Alex Randolph

Kosmos

2人用
30分

ツィクスト/トゥイクスト


アレックス・ランドルフは、囲碁の名人である。
そんなランドルフが、新しい囲碁を作った。
それがTwixtである。

※これを紹介したときはトゥイクストという表記が一般的だったが、2020年日本語版を発売するにあたり、ツィクストという邦題となったので変更しました。

プレイ感

桂馬跳びの形(チェスのナイトの動き)にペグと呼ばれるものを繋げていき、上下、左右にそれぞれのプレイヤーが繋げれば勝ちという単純なもの。


初期配置。白は先手で、縦に繋げるといい。初期配置は色々ある。白TAM、赤わし。


桂馬飛びにペグが刺さってるのが解るだろう。その上にリンクを置く。白はかなり迂回する必要になった。

このペグというのが、非常によく出来ており、そのまままっすぐ繋げたらええやんと思ってると、全然駄目なのだ。相手の勝利条件は自分と相対するもので、上下に繋げる場合、それを分断するのは左右のラインなのだ。つまり、まっすぐ繋げると、それを阻止せんとずーっと付き纏われて、永遠に繋げることが出来なくなるように出来てるのだ。

ペグは桂馬跳びの形になるとリンクと呼ばれるもので繋げる。こうすると相手はそこを超えてペグを繋げることが出来なくなる。

最初やったときは、永遠に付き纏われて突破することが出来なくなったり、完全に突破されてる! と思ったところ、下の方に、罠を思い切って仕掛ければそれを阻止することが出来ると気づいたりと、「へえ! こうすんのか」という驚きの連続。まさか、こんな単純な仕掛けの中にこれほどの深さや戦術があるとは。最初ルール読んだときは、ルールの読み違いかと思ったぜ。こんなん、先に真っ直ぐ繋げた先手が勝つやんけと思った。しかしそれは完全に間違いであった。


右の方から白は新たに攻めてきたが、永遠に追いつかない。その攻防が左隣の赤。これはやばいと思って、思い切って、下にひとつペグを打ち込んでみた。


すると見事に捕縛成功。これでは白は逃げる事は出来ない。さらにこれを活かして……


上に繋げて勝利を確定させる。右の赤のラインを越えれば勝ちである。お互いのボーダーを越えては、その色しか置けないので事実上勝ちである。

一回、20分ぐらいで終わるので、TAMとかBBとかと何度もやった。特に自称アブストラクト好きのTAMは「もっかいやりましょ」と何度も対戦した。

そのうち、真っ直ぐに繋げるだけでなく、最初から囲碁のようにあちこちに布石を打っておくという高等なテクニックを用いるようになってくる。ここに打っておけば、いずれこう繋げることが出来るだろうという、想像上のラインが見えてくるようになってくるのだ。


別の戦い。赤が白のキーとなる部分を分断しようとしている。


この部分が桂馬飛びにうまく合わず、あちこちペグを差してようやく合体。いわゆるボタンの掛け違いという奴である。もう勝利はみえた。

そうなると単純な戦いではなく30分ぐらいかかるようになった。しかし、時間は非常に濃密で、一手一手に一進一退の攻防が演じられるようになる。たぶん初心者がみると、ポツンポツンとペグが点在するのでどこに熱さがあるのか解らないと思う。

これがかなりの上級者になるとまさに、ヒカルの碁の世界だ。

もう何がなんやらさっぱり解らない超高度な戦いになるのだろう。


あちこちで戦いが始まってる。ここまでくるとビギナー脱却である。


最終的にはこんな形である。赤がここで勝利を確定させている。なお、リンクは何時置いても良いし、何時外してもいい。

囲碁とは全然違うルールでありながら、囲碁のように周りから固めていかなければ勝てないという、非常に素晴らしいアブストラクトゲームに仕上がっている。また、完全実力勝負なので、ハンデも簡単につけることが出来るようになっている。おもろい!

とりあえず7,8回やったが、全勝。

TAMのコメント

あきおさん、ほんまはアブストラクト好きなんちゃいます? これはいいゲームですね。今度、ギプフやりましょうよ。

ソマーリオ

これは、非常によく出来たアブストラクトゲームやわ。桂馬跳びに繋ぎ合わせるというトリッキーな考え方がかなりおもろい。短時間で出来て、一進一退の攻防が味わえる。確かにランドルフは、囲碁の名人やったとわかる。プレイ感がとても囲碁っぽい。

まさか最初ルールを読んだだけでは、こんなに複雑な攻防になるとは夢にも思わなかった。一本をそのままずーっと繋げてしまえばええだけやんと思ってしまうのだ。ところが、そうならないのに驚いた。あちこちで布石を打っておかなければ負けてしまうのだ。

なんでこれを購入したのかというと、クラマーが面白いゲームとしてあげてたからだ。(クラマーのゲームについての考察はデザイナーとしてかなり参考になる)7つの印もそれでやり直しをして、とても面白いと解ったので、思い切って輸入してみた。クラマーのあげたゲームは、全部おもろかったからだ。きっとクラマーとわしは感性があうのだろうw

さて、アブストラクト嫌いのわしがなぜ、これを絶賛するのか、ここで書くよりもコラム二つのアブストラクトで理由を述べる。なんと今回は豪華二本立てである。

とにかく、こいつはずっと後世まで残して間違いない面白い傑作アブストラクトだ。絶版なのが惜しいが、何度も再販されてるので、しばらく待てばまたどこかが作ってくれるだろう。またオークションでもよく見かけるので入手はたやすそうだ。
2020年、日本語版が発売された。これはロングセラーになると思う。

どう考えてもではこのゲームの素晴らしさに申し訳ない。評価をに変更する。

gioco del mondo