Ralf zur Linde
&
Wolfgang Sentker
Hans im Glueck
2〜4人用
40分
フィンカ
舞台は地中海の島マヨルカ島。
燦々と照りつける太陽の恵みで木々はたわわな果実を身につける。
果実を収穫し、需要のある場所へ運ぶ農夫たちの姿がそこにあった。
プレイ感
ドイツゲーム大賞
にノミネートされてから品薄になり、長らく日本ではお目に掛からなかった。イチジク好きとしてはイチジクの駒があるというだけで欲しかったのだが、増版したとみえてようやく手に入れた。箱にはしっかりノミネートのマークが印刷されてる。二人から出来るようなのでmiaとやってみた。
手番には、風車タイルにある農夫駒を時計回りに移動させるか、収穫した果実を地方へ配達するか、アクションタイルを使うかをする。農夫駒は、自分の今いるマスの駒の総数だけ時計回りに移動し、移動先に描かれた果実を移動したマスの駒の総数だけ貰える。そのとき、風車のロバの絵が描かれているラインを超えるとロバタイルが貰える。
このロバタイルを使って配達が出来るようになるのだ。
最初は風車に駒を1個ずつ配置してそのマスに応じた果実駒を貰う。人気はロバタイルを貰えるゾーン手前(写真でいうと駒が2個載ってる黄色とオレンジのマスが1歩手前のマス)。で、果実タイルを4枚ずつ各地方に配置する。ちょっと見難いが各地方には5と書いてる小さな農園タイルがある。果実駒はすべて木製で雰囲気はかなりいい。4枚のアクションタイルは、残しておくと2点となるが強力なので上手く使いたいところ。
配達は、地方が求めている果実の種類がタイルに描かれており、ロバタイルとその数の果実をストックに戻せばいい。果実タイルを貰い、それが勝利点となるという非常にシンプルな図式。基本はこれを繰り返して、地方に置かれた果実タイルが無くなるのを規定数(例えば二人の場合4箇所が無くなれば)満たせばゲーム終了である。
このゲームの目玉ともいうべき果実駒。左上からアーモンド、レモン、イチジク、ブドウ、オリーブ、オレンジだ。イチジクの紫は「え!」と思う。赤よなあ。。。
このゲームのポイントはずばりロバだ。ロバがないと配達出来ない=勝利点を獲得出来ない。さらに一度に運べる量が決まっている。一度に6個までしか果実を運べないのだ。各地方が求める果実は1〜6あり、逆に言えば6個までなら一度に複数のタイルを獲得することも可能である。出来る限り効率よく稼ぐには是非とも6個運びたいのだが、まあ、なかなか上手いこといかん。のでまるまる6個ねらいだ。
わし「じゃ、6個運ぶ」
mia「えー! また6個のタイル獲るの?」
わし「しょうがないやん。組み合わせがないねんもん」
わさあとブドウがたっぷり。これを6個(?マークのついてるやつは同じ種類の果実をその数運べばいい)の果実タイルをゲットしまくる! 左に見えるのがロバタイル。二人だと合計で4枚しかなく、何度も使い回すのだが、足りなくなれば、全員が戻さなくてはならない。これを上手くつかえば相手にロバタイルを使わずにはき出させることが出来る。これは他の果実駒にもいえることで、足りなくすることで使わせずに戻させるという戦術をとることが出来る。
なんでこんな会話になるかというと、1〜6のタイルを1セットでボーナスタイルが貰えるのだ。わしが何故か6ばかりのタイルを集めるもんだから、miaは1〜5まで持っててもボーナスタイルが貰えない。わしも6ばかり運ぶもんだから、集まりが悪くボーナスタイルは貰えない。
カルタヘナ
でやった、出来る限りたくさんの駒を貰う作戦である。収穫出来る果実は、進んだ先の駒数となるので、出来る限り数がいっぱいあるところに移動させたい。
わし「じゃ、イチジク4個ね」
mia「なんか、イチジクばっかりだな」
そう、かなり偏ってしまう。オレンジやレモンなど最初に見たっきり手にしたこともない。
しかし、これがたまたま功を奏して、なかなかにいい感じ。
農園駒はすべての果実タイルがなくなった場所におく。これが二人だと4つ建てばゲーム終了である。右下に見えるのが農園タイルで、農園の果実タイルがなくなったとき、たとえばこれだとオリーブを一番運んだ人がこの5点のタイルを貰えるという寸法。
また思うのは、ロバラインを超えた1マス目は人気が集中するので、その果実はどちらも過分に手に入れる事になるのだ。
