Gary Dicken
Steve Kendall
Phil Kendall

Ragnar Brothers
Spiral Galaxy Games

3〜6人
240分

ヒストリーオブザワールド

世界四大文明が起こってから人類は文明を作り様々な戦争を繰り返し成長してきた。
各時代には必ず英雄と呼ばれる指導者の姿があった。
アレキサンドロス大王、ユリウスカエサル、高祖劉邦…
わずか4時間で四大文明発祥から第一次世界大戦までの歴史をゲーム化した歴史ゲームの決定版である。
プレイヤーは千年以上の歴史を創り上げていくことになる。

プレイ感

ヒストリーオブサムライをやって以来、本家のヒストリーオブザワールドがやりたくて改良されているという現行版のブリーフヒストリーオブザワールドを購入した。同時期にTAMも購入して正月、大阪帰った時に日本語化準備万端のTAMのをやることになった。むしろこれをやりに大阪へ帰ったというべきか。メンバーはTAM夫妻、ムゲン、タカダ、アマバ(夫妻コンビ)の6人プレイにて。


ルールを細かく書くのもめんどくさいので、ヒストリーオブサムライとの大まかな違いだけ。ほんまならこっちがオリジナルなんやけど、レビューが逆になったからしょうがなし。

・ケツのプレイヤーから順番に全てのカードから帝国(勢力)カードを1枚ずつ選べる。
・アクションカードはトップのプレイヤーから順番に全てのカードから1枚ずつ選べる。
・エリア支配の得点計算が倍掛けになっており、エリア全てに駒を置かなくても最高点を取れる。
・エポックにより、エリア得点が貰えない箇所が(たくさん)でてくる。
・海エリアに得点はなく、大陸を渡る手段にしか過ぎない。
・侵略に失敗するとサイの目にプラス修正される。
・侵略に蹂躙攻撃があり、さいころを振らずに次々に侵略出来るケースがある。
・エポックは8つ。

まあ、重要なところはこんな感じ。

第一エポックは文明の発祥である。
わしゃ、シュメール文明を選択。やはりチグリスユーフラテスでしょ。エリア得点も3と高い。
このエポックで重要なのは最大戦力5もある(この時代は2が平均)アーリヤ人である。他の文明は発祥したてで細々と暮らすのみ。アーリヤ人は、首都を持たず、重要な得点源である首都を狙いに他の文明を侵略するように出来ている。


第一エポックの文明カードが回ってきた。これらから選んで隣のプレイヤーに渡す。わしが選んだのはシュメール文明である。あの超悪いシュメール人だ。

TAM嫁が一番最初に選択したのがアーリヤ人で、もの凄くわしのシュメール文明に近い。
どきどきしながら見てみると、小アジアの方に向かってホッとした。


最初はアーリア人だけが攻撃をしかける勢力を持っている。後は割とのんびりと勢力を確保できるのだ。

それにしても

わし「これ、帝国カード選ぶときにわくわくするな。帝国カードの下に王の名前が書かれてて、なんか歴史好きにはたまらんわ。わしゃギルガメッシュ王やもんな」

TAM「でしょう! これが特殊効果のないカードの場合、テンデイズでは和訳シールついてなくて自作したんすよ。要るでしょ?」

わし「うん。これは要る。タナカマさぼっとる。早速作りなさい」


自分の手番が終わればコマを倒しておく。首都(緑)と都市(青)には得点があり、さらにモニュメント(黄)も得点となる。これらは文明によって建てられるかどうかが書かれている。建てられなくても占領すればいいのだが、占領しても破壊してしまい価値が下がってしまうのだ。

本来ならヒストリーオブサムライのように各エポックごとの動きを書けばいいのだろうが、残念ながら詳しい事を覚えていない。ヒストリーオブサムライは棋譜が残ってたので誰が何を担当してたかまで詳しく書けたのだ。たらたらと書いても読む人もめんどくさいと思う。というわけでいつものように目立った部分だけを書いていく。

得点の流れは始めちょろちょろ中全然、終いでぱっぱである。中盤なんてまったく得点出来ないエリアなんていくつも出てくる。その場合、どう動かせばいいかというと、モニュメントや都市を狙う事になるのだ。それを取らないと0点なんて事にもなる。

