Acchittocca
Antonio Tinto
Flaminia Brasini
Stefano Luperto
Virginio Gigli

Hans im Glueck

2〜4人用
120分

エジツィア

紀元前3000年。
エジプト文明が始まり、農耕文化が始まった。
ナイルの氾濫は古代エジプト人に肥沃な土壌を提供する。
エジプト人は、次第に公共建築物としてピラミッドの建設を始めた。
上流にはもっと古いスフィンクス像が見守っていた。





プレイ感

アグリコラのヒットにより行動選択する(駒を置いてアクションを選択する)ゲームが大ブームである。これもその流行に載ったか、あまり欲しくも無かったが評判が良さそうなので買うてみることにした。古代史ゲーム大会として、オビ湾、OEC、miaとの4人プレイにて。


エジツィアらしい味付けだけを書く。アクションは上流から下流に流れるように明確に区別されており、自分の置いた駒より下流に置いていかなければならない。アクションは大まかに分けて3つ、モニュメントの建設、労働力の確保、カード効果、となっている。

モニュメントの建設は上流からスフィンクス、オベリスク、ピラミッドとなっており、それぞれプレイヤー人数マイナス1個の駒しか置けなくなっている。直接勝利点に関わるのはここなので最も重要なアクションだ。

労働力の確保は、個人ボードにある労働人数を増やすアクションで、これのパワーをあげないとモニュメントの建設に携わる事が出来なくなる。しかし、一旦あげると固定費として毎ラウンド食糧を払わなければならなくなる。リストラは不可w

カード効果は特殊効果も含めて色々あるが、主なのは田畑の確保だろう。これを取っておかないと食糧が調達出来ず、勝利ポイントがマイナスになる。


このようにアクションカードを川下りに見立てて取っていく。次におけるのは、自分の最下流以降のカードだけ。また途中に建設のアクションがあり、それらは3つまで置く事が出来る。ちょうど、スフィンクスに3つの駒が置かれている。

この川流れのルールがなかなかによく、駒を配置していくと実際に上流から下流へ流れてる気分になる。ほとんどの場合、ほぼ順番にてれこにアクションを選択する事になるのだが、時にはどんと下流に行くこともあり悪くないルールだ。
最初に来るのはスフィンクスの建設現場である。わしはどうしてもその一つ上のアクションを選択したかったのでそちらを選択すると、あっちゅう間にスフィンクスに3つ置かれた。今回は4人プレイなので3つまでしか置けない。もちろんひとり1個だけだ。

更に川流れが続き、今度はオベリスクの建設現場である。オベリスクは墓場から掘り起こしてオベリスクの資材にするので、墓場の大きさが問題になる。ここはわしも置く事にした。

そして最後の建設現場はピラミッドだ。ピラミッドは段毎にトップ賞が貰える。

それが終わるとナイルは海へと流れ出る。最後のマスは天候を変えるマスだ。このゲームでは労働者のポイント分食糧を支払わなければ失点となるが、田畑はその肥沃度によって3段階ある。緑の田畑はいつも食糧を供給出来るが、他の2つは天候によって供給出来たり出来なかったりする。
ほとんどのドイツゲームでは食糧が欠乏すると、復帰出来ない程大きな罰則となるがこのゲームでは失点になるもののそれほど大きな罰則ではない。マイナスは織り込み済みで、そのマイナスを減らせる市場というシステムが存在しているのだ。

一旦、最後まで川が流れ、食糧を供給すると、建設フェイズに入る。建設に関してはすぐにアクションを実行せずに、このフェイズで行う。建設方法はそれぞれユニークな方法で行うが、全て自前で集めた石材を使うという事は同じだ。


スフィンクス、オベリスク、ピラミッドと3つの主要な得点源がある。また右上に表示されているのは食料や石切場のマーカーで、これをあげることで石の供給や食料不足の罰則をゆるくする。一番下流にあるのは天候を表し、これの場所によって今回、作物が取れる場所が決まるのだ。

スフィンクスは、最後に条件を満たせばボーナス点となるカードが手に入る。オビ湾はこれをしこたま集めた。
オベリスクは、墓場の大きさがでかければ一気に得点出来るチャンスがあり、最後に掘り起こした墓場の量によってボーナス点が入る。
ピラミッドは、先に書いたようにトップ賞がある。

