展を買う時に使う価値で指数関数的に高くなっている。
あと忘れがちなルールに手番終了時に資源は合計6レベルまでしか持ち越す事は出来ない。上の例でいえば5レベルなので大丈夫。

ずばり災害を制したものがこのゲームを制す。まずは2個の目の災害(災害は2個以上で発動する)を防ぐ為に、灌漑を行うのは常道だ。これさえしておけば干魃を防ぐことが出来る。

わし「あ、3つ出てもた」

mia「やった」

わし「3つの災害はと…疫病で、対戦相手がマイナス3点。じゃ、お前マイナス3点な」

mia「ちょっと、なにそれ! わたしだけ?」

わし「そう。お前だけ」

mia「すっごい腹立つ!」

これ、食らったらヤバイな。二人で対策を練り始める。
医学や! 医学を発展させたら助かるんや!

つう訳で、どちらも医学を買う為に躍起になる。
このように災害の目ってのは、色々変化し、常に自分が損する訳ではないのだ。そればかりか資源が2個手に入るので、簡単に鏃まで届いたりする。リスクと裏腹なのがよく出来てる。


右が個人のチェックシート。これが自分の文明の発展を現している。各チェックボックスをすべてチェックして管理をする。左はリファレンスシート。

これを知ったら、最初喜んでた資源1個の目なんて屁に思えてくる。この目とお金がしょぼい目やな。
かくしてこの2つは振り直しの目として最有力となった。

モニュメントの建設は、先に建てた方が勝利点が高くなるので、相手の息が掛かってないモニュメントを建てるのが基本だ。もちろん邪魔をしてもいいが、失敗した時のダメージはかなりでかいので、やるなら一気に建てるくらいの気構えでいかないと駄目である。

わし「じゃあ、そろそろ都市を建設するわ」

都市を建設すれば、振れるさいころの数が増えるので一気にたくさんのものを入手出来る。しかし、最初の段階でこれをやってしまうと食糧不足に陥るので注意が必要だ。

お互いに都市をどんどんと発展させた頃、ゲームはあっという間に終盤へと向かう。

わし「じゃ、大ピラミッド建てて今ラウンドで終了やな」

mia「え、もう終わり?」

わし「そうわしから始めたんで、お前が最後の手番」

得点は文明の得点とモニュメントの得点やボーナス点を足して、災害によるマイナスを引くだけ。

わし「やった! 1点差で勝ち」

mia「もっと負けたかと思ったんだけど、そんなもん?」

所要時間20分


ゲームの最後は都市も発達しているのでサイコロの数が格段に増える。食料の心配がなくなるようになればゲームはもう終盤だ。
基本的なコンポーネントはすべて木製で、サイコロには焼き印が施されているのは素晴らしい。

あっちゅう間に終わるので、何度かやってみた。

点差はいつも1,2点の僅差で決まる。ようできとる。

miaのコメント

微妙。つまらない訳じゃないけど、あんまり面白いとも思えない。
サイコロゲームは、キャントストップコード破りのように単純な方が面白いように思う。

ソマーリオ

まあ、よくぞこんな短時間で歴史を描いたなあと感心することしきり。
こういった歴史ゲームは、徐々に発展する姿を描いているせいか、シヴィライゼーションを代表するように半日くらいかかるゲームが主だ。ところがこのゲームはひとり10分程度の時間で青銅器時代にあった出来事をほぼゲーム化する事に成功している。最初はどんな文明があるか読むので手間取ってしまうだろうが、2回目以降はすんなりゲーム出来る筈だ。

あっという間に終わってしまうせいか、ゲーム中、自分の文明が発展していくという姿を感じにくいところはあるが、終わってから自分の残したシートを想像力を働かせながら眺めてみるとしっかりと歴史してたんやなあと感慨深くなる。

ゲーム時間はほんまに短く「え? もう終わり?」って段階で終わってしまうので、後期青銅器時代というヴァリアントを採用すればもっとがっつりと歴史を味わえる筈だ。そのチェックシートとルールはNGOが公開しているので、ダウンロードすればいい。

いやむしろ文明が発展していく感じをゲーム中得難いのは、ゲーム時間ではなくチェックシートのせいだ。文明にしろ、モニュメントにしろ、鉛筆でチェックするだけじゃ興はのってこない。文明タイルやモニュメント駒を手に入れるという形にすれば、自分の作ったものが目に見えてより楽しくなるに違いない。100円ショップでも行って集めてくるかw

欠点は、相手プレイヤーとの絡みがほとんどなく展開も単調なので、どうしても少し飽きやすくなってしまうところ。それでもその欠点を補って余るほど、このシステムは素晴らしいと思う。なんせ誰もがなし得なかった、短時間で文明の発展をシミュレートするゲームを作ってしまったんだから、このマットリーコックというデザイナーの凄さを感じさせる。今後の作品が大いに楽しみだ。

コンポーネントは全て木製でインテリアになりうる素晴らしさがある。もしこれをプラッチックで作ってしまえば、そら相当酷いコンポーネントになっただろうというのは想像に難くない。初版(英語版)では、ペグの色も焦げ茶色一色ではなく、それぞれに応じた色になっているのは少し羨ましい。箱は非常にコンパクトで持ち運びし易い。中身はちょっと重いので、シートの束を抜けば軽くなるだろう。


GEEKにあったおそらくこれが初版の奴やと思う。ペグに色分けがされてる。

日本語ルールの解りにくさ、ソロプレイ感の強さ、飽きやすさなどの欠点はあるが、それでもジョーコデルモンドとしてはをつける事にする。それ以上に光るものがこのゲームにはある。ちょっと嬉しくなってしまった。あー、ただ普通の人にはmiaのように「まあ、こんなもんか」で終わると思うけど。

その後、TAMが、ポケットパンチシリーズ(3つのゲームが楽しめる)の一人用ゲームに似ていると言うてた。わしが貸した深海に潜るゲームをいたく気に入ってたようだ。確かに言われてみれば、ポケットパンチの一人用ゲームに似てる。一人用に結構おもろいのがあって、ようやってたわ。

gioco del mondo