ヒストリーオブサムライは農耕民族の国だったので、エリアに対する得点は常に得られていたが、こいつはそうではないようだ。

第三エポックになるとマケドニア、ローマ、漢など巨大な国家が続々と登場する。このゲームの第一の山場である。

わしは第一第二とそれなりの得点だったので、ローマなど残っているはずもない。おそらくローマは一番べべだったTAMが取っているのは間違いない。とは言っても得点は下位に近かった。ここでマケドニアを選択。むしろマケドニアみたいな国が残っているのが驚きだ。

アレクサンドロス大王の特殊能力は寛容である。首都とモニュメントを破壊しないのだ。エリアに対する得点が少ない時代にこの重要さが解ると思う。しかも駒は潤沢である。

あきおドロス大王は、西へ西へ進撃し、インドにまで到達させてその生涯を終えた。
この得点がぶっちぎりの得点だったので、以降、まともな帝国を選べなくなってしまったくらいである。


驚異のインドまで黄色アレキサンドロス大王は長征した。アレキサンドロス大王の素晴らしい能力は寛容である。このおかげで猛烈な得点を得ることができた。このゲーム最強とちゃうかな。カエサルより上のような気がする。

TAMローマ帝国はそれを塗り替え世界を席巻し、漢と世界を二分する事になったが、意外と得点が伸びずわしのぶっちぎりのまま。やはり寛容の効果は絶大である。

アマバ漢帝国は、しっかりと中原を支配し、万里の長城の保全を行い北方民族に備える。


赤漢帝国は万里の長城(赤)を築いて北方の異民族を防ぐ事にした。

それから多くの帝国が生まれはなくなり、第五エポックにとうとうチンギスハンタカダが登場。


青チンギスハンが、ヨーロッパから中国まで征服。巨大帝国元を建国する。ただしこのエポックは得点の原資が少なくそれほど得点が貰えないのだ。日本にも勢力が現れ始めた。

東へ、西へ、猛烈にモンゴル騎馬軍団が版図を広げるものの、ヨーロッパの厚い城壁に阻まれ、点がまったく伸びず。面白いのは、ローマや元などがいくらエリアを支配しまくっても、エリア点が少なく、都市などを破壊してしまうだけでほとんど点が伸びないように出来ているのだ。ここらへんはヒストリーオブサムライと戦略が大きく変わってくる。

それまでボチボチといいところだけ押さえていたムゲンが新大陸アメリカに早々に移住し、強力なさいころ運を背景に得点を伸ばして一位になる。最後はアメリカが重要な位置にあるのだ。


新大陸アメリカにインカ帝国が誕生する。ここは序盤はしょぼい点だが後々は大きな得点源となる大陸だ。

二位に付けていたわしは最終ラウンド「勝てる」と密かに踏んでいた。

しかしここで実家からの晩ご飯の催促の電話が掛かってくる。すき焼きなので全員がわしの帰りを待ってるというのだ。既に予定時間を一時間オーバーしてしまってる。

早く早く、という思いが、わしに致命的なミスを犯させた。

ムゲン「あれ、あきおさん、ここ支配忘れてますよ?」

一番得点を得られるエリアに駒を一個置き忘れて完全支配をするのを忘れてしまったのだ。本来なら9点入るところが3点しか入らず。

ま、マジデー!!

(|| ゜Д゜)ガーン!!

しかし最後まで待つ事は出来ない。途中から遊びに来てたケイに防御の場合のさいころを任せて自宅に帰る事にする。

わし「TAM、悪いけど最後だけ写真撮っといて」

飯を食い終えて帰ってくると案の定ムゲンに負けてた。その差は3点。

くっそー、勝ってたのになあ。無念。

所要時間4時間


最終。重要なアメリカ大陸を抑えたムゲンがそつなく得点を獲得して勝利。

TAMのコメント

ヒストリーオブサムライの方が僕は楽しかったですね。

ソマーリオ

TAM嫁もTAMと同意見やったけど、わしは違った。こっちの方がより戦略的でおもろいと感じた。というより視認性が良かったので楽しく感じただけかも知れんわ。

大きな違いは、ヒストリーオブサムライは常に京が中心であり、ここを目指すのがゲームに勝つ目的となっている。ヒストリーオブザワールドは、世界各地に中心となる場所があり、出てきたポジションによってどこを目指すかが変わる。それよりもエポック毎の得点の動きが激しくて、熱い場所がころころ変わるのが面白い。