とまあ、流れはざっとこんな感じだ。
序盤、快調に飛ばすわしに対してオビ湾は、順番の綾でスフィンクスばかりを作る羽目に陥る。スフィンクスの勝利点というのは最後に決算されるので、ボード上には現れてこない。つまりぶっちぎりのべっただ。


3つの建設物には、労働力を使い、それぞれこのような個人ボードを持っている。3の能力が二人、4の能力が一人と4に置かれているワイルドカードの合計4人。変わっているのは、このうち一度の建設に使えるのは一人だけで、能力を合算して使う事は出来ないという事だ。唯一ワイルドカードの人物の能力だけを合算出来る。その下は石の量である。

わしは即物的なピラミッド建設に力を注ぎこんだおかげで、勝利点としては抜け出している。
ただし、このゲームはこの3箇所を作るというのが一番のポイントなので、毎ラウンド複数作る事で勝利点を得られる事になっている。わしはスフィンクスをどうしても作る事が出来ず毎ラウンド2個のボーナス点を得るに過ぎない。

miaは3つにおくが、建設資材である石の量が少なく、大きく点数を稼ぐ事は出来なかった。
OECはいつものようにトリッキーな戦術で、変わったカード戦術を取るがこれまた目立たず。どれだけ特殊カードが強いかはこれで解る。

mia「あ、食糧足りなくなった。どうにもこういうゲームは苦手だ」

miaは建設現場にいそいそと出かけて、田畑を耕す事を怠った。そのせいで、食糧が足りない罰則点を受ける事となった。罰則は市場マーカーのレベルに応じて決まっており、このレベルを上げる事で罰則を少なくする事が出来る。つまり、足りなくなっても致命傷にはならない。

オビ湾「じゃ、ここを抑えて市場のレベルあげます」

オビ湾は、市場のレベルをぐんぐんとあげて、余裕な感じ。
わしはそのせいで、なるべく田畑を取って食糧事情を満たさなければならなくなった。miaはそれに気づくのが遅かった。


これがわしの持つ田畑と石切場。一番左の田畑はナイル川が氾濫しないと育たない厳しい土地。一番右の緑の田畑は少々枯れてても作物を供給してくれる土地だ。当然、右の土地がいいのだが、なかなか取らしてくれない。この例だと、天候が最高状態で20の食料を供給してくれるが、もし、枯れ枯れの天候だと8しか作物が取れないのだ。天候には常に気を使わねばならないパターンだった。その下が石切場の数で、毎ラウンドこの数だけ石を貰える。

ゲームは4回川下りを行えば終わりである。出てくるカード構成はラウンド毎に変えてあり、バランスを調整しているのは最近のトレンド通り。

ひとつ遅々として進まない建設現場があった。オベリスクである。ちょっとルール間違いをしてて、墓場にある石材を絶対に使わなくてはならないと思っていたからだ。墓場には数字の違う石材があり、その石を使う労働者のパワーが要る。このゲームの労働者ってのはまとめて力を発揮出来るものではなく、基本ひとりで総数を満たさなければならないのだ。例えば8の墓場石材を積み上げるには、ひとりで8の労働力が必要なのだ。労働タイルは3枚あるが、これらを全て足せないので、自然、突出した労働者を作る必要が出てくる。

※厳密にいえばワイルドカードの労働者は足してもよく、最高ふたりで労働条件を達成すればいい。

で、間違ったオベリスクの墓石はかなり前方に8というとんでもないのが出て、それを砕く事が出来ず遅くなってしまった。途中でOECがおかしいと気づきルールを読み直して、載せても載せなくてもいいと解ったが、とりあえず超強力な労働者の出現が待たれた。

わし「わしがこの石を破壊してやる。このスーパーサイヤ人で」

mia「えー、まじ? せっかくやろうと思ってたのに」

オビ湾「それ、やるんですが。そうとなったらプランが変わってきますねえ」

わし「あ、でもちょう待てよ。どうしよかな」

mia「どうすんの? それによって置く場所が変わってくる」

わし「阿呆、そんなん言う必要ないわ。順番に川下りせえや」

実のところどうしてもこの墓石を突破したくてスーパーサイヤ人を作った。ただよくよく考えてみると、こんなところでパワーを使うよりもスフィンクスとピラミッドとに分けて登用した方が勝利点がでかくなる事に気が付いた。

