Michael Schacht

AMIGO

2〜5人
30分

パトリツィア

パトリツィアと呼ばれる貴族階級はこぞって自分の名声を高めようとしていた。
その最たるものが塔の建設である。
イタリアの各所において、美しく機能的な塔の建設合戦が始まった。






プレイ感

ネットでの評判をみるとなんだかモヤモヤっとした感じ。シャハトのドライなところが出て、わしには合わんのやろうなあと思ってた。ドイツアマゾンで新作にも関わらず叩き売りの値段にもなってるし。。。とりあえずさっさとやって売っちまおうとmia、コツミ、Jyama、OECが来た時に出してきた。
これを訳した事があるJyamaに「正直、どうなん?」と聞くと訳したけどやってないという。ズーロレットといい、なんかそんなんばっかりやなw


3枚の手札には、フィレンツェ、ローマなどボードにある建築場所が描かれている。で、そのカードを出して、そこに自分の塔(といっても瓦みたいな形をしてる)を置き、その場所にある表向きになっているカードを補充する。出したカードは、自分の前に1つの山にして積み重ねていく。これは貴族の顔ボーナスってのがあって3人で6ポイントの勝利ポイントが貰えるようになっている。


各都市には補充用のカードが1枚表向けられている。カードを自分の手前に置き、建設場所のカードを手札に補充する。顔の絵が描かれているのが貴族の顔である。これは終了時3人毎に6点貰える。

ポイントとなるのは塔の置き方。各地では、2カ所の設置場所があって、どちらに塔を配置してもいい。しかし、最後の1個を置くときには、2ヶ所のうち1ヶ所が空いたままなら、そちらを埋めなければならない(決算の時に必ず両方に駒が置かれている状態にする)。合計が都市に表記されている数に達したら完成となり得点計算となる。高い塔で一番勢力があるプレイヤーは、勝利チップの高い方を、低い塔で勢力のあるプレイヤーは勝利チップの低い方を貰う。

※ルール間違い訂正。渡辺さんお知らせありがとうございました。


手札は3枚。カードは2種類の効果を持っている。右のカードは紫の都市に1つ駒+貴族の顔である。ボード上右手前に同じ紫のカードが見えるだろう。こちらは紫のマークが2つ描かれているので、貴族の顔ボーナスはないが駒を2つ置けるカードなのだ。使ったカードは常に最新の1枚だけが見えるように置いていく半オープン情報で、他プレイヤーが貴族の顔ボーナスを防ぎにくくしている。

カードに遊びはなく、盤上の都市全てがきちんと埋まるだけしかなくて、最後は全てのカードが使われ、全ての都市で得点計算されるように出来ている。

mia「なんだか偏るねえ」

ある都市に介入するプレイヤーがいつも同じなのだ。

わし「そらそうやろ。わしらは選んでカードを出してるねんから」

カードを補充するのは、塔を置いた場所に表向けになってるカードだ。だから自分が欲しいカードを手に入れるようなカードマネージメントをするから、自然に都市に肩入れするプレイヤーは定まってくるのだ。

わしはどこかで読んだ貴族の顔ボーナスが強いっつうんで、それ狙いでいく。カードには基本は2種類のアクションが描かれていて、塔、貴族の顔、塔移動、好きな所からの補充、これらが塔の建設と重なって描かれている。中には塔を2つ配置するカードもある訳だ。

このおかげで全てを満遍なくってのは難しい。わしは顔ボーナス狙いでいった為に、塔の建設で遅れを取っている。それに対して、建築学科専攻してたOECはがんがんと塔での主導権を握って、建てていく。

ふーむ、さすがは国立建築プレイである。


各都市には2カ所含めて決められた数がありこれが決まると、決算が行われる。高い方の塔に最も駒を置いてるのが高い方の得点タイルを、低い方には低い方の得点タイルを受け取る。カード枚数は少ないので、すぐにカードを都市に補充出来なくなる。最終的には全てのカードが使われ、全ての都市にきっちりと決算が起きるシステムとなっている。つまり遊びがまったくないシステムだ。

手に入れるカードまで解るので、やることが非常にパズルチックな感じである。

手に入れた場所には、山札からカードを補充するが、最初に述べたように遊びがないので、すぐに山札は枯渇して何も置けない状況になる。そうなると好きな場所から補充してもいい事になるのだが、やがて全ての場所からカードがなくなり、その後、手札を使い切るまでゲームを行うのだ。


白であるわしはボローニャ総取りの気配ににんまり。というのは、同じ数だとより上に駒を置いてるプレイヤーが勝ちなのだ。ボローニャは9つで勝負が決まるので、あと1つおけば終わりだ。補充カードは出尽くして後は手元のカードで勝負するのみ。

誰がどのカードを握ったか、後半になって活きてくる。きっかりの数しか塔は建設出来ないので、同数になりそうな場合、粘る必要性も出てくる。と、えらそうに書いてるが、やっててようやく遊びがないことなどが解った。

高い塔ばかりか低い塔まで同時にチップを獲得する入念な計算を行う国立プレイを炸裂させたOECは、終始リードを保つ。


ところがだ! 横に移動させるカードでわしの白が移動させられ、青を置かれ点数の低い方とさせられてしまったのだ。(|| ゜Д゜)ガーン!!

かたやわしは貴族の顔ボーナス狙いで、貴族の顔ばかり描いてるカードを手に入れるプレイを行う。

あっという間に終わった。

わしはほとんど得点チップを獲得出来ないまま、貴族の顔を数える。
どれどれ…3人と5人と2人か…って阿呆か!! 10人もおるのに組み合わせが不味いのとオーバーヘッドで12点しか入らんやん!

(|| ゜Д゜)ガーン!!

獲得した貴族の顔をちゃんとカウントしとけよって話やな。。。


なんつう無駄。点数タイルはたったの3枚。無駄がきわまった5人とか2人という貴族。これでは勝てんわいな。

ぶっちぎりでOECの勝ち。

所要時間30分

OECのコメント

それはもう淡々と進むゲームだけど、この空気は大好きだ。miaさんを邪魔をするようなプレイになってしまって申し訳なかった。手札から勝ちに行こうとすると仕方ないとは言え、新参者の分をわきまえろということです。帰り道で猛省。
にしても、ゲームシステムはシンプルイズベストの見本の様な出来で、「都市にある二本の塔の高さが同じにならない」「塔が完成した都市については手を加える事が出来ない」というルールだけで、ゲームが収束していくのに感動した!

ソマーリオ

ルールを読んだ限りではマンハッタンのようなゲームかなと思ったが、内容はまったく違った。ここにこれを置いて、このカードを補充してと、収支を完全に踏まえたパズルのようなプレイ感である。確かに淡々と進んでいくが、その感じはまったく悪くなく小気味良い程だ。

プレイ感は意外なところでお先に失礼しまーすとプレイ感が似ている気がした。

このメンバーだとしても僅か30分で終わる程のテンポの良さ、ジレンマも用意されており、なかなかやるなあと思うのが感想である。シャハトは、ヘビーゲーマーにやたらと人気の高い作家だが、わしもようやくシャハトの良さが解るようになったのかも、というくらいおもろかった。シャハトデザインはわしの中では微妙なのが多く、何度もか否かで悩んでしまうものが多いのだが、これは始めから付けようと思った。

王と枢機卿の時は、色んな事が連携するので勝ち筋がみえなくて、楽しさがいまいち解らなかったが、パトリツィアは勝ち筋が解りにくいまでも、目的が非常に明快な為にストレスなくさくさく進める事が出来る。とりあえずベストを尽くして後は天命を待つのみという気持ちになれるのだ。

有名な地名が出てくるだけでワクワクしてしまうイタリアというテーマも好きだし、絵も綺麗だ。またどう見ても煉瓦にしか見えない駒も木製で手にしっくりくる。マンハッタンのようなプラッチックな駒だったらかなりゲンナリしてただろうだけに、コンポーネントも非常に頑張ってて好感が持てる。いつもいつもやり玉に挙げて申し訳ないが、ズーロレットよりもよっぽど大賞にふさわしいと思うのだろうが、どうだろうか?

国内ではシャハトファンしか買うてない気がするのだが、この軽いタッチのプレイ感は万人に薦めたい。非常にシンプルにまとまっているゲームである。
このパトリツィアを書いてて、密かにシャハトの中で一番好きなゲームかも知れないと思っている。この疲れない、シンプルにまとまったデザインは、ボードゲームのプレイ感ではなくカードゲームのプレイ感なのだ。やってて心地良い。

gioco del mondo