Vlaada Chvatil

Czech Games
NGO

2〜4人用
ひとり120分

スルージエイジズ

駿河屋で購入
2016年ドイツ年間ゲーム大賞を「コードネーム」で受賞したチェコの天才ゲームデザイナー、ヴラーダ・フヴァチルの出世作であり、代表作でもある本作「スルー・ジ・エイジズ」が、2015年末の本国での新版発売を受け、ついにこの度、日本語版出版の運びとなりました。
長年にわたり愛好者の皆様からの熱い支持を受けてきた作品である一方、歴史を彩る 300 枚超のカードが未訳であることから、遊べる層が限られてきたこのゲームが、ついに真価を発揮することとなります。
プレイヤーは個々が 1 つの文明を代表し、都市国家が勃興する古代から、インターネット社会となる現代に至るまで、これを発展させ、人間の歴史を紡ぎ、より輝かしい文明を打ち立てること を目指します。
文明には、アレクサンダー大王からビル・ゲイツまで、人間の歴史に大きな影響を与えた指導者たちを迎えることができます。
コンピューターゲーム「シヴィライゼーション」に代表される文明発展系のジャンルの、ボード ゲームにおける代表的な存在です。 プレイ時間 2時間以上を要する長時間ボードゲームですが、「これだけは遊んでおきたい」と思わせる力を持った一作です。

プレイ感

Twitterでhiroceanがやりたいというので、わしもやりたいと返信してから実に半年が経った。それはやつの水虫を完治するまでは我が家には入れてはいけないという病原菌保護政策のためだ。
というわけでタナカマ夫妻を招き入れ、我が家の小僧どもは、水族館へ追い出してプレイすることと相成った。
まさにこのゲームをやるだけの会である。時間的にこれしか出来ないが、そもそも終わらせることすら出来ないかもというhiroceanの危惧がある。1時間でルール説明を終わらせ、飯は食いながらというかつてのウォーゲーマー合宿みたいな様相となった。

hiroceanはこの日のためにインスト手順書を作り、よどみなくルール説明を行う。タナカマ嫁は、ショートゲームをやったことがあるらしく、来しなに「戦争反対! 9条守れ!」みたいなことをタナカマにぶつけてたらしい(嘘)
という理由で、ルールは複雑&まったく目を通してないので、ほんまのざっくりしか説明できないことをご了承いただきたい。
タナカマに「あきおさん、これレビューできるんですか?」とさえ言われた一品である。


流れは、政略としてカードを埋め込んだあと、内政アクション駒を使って、場にあるカードを手に入れたり、資源駒を消費してカードを出したり、出したカードに人駒を配置したりする。赤いアクション駒は戦争にかかわることに使う。
最後に資源やら食料やらを算出して手番終わり。このゲームでは、一連の動作をすべて行ってから隣のプレイヤーに移るのだ。だから待ち時間が長い。

カードは時代順になったおり後半になるほど進歩したカードが出てくる。このカードセットは4種類に分けられ、最後のカードが場にでた時点でスタートプレイヤーから1週回り、すべての政略カードを解決して一番、文化点が多いプレイヤーが勝ちである。


個人ボードと得点マーカー及びカードだけでゲームが展開する。駒は青色が資源や食料を表す駒(置いている場所によりどちらかが決まるので非常にややこしい)、白色がメインとなる内政駒、赤色が軍事駒、黄色が人口を表している。


いきなりカエサルが出てる。わしは何度か書いたようにローマ、カエサルのファンなので、これはぜひ手に入れたい。


場に並べられているカードの下にある○の数が手に入れるための内政駒の数である。左にずれるという例のドイツシステムである。カード上が年代を表しており、時代が経つごとに山札が分けられている例のシステムである。

一番重要なのは国の政体である。最初は専制で内政アクション駒4個、軍事駒2個となっている。国の政体を変えるとアクション駒の数が変わってくる。内政アクション駒はアグリコラの子供に相当するのでかなり大事だ。

タナカマの手番が終わりかけたころ、あとは自動処理なのでわしの手番を開始する。
まずはカエサルをゲットする。時代時代のリーダーカードというのはその時代につき1枚しか受け取れない。これは政体の次に重要で、リーダー次第でその国の趨勢が変わる。カエサルは、政略行動が2回、軍事力+1、軍事アクション+1である。