miaは序盤から果敢にアクションタイルを使ってくる。ゲーム中1度だけ使えるアクションタイルを各自4枚ずつ持っている。
mia「これ、最初から使っていいのかな? ま、いいや。じゃ、10個運ぶ」
10個一気に運ぶロバを使って、タイルをごっそりゲット。
うーむ。。。
それからも1個減らして運ぶタイルを使うなどかなり攻めてくる。
わしは、焦りながらも一点集中作戦。
なんか知らんけど、各地方で同じ果実をまとめて6個とか5個とかのタイルが多いのだ。どんな種類でもいいので、同じのを集めたらいい。それでガンガンと6個タイルを手に入れているのだ。
mia「よし、1セット揃ったからボーナスタイル貰う」
ボーナスタイルは早い者順にポイントが高いのが貰える。2セット目も当然貰っていい。
遠景からとるとごちゃごちゃしているが、こうして近接して撮ると雰囲気は悪くない。ただもうちょいボードの絵はシンプルにした方がプレイの視認性がよかったかな。
わしはそれよりも農園タイルを狙っている。各地方には4枚の果実タイルがあり、これが全て配達完了すると、農園タイルに描かれた果実を一番運んだプレイヤーがタイル(5点)を貰える事になってるのだ。
わしはイチジクをたくさん運んだので、イチジク王にポイントを与える地方の果実タイルを狙っていく。
ここらへんはシステムが有機的に絡んでおもろい。
わしも途中、ボーナスタイルを得て、勝利を確信してから4つ目の地方の配達を完了させてゲームを終了させる。
結果、大差でわしの勝利。ちなみに使わなかったアクションタイルは1枚2点となる。
所要時間30分
ゲーム終了。わしは?マークのタイルがやたらと多い。ブドウとイチジクで稼ぎまくった。
miaのコメント
なかなか面白い。勝敗の差は、農園タイルだった。何も考えずに配達してたのが失敗。
ソマーリオ
久々にゲームをやったのでゲーム勘が鈍ってて、農夫の移動と配達を手番に一度にやるというルールミスを犯した。それを最後までやってから、もう一度きちんとしたルールでやってみたのがこのレビューである。だからmiaの早仕掛けなどゲーム勘が出来ている。
ルールはシンプルながら、収穫、配達という農作業に従事する雰囲気が不思議とよく出ている。それは一重に果実をかたどった駒に集約されているせいかも知れないが、ボードも小さいながらなかなか良い感じだ。
ドイツゲーム大賞
にノミネートされたが、まさにドイツゲーム大賞に相応しいルールの平易さとボードの美しさがあると思う。残念ながら大賞は
ドミニオン
になってしまったが、今年は
パンデミック
もノミネートされており、あまりにも相手が悪かった。
とはいえ、じゃあ相手に恵まれれば勝てるかと問われれば、相当な相手に恵まれなければ勝てなかっただろうパンチ力の弱さというのを持っている。それはマイナス面のみならず、初心者への敷居への低さという良い意味もあり、この程度なら子どもでもかなり楽しくゲームが出来る筈だ。それゆえノミネートの中のノミネート作品と名付けてもいい。
雰囲気はなんとなくだが
銅鍋屋
に近い。今いるマスが次のマスを決定づけるというところが良く似ているし、得点取得のパターンもなんとなく似ているように思う。銅鍋屋が二人しか出来ないのに対してこちらは4人まで出来るというメリットもある。銅鍋屋が手に入れにくくなっているので、このゲームの登場は嬉しいところだ。
ちょっと気になったのは、後半の長考だ。ほとんど全てが公開情報なので、長考しやすいプレイヤーは長考してしまうシステムだ。わしらはあまり物事を考えずにゲームをするのでサクサクと進んだが、たいしたルールではないので長考するとだれてしまうかもしれない。楽しむためには銅鍋屋と同じく努めてテンポを大事にするべきゲームなのだろう。獲った果実タイルを裏向けにするという方法もあるだろうが、相手が何を持っているかわかっていた方がボーナスタイルを集めるのにおもろい部分もあるだけに導入すべきかどうかは難しいところだ。このように考えないといけないせいか、プレイ時間やルールの平易さの割には脳みそがなんとなく疲れるゲームで、プレイの充足感は高い。こういうゲームの時はキッチンタイマーなどを使って1分計るといいかも知れんな。
gioco del mondo