Alan R. Moon

Aaron Weissblum

Gold Sieber

3〜4人
80分

ニューイングランド

1620年、メイフラワー号に乗り込み、新天地を目指した清教徒(ピューリタン)たちは、この新しい土地を故郷を模してニューイングランドと名づけた。
次々に入植を開始するピューリタンの家族たち。
開拓地、牧畜、農地を造り、新天地ニューイングランドを素晴らしい理想の楽園にするのだ。

プレイ感

ムン様オアシスの前身となるニューイングランドを発表したとき、新たな予感があった。そしてチケットトゥライドドイツゲーム大賞を受賞し、ムーン黄金時代を迎えるにいたった。オアシスがおもろかったらこれもいけるという事で購入。ずっと眠っていたが、ようやくTAM夫妻とたっかんと4人でプレイすることとなった。


基本は、モノの購入である。値段は自分で決めることが出来る。1〜10まである値段タイルを取っていき、その値段で2つまでモノを買うのだ。高いタイルを取ったプレイヤーから、購入していくことになる。

モノには、開拓地、牧草地、農地となる3種類の土地タイルと、その土地タイルをひっくり返して開拓地、牧草地、農地化する開拓カードがある。これがゲームの主な目的だ。つまり、3種類のタイルをボードに並べて、タイルをひっくり返して勝利点を得る。また清教徒、船、倉庫の3つの駒を配置するカードがあり、それに様々な効果を加える。


左にお金のタイル。上にタイルとカードを並べる。比率を決めるのはお金タイルで一番高いものを取ったリーダーである。ここでH家のTAMは2枚のタイルに移動不可能な倉庫を置いてしまうという失策をしている。

ポイントは、リーダーが今ラウンド使うタイルとカードの枚数を決める点である。最初はわからないのでTAM嫁はタイル4カード5というバランス型でゲームスタート。そんなに高くないので買いたいなあと、皆、安値を取る。

ところが、順番が最後の方になると、さっぱり欲しいものが手に入らないのだ。使える状態でないと開拓カードを買うことが出来ないので、基本的に欲しいものというのは割りと似通ったものになる。つまり、人気アイテムを欲しいなら高く買えと、そういう形だ。

なるほど。この部分がオアシスに似ているのかも。なかなかに面白い値付けシステムである。


基本は土地タイルを配置して、カードで一気に開拓(タイルをひっくり返す)する。タイルの絵がトウモロコシやら家やら家畜になってるのが開拓後である。こうしてしまうともう何も出来ないが、この状態にしていくパズルっぽいゲームである。

1ラウンド終了して、リーダーが、今回購入できるタイルとカードの枚数を決めるという意義と、この10まである価格タイルの意味がすぐにわかった。リーダーになれば自分の有利な配分にすればいいのだ。開拓カードは、2つ横並びとか、3つのL型、4つ使う2×2型があり、この形に前もって土地タイルを配置していなければ、買えないのだ。リーダーは順番に回ってくる。

毎ラウンド4シリング貰えるのだが、清教徒を買うと1シリングずつ増える。これに目を光らせたのが、TAM夫妻。つい出てしまうあたり、リアルの世界でお金に困っているのだろう。そして、奇抜な行動に出たのがTAMである。いきなり倉庫を購入した。倉庫は、開拓カードを1枚保存しておける。問題は、3種の駒は、開拓されていない状態の土地タイルにしか置けず、この駒が置いている土地タイルは開拓することが出来ない。そして船と清教徒は任意に移動させる事が出来るが、倉庫は移動させることが出来ない。初期配置のタイルは2枚綴りのボーナスタイルであり、愚かにもここにTAMは倉庫を建てたのだ。

さすがはTAM…。TAMとたっかんはどちらもとても奇抜な打ち方をするが、TAMは自爆系、たっかんはキングメーカー系(こいつの一手で、勝者が決まる)である。

わしは、船を購入して、序盤を有利に抜ける計画をとった。船は沿岸にしか置けず、最多(複数可)を持っていれば、自分の手番にタイルかカードを1枚、追加で市場に出すことが出来る。値付けがポイントになってるように、このメリットは計り知れない。