なんせhiroceanから、戦争でぼこぼこにされると精神的ダメージがかなりでかいと聞かされており、あっきーもそれが嫌でタナカマにぶつくさ言うてたらしい。相手より下回ったときの恐怖におびえる毎日である。

とりあえずカエサルをとったことにより、戦力に少し余裕ができた。
タナカマも戦力をあげてきたので、米ソのような二大軍事国家となった。

ただ初めてなので、カエサルの利点である政略が2度できるというのをほとんど活用できなかった。


カエサルゲット。軍事力+1、赤の軍事駒+1個である。死んだら、これらの効果は失われる。個人ボードでは最初からカード絵が印刷されており、初期国家としての機能があるので、後は黄色の人口駒を配置してそれを稼働させるだけで、食料や資源などが手に入るのだ。右下が政体で、最初は白の内政コマが4個、赤の軍事駒が2個貰える。カードを使ってここを上書きして政体を変えていくのだ。

最初は食べ物には苦労しない。食べ物は人口が増えてきたときに大きく必要になってくるのだが、ターンが進むと強制的に食べ物が追加で必要になるようにシステムが組み込まれている。

もうひとつの重要な資源は、ものを建てる(カードを置く)のに必要だが、紀元前のこの時代ではそれほど苦労せず

タナカマ「今回は建設戦略でいきますよ」

といって、ゼウス像を立てだした。
わしも、負けじと万里の長城を建てだす。

驚異は、一度には建てることはできない。書いてある回数、資源駒を支払って初めて横向き状態から縦状態となり建設完了となり効果が適用される。もちろん一度にアクション駒を使って建てても良いが、やりたいことが色々あるので、そこまで手が回らない。

さらに厳しいのは、1枚建設するたびに、手に入れるときに内政アクション駒が1個追加で必要になるところだ。もともと強力なので、制限をかけている。

そうこうしているうちに、あっきーとhiroceanが騎馬兵を導入し、さらに軍事戦略の近代化を果たしてきて、ものすごい勢いで二強に追いつく。
軍事戦略カードは、軍隊として歩兵、騎馬、射撃と種類のある中、組み合わせによってぐんと戦力があがるカードだ。面白いのは1ラウンドだけ自分のものにでき、その後は周知の戦略として、中央の場に置かれ誰でも扱えるようになるところだ。


これが勝利点である、文化点マーカー。序盤はまあほとんど進まないが気にしない。中央に並べてるカードが戦術カードで、これは手に入れた1ラウンドだけはその本人だけが利用でき、その後は既知の戦術となるので、誰でも使えるようここに置かれる。このカードなら戦士2個で+1戦力があがるということで、戦術を利用したいなら自分のマーカーを配置する。

わし「ハンニバルの包囲殲滅戦をスキピオがパクった奴やな!!」

本来なら、それを使って相手国に攻め入ってから周知となるところだが、和気あいあいとやりたいわしらは個人攻撃をあまりしたがらず、一度も攻めないまま既存戦略となりまくった。

抑止力。この一言である。


紫の驚異カードは複数回に渡って建築する。万里の長城なら、資源を2,2,3,2と支払うとようやく建てる事ができる。内政駒が4個必要という事なので、一気に建てる事もできるが、とりあえず建設途中は横向けにしておき、資源を1度支払うごとに青の資源駒を配置していく。建て終えたら、青の資源駒はストックに戻るが、実はこれが全体的な資源不足になって、厳しくなりやすい。システム上、青色の駒のストックが少なるなると、食料を追加で支払う必要がでてくるのだ。

そんな感じで時が過ぎ、新しい時代がやってくる。
チンギスハーン、これをあっきーが取ったときにまさか世界がここまで変わるとは誰が予見しただろうか?

時代は2世代ずれると世代ずれを起こして捨てなければならないカードが出てくる。リーダーもその一つで、タナカマのアレキサンダー、わしのカエサルも寿命がきた。

そしてチンギスハーンが登場、あっきーの戦力がとてつもないことになる。一番の弱小国家で常に戦争におびえてた国がトップに踊りで、アレキサンダーを失ったタナカマが一気に弱小国家に。

