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Reiner Knizia
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Ravensburger
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1〜6人
30分
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コード破り
「ジョン、このコードを解いてくれ」
「ちょっと待ってくれ、今、サブ金庫にとりかかってる最中だ」
「時間がない。マイクロチップを使ったらどうだ?」
「あまり目立った事をすると、警察に感づかれるぜ。ここは俺の腕を信用してくれ」
プレイ感
タイトルからして如何にも惹かれなさそう。別に買う気はなかったが、例によって送料間に合わせのために安めのものを探してた。クニッツィアだし見た目ヘックメックっぽい内容そうなので、わしの嫌いなドーンの破滅の13よりもこちらを選択。お手軽に遊べそうなので、miaと二人プレイにて。
場に3枚の金庫タイルを配置する。サイコロを5個振って、金庫に示している解除コードが1つ以上あれば、好きなだけ除けてその解除コードの番号に赤チップを配置する。残ったサイコロでこれを繰り返す。全ての解除コードの上にチップが載ると、その金庫タイルを貰える。ただし、サイコロの目が1つも符号していない場合は、ドボンとなり手番は終了である。例え金庫が解除されててもそれを手に入れる事は出来なくなるので、その前に自分で手番の終了を宣言するのだ。
3枚の金庫タイルを配置する。難しさによって価値が違う。この解除コードをクラックして、中身をゲットせよ!
このルール、知る人ぞ知る、天使と男の子としてリメイクされたギャンブラー(シャープシューター)にそっくりだ。ギャンブラーは持っていたが、一度やってみて合わなかったのでとっくの昔に売ってしまった覚えがある。
ただこいつの違うのはマイクロチップの存在だ。賽の目は1から5とマイクロチップがある。マイクロチップは、どの金庫にも赤チップは置けないが、出ると除ける事が出来る。除ける事が出来るので手番は続行可能だ。写真を見て欲しい。価値の高い金庫(ダイヤモンド)などは、6カ所の解除コードを必要とする。サイコロはたったの5個。他プレイヤーのアシストなしに開ける事は出来ないのか? 答えはノーである。
金色に輝いているのがマイクロチップである。こいつがあるからこそ、このゲームはサイコロゲームとして素晴らしいものとなっている。
全てのサイコロを除ける事が出来た時、マイクロチップの目が2個以上あれば、全てのサイコロを一から振り直す事が出来るのだ。
つまり、マイクロチップさえ2個出て残りのサイコロの目が金庫に符号していれば永遠にサイコロを振る事が出来る。
このサイコロの数がまた絶妙。さすがクニッツィアと言わざるを得ない。マイクロチップは2つで十分だ。3つ出たとしても金庫に割り当てられる賽の目は2つしかなく、あまり得ではない。或いは最初にチップが2つ出たとしても、2つ除けるのがもったいない時もある。サイコロ3つでやるよりも4つでやった方がドボン率が低くなるからだ。こういったシチュエーションは、3枚の金庫タイルの解除コードに依る。全体的に同じ目が多い時などは、その方がいいし、色々な目の解除コードがある場合は、最初に2つ除けても問題ないだろう。
miaは、わしがいくつか解除した金庫と、マイクロチップを2度使い3枚の金庫を一気に獲得した。
mia「やったー」
くそうー! さすが現役のスリ。
解除コードの上の赤チップを見て欲しい。これを載せるとなんと×表示になるのだ。こういう細かい仕掛けは嬉しくなる。
永遠に振る事が出来ると書いたが、タイルの補充は手番終了時なので、実際は3枚一度に獲得が限度となっている。うーむ、よく出来ている。
わしは、手番終了宣言を忘れてどんどんと振ってしまった為、折角解除した金庫をドボンで失う羽目になる。この場合は、誰のものにもならず、赤チップを除けてタイルを山札に戻すのだ。
その差は歴然。後半なんとか巻き返そうと、マイクロチップを使って2枚一度に獲得したが、時既に遅し。ダブルスコアのぶっちぎり負けを喫した。
所要時間30分
まだちょっと時間があったのでもう一度miaがやりたいといったので、15分打ち切りルールにてやったところ、今度はわしの勝ち。慣れると20分くらいで終わりそう。
miaのコメント
これを旅行に持っていけば良かったね。目的が明確で、ゲームの綾が分かりやすかった。ヘックメックは足し算するのが苦手なので、こっちのがいい。
ソマーリオ
うーむ、ゲームやっててつい唸ってしまう。非常によく出来ているサイコロゲームだ。サイコロゲームのくせに、クニッツィアらしいジレンマが程なく活きている。
サイコロを振って「わーわー」と楽しむタイプのゲームではない。じっくりと考え、どのサイコロを残して振り直すか、或いは、終了宣言をして棚から牡丹餅を狙うか。コンパクトなルールながら考えどころがたくさんある。
ギャンブラーのプレイ感はすっかり忘れてしまったが、あちらはサイコロの目に一喜一憂するタイプだったように思う。コード破りは、そうではなくどちらかというとヘックメックに似ている。
ヘックメックも考えどころがあるが、あちらは数字の足し算のみのジレンマであり、考えどころはコード破りよりも少ない。ただ、その分ひと振りに一喜一憂するというサイコロゲームとしての楽しさならあちらの方が上である。そういった盛り上がりに欠ける意味ではなしとするが、番号をクラックするというイメージにぴったりな雰囲気のゲームなのだ。
小さな割に、タイルが多く重量はかさむが、旅行にもってこいのゲームだと思う。またギャンブラーと違い、自分の力だけで逆転出来る仕掛けは素晴らしいの一言。マイクロチップの目は丁度パチンコの確変を引いて大フィーバーしたような喜びをもたらす。
一般的には盛り上がりのあるヘックメックの方がお勧め出来るが、miaのように足し算するのが苦手という人はコード破りの方がいい。熱くサイコロを振るゲームではなく、じっくりと取り組むサイコロゲームで、こういったゲームには最近ではアルハンブラダイスがあるが、あちらがやたらと時間がかかるのに対してこちらは30分ほどで終わるので、個人的にはこちらの方が好みである。