David V. H. Peters
&
Harry Wu
Queen Games
2〜5人
40分
サマルカンド
中央アジアに住む部族は互いに血縁関係を結び、競争力を強化させていくことを目指している。
人を信用する手段は婚姻だった時代である。
それがシルクロードを支配することにつながるのだ。
ステップ気候を背景に勢力を広げ、次々に交易を繰り返す。
それが部族に長久をもたらすのだ。
プレイ感
タナカマが持ってきた。オビ湾がゲムマの時に「ルール読んだんですが結構いいですよ」と言うてたので丁度よかった。タナカマもそういう話は聞いていたので持ってきたらしいのだが、まだやったことがないという。タナカマ夫妻、OEC、miaとの5人プレイにて。
手番に出来るのは2つのうち1アクションだけ。ひとつは持参金を払って部族と結婚すること。各部族ごとに持参金は違っており、中央部の部族ほど高くなっている。そして持参金をその部族に支払って(ストックに置くのではなく部族のマスにお金を置くのだ)、婚姻タイルを貰う。その部族と婚姻したということで、その部族にプラスになるように動かせば自分も得をするようになる。ただし婚姻は2枚しかないので、二人のプレイヤーしか1部族と婚姻することは出来ないようになっている。
また結婚すると、交易品カードを3枚もらい、最低でも1枚残して手元におく。
もうひとつのアクションは、好きな部族からラクダ駒をボードに(既に置かれている同部族のラクダとつながるように)配置することだ。通常は1個だが、その部族が1ゴールド(ストックに)支払えばもう1つまで置くことが出来る。
交易カードにはボードに応じた番号が割り振られている。書いてあるのは得点ではなく、ただのナンバリングだ。全てのカードの絵柄が違うのは素晴らしいが、こういう小細工をしなくてはならなかったようだ。
序盤は、結婚することから始めるのがセオリー。わしは中国女とエジプト女と結婚した。裏面は男の顔になってるのは芸が細かい。
手番に出来ることはこれだけだが、ボード上においてある交易品タイルのマスにラクダをおいたら、その交易品を貰う。これは勝利点1となる。またそのとき、誰でもそれと同じ交易品カードを持っていたら3ゴールドで売ることが出来るが、これは自分の場に出しておき手札制限に入るようになる。このゲームではお金はそのまま等価交換で勝利点となるのでかなり重要な要素だ。
10種類ある部族は、それぞれお金を各プレイヤーの持参金で賄う。ボードに描かれている数字が持参金で、ストックに戻すのではなく各部族のマスに置いておくのだ。また友好タイルが置かれており、これは各部族同士がくっついた時にプレイヤーがもらえるタイルだ。各部族が最低1つ友好を結ぶか、ある部族の友好タイルが無くなるかすればゲーム終了である。
またひとつのエリアには違う部族のラクダが2駒まで入ることが出来るが、そうするとその部族間で友好が結ばれたことになり、置いた部族の婚姻プレイヤーは3ゴールド、置かれた部族の婚姻プレイヤーは1ゴールド手に入る。そしてその友好をおこしたプレイヤーは、互いの部族から友好タイルを1枚ずつ貰う。これは勝利点1となる。
※海上エリアで接触しても友好が起こらない。
つまり、婚姻した部族を自分でくっつけていくのが一番の得策となるのが分かるだろう。もし両方の部族と結婚していれば、友好タイル2枚と祝い金が4ゴールドはいることになる。
最初ルールを聞いたとき、お金が全然足りなくて、どうなん? と思ったが、こうやって友好をさせていけばお金に困ることはなくなることに気づいた。
一通り婚姻をすませば、あとは、その部族のラクダを繋げていくだけ。目標は自分の持ってる交易カードの場所か、他の部族との接触だ。基本ラクダは1個ずつ置くのだが、2個一気に置く場合は、その部族のストックから1ゴールド、ストックに支払う。貧乏な部族は伸び悩むのだが、そんなに駒がある訳じゃないので、どんどんいこう!