どちらが良いとか悪いとかではなく、ヒストリーオブサムライは上手くローカライズしたなあと思った。
ヒストリーオブサムライでは、町や都は「まあ、あればそこを狙った方が得だ」程度だったが、ヒストリーオブザワールドではそこを攻めないとまったく得点が入らないなんてケースもある。土地に執着するのではなく、建築物を目指すというのは非常に新鮮だった。(つっても先はこっちやけど)

エリア支配の形は若干ややこしく感じるが、意外とヒストリーオブサムライの方が細かくてめんどくさい。現行勢力と過去勢力を厳密に分けているからだ。

ただしヒストリーオブサムライの過去勢力にするタイミングは、謙信vs信玄の戦いを同時に演じたい作者の妙であった。本家に必要なシステムかどうかはともかく優れていると思う。

蹂躙攻撃についても思ったほどややこしく感じなかった。また攻撃が失敗すればするほど強くなるというのも攻撃側のイライラ感を減らし、ゲームをダイナミックに展開させるよいシステムだと思う。実際の歴史ではそうなってたものだし、そうならなかった程度の勢力なら歴史に名を刻む事はなかった筈だ。ヒストリーオブサムライでもこれは採用した方が良かったのに何故削ってしまったのだろう? あ、上記の龍虎の戦い等が公平じゃなくなるからか。うーむ。

負けているプレイヤーから全ての帝国カードから選べるというのは、非常に公平で各自接戦になりやすい良さはあるものの、各プレイヤーが全てのカードを見て選んでいくので非常に時間が掛かるという欠点もある。
ヒストリーオブサムライの方法は運が強すぎるところはあるが、とても短時間で済むので一長一短だ。ゲームとしてのバランスを楽しむならヒストリーオブザワールドの方が良いと個人的には思う。

もうひとつ各エポックでボーナス点が入るのは素晴らしい。ヒストリーオブサムライでは序盤にリードすると、後はヘボヘボばかりになって、エポックリーダーになるメリットがないなんてケースもあるが、こっちではボーナスタイルのおかげでトップをとる甲斐がある。これは帝国(大名)カードの取り方に関係するものだろう。
ヒストリーオブサムライでは、これを補う為に大名カードを選ぶところで残り福なら強い大名を得られるというシステムになっているが、このゲームをやった後では、上に書いたようにちょっと運が強いかなと思った。

どういう訳か時間的工夫されているにも関わらずプレイ時間は同じである。なぜかといえばヒストリーオブサムライの視認性の悪さがその原因なのだ。ちょっと興ざめではあるが、ヒストリーオブザワールドの駒を使ってヒストリーオブサムライをやってみようと思う。

コンポーネントは、ちょっと日本人にはなじみのない形をした地図だが、地球を全て包括しているので慣れるとこれはこれで見やすい。駒は立体的なプラッチック駒と、モニュメント類は丸タイル、薄目のマップと、非常に見やすくプレイしやすい。これよ、これ。

4時間掛かる重量級ゲームだが、その割にルールは少なく、非常によく出来てると思う。大体、四大文明の頃から第一次世界大戦までを楽しむのに4時間で済むという方が驚異だ。これをもっと簡単に短くしたのが、ビンチでありスモールワールドだ。でも歴史好きには少々長くなろうとも歴史上の登場人物が出てこないと嬉しくともなんともないやろと言いたい。
日本も世界も歴史は大好きなので、こういった戦略的に出来るゲームは両方とも楽しい。あるなしの違いはコンポーネントと視認性の善し悪しだと思って欲しい。

ルールは歴史を追体験するために過不足なく用意されており、例え遊ぶのに長時間かかろうともその長時間に見合った満足度を得られる名作ゲームだ。ただし、あくまで上級者向けのゲームであるという事だけは念を押しておく。何故ならドイツゲームのようにどう悪手を打とうともそれなり戦えるというシステムが救済措置を持ってるようなゲームではないからだ。

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