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Donald X. Vaccarino
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Rio Grande
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2〜4人
45分
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ドミニオン
中世ヨーロッパ
各地で大規模な領土を巡る争いが行われていた。
その大部分は金銭による買収であったが、中には民兵を雇い相手の領土を侵略することや魔術を駆使する事を厭わない君主もいる。
※大量に拡張が出ていますが、単体で出来るのは最初の版と陰謀だけです。それ以外はどちらかのセットと組み合わせてゲームします。
プレイ感
2008年エッセンでの目玉中の目玉といえばこのドミニオンだろう。エッセン出口調査でも人気トップで、世界中で大ブームを巻き起こしそうな雰囲気がある。それを受けて、メビウスでも異例の早さで日本に輸入したが、瞬く間に売り切れ。売り切れては大量入荷。また売り切れと、そして大量入荷と伝説となりそうな勢いだ。わしの場合はJyamaに前から頼んでたのが、珍しくも早めに送ってくれたので、最後くらいは流行に遅れんとこうと急いでmiaと二人でやってみた。
ルールは簡単と聞いてたが、さっぱり要領を得ない。あまりにもルール説明が悪すぎてとっかかりにどうしていいのか解らん。つってもJyama訳が悪いのではなく、原文ルールから酷いのでどうしようもないようだ。それはメビウス訳でも同じ問題を抱えているらしい。3回くらい読んでようやく、おぼろげに「ひょっとしてこうやるのでは?」と結論づけたが、ワーストクラスのルール説明の酷さ。という訳で、ルールに悩んでる人がいるかも知れないので、ちょっと詳しめに説明しておく。
準備
各プレイヤーに金色の1コインのカード7枚ずつと、緑色の1の領土カード3枚ずつを配って、それぞれシャッフルして、自分の山札(デッキ)にして、上から5枚手札として引く。
ゲームのセットに王国カードってのが10枚ずつ25種類入ってる。で、毎回この中から適当に(あるいはルールのお勧めに従って)10種類取り出して、種類別に分けて場に表向きにして置く。別途一番下のカードに見本カードという背面のラインが青色の奴にしておく。こいつは買う事は出来ずただの売り切れ表示用だ。残りの15種類の王国カードは今回は使わない。
ルールでは、分けて置くという表記がないので、さっぱり解らないのだが、このゲームはカードを全て分別しておくのだ。だから箱に収納する時は、全て種類別に分けて収納出来るようになっている。注意するのは、まったく同じカードにしか見えないが、裏面をみると青いラインが入ってるカードが1枚ずつ入っている。これが売り切れ表示用カードで、各山札の一番下に入れておく。
またルールに常に用意すると表記されていながらまったく説明のないのが青色の呪いカードで、こいつは王国カード10種類の中から魔女カードを使った時にだけ、用意する事。使い方は魔女のカードを見ればいい。他に拡張が出ない限り、魔女以外で呪いカードを使う事は出来ないので、書いている説明が不味い事この上ない。
こんな感じで全てのカードは種類別に置く。紫の呪いカードは魔女を選んだ時にだけ置く。
わしゃてっきり、コストが0で勝利点がマイナスな事から、0で購入して相手に渡すようにプレイしたくらいだ。
ちなみに人数によって、カード枚数を変更するのは、緑色のカード全てと青色の呪いカードである。
さらに、金色の1コイン、2コイン、3コインの財宝カードと、緑色の1,3,6の領土カード(人数によって枚数調整)と、ゴミ箱(Trash)カード1枚もまた種類別に分けて場に置いておく。
これで準備万端だ。
場には10種類の王国カードの山と、3種類の財宝カードの山、3種類の領土カードの山、ゴミ箱カード1枚の合計17種類に分けられた表向きの山がある。自分の手元には、5枚の手札と、残り5枚になった山札が伏せられておいている筈だ。
手番になると、手札からアクションカード(王国カードのアクションと書いてるカードの事)を1枚出してアクションを実行。それから手札にある財宝カードを出して場に並べてある数値以下のコストのカードを1枚購入(自分の捨て札置き場におく)する。最後に手札を全て自分の捨て札にして、自分の山札からカードを5枚引いて、手番終了。隣のプレイヤーに移る。これだけだ。
これは初めてやったときお勧めのスタートセットを間違って配置した例。右上緑色のカードの庭園は、王国カードなので、常に入れるという訳ではない。よく見ると王国カードが11種類あるのだ。しかも魔女がないのに右下に呪いカードまで入れてる。
ポイントは、自分のカードの形態は、手札、山札(デッキ)、捨て札とあり、これらが循環する事だ。手札が補充出来ない場合は、すぐに捨て札をシャッフルして山札にしてそこから足りない分を引く。
それ以外のカードの場所は、ゴミ箱カードの上に移動したカードは誰のものでもなく、循環する事がない。ゲームから取り除かれたという感じで受け止めればいい。
ゲームの終了は、6の領土カードが売り切れた時か、3種類のカードが売り切れた時だ。そのプレイヤーの手番でゲーム終了となり、(形態関係なく)自分が獲得した緑色の領土カードの合計点で勝者が決められる。
基本ルールはこんな感じで、後はアクションにカードを引くやら、1枚余分に買えるやら、2コイン安く買えるやらが書いてるので、それに応じて行動していくだけ。ちなみに手元にある緑色の領土カードはプレイ中は何の役にも立たない。
最初のお勧めセットつうのが載ってたので、それでやってみた。
最初のデッキは僅か10枚しかないので、2回プレイしたら、すぐにシャッフルしないといけないが、購入を繰り返すと徐々にデッキ枚数が増えてきてシャッフルする手間が少なくなってくる。
なんせ初期は、1の財宝カードが7枚入ってるだけなので、手札の回りによると2とか3コインのカードしか買うことが出来ない。これを回避する為に、2の財宝カードの購入を急ぐ。2の財宝カードは3コインで買えるので、こいつを中心に手に入れていく。手札が5枚というのは変わらないので、基本的に手札にくる価値をあげておけばいいという作戦だ。財宝で財宝を買うってのが妙な感じだが、場にあるものはそうやって手に入れていくと思えばいい。ちなみに1の財宝カードは0で買えるので、手元に財宝カードがなくても買う事が出来る。
手札は5枚。灰色のカード(王国カード)はほとんどアクションカードなので、こいつを最初に1枚だけ使える。例えば右のWoodcutter(木こり)は、+1Buy、+2金 と書いてる。この2つのアクション両方可能となる。買うのは手番毎は1枚だけだが、2枚買えるようになる訳だ。買い方はコインのカードの合計値と木こりのような+2金とかを合計して、カード左下に書いてるコストを払えばいい。購入したカードは自分の捨て札に置く事。つまり再シャッフルして初めて登場するのだ。
ある程度、財宝を手に入れると今度は、相手に嫌がらせしようと、今回唯一の攻撃カード、民兵を手に入れる。こいつのアクションは、相手の手札を3枚にするというもの。5枚から2枚ほかすとかなりきついでえ、と思ってると、miaも同じように民兵を購入して、攻撃してきた。
mia「じゃ、アクションは民兵ね」
わし「むー、じゃ、これとこれほかすわ」
