Tom Schoeps

Gold Sieber

3〜5人
60分

十二星座ゲーム

遙か何十億年も前から夜空で星が煌めいている。
人類が創世され、天空に輝く星々を点と点でつなぎ合わせ星座を作った。
その中で最も重要な12の星座は、いつのまにか人類の道しるべとして占いとなり、今なおその位置によってわたしたちに語りかけている。

プレイ感

カタンと同期のゲームだが、古いドイツゲーマーからは評判が高い。前から興味があったが、ようやく手に入れる事が出来た。mia、OEC、コツミとの4人プレイにて。


プレイヤー人数分の星座タイルを置く。手番になったら、自分の星駒を1つ置くだけだ。ただし基本は表向けに置くのだが一等星のマスだけは裏向きに置いて何を置いたか解らなくする。ひとつのタイルが満タンになれば、決算である。一等星の駒を表向けて、一番数字の合計が高いプレイヤーがタイルの先頭の星ターラーを、二番が後ろの星ターラーを貰う。それ以外のプレイヤーは、示談金として1位のプレイヤーから置いた駒数だけ貰うのだ。
つまり1位よりも2位の方がたくさん貰えるケースがよくある。


星座に見立てたボードが12種類ある。それをランダムにプレイヤー人数分めくるのだ。手番になれば、自分の星駒を1個置くだけ。輝きの大きな1等星は裏向きに、その他は表向きに置く。

序盤、わしはちゃっちゃと決算の出来る小さい星座めがけて自分の駒を置いていく事にした。ここを支配して、細かく得点を重ねていくのが良さそうだ。というのは、このゲームの手駒は、1,3,4,5,6,7,10と二重星2個、ブラックホールとある。決算するまでは、ずっとそこに駒が置かれたままなので、じり貧になるんじゃないかと思った訳だ。

※ちなみに二重星(Doble Star)というのは地球からみて、2つの恒星が近くに見える、あくまで見かけの星の事で、二連星(Binary Star)は、実際の距離が近くて重力をお互いに影響しあってる。このゲームは星座ゲームなので、二重星ダブルスターである。

10の駒を何度も使い回す方が効率が良いと思っての作戦だった。


全てのマスが埋まると決算である。双子座があと1つで決算。わしの黄色の駒は隣のブラックホールによって影響度0にされてしまった。そこで……


わしの手番に5の駒を置いて決算とした。これで黄5、青1、紫1となりわしが6星ターラーを獲得。2位の青が4星ターラー獲得。しかし、トップのわしは示談金として、紫に1、橙に1の星ターラーを渡さなければならない。場合によっては、2位の方が得なケースがあるのが非常にユニークなシステムだ。

ちょっと駒の説明をすると、二重星は、横にある駒の得点を2倍にする。ブラックホールは、隣の駒を吸い込んで決算時に捨てさせる効果があるが、ブラックホールが複数となり同士になると、お互いに吸い込んでブラックホールが捨て駒になる。

序盤は、皆も、当然一等星の場所から駒を置いていく。一等星は何を置いたか解らないが、おそらく数字を置いている筈だ。

次々に置いていくが、わしの置いた星座は置ける場所が少ないので決算が早くなる。皆、決算が近いとなると、おこぼれにありつこうと、一気に駒は埋まる。

星座が完成した。

決算である。

わしがトップの5点を貰い、2位のOECが4点を貰う。わしはmiaに示談金1点を支払って駒が帰ってきた。
作戦通りである。これで再び10の駒が使えるというもの。しかし、OECと結局は同点になってるのが腹立たしい。

このゲームは、1位2位の得点差がほとんどないのでこうなるのだ。

新しい星座を場に置いて、プレイ再開である。

わしもそろそろ一気に駒が埋まり始める星座にいっちょ噛みして、星ターラーを貰いたい。


今度は魚座。橙は既にブラックホールを使ってるので隣は安心である。


3位か! ちきしょー!!

