Thomas Lehmann

Rio Grande

2〜4人
45分

レースフォーザギャラクシー

amazonで購入

ジャンプドライブを開発した人類は、最後のパイオニアとして宇宙に進出した。
わたしたちの故郷地球は、すでにオールドアースと呼ばれ、生産する能力を失っていた。
人類は宇宙で、滅んだエイリアン帝国の存在にきづく。
宇宙軍を創設し、植民惑星に定住させ、かつての帝国主義が今宇宙に蘇らんとしている。

プレイ感

宇宙、SFというテーマと開拓というキーワードには特に弱いアメリカで大人気して、日本でもあちこちでプレイされている。ようやく手に入れたが、和訳シールを貼るのが異常にめんどくさくてほっぽってたがようやく作って貼ってみた。丸一日かけて作業したんでほんまめんどかった。これでおもんなかったらお怒りもええとこである。miaと二人プレイにて。


初期手札は6枚中4枚を手札とする。

@探査:手札を増やす A発展:発展カードを出す B移住:惑星カードを出す C消費:製品を売る D生産:製品を生産する という5種類のフェイズがある。ただしこれらのフェイズは誰かがそのフェイズを行うと選択した場合にのみ行われる。1人1人どのフェイズを行うかカードによって決めるので、今回のように二人プレイだと毎ターン2つのフェイズで構成されるという話になる。またそのフェイズを選らんだプレイヤーは、ボーナスがある。

※全員が一度に選んだこれらのフェイズカードを行うのをラウンドと呼ぶ。終了条件を満たせばラウンドの終了時に終わる。終了条件や手札制限(10枚を超える場合捨てる)は、同様にラウンドの終了時に行う。


カードの○が惑星で、◇が発展である。数字は出すのに必要なコストで手札を捨てるところはサンファンと同じ。惑星の赤○は軍事惑星を表し、軍事力がなければ出す事が出来ない。その隣の八角形の数字は出した時に貰える勝利ポイントである。惑星によって生産出来るものの色があり、縁にあるのは出した時にのみ製品が貰える惑星で、内側に色があるのが通常の生産で製品を作れる惑星である。

こうかくと「ん?」と思う人が出てくるかも知れない。そう、これはプエルトリコで確立されたシステムなのだ。ただしレースフォーザギャラクシーでは、各自同じ内容のフェイズカードから選ぶので、同じフェイズを選択する事もある。本来なら、重なっても同じフェイズは1度だけしか行わないが、二人プレイだと例外として2度やる事になる。

発展カードや惑星カード(よくワールドと書かれているが、むしろ惑星の方が通りがいいので惑星と呼ぶことにする)を自分の場に出して、その惑星で製品を生産したり、消費したりして手札を増やしたり、勝利ポイントを稼ぐゲームだ。


今回のわしは初期カードにニュースパルタという軍事惑星を引いたので軍事力で攻めてみた。つうかそういうカードばっかり来たので何も生産は出来ないが、軍事力だけはあがっていった。軍事惑星は手札からカードを減らさずに済むので回転し出すと次々と出せるが、軍事力をあげれないとまったく出せないカードなのだ。

場に出すコストは手札を規定枚数捨てる事である。軍事惑星のみは軍事力で決めるが。

むむ? サンファンそっくり? と思うだろう。ルール読んでてこれはぱくり過ぎやろと思ったからなあ。

ところが実際にやってみると、サンファンどころではなかった。やたらめったら確認するところが多くて煩わしいのだ。例えば、消費に関して言えば、サンファンなら商品をほかして1つあるレートに従って手札を増やすだけなのでさくさく出来るが、レースフォーザギャラクシーでは、製品1枚毎に、どこで売るかを惑星カードから探して、そこの消費アイコンを使っていちいち消費させていかねばならない。各惑星は1フェイズにつき1枚しか消費出来ないのと、売れるモノが限定されていたり、対価の種類(手札、勝利点、あるいは両方)も違ってくるので、製品1枚毎にきちんと指示する必要がある。