わし「え、なにこれ」

ある程度下地ができたら、その戦力差が永遠に続くものと思ってたわしは衝撃を受けた。

さらにチンギスハーンのえげつないのは、戦力で1位もしくは2位の場合、毎回勝利点(文化点)が入るというもの。

毎ラウンド、勝利点が入るので、あっきーがぶっちぎりの様相となった。というのは、序盤は勝利点がなかなか入りにくいのだ。

タナカマは技術が少なく、近代化が全然できないでいた。

タナカマ「ぴっかりマーク、超重要じゃないすか」

資源のほかに技術点を支払わないと軍隊の近代化もおぼつかない。


これが技術点で、名前ど忘れしたのでぴっかりとわしが命名したら、名称がぴっかりとなった。上が持ちぴっかりでこれを支払って、カードを建てる。ちょっと分かりにくいが、カード場一番左の錬金術カードは内政駒2個で手に入れ、右下に書いてある2ぴっかりで自分の場にだせるということだ。さらにここに黄色の人口駒を置いて初めて稼働する。
下の+マーク付きのぴっかりは自分が毎ラウンド手に入るぴっかり度を記録している。自分が並べているカードの数字を足せばいいのだが、スムーズに進めるためのいわば備忘録である。黄色と青色は、毎回、上のぴっかり駒を2増やすという事だ。

hirocean「わ、出た。ロベスピエール」

あの恐怖政治のロベスピエールである。
わしの政体はいまだ古代の専制のまま。ここはロベスピエールを使い一気に革命政権を起こしたい。
というわけで、大嫌いなロベスピエールをとり、専制君主制へ移行。

正直、ロベスピエールってこれだけであるが、hiroceanいわく、すぐに軍事行動できるから強いですよ、という。


ロベスピエールが、恐怖政治を行う。カードについてるニコちゃんマークは、国民の幸福度で、働く人口が増えるほど国民の不満がたまり、えらいことになるので、このカードで幸福度をあげていくのだ。

時にはチンギスハーンを暗殺しようとしたりしたが、勝手に時代遅れとなり死亡した。
しかしその頃にはあっきーは騎兵や砲兵などで軍事の近代化に成功しており、弱小国家ではなくなっていた。

皆が砲兵隊を持ってる中、タナカマ軍は、槍もってファランクスやってるスタイルだった。

わしも槍もってレギオンやってるスタイルだったが、さすがに時代遅れを感じ、近代化に突き進む。
同じ兵種であれば、アップグレードシステムにより差額を払うだけで済むのだ。


タナカマと同盟を結び、お互いに観光立国として文化点を手に入れることにした。

それ以外では建築にまい進する。
タイタニック号は、毎回、人口が1増える。

わし「これ、毎回増えたら、食えんようになって困らん?」

hirocean「いや人口は必要なんで、強いですよ」

とまたしても騙されて建築開始。これが出来上がるのがすげぇ時間が掛かり、わしを苦しめた。建築途中に資材駒が置かれるので、全体的な資材不足に陥って、毎回資材の支払いに苦労した。
まあ、出来上がれば、自動的に人が増えるので、かなり楽にはなったが。


わしの揃えた驚異。忘れがちなルールは、1枚建てると、手に入れるときに追加で内政駒1個増えるということだ。つまり次回から+3個必要となって驚異を手に入れにくくなる。つまりそれくらい強い、はず。あと左下にある竪琴のマークが、勝利点である文化点である。今の場なら、2+1+1で毎回4点入るということだ。これらもいちいち計算する必要がないように勝利点ボード上に+マークとして記録されている。


上が勝利点、下が毎回手に入る備忘録+マークである。

全員、時々でるアインシュタインなどのリーダーには目もくれず、ひたすら軍事系のリーダーを選ぶ。
ナポレオン欲しい! と取ろうとしたところ

hirocean「同一時代にはリーダー一人しか取れないです」

と言われ断念。

政略カードで、領土カードがでた。

領土がでると、軍事力を使って競り落とすのだ。かなり強いカードだが、軍事力が落ちるので、うまく考えながら競り落とさなければならない。

そうこうしているうちに、あっきー包囲網ができあがる。チンギスハーンで荒稼ぎしたせいで皆から狙われることになった。

近世にはいり、わしも科学技術で天体観測とかしたいと思ったが、宗教もなにもなく、技術がないわしにはまったく意味のないリーダーばかり。

そこでチャーチルがでた。

能力がとんでもない。
そこでわしはロベスピエールからチャーチルというとんでもない糞野郎国家になるのかと想像していた。
こいつ、マジで屑やしなあ。とあれこれ考えていたが、別の方法を考えているうちに、買い逃してしまった。

hirocean「チャーチル買います」

とすかさずゲット。

そこから一気に軍事行動にでて、トップのあっきーを叩きにかかる。

また政略で、領土を埋め込み、領土の軍事競りで落としまくる。


一気に現代歩兵にして軍備を強化しておかないとボコボコにされる。カードをずらしているのは、同系列のカードという事で、差額の資源を支払うだけで人口駒をここに配置できる。わしは戦士からの流れで、砲兵や騎馬兵などを一切持たなかった。歩き専門軍隊。