勝利点はそれ以外に、ゲームが終わった時点で、交易品マスにあるラクダによって交易品カードの得点が貰えるというものがある。自分の婚姻部族のラクダが自分の持ってる交易品カードと同じマスに入っていれば4点貰える。最大2部族入れるので上手くやれば8点はいる訳だ。実はこのゲームで最も得点が大きいのがこれなので狙っていかねばならない。というかゲームの目標はここだ。
プレイの指針として、最初に配られる交易品カードを目標として、近い部族と結婚すればいい。途中、手に入れた交易品カードをみて、その場所に近い部族と結婚していくというプレイになる。こう書くとチケットトゥライドの目的地カードのようだが、プレイ感は全然違う。
最初やったときは、視認性の悪さに困ったもんやが、途中、交易品についている番号がボードに順番に書かれていることに気づく。左から順番になっていた。そうなると探しやすくなった。一応工夫はされてるようだ。商品を全て違う絵柄にしてるところに拘りがあってむしろ良いやんと思うようになった。
交易品カードを選択する時以外は非常にテンポよく進む。最初に貰えるお金は10ゴールドなので、2、3部族くらいとしか婚姻関係を結べないのだ。中央部の部族は持参金が6ゴールドとべらぼうに高く、誰も結婚しない。わしは端にある中国と3ゴールド払って結婚した。近い場所に自分の交易品があったのと、やすかったのと、中国女がこの中では可愛かったからだ。
今回は二人だけで進めることにした。お金はそのまま勝利点になるので、使うのがもったいないと思ったからだ。
ボードを見ればわかるが、ラクダがあちこちに進み、接触しているところは友好関係となっている。
タナカマ「この交易品、誰か売りますか?」
といちいちタナカマは到着させた交易品を言うが、誰も売らず。そらそうや。だって皆、自分が持ってる交易品の場所に到着させとるやろ。
と、言うと、タナカマもそれもそうですね、と聞くのを止めるようになった。
誰かいればすぐに手をあげるでしょう。それよりテンポをあげよう。
今思うのだが、到着させたプレイヤーはその番号を言えばいいと思う。それならすぐに解るし、親切だ。
自分が友好関係を結ばせるためには、2マス以内に近づけなければならない。ただそうすると、次のプレイヤーに友好を結ばれてしまう。と、思ってたのだが、意外と部族が多いので、自分のことで手一杯だった。そういった意味では非常に平和的なゲームなのだ。
エジプト女を使い、ひたすら友好関係を結ぶ。乱交プレイにみえんこともないが…
部族の駒が切れたら、それ以上伸ばすことは出来なくなるが、所詮パトロンがついても二人までなので、1部族だけが縦横無尽に駆け巡るというケースはまずない。
ただ唯一例外は、2駒制限。
タナカマ「あっちゃあ、邪魔だなあ」
2駒入れられるとそこが壁となって進むことが出来なくなるのだ。
わしは今回は結婚を二人にして、お金を節約した。先に書いたように持参金がいるので、持参金が回収出来るかどうか計算せねばならない。
それに反してタナカマは4人目との結婚を決める。
わしはむしろ、友好関係を誰彼なしに成立させて友好タイルを貰うようにもした。
ゲームの終了は、どの部族もひとつは友好関係を成立させるか、ひとつの部族の友好タイルがなくなるかで即座に終わりである。
OECが最後にがつんと友好関係を成立させてゲーム終了。
わしはお金にものを言わせるも、OECの勝利。
最後のすかしっぺをした方が有利かも。
所要時間40分
最後はお金とタイルの裏面を全て足す。それから交易カードに入っているラクダをみて加算すればいい。
非常にテンポの早いゲームやった。これではなんかよう解らんしレビュー出来んわ。
もっかいやろうということで2戦目。
2回目は、フン族、中国、アラン(?)と婚姻。見ての通り北西の民族で固めた。
ひたすらここらへんの交易所に向かう。
ここらへんの交易カードをしこたま持っているのだ。
今回もわしは中国と婚姻を結び、その隣の民族と婚姻を結び、付近の交易品の場所でひたすら相互乗り入れさせまくった。さらに3人目の婚姻を結んで、ひたすら自分の交易品の地盤固めをする。
(これ勝ったんちゃうかな?)
と思いながら、ひたすら繰り返す。
友好タイルはすくないけど、今回の戦術は相互乗り入れだ。
ゲーム終了。今回もわずか40分であっという間に終盤を迎えた。
わしの作戦が図に当たり見事勝利。
手札6枚中、4枚が相互乗り入れ成功(つまりこれだけで32点)やからな。これで負けたらどうしようかと思った。
結局、3部族を動かしただけで勝利。中央については我関せず。
タナカマのコメント
テンポが早くて面白い。これ買って損したなあって思う人はいないんじゃないですかね?