そしてとうとう滅亡エイリアン艦隊という最強の軍事カードを出した。既に軍事力は6を超しているのでそのまま出すだけだ。生産フェイズがあれば最高のエイリアンテクノロジー製品を生産出来る。これは後日販売アクションを持つ消費アクションカードで売ることが出来れば、カードパワーで圧倒出来るだろう。

コストについても手札から捨てるだけの通常惑星と、自分の軍事力以下であれば配置出来る軍事惑星がある。軍事力は自分の他のカードに書かれているのでそれを集計する。このようになんせ詰め込みすぎて、なかなかテンポ良くゲームが出来ないのだ。


カードにはどのフェイズで効果を発揮するか描かれているが、正直、アイコンが非常に解りにくく、しかも製品を生産することでカードを裏向けに置くので、視認性が悪いったらありゃしない。これは後日、ある方法をとって解決したが、それでも情報が散乱しておりまとまりは悪いように思う。

ゲームは誰かが12枚以上、カードを場に出す(発展+惑星)か、勝利点チップがなくなったら終わりで、1プレイやった感じでは、「え? もう終わり?」という感じだった。内容をあれこれ把握する前に、簡単に終わってしまった。

最初はわしゃいきなり軍事惑星ばかり引いて、やたら軍事力が上がったので、軍事制圧出来る惑星ばかりを場に出していった。miaは、通常惑星を出すために手札からコストを放出して、カードパワーがなくなってどんどんとじり貧になっていく。


わしが軍事力を使って13枚配置したが、miaは僅か9枚。まだルールがよく分かっていなかったようだ。右下に見えるんが得点タイル。

軍事惑星は、カードパワーが衰えないところが一番の魅力だが、軍事力が届かないとまったく配置出来ないのが欠点となっている。今回は、軍事力があがるカードが手元にたくさんきたので、順序よく出していったら簡単に終わってしまった。

ルールを確認しながらやったので100分くらいかかった。


製品を生産するとこのようにカードを山札から裏向けに置くのだが、これによりアイコンが隠れてしまって視認性が悪いのなんのって。サンファン形式なのだが、感心しない。なぜなら、製品は製品としてのみ扱うので(この裏向けのカードの表にはまったく意味がなく見てもいけない)わざわざ全面を覆うカードを使うのが腹立たしい。何を考えとんねんといいたい。ちらっとみえるのがアクションカードで、フェイズ番号が割り振っている。

でも、このゲームの一番の魅力は、なんといっても生産して消費する事の筈である。即座に2度目を行った。今度は、逆でmiaが軍事惑星が多く、わしは生産系である。


2回目の最終局面。miaが見難いというので、カードをずらして製品を置いている。こんなに差があるように見えるが、得点差は割といい戦いになるのはなかなかにいい。

このゲームのポイントはなんといってもカードパワーであり、いかにして手札を増やすかというところに焦点がおかれる。手札がなければ軍事惑星以外は何もおけない事になる。効率よく手札を増やすために、生産した製品を販売ボーナスのある消費アクションカードを使って売りさばく事だ。それを使えば1枚で4,5枚の手札が入るのだ。高価な製品はその販売アクションによって意味をなし、通常の消費ではどの製品でも基本は同じしか入らないのだ。

2度目もこれらを上手く使って、勝利した。45分。

カードの内容を把握する前にまたしても終わってしまったので、飯を食うてからまたやろうという事になった。


◇の6が高級発展カードで、勝利点が?となっている。これはサンファンにもあった、自分のテーマに応じて出せばゲームの最後にごっつい得点が貰えるという奴だ。最初はこれの使い勝手が解りにくくて全然使わなかったが、一度miaにやられてその強さに驚いた。

3度目はmiaは消費に苦しむ事になる。生産出来る惑星はたくさんあり、製品もたくさん持っているのに、売れる惑星が1つもない。これにより、じり貧となって、またしてもわしの勝ち。