まあ、順番に置いていくのでその様子を見つつやな。とにかくオベリスクに自分の駒を先頭においた。この順番に建設順がまわってくる。そのとき建設をしなくてもいいのだ。そのとき4人目のプレイヤーが駒を置いていれば補欠繰り上げとなって建設するチャンスが巡ってくるのだが、補欠なんて勿体ない事は出来ないと今回のプレイでは誰も置かなかった。

わし「ほな、建設しない」

mia&オビ湾「えー!」

なんか知らんけど、思惑を外したみたい。

オビ湾「じゃあ、僕がやります。なんか狂ったなあ」

そして運命の最終川下り。

わしには絶対抑えねばならない場所があった。このラウンドで、もしここを抑えられたら、セーフティリードは一発で吹き飛び、一撃でベベに陥落する恐れすらある。

ドキドキしながら、その時を待つ。

あー、もうあかん。気づかれたら終いや。

わし「じゃ、わしココ取る」

オビ湾「プッ!」

わしが置いたのはラストマスの天候マス。

わし「もう、ここ抑えられて、天候悪くされたら、恐ろしいまでのマイナスを食らうとこやった」

わしの田畑はかなり枯れてる。天候不順にさせられたら、スーパーサイヤ人がいる事もあって、相当な食い物不足となるのだ。そして市場のレベルはかなり低いので、マイナス点は莫大なものになる。焦った意味が分るだろうか。

スフィンクスの達成度は低かったがこれで勝ったと思った。


最後はこんな感じで完成。オベリスクはルール間違いのため完成出来ず。ポイントは天候マーカーで、どこでも作物が取れる場所にした。

ところが最後の決算で、スフィンクスと市場にばかり精力を注ぎ込んだ、べった糞のオビ湾が、次々に達成したスフィンクスのボーナス点が明らかになりグングンと差をつけ、とうとう逆転負けしてしまった。

わし「うっそーん」

オビ湾「なんか勝った気しないっす。。。」

所要時間120分

OECのコメント

川流れに逆らう事が出来ないため、自分が止まりたいマスが複数ある場合や、特に建設マスの手前でちょっとだけ長考したりして物理的に時間が止まる上に、みんなの船がなかなか進まないあたりに「ナイルの流れは雄大で氾濫はするものの穏やかである」って感じがしててすごく気持ちよかった。
ただ、ゲームとしてやることは良くあると言うと悪いけど、そんな感じ。

オビ湾のコメント

ナイルくだり感覚だけが新しいワーカープレースメントって感じかなぁ。
2ラウンド目でマイナス点だったときは泣くかと思った。
置かなきゃ置かれる悩ましさがあるんで面白いんですが、ボードを含めてあんまりエジプトにこだわりがないようで、ちょっとテーマ愛が感じられなかったかなぁ。

ソマーリオ

普通のアクション選択方式に川下りという要素を追加しただけなのだが、確かに川下りをしている感覚になる。そういった意味でエジプトという雰囲気はそれなりによく出ている。

石材の確保と人員の確保、食糧の確保が主軸となっており、これらを組み合わせてモニュメントという勝利得点に変換していくという形だ。3種類あるモニュメント建設にややこしいところはあるが、その部分さえきちんと抑えれば問題なく楽しめる。スフィンクスは達成カード、オベリスクは追加得点、ピラミッドは最多が得点だ。

例えばストーンエイジのさいころ運が嫌なんて人はエジツィアを勧めたい。大聖堂みたいなぼやけたゲームならば確実にエジツィアの方が面白い。古代エジプトが好きな人なら、クニッツィアアメンラーとはまた違ったゲームなので持っていてもいいと思う。ただ良くも悪くもローゼンベルクが、この手の行動選択システムを古臭いものにしてしまったように感じる。

ただ世界的には好評なようで、Geekでは平均7.6という高得点を出している。

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