陣取りゲームの基本は、ひとつの地区に思いっきりパワーをかけることなく、ほんの少し抜け出すくらいが一番効率がいい。それが敵わない場合は、示談金狙いで駒を置いて少しでも稼ぐ事だ。

現在、OECが着実に1位もしくは2位をキープして、星ターラーがどっちゃりである。大きな星座で勝つと9点とか10点も貰えるのでそれを確実にOECは抑える。もちろん2位狙いの九州男児とは思えないやらしいプレイだ。

確かに示談金は損だが、意外と2位と同じくらいの金額になる。駒の配置出来る数と、得点が絶妙なのだ。


二重星の使い所が下手くそで苦戦を強いられる。ほとんど使ってないのがへぼいなあ。

わしはあまりにも得点の低い星座ばかり狙ってたので、それほど点は伸びないが、なんとか2位につける。

牡羊座が出た。

mia「あー、それ置かないで! わたしの星座なの!」

何をけったいな事を。

まあ、確かにわしも蟹座が出たとき、置きまくったけどな。蟹座はわしの作戦に適った小さい星座だったので、これはもちろんトップを取った。

皆、自分の星座が出るのを楽しみにしてるってのは、テーマの良さといえる。

今最も熱いのは蠍座である。蠍座は一等星を4個も持ってやがるのだ。そして中盤以降、要領を得たので、確実にブラックホールを置いてくるプレイをしてくる筈だ。


蠍座に全ての星駒が置かれた。キーとなってるのは、二重星が重なっている隣の駒である。


ブラックホールが打ち消し合い、あっと驚く結果に。青10、紫9、黄7で、惜しくも3位。3位つうのはどうにもへぼい。
このように一等星というのは非常に重要な要素を占めている。ブラックホールくさければ、ぶつけて打ち消してしまえばいいのだ。

やらしいプレイをしたいものの、馬鹿正直に数字のでかい駒ばかり置くわし。

今回のやらしいプレイはOECである。ここぞとばかりに2位を取るために、わざと自分の星をブラックホールで吸い込ませたりする。

あるいは、ブラックホールだろうと思われる場所にブラックホールを置いて相殺させる。

ブラックホールを制するモノは宇宙を制す!

その読みがことごとくあたりOECは独走態勢にはいる。


大勝負である。


OECがブラックホールの読みで、わざと隣のブラックホールを打ち消して、2位を確保。やられた。出来れば2位になりたかった。示談金がでかい。毎回こんな感じで2位を狙ってくるOEC。

わし「これ皆でトップ叩きせんとこのままいかれてまうで」

というのにも関わらず、miaはわしの駒を潰しにブラックホールを投入。

わし「お、お前なんでやねん!! わし負けてるねんぞ」

それを尻目にOECまたしても2位。わしも示談金を貰うが、示談金なんて僅か1ターラー程度で2ターラーもらえるのは珍しいのだ。これでは勝てない。

mia「だって2位狙えるかなと」

あのなー、もう勝ち目がないならそれも解るけど、2位はわしとmiaとほとんど互角なんで今から頑張れば1位を狙えるかも知れん。2位狙いでトップ叩きをせんってのはまったく価値がないっちゅうねん。それやったら1位を狙ってべべになった方がなんぼか価値ある。1位を狙ってこその結果の順位。

案の定、その得点が響いて、OECぶっちぎりの勝利。所要時間50分

かつてフェレータでTAMに注意したのと同じへっぽこプレイをしたmiaはドベ。2位以下が足の引っ張り合いをやる事ほどアホらしいことはない。1位が勝手に決まってしまうだけ。

コツミのコメント

最後はばらけて駒を置くのでシートに集中してたけど…その方が勝率高いのでしょうか……。

OECのコメント

星ターラーが足りなくなるのが致命的な欠陥だけれど、まぁ、致命傷だけを見なければ、想像通りの綺麗なコンポーネント。オークションで相場がおかしなことになってるのもうなずける。それだけに致命傷は、ホントにもったいない限り。
ゲームの内容も、一等星ルールやブラックホールで駆引き、手元に戻ってこない星と星の得点が飛び飛びなことで起こる軽い駆引きとジレンマ、報奨金ルールでの食い下がり所の演出、と盛りだくさん。

星座が完成したら次の星座が出てくるのとか、順番はともかく天球が回っているかのよう。ほんと、綺麗の一言。
得点の低い星座で報奨金をかすめ、得点の大きいところで2位キープ、ブラックホールがピッタシはまる、と思うように行き過ぎたおかげで1位。

miaのコメント

星座早見盤のような仕様が素敵! 自分の星座が出てくると、ついはしゃいでしまうのでバレバレ。ただゲーム内容は単純なので見てて楽しいってだけかも。。。

ソマーリオ

昔のドイツゲームってやたらとシンプルやったと思い起こさせる内容。当時カタンはあまりにも難しくて売れないとされていたからだ。そうそう、こんなシンプルさが、シミュレーションゲームからすると新鮮で、ルールは簡単やけど考えるゲーム=ドイツゲームという図式が出来上がってた。

この十二星座ゲームは、かつてのドイツゲームの良さを再認識させてくれる。非常にシンプルながら、しっかりと考えどころはあり、ゲームバランスは絶妙といえる程だ。特に一等星は裏向きに配置出来るというルールが非常によく出来ており、読み合いと駆け引きを十二分に楽しむ事が出来る。

しかしそれよりもよく出来ているのは示談金のルールだ。星同士の関係で示談金つう言葉はちと萎えるが、これによって1位よりも2位狙いの方がたくさん貰えるケースが1,2度出てくる。そのせいでOECのように自らブラックホールで消滅させるという作戦が活きてくる。それにしてもこの手のブラインドビットは好きなのだが、全然勝てないのが悔しい。読みが甘いのだ。

やってることは星座とまったく関係のないシステマチックなものだが、星座タイルと星の光を表したギザギザの駒を見てると、何故か夜空を想像し、宇宙を支配する神様のような気持ちになってくるから不思議だ。

なんか壮大なロマンを感じてしまう。何とも言えない凄く不思議な感覚。

そこに駒を置けば星が煌めくのだ。そして大質量の怪物ブラックホールを操る感覚や、二重星を置く感覚は、想像力豊かな人にはたまらないものとなるだろう。宇宙に溶け込むと言えばいいのだろうか。

全然テーマと合ってないやんという意見もよくあるので、こんな風に感じたってのはわしだけかも知れない。

エリアに対して、ブラインドビッドしたり、表向きにビッドしたりするってのの、原型をみた気がする。そしてそれがシンプルながら、非常によく機能しているのだ。しっかりと練り込まれて星座タイルを作ったってのがよく分る。非常に味のあるおもろさがこれにはある。

気になるところは、二重星が2個も要らんかなと思ったところ。使っても1個くらいのように思うが、もう少し回数をこなさないと解らない。それよりも確実に気になったのは星ターラーが足りなくなった事だ。これはもう少したくさん用意しておいて欲しかった。それか得点ボードを使った方がやりやすいかも知れない。

古き良きドイツゲームの良いところを実感できて、今となってはドイツゲームも複雑になったなあと感を極めない。たまにこういうのをやると原点を見たという気にさせられる。かといってヤフオクで1万円も出してまで買うようなゲームではない。これと類似のシステムは、モルゲンランドイスナゲットなどに見られるし、いずれも名作である。複雑ゆえに満足度も高いだろう。
そうそう星占いといえば、13番目の蛇遣い座ってのが記憶に新しい。丁度それが話題になった頃、エッセンで限定配布された蛇遣い座のタイルがある。まあ、あってもなくてもどっちゃでもいい代物だが、13/12というとんでもない数字であるのはやっぱり興味がある。若干ルールも追加されるようだ。

gioco del mondo