さらに4度目もやったが、これまたわしが12枚のカードを並べて勝ちである。どちらも45分。

サンファンプエルトリコにもあるが、コストが6もかかる上級惑星ともいうべきカードがあり、これのボーナス点の算出を読むのが面倒で手に入れても次々にコストとして使った。大体24,5点くらいで勝利してるが、本来ならこれらのボーナスを加味して30点オーバーを狙うべきなのだろう。都合4回もやったが、テンポをあげることは出来なかった。


こうやって自分の作った世界を楽しむゲームである。


そして後日やった時に、カードを再シャッフルするのが面倒なので(二人プレイやとぎりぎり終わるか終わらないかになる)、製品は捨て札から使っても一緒やろとやり出したが、考えたらカードである必要なし。よっておはじきを置くことにした。これなら特殊アイコンも見えるし、フレーバーの絵も隠さないしで一石二鳥である。なんで製品用の駒を用意せんかったのか理解に苦しむわ。後日Geekでも同じ事をしてる人を発見。


わしの編み出した最強コンボ。一番下にある銀河流行発生源は1枚消費すると2ポイントはいる。このとき倍にするアクションカードを使えばなんと勝利点が4も入るのだ。これでぶっちぎり勝利した。

miaのコメント

さっぱりルールを把握出来ない。もうなんかやること多すぎて解りにくい。世界観は凄く好きなだけに、もっとやり込んではみたいけど。

ソマーリオ

最初ルールを読んだときは、いくらなんでもパクり過ぎやろと思ったが、実際にプレイしてみると、システムはそっくりなものの、プレイ感は違うもののように感じた。一言でいうと、恐ろしく煩雑、である。

情報が細かく分かれており、その情報を使いこなすには熟練度が必要だ。ぱっとみて、何がどうなってるのか解らないのだ。かつてオルトレマーレでもそう感じたが、色んな情報をカードに詰め込みすぎたおかげで、プレイヤーはゲームに集中出来ず、ルールの手順のみに気持ちが割かれる。

またアクションカードと通常の手札の情報が両方必要なので、手に持つカードがいっぱいになるのだ。これはまったくもってよろしくない。

こうしてみるとサンファンが非常にまとまったゲームだと痛感させられた。

サンファンでは製品としてカードを裏向きに置くとあるが、これを行ったとしても視認性は悪くない。ところがレースフォーザギャラクシーでは、裏向きにカードを置くと重要な情報が全然見えなくなるのだ。そのまま踏襲する意味が分からない。製品用の駒を同梱しておけば済む話だったのだ。わしゃおはじきを使ったがもっと雰囲気を出したければプエルトリコの商品駒を使えばもっと雰囲気がでていいだろう。

※こうして書くとサンファンが好きかと思われるが、わしゃあまり好きじゃない。サンファンでさえカードの使い方が煩雑やなあと思っている。

サンファンとの類似性はあちこちで論議されているので、もうひとつ似ているゲームとしてカタンの宇宙船をあげてみたい。あちらはボードのようなものがあり、それを強化することで解りやすくしている。またカタンの宇宙船は同じ山札を利用し、どこどこに行けという指令を混ぜる事でプレイヤーとの絡みを持たせている。それ以外は、惑星を見つけ、移住し、生産し、消費するというフェイズはそっくりである。その手法がカタンのサイコロ生産を行うか、サンファン形式のフェイズ選択システムにするかの違いである。雰囲気はとても似ているように思うが、カタンの宇宙船の方がゲームとしてのまとまりはよく、レースフォーザギャラクシーの方が荒削りだ。

※またカタンの宇宙船のおもろいところは、宇宙を旅してる過程そのものを楽しませてくれるところだ。宇宙を飛んでいると宇宙海賊なんて出てくるw
それに引き替えレースフォーザギャラクシーはもっと戦略的なテーマとなっている。その分、惑星などにキャラクター付けがあるのがおもろい。