OECのコメント
〇夕食後に。さくっと。
政略結婚したりその富豪の持つラクダでシルクロードで商品を裁いたりするゲーム。
●オ、オリエンタル!
想像以上に早い収束 かといって、派手すぎる展開によるドタバタ感はない。
そしてソロプレイ感と協力と牽制が入り混じった判断を要求されつつ、 やってることは地点連結型のボードゲームって、すごく不思議なプレイ感は、 まさにオリエンタル!というか東洋の魔女的!
ソマーリオ
非常に雰囲気のあるゲームで、ルール聞いたのとまったく違うプレイ感やった。最初は婚姻タイルが株券の
ユニオンパシフィック
ぽいんかなと思ったら、あれより数段緩く、連結してお金貰うところはダンプフロスぽいかなと思ったら、もっと展開が早いゲームだった。
こんな風に感じたのは、間違いではなかったようで調べてみると2008年にエイジオブスキームという鉄道ゲームのリメイクだった。エイジオブスキームは同人ゲームのようなチープなコンポーネントのようなので、今回、テーマもコンポーネントも変えてクイーンゲームズから出たのは素晴らしいことだ。
これがエイジオブスキーム。GEEKより拝借。
テーマを変えたのは大正解だと思う。鉄道ゲームよりもぐんと雰囲気があるのだ。鉄道ゲームやと
ユニオンパシフィック
という大傑作があるゆえに駄目なゲームに感じたかも知れない。駅名ならすぐに覚えられるが商品はどこにあるのか解らないという欠陥も、番号を素直に印刷することでなんとか確認性をよくした。最初気づかんかって、かなり手間取ったが、ナンバリングの法則さえ分かれば、そんなに苦労せず探し出せる。ただしそれ以外にも準備がめんどくさいのが、このゲームの大きな欠点となる。
そういや
テーベの東
もクイーンゲームズからリメイクされて出されたが、あのリメイクも素晴らしかった。なぜか、リメイクするとヘボくなってしまうのだが、クイーンゲームズは非常に上手なようだ。
アランムーン
がデザインしたかのようなゆるゆるのプレイ感だが、部族間の婚姻をテーマにしているので、悠久のオリエントというテーマ性とばっちり合っているのだ。
またラクダの2頭目を置く場合、部族のストックからお金を支払うというアイデアも、システムとして有効に使われているかどうかはともかくその雰囲気をもりあげている。なんせ最大でもチームメイトは二人なので、お金の枯渇ってことはほとんど起きないと思われる。
何かに似ているようで、オリジナリティもあって、ほのぼのとする。
ただし、そのおかげで、このシステムが持ってるポテンシャルの60%ほどしかゲームには生かされていない気がせんでもない。辺境の土地でそれぞれが結婚や友好関係を結んでおり、それが場全体に影響を与えていない。それを物足りないと取るか、平和的と取るかはプレイヤー次第だろう。
ようやくプレイヤー同士が絡もうと思った頃、ゲームは終わりとなる。それまでは婚姻関係を結んでいるプレイヤー同士が互いにWin-Winの関係となって、誰も損をせずソロプレイのごとく進んでいく。カツカツのプレイ感を求める人にはまったく不向きだろう。実に平和的なゲームだ。それだけでこのゲームを持っておく理由になる。
ドイツゲーム大賞
にノミネートされてもいいゲームだと思うが、ノミネートにははずれて推薦リスト止まりだったようだ。ただ、このゲームを好きという人は多いだろう。どうにも砂漠の民、シルクロードの民の雰囲気満点なので、結局、気に入ってすぐに買うてしまった。若干、足りない気がしたので
を付けるか悩んだが、テーマ性の良さでオマケしておく。二人からも出来るみたいなんでそこもよし。2010年推薦リストに入る新作なのだが、地味な箱、見栄えのしないプレイ画像、どこかで見たことのあるテーマなことから、日本ではあまり話題にのぼっていない。勿体無い。Geekでの評価は7点以上と高い。いかにも
ゲーム大賞
向きのゲームなんでノミネートされんかