Andreas Steiger

KOSMOS

2人
60分

タルギ


砂粒がそうであるように砂漠の文化もすべてが同じわけではありません。遊牧民のトゥアレグ族がよい例です。
タルギ(トゥアレグ族の男性)は顔を覆い隠しますが、タルギア(トゥアレグ族の女性)は隠しません。
あなたはこれらの部族のひとつを担当します。目的は、あなたの部族を最大にすることです。
地元の商品(なつめやしや塩)や輸入品(胡椒)を取引しなくてはいけません。これらを使って部族を繁栄させられるだけの金貨や利点を得る事が出来ます。

プレイ感

2012年ドイツゲーム大賞にノミネートされてたにもかかわらず、何故かほとんど話題に上らない。日本語版発売元であるSNEが既にボードゲーマーの間でマイナーな印象となってしまったからか、宣伝力がまったくない。デザイナーも新人で、まったく評判にならない。

砂漠というテーマもあちこちで見かけてたし、わしも完全にスルーしてた。
ふと目についたのは、ドイツゲーム大賞のノミネート作品で2人用という事だった。実はそれすらも残らないくらい印象になかったゲームだった。

ドイツゲーム大賞のノミネート作品で2人用といえば、外れなし、という記憶が甦る。というわけで、早速、購入。ルールを読むと、思った通り、かなりおもろそう。miaとやってみることにした。


外周カードを16枚ならべる。その中に部族カードと、商品カードをてれこにして置く。1の外周カードに盗賊駒を置く。これで準備完了。
スタートプレイヤーから交互に、4隅を除いた外周カードの上に、タルギ駒を1個ずつ置いていく。タルギ駒は、早いもの勝ちで、同じマスや相手の正面、盗賊駒の場所には置けない。
3個ずつ置いたら、縦横の交差する場所に部族駒を置く。通常、2箇所あるはずだ。


外周のカードにタルギ駒を置いていく。交差したところに部族駒をおく。その後、これらのアクションを行っていく。なお自分の駒の正面にも置けるが、そうすると交差が1つ減るので損である。中央奥にみえる灰色の駒は盗賊駒でラウンドの進行と同じカードに置けないなど邪魔をする。

それからスタートプレイヤーは、タルギ駒、部族駒の置いたカードに書かれたアクションを好きな順番に行っていく。全部終われば、もう一人のプレイヤーが同様に行う。
部族カードの場合、それを自分の前に3×4に並べていき、商品カードなら商品トークンを手に入れてカードを取り除く。
最後に新しいカードを山札から配置する。盗賊駒を1つ進ませる。

こうやってどちらか一方が12枚の部族カードを並べるか、盗賊駒が最後の外周カードまでたどり着けばゲーム終了。勝利点が多い方が勝ちである。


商品トークンと勝利点トークン、お金。胡椒しか映ってないな。。

まずは青駒のmiaからスタート。タルギ駒を置く。わしも置く。miaも置く。わしも置く。この時点でX軸Y軸それぞれに置いていれば、交差する場所がある筈である。そこに部族駒を置く。そして最後の1個は選択肢がないのだ。

もし盗賊駒の正面に駒を置くものがいたら、部族駒の場所に選択肢はないが、外周のどちらかを選べる。しかし盗賊駒の正面に置かなければ、最後の1個は必ず盗賊駒の正面となる。

このアクション選択の面白いところは、相手が一旦、X軸、Y軸に置くと、その直線上のマスは自分では決してとれないところだ。正面におけないのだから、無理なのである。ここらへんは文章を読んでも解らないと思うが、やってみるとすぐに解る筈だ。
しかし確実に嫌がらせは出来る。例えば相手がX軸に置いたなら、相手が欲しいと思ってるカードのY軸に置けばいい。

mia「あ、ちょっと、腹立つなー」

2人プレイは、相手を潰せば勝ちなので、こういう嫌がらせプレイは有効なのだ。

とは言うものの、無茶苦茶欲しいというカードはないので、和気あいあいと進む。駄目なら別のカードを狙えばいいだけなのだ。

内側に置かれるカードは、商品カードで商品を手に入れて、それをコストとして部族カードを手に入れるという感じで進める。部族カードには手に入れるためのコストが描かれている。
商品は3つあり、塩、胡椒、ナツメヤシそれに金貨がある。金貨だけ少し高いイメージと思えばよい。

部族カードには1〜3の勝利点が描かれている。特に何も効果がないものもあるが、特殊効果を発揮するものも存在している。また部族カードには5種類の絵が描かれており、部族カードを配置するときに、1行が全て同じ部族(つまり横並び4枚が同じ種類)なら勝利点4が追加、全て違う種類なら勝利点2が追加される。部族カードは必ず左から右へ(下へ行を2つまで増やしても良い)配置し、一旦、置けば移動は出来ないので、考えて取りにいく事になる。


手に入れた部族カードは、自分の前に並べて配置する。左から右に並べていくが、1段下に置いてもよい。ただし一旦置くと移動は出来ない。部族カードの右下に勝利点(1〜3)が描かれている。
完成した行(つまり4枚)をみて同じ種類のカードもしくは全て違う種類ならボーナスがある。みての通りわしは1行目は全部違う種類なのでボーナス2点だ。

2,3手番行って、なんとか自分の欲しいカードを手に入れられないかと思った時に、とある外周カードに気づく。
蜃気楼。
内側におかれた部族マーカー1個を空いている別のカードに移動させられる。

こ、これは…

わし「じゃ、蜃気楼の効果を使って、これをここに移動させるっと」

mia「何それ。無茶苦茶強いじゃないのよ」


これが最強と名高い蜃気楼である。

1手目に蜃気楼を抑えさえすれば、確実に欲しいカードが手に入るのだ。
このゲームでは先攻後攻の有利不利はとてつもなく大きい。スタートプレイヤーの場合は、欲しいカードは蜃気楼を使えば手に入れられる。

そこからわしらの間で蜃気楼ブームが起きる。
それは、20歳代のOLに大手旅行代理店がとった『旅行に行って、今あなたが最も見たいものは何ですか?』というアンケートに、蜃気楼が堂々1位になってることからも解る。ちなみに2位は股間である。

最初に周りのアクションについて特に何も注意を払わずプレイするのが、へぼいと批判を受けるだろうが、とにかく早くゲームがしたいので大体いつもそうなる。そして途中でアクションについて気づく。

わし「あ、もうすぐ盗賊くるで。商品トークン2個か勝利点1を支払う」

盗賊駒は外周を1マスずつ進んでいき、4隅にきたら商品トークンか勝利点の略奪を行う。後半になればなるほどたくさん略奪するので、勝利点が減らないように商品を置いておかなくてはならないのだ。
また盗賊駒はラウンドの進行も表しており最後のマスまで達してもゲーム終了である。プレイヤーに制限を課したりとなかなか気の利いたキャラクターなのだ。


少々めんどくさいのが、部族駒のアクションを実行するとカードを取り除き、補充するのだが、商品カードと部族カードは交互に変えて補充される。それを忘れないように、裏向きに補充して、ターンの終了時に表向けるのだ。これが結構めんどくさい。

あとわしがよくやったのは、隊商で、商品カードの山から1枚引いてその商品トークンを貰えるというギャンブル作戦。欲しい商品が手に入らない配置のときに、よく使った。

miaはひたすらラクダ持ちの部族を狙う。これを4枚揃えて+4を狙う作戦。


とうとうmiaは4ラクダ達成。これでボーナス4点だ。

わしはそんなことは最初に諦めており、別の種類で揃える作戦だ。その作戦の方が次々に部族カードを取れるので早く場を満たす事ができる。

しかし山札のカードが偏っており、なかなか4種類目が出ない。
そして、タルギア(女性)が出た。

わし「おらの村にも嫁がきただぁー! 嫁さ、きただぁ!」

次々に部族カードを埋めていくわし。
ちなみに部族カードは1枚だけなら、手札にすることができる。どうしても欲しいが、コストが足りない場合はそうすればいい。ただしこれを配置するには貴族アクションを選ばなければならない。

溜めて溜めてドーンを防ぐために、ターンの終わりに、10個を超える商品トークンと3個を超えるお金は廃棄せねばならない。

mia「あ、ちょっと待って。うーん、あ、いけた。あ、駄目か」

商品トークンを計算するmia。こいつが大体このように声を出して計算するときは嵌っている証拠だ。

結局、このままわしが12枚の部族カードを揃えてゲーム終了。


12枚揃えてゲーム終了。勝利点の合計を出す。全ての行で違う種類で揃えてるので合計6点のボーナスだ。

基本点は部族カードの勝利点で、それに特殊効果や先に書いた種類ボーナスを足す。
当然、わしの勝利。

所要時間60分


mia。部族カードが3枚も少ない。

miaのコメント

交差ルールはわたしの大好きなオレゴンに似てて楽しい。ルールは簡単で久々の大ヒット。またすぐに再戦したい。

ソマーリオ

ドイツゲーム大賞ノミネート作品の2人用に外れなしに間違いはなかった。ルールはとてもシステマチックで、簡単で、それでいてジレンマがきいており、ああ、ドイツゲームをやってて良かったと至福の時を過ごせた。少々語るなら、なんでこれがエキスパート賞のノミネートなのかと問いたい。全然、エキスパートでも何でもないくらいルールは平易だ。

規模にしてプレイ時間は60分と長いが、まったくだれる事ないばかりか、和気あいあいとやっているため、30分くらいの感覚ですらある。準備もそれほど時間が掛からず、プレイをしていて疲れず、プレイ後の満足感も高いので、夫婦やカップルのヘビーローテーションになりうるゲームなのだ。

※ちなみにそういったゲームには、うちではカルカソンヌオレゴンあたりがある。

このゲームの唯一の欠点は、内側のカードを取ったら、商品、部族それぞれ別のカードで補充するところくらいである。忘れがちになる。表面にぱっと解るマークが欲しかった。

それ以外にはまったく欠点はない。カードは美しく、外周カードは表はアイコン、裏は日本語説明、どちらでも使えるようになっている親切設計だ。今回は日本語説明を上にした。

覚える基本アクションも僅か6種類(外周カードのうち6枚は商品カード)なので、最初に一通り目を通しておけばまったく問題はない。

プレイ感は、銅鍋屋に似ており、それにアクション要素を加えた感じである。

テーマである砂漠のトゥアレグ族の雰囲気もなんでか解らないが良く出ている。
砂漠やぁ、と何故か思う。

テーマは地味で、箱絵も何故か萌え絵になってて、作者は無名で、買える看板と言えば、ドイツゲーム大賞ノミネート作品というところだけだが、日本でこれをこのまま埋もれさせてしまうにはあまりにも勿体ないゲームである。あの良作続きのKOSMOS2人用シリーズが帰ってきたといえば、古参のゲーマーなら間違いなくピンとくるだろう。

各国版のタルギの箱絵。これは売れんわぁ。おっさん、渋すぎやろ。日本語版の萌え絵が一番マシかも。。。

gioco del mondo