ただ、レースフォーザギャラクシーの悪いところはここまで。裏返して言えば、この膨大な情報量のおかげで、やりこめばやり込むほど、楽しくなってくるのは4回のプレイで十分に感じる事が出来た。4回やっても、まったくといっていいほど底が見えない。使わなかったカードは山ほどある。やり込めばコンボも発見していく事だろう。これはカタンの宇宙船との比較でも言える事で、カタンの宇宙船はデッキ全体において完璧なゲームデザインをとっているので、むやみやたらにカードを増やす事は出来なかった。しかしレースフォーザギャラクシーは、元々がプレイヤーそれぞれの箱庭を作るというコンセプトなので、ある意味でたらめにカードを作ったり増やしたりする事が出来るのだ。それはかつての名作タリスマンに匹敵するほどの拡張性を備えている。こういったガジェット好きにはたまらないシステムといえる。

宇宙の開拓というテーマと共に、やり込み型のゲーマーにとっては恐るべき魅力のあるゲームとなるだろう。
こればっかりやってるという人の気持ちも十分解る。実際に、しばらくこればっかりやってみたい衝動にかられている。

なんといってもテーマがいい。出てくる惑星には、SF好きには堪えられない、銀河帝国や、滅んだエイリアン帝国、通商ギルド、ロボットなどがあるのだ。こういうのにピンと来る人なら期待は裏切らない。すぐに買うべきだ。ただ、特にこういったテーマに浪漫を感じない人は買わない方が良い。

これほどの内容ならば、ボードゲームとして出して欲しかった。カード1枚に詰め込むよりも、ボードを使う事で、自分の銀河帝国の広がりを実感したいところだ。わしゃボードゲームの方が好きなのでプエルトリコのようなレースフォーザギャラクシーボードゲームを是非作って欲しい。

このゲームは自分だけの銀河帝国、を作る宇宙の箱庭ゲームなのだ。どこかで書いていたが、お互いに相手の帝国の発展を観察しながら、見せ合って自慢しあう、そういうゲームである。

他者との絡みが少なくほとんどソロプレイであるという話だが、選ぶアクションのタイミングを見定めれば、最初に思ったよりも他人との絡みがあるように思った。特に生産と消費のタイミングを上手くやれば、自分だけ得する事も可能だ。ただし、思ったよりも、だw

これは好きな人にはたまらないだろう。逆に純粋にゲームとして楽しみたいという人には向かない。ゲームの楽しさを理解するには4,5回は必要で、わずか45分で出来るもののプレイテンポがうんざりするほど悪い。やることなすことが全て煩雑で、今、何をやってたっけ? と記憶喪失になるほどなのだ。そういった意味でやりこみたいと思いながらもをつけようとはこれっぽっちも考えなかった。

※ちなみにやりこみたいと思うのは、日本語化するのに非常に時間を食うたからで、それが悔しくてというのもあるw

このゲームは世界観が好きでやり込む時間があるという人にのみ勧めたい。それ以外ならばサンファンをやっておけば完成度は間違いない。レースフォーザギャラクシーはサンファンというよりもプエルトリコ級のルールの多さと思って欲しい。そして情報の確認性は比べるまでもなく悪い。だから賛否両論というのもよく解る。

そういえば、かつて金星の商人というボードゲームがあったが、やったことはないがルールを読む限り、まさにそれと同じ楽しさがレースフォーザギャラクシーにはあるのだろう。ただでたらめな割にプレイバランスはかなり良好であるのは、このシステムを作ったザイファルトの手腕なのだろう。

拡張セット、嵐の予兆(ギャザリングストーム)でこのゲームの不満点のいくつかが解消され、ゲームが完成した。

こちらにあるみらこーさんのページの和訳を使って日本語化しました。

その後ホビージャパンから、日本語版が出ました。カードがかなりボロボロになってきたので、買う事にしてる。こういう日本語化は例え遅くなったとしても嬉しい。


Geekより拝借。これが金星の商人である。とある惑星で仕入れた品物を別の惑星に売る。もちろん宇宙船も強化出来る。
ようやく手に入りそうなのでいつかレビューしてみたい。

gioco del mondo