船は沿岸部にしか置けない。こういった駒は3種類あって、開拓前のタイル上にしかおけないが、倉庫以外は開拓するときに邪魔だと思えば移動させる事が出来る。下に並べてるカードを計算すれば勝利点が簡単に計算出来る工夫となっている。開拓する時は一気に同じ形のタイルをひっくり返す。例えば10の奴は2×2のタイルをひっくり返すし、3の奴は2×1の奴をひっくり返す訳だ。当然、その形に前もってタイルを配置しておかなければならない。

TAM「船いいっすねえ」

というわけで皆が船を持ち始めた。TAM嫁は、ひたすらに清教徒をかき集め、「わー、この人ら邪魔で、開拓できない」となった。

それを横目で見ていたアンチクリスチャンのわしとたっかんは「うんうん。こいつらが世界をボロボロにしたどうしようもない奴らや。こいつらのはた迷惑さを実感させるのがこのゲームのテーマやな!」と頷きあう。

わしは、わずかな船と、1つだけ購入した倉庫を活かして、開拓をどんどんと進めて次々にタイルをひっくり返す。勝利点ではこの開拓カードが一番なのだ。

※駒は各1点。さらに最後にそれぞれの分野で最多を占めていれば清教徒3、倉庫2、船1の追加ポイントが入るが、最低6点入る開拓カードに比べれば取るに足らない。

わし「開拓〜」

くるりん

お? この開拓カードの形にくるりんと回すのは気持ちいいぞ。

自分が、リーダーの時、土地タイルが熟していれば、カードを大目に出す、逆に土地がまだあまりなければ、土地タイルを大目に出すという戦法と、倉庫を使った相手の欲しがる開拓カードを抑えるという嫌がらせで非常にスムーズにゲームを運んだ。

これで負けてたらこのゲームのポイントは違うのだろうという状況で、タイルがなくなりゲーム終了(タイルかカードの補充がなくなれば終わり)。

わしの勝利。所要時間80分。


このTAMの愚かな最初の倉庫が、敗北の要因。周りは開拓してるのを見れば解るように、2枚タイルは重要なのだ。後半の船ブームがみえるw

TAMのコメント

もうあの最初の倉庫で、ゲーム終わってました。でも、これはおもろかったですわ。箱が新品のくせに破れてたってのがむかつきますよねえ。

ソマーリオ

開拓カードの形に合わせてくるっと回す感覚が病み付きになる。80分掛かったってのが信じられないくらいあっさりとしたテンポが小気味いい。

ムン様お得意の、他者に対して厳しい一手の打ちにくい(良い意味でも悪い意味でも)切れの悪いシステムは、ヘビーゲーマーの受けは悪いと思われるが、変わった競りによる購入というゲーム性の割りに初心者でも安心して楽しめる良さがこのゲームにはある。非常に綺麗にまとまったゲームである。(価格で10とか高いのは要らないけど)

残念というか面白いというか、清教徒による入植というテーマであるにも関わらず、まったくそんな雰囲気がない。ルールを一読すると同じ開拓ゲームのカタンの開拓者みたいな感じかなと思ってしまうが、カタンほどテーマ性と雰囲気がばっちりではないのだ。ボードを使ったタイルマネージメントゲームといった感じだ。パズルのように並べられているタイルをいかにして効率よくひっくり返すかといったアブストラクトチックなゲームなのだ。テーマがなくってもきっと同じくらい楽しいと思う。パズルチックな雰囲気がある事から、女性に受けるかも知れない。

これを進化させた形がオアシスだという意見もあるが、雰囲気はまったく違うので両方とも持っていて損はない。むしろ、初心者に対する安心度や完成度ではニューイングランドのほうが上である。2003年にドイツゲーム大賞にノミネートされたニューイングランドは惜しくもアルハンブラにその座を譲ってしまったが、相手にさえ恵まれれば大賞になってもおかしくないゲームだろうと思う。

gioco del mondo