ほかすつっても、自分の捨て札にするだけで、いずれ循環する。が、思ったよりこれ痛くない。何故なら、手元には財宝ばかりくる訳じゃなく、まったくプレイ中は意味のない領土カードがくるのだ。こいつをほかしたら終いである。あるいは基本アクションは手番に1度しか行えないので、アクションカードをほかせばいい。
左下がわしのデッキ。ここから手番終了時に5枚カードを手札にする。その上が捨て札の場。デッキが無くなれば、これをシャッフルしてデッキとする。つまりカードをデッキ→手札→捨て札→デッキという風に循環させていく。
巡りによっては厳しい事もあるので、堀カードというディフェンスカードも購入しておく。こいつは攻撃された時に、見せるだけで防御出来るというものだ。miaはこれをいくつか買い込んでディフェンスをやりだす。
そうなると民兵が意外と弱いぞと思ったわしは、3コインでお手軽に買える木こりを買う。こいつは1枚余分に買える事と、+2コインにする能力がある。能力は全て使えるので、こいつをアクションとして選ぶと、手札から3コイン出せば、合計5コインになるように2つのカードを買える事が出来る。
手札は5枚なのでアクションカードや領土カードの比率が高くなると、財宝カードが来にくくなり、お金に困る事があるので、割合を常に念頭にいれてカードを購入するようにすればいい。お金が足りないと思えば財宝カードを買えばいいし、そうでなければ王国カードを買えばいい。後半は領土カードで勝利点を稼ぐべし。青色の堀(Moat)カードはディフェンスが出来るカードなので色が灰色ではない。このようにカードの特徴に応じて色分けされている。
わし「じゃ、市場と1の財宝カード買うわ」
市場は、アクションの集合体なので値段は5と張るが、その価値は十分にある。さらに1枚余分に買えるという能力があるので0で手に入る1の財宝カードを貰っとかんと損つう、まさに大阪人気質を発揮。
市場は+1カード、+1アクション、+1買い、+1コインとかなり使い勝手がいいので、複数枚購入していった。
これがスタートセット唯一の攻撃カードである民兵(Militia)である。こいつのアクションは+2コインと、相手全員の手札を3枚にするというもの。強そうだが、意味のないカードがきたらほかす訳なので、常に強いかどうかは分からない。が、出すのは楽しいカードだw
こうしてやっていくと段々とデッキ枚数が増えてきて山となってきた。問題はこんなんばっかりやっててもしょうがないので、いつ、勝利点となる領土カードを手に入れていくかだ。
最も価値の高い6の領土カードは8コインもするので、なかなか手に入れにくいが、後半、手札が回転し出すと、出せる時が出てくる。タイミングとして合計8が集まればとにかくこの領土カードを手に入れるようにしていった。
ポイントは鍛治屋である。こいつのアクションは3枚カードを引けるというもので、手札が増えるのだ。これを使えば、8コイン集めるのも苦じゃなくなる。
まったく意味のない領土カードが2枚もあるので、一見すると2コインしかないが、右の鍛冶屋(Smithy)が結構有効である。こいつのアクションは3枚デッキからカードを引ける事だ。つまり手札が増える。
mia「えー、どうやったらそんなの買えるの??」
最終的に6の領土カードがなくなりゲーム終了。
手札を上手く回転させる事が出来なくてほとんど6の領土カードが買えなかったmiaにぶっちぎりの勝利。
所要時間45分
最後は自分のデッキはこれくらい分厚くなる。
得点は、自分のデッキから領土カードだけを取りだしてその合計点だ。右の庭園はご愛敬。間違いw
うーん、なんかよう解らん。正直、何をどうしていいのかがさっぱり解らんかった。なんかやれる選択肢が多くて、ふわふわしたプレイ感。しかも、他人との絡みがほとんどといってないので、その選択肢は全て自分の思いだけに委ねられて、まさにオナニー気分。もっかいやったが、同じような感覚はぬぐえず、miaもつまらんという。
翌日、変遷という組み合わせでやってみる事にした。最初のセットでは、攻撃カードが民兵しかなかったから、あの強烈なオナニー感覚にさらされたのだと思い、攻撃カードの多い変遷を選んだのだ。こいつには呪いカードを使う魔女と相手の財宝カードを奪う泥棒が入っている。
わしゃとりあえず、呪い殺しをやりたかったので、ひたすら魔女カードを買う事につとめる。
mia「何それ? じゃわたしもそうする」
と、魔女を買い出す。
しかしわしの魔女買いは徹底的で、買える事が出来たらなんせ魔女だ。そして
わし「アクションは魔女。呪いカードを入れろ」
呪いカードは勝利点マイナス1という効果よりも、相手の手札を圧迫する事を期待してである。
意味の無いカードが増えれば、デッキの回転が苦しくなる筈だ。
これが魔女(Witch)である。こいつのアクションはカード2枚引くのと、相手全員に呪いカードを渡す事だ。一番左にある呪いはわしも食らってるけど、このように無駄なカードが増えるのがでかい。勝利点はマイナス1であるが、実のところそれほど痛い訳じゃない。
mia「なんかむかつく。なんで初心者にそんな攻撃するかな!」
わし「いや、とりあえずやってみんと解らんやんけ」
それからも執拗に呪いを繰り返すが、miaも同じく呪いをかけてくる。
呪い合戦となった。
そこでふと、何か良いカードはないかと探ってみると、教会ってのがある。こいつのアクションは、なんと、手札から4枚まで、不要カードをゴミ箱に捨てるというものじゃないか!
わし「おお、ラッキー。ほな、この呪いカード2枚をゴミ箱に捨てるわ」
運良く、最初に登場した時に呪いカード2枚と一緒に手札にやってきた。これで呪いとは永遠におさらばじゃ〜。
このゴミ箱(Trash)の上にカードを廃棄するとゲームから取り除かれた感じになる。礼拝堂(Chapel)を使えば、ここにカードを捨てる事が出来るので、呪いカードなどを捨てればいいのだ。財宝カードが捨てられてるのは、価値の低いカードを捨てる事で回転率を上げる役割がある。しかし今回の変遷セットには庭園というデッキ10枚毎に1勝利点という強力なカードがあるので、デッキを圧縮するのは痛し痒しといったところ。
mia「あ! そんなカードがあるとは」
なんとか呪いをかけるが、またしても意外と弱い事に気づく。それは教会カードがあるからというものじゃなく、呪いカードの枚数である。
わし「あ、売り切れた…」
や、やべぇ!! わしゃ魔女カードをいっぱい購入したので、全て無駄になってまうやんけ!
なんとか今度は教会を使って魔女を成仏させねば!
わし「うにうにうんたらかんた〜ら、アーメン」
意味のなくなった魔女カードをゴミ箱に捨てていく。
最後、大量にゴミ箱にほかされた呪いカードと魔女カード。不要品は捨てるに限る。
これに対してmiaは、もうひとつの攻撃カードである泥棒をたくさん購入していた。
mia「じゃ、泥棒する」
わしのデッキを2枚めくって、財宝カードなら盗っていくのだ。
mia「ラッキー、じゃ1の財宝貰う」
何度か1の財宝を盗られたが、これって有効なんかなあとわしゃ疑問を持ってたので、盗られるだけ盗らせてやった。
わし「さあ、全て持っていきなさい。持たないものは幸いです」
mia「やった、2が出た。これ貰う」
わし「あ、それは痛い」
まあ、1回だけ2を盗られたが、なんで有効かどうかに疑問を抱いたかは、回転率に依る。1の財宝カードをいっぱい持つと、後半、他の良いカードが手元に来にくくなると思ったからだ。
段々と溜まっていくmiaのデッキを横目でみつつ、恐ろしい事実に気が付く。
(あ! 庭園がある)
庭園カードは、勝利点となるカードで最後自分のカード10枚毎に1点はいる。
mia「じゃ、庭園買う」
ガンガンと庭園を買い始める。
(|| ゜Д゜)ガーン!!
庭園は僅か4コインで手に入る。おそらくmiaの山札は既に60枚に達しようとしている。つまり1枚につき6点だ。最高点である6の領土カードは8コインなので、わずか半分のコストで同じ点数はいる事になる。
わしは今回も6の領土カードを中心に買うていたが、これは不味い。
こうなれば仕方がない。
わし「じゃ、庭園買う」
…
わし「ほな、庭園買う」
mia「えー、なんで庭園ばかり」
わしが買えば、相対的にmiaが庭園を買える枚数が減る。
こうして呪いカード、庭園カード、最後に6の領土カードが売り切れてゲーム終了。
miaの枚数は67枚なので庭園は予想した通り1枚6点。わしは49枚という悔しさで1枚4点。呪いは意外と少なくて、わしが2枚、miaが3枚。しかし6の領土カードをほとんどわしが独占していたので、またしてもぶっちぎりの勝利。
所要時間45分
庭園は僅か4で買えるので非常に強いカードである。これは3勝利点の領土カードがコスト5も掛かる事からも分かる。翌日、散々、庭園を買われて負けてしまった。この庭園の強さをみるとほんまはもう少し早めに勝負するべきゲームなのかも知れない。
miaのコメント
お初ということで初心者セットみたいな組合せでやってみたけど、全く面白さがわからなかった。
一人でカードをめくっているだけだし。。。あんまり面白くなかったので、相手との絡みのある「変遷」セットでやってみたらこれは結構良かった。今のところもう少しやらないとなんとも判断できないかな。
後日やったOECのコメント
今日本中で大人気売り切れ御礼のカードゲーム。
まさかこんなタイムリーにプレイできるとは!ありがたやありがたや。
ールはいたってシンプル。プレイヤーごとにお金の入った山札を持ってスタートし、場からカードを買っては自分の捨て山へ。山札がなくなれば捨て山をシャッフルして引きなおす。つまり、どんどん山札が増えていき、最終的には「領土カード」の得点の合計で勝負。
買えるカードにはお金と領土と、それ以外の「カードをx枚ひける」「買い物の時に金貨x分援助される」とか、様々な効果を持つアクションカードがある。それらを買って効率的にお金を稼いで領土を買っていくことになる。
アクションカードは25種類あり、そのうち10種類の組み合わせで違うゲームが楽しめるという、なんとも美味しいゲーム。それでいて、覚えるべきルールは上記のものだけ。あとはカードの効果を覚えるのみ。一番簡単な組み合わせでもって、4人で2プレイ。
(感想)
さて、説明が長くなっちゃいました。
さてさて、一回目はなんとなく進めて感覚をつかみ、2回目が本番。
『「工房」で「銀貨」を稼ぎ、「鉱山」で貨幣の価値を上げて、「領土」を買っていく』戦略を、と思って開始・・・したものの、よく考えると購入権が少ないと貨幣をまわすのが難しいと「市場」を購入してみる。お金が回らないときはすかさず「領土3」を買う・・・と、山札の回転が落ちてきたので「鍛冶屋」「地下室」で手札をまわす・・・
・・・当初の戦略がものすごく薄まってきて、ぼんやりアワー。
からっきしだったけど、噂に違わず面白かった!
あきおさんが最近コレをやりまくってると言ってたけど、納得。
バランスの概念を除けば理論上、25Conbination10=3268760通りの組み合わせがあるわけで、せめてオススメのセット一通りくらいは遊んでみたいもんだ。
ソマーリオ
最初やったとき、あまりの自由度の高さになんじゃこりゃ? と思った。あまりにも選択肢が膨大で、どうしていいのか解らんし、また、相手との絡みがほとんどないので、判断基準は全て自分に委ねられる。ソロプレイ、ソロプレイとよく言われるが、これほど相手を目の前にしていながら、ソロプレイ感を味わったのはこのゲームが初めてだ。手札を回転させるシステムは素晴らしいと思ったが、まじでソリテアをやってる感覚に襲われた。ゲームは自分の裁量で長引かせる事も出来るし、すぐに終わらしに掛かる事も出来る。
プレイ感が緩い。いつ、勝利点を手に入れていけばいいのかも解らないし、16種類もあるどのカードをどのタイミングで購入していいのかが解らん。全てプレイヤー任せだ。
皆が絶賛する気持ちも分らんではないが、どうにもこれじゃあなあと思ってたところ、変遷をやって絡みが増えた。途端に今まで空回りやったものが噛み合い、おもろいゲームとなった。
まずはそのシステムの発想に驚いた。TCGはどれもMtGが基本となっており、前もってデッキを構築しておき、そのデッキの特性を使って戦う。デッキの構築は、当然1人でやるもので、構築までをプレイの一環とするならばまさにソロプレイだ。ところがドミニオンは、デッキそのものを構築しつつ、プレイを行うというとんでもない方法を思いついた。それはやはりプレイと構築が明確に区別できるブースタードラフトではなく、まさにドミニオン形式とも言える、デッキ構築そのものがゲーム本体であるという凄い手法である。それ故、絡みが少ないセットでやった時「こんなん1人でやるもんやんけ」という完全なソロプレイ感に襲われる事になったのだ。
まさに目から鱗。これ考えた奴は天才や。
何が凄いって、ルールは簡単なくせに、多種多様な戦略が取れ、プレイ時間は短く、ほどよい運、人が大好きな拡大再生産の概念そのものがある。更に、なんぼでも簡単に追加セットが出せるというメーカーにはまさに金のなる木といってもいいゲームなのだ。
このゲームはアメリカが威信を賭けてドイツに対抗したような印象を受ける。あくまでアメリカ色を残しながら現代のゲーマーに十二分に満足出来るよう仕上がってる。システムは無骨だが個々のカードに対する思い入れが強くなるレースフォーザギャラクシーに比べて、自分の箱庭を作り上げる楽しみというところでは譲るが、シンプルさ、プレイのし易さ、システムの驚きはドミニオンに軍配があがる。奥深さというところでは同点とさせておく。どちらもコンボの奥は深く飽きるまで何度でも出来るだろう。
※とはいっても、ドミニオンは準備と仕舞うのがめんどくさい。レースフォーザギャラクシーは簡単なんで、プレイするのにおっくうさがないとこがあるんよなあ。
MtGを始め、遊戯王カードゲーム、ポケモンカードゲームというTCG(トレーディングカードゲーム)というジャンルは日本では相当普及したように思うが、そういった世代からは圧倒的な支持を集める事は間違いない。この手をやった事のあるプレイヤーなら、簡単にゲームの楽しさの勘所を理解出来るだろう。そしてそれは現に受け入れられている最中だ。
弱点は、先に書いたように攻撃カードを入れないとまったくのソロプレイになるところだが、もうひとつ不思議な現象がドミニオンにはある。通常ゲームには熟練者と初心者との差というのがある。ドミニオンでも熟練者は勝ちパターンとも言うべきデッキ構築方法を持っており、それに従ってデッキを作っていけばいいが、初心者は正直、どのカードをどのように利用すればいいのか、枚数はどれくらいが適当なのか、どのタイミングで取っていけばいいのか、さっぱり解らない筈だ。あまりに自由にデッキ構築出来るので、精通しているプレイヤーにはまったく歯が立たないだろう。
ところが、これを簡単に覆す方法がドミニオンにはある。強力なデッキ構築を行う熟練プレイヤーがいた場合、それを初心者が簡単にコピーできてしまう。デッキ構築がプレイそのものとなっているからだ。これは歓迎すべき事ではない。
今後、戦略本が出て、ドミニオンは研究され尽くされるだろう。最も恐れるのは、いつかキラーコンボとも言うべきものが現れ、ゲームとしてあっけない終焉がくるのではないか? という事だ。実際に、出て間もないこの時期にでも、財宝戦略が圧倒的と騒がれているくらいだ。ゲームがつまらなくなるのが嫌なので試してないが、かなり強そうだから厄介だ。そして後述するが、この戦略を自分で試行錯誤して発見するのが、ドミニオンの本当のテーマや遊び方であって、決して戦略を聞いたり読んだりするべきではない。ほら、あれだ。茂木健一郎の脳に良いアハ体験って奴。あ! と閃くのが脳に良い。教えられたりするとせっかくの楽しみを奪われてしまう事になる。
将棋でもチェスでも必勝方法が見つかった時点でゲームとしては終わりである。それはただのパズルに過ぎなくなる。ドミニオンはそうなる可能性を多分に持っている。MtGでは、そういった強力なカードに制限を課したり、廃盤にしたり、対抗するカードを出してきたりして、次々にデッキの流行が変わるように(もちろん次々に売る為にも)してきた。おそらくドミニオンもそうなっていくだろうが、ドミニオンは誰にでも簡単にデッキのコピーが出来るだけに「これだ!」となってしまうと、手がつけられなくなる。なんといっても、全員が手に入れるカードってのはプレイの場にあるのだから。
何かもう1枚システムに関係する仕掛けがないと、本当に最終的な答えのあるパズルで、過程だけを試行錯誤して楽しむゲームになってしまいかねない。もちろん、杞憂に終わってくれればいいが、もう少し様子をみる必要がある。
楽しいのは楽しい。しかし。あくまでこれはわしの感覚なのだが、上記の理由によりどうにもゲームが完結しすぎてるなと感じてしまう。異常にまとまりが良すぎて、単にシステムをやらされている感じがあるのだ。それこそロボットのように最善手を実行しているだけといえばいいか。
戦略という概念だけがゲームを行っている。あるコンボが強いという概念が広がれば、そこにプレイヤーは存在しなくともよい。プレイヤーなんて誰だっていいのだ。強い概念であるか、弱い概念であるか。プレイヤーが戦っているのではなく、概念がチャンピオンを決めるべく戦っているのだ。
そういった事もあって実のところ、を付けるかどうか迷っていたが、プレイの楽しさ、これほどのシステム発想の素晴らしさを過小評価したとしたら、それは犯罪行為であろう。
色々取り沙汰されている日本語化であるが、これは日本語化シールを貼るのはやめておいた方がいい。シャッフル率が異常に高いので、カードに引っかかりが出来るのは痛みを早める元となる。複雑な内容が書かれている訳じゃないので、しばらく対応表を見ていればすぐにカード内容は覚える事が出来る。出来れば英語版の方が日本人になじみ深くプレイし易いのでお勧めしたいところだが、メビウス扱いのドイツ語版は4800円と相当頑張った価格で、コストパフォーマンスなら間違いなくドイツ語版だろう。
と、この時点で書いてたが、ホビージャパンが完全日本語版を出した。それが一番良いのは間違いないw
大体において、この見本カードがまったく同じデザインつうのがいかん。下にずらして置けるような仕様にすれば良かったのだ。まあ、あくまで日本語化の話ではあるのだがw こちらでオビ湾さんの和訳リストが公開されているので、印刷すればかなりプレイが楽になる。
ちなみにドイツゲーム大賞は獲れないだろうが、なんたら特別賞を貰うと思うw
と思ったら2009年度ドイツゲーム大賞に輝いた。大賞初のカードゲームの受賞である。カードゲームは獲れないというのを覆しての受賞だが、単価が高いカードゲームは獲れるという悪しき先例とならないように願いたい。カードーゲームのくせにこの箱のでかさは頂けない。それ以外のところは、大賞に相応しいゲームであるように思う。
その後ドイツゲーム賞も獲り、ここまできたらカードゲームにのみ与えられるアラカルトカードゲーム賞もとるやろと思ったら、大方の予測通り史上初の三冠となった。おそらく三冠なんて2度と出てこんやろな。