とこんな感じで20世紀は過ぎていき、ラストを迎えた。


最後の方は戦術は溢れかえっている。戦争カードは、強力なダメージを相手に与える。

科学技術におとるわしは、点数伸びず。正直、あまりにも科学技術を無視したので、20世紀には何もできなかった。
インストから持ち込みまでやった経験者のhiroceanがぶっちぎりのトップだった。

所要時間6時間

最後の方はクレムリン作ったが、共産主義化はできなかった。


意味なくビル・ゲイツを取る。なんといっても技術が低くて意味がない。最後の山札は、文化点をあげるカードばかりだ。

タナカマのコメント

これ面白い。また再戦したいですねえ。

あっきーのコメント

戦争でボコボコにされるのがちょっとねえ。こういう歴史ものはあきおさんの豆知識がでていいかも。

hiroceanのコメント

今回は経験の差がでましたが、最初びびらせたせいか、戦争はあまりしなかったもののかなり軍事寄りなゲーム展開でした。というか4人プレイで6時間で終えたのは奇跡、このメンバーならではですね。

ソマーリオ

細かい制約がごちゃごちゃとあって、ルール通りきちんとプレイするにはかなり注意が必要である。また駒の使いまわしが多くて、時には資源、時には食料と、なんかよくわからん事になったりする。アクション駒も内政駒と軍事駒と別れているが、どうにもそこがシンプルではなく解りにくい。

と、そういう欠点はあるものの確かに面白い。
簡易サイコロ版ロールスルージエイジズが出来たのもうなずける。全然、ゲーム性ちゃうけど。

こういったヘビー級の地政学マルチは、ほかにもシヴィライゼーションや、ヒストリーオブザワールドがあるが、大体が領土を基本としており、領土を獲得するために帆走するのだが、スルージエイジはあえてボードを廃して、カード上の駒の動きだけで再現をしている。

シヴィライゼーションは未プレイだが、ヒストリーオブザワールドと比べると、あちらができる限りシンプルに大局的に歴史の流れを再現しようとしているのに反して、こちらは民衆の物語が歴史の流れになっていく感じである。

どちらが好きかは好みの問題だろう。プレイ時間もルールもスルージエイジの方が長いし多い。
ルールばかりでなく、カードの効果も読む必要があるので、圧倒的にこちらのほうが敷居も高い。
しかしその分、どのように自分の国家が成長していったかというのを、見えるのは楽しいだろう。

そういやローマの栄光というゲームがとてもよく似ている。ただあれは、後半、マジでグダグダになってゲームシステムそのものを破壊するような感じだったが、こっちはきちんと最後まで崩れずにプレイできる。当たり前だが。

途中でもあったが、こんな戦力差を覆すことが簡単にできて、ほんま、いつの間にやら自分の国家が二流になってたりするのが、まさに歴史って感じだ。
古代強かったタナカマ王国は、ギリシャのようになってしまった。

個人的にはリーダーをもう少し使いたかったかなあというところ。一時代一人やと、破棄しなければ二世代を生き抜いて、時代が違って滑稽に見えてしまうのだ。

これをやる機会というのはかなり限られているが、3人プレイならもう少し短くできただろう。hiroceanいわく一人2時間計算だそうだ。今回はわしらは並べられたカードをいちいち検証せず、なんも考えずにやるタイプばかりだったのでこの時間で収まった。

戦争はなるべく控えたが、本来ならガンガン仕掛けたほうがいいのだろう。芸術系を誰もやらなかったと話すと、それやるとほんまにボコボコにされますよと言われ、やはり軍事寄りでよかったと思った。

というわけで歴史好きなら、一度はやったほうがいい。ヒトラーがおらんのは、自主規制なんやろなあ。


おまけ。タナカマの着てたTシャツ。完全に狙ってる。

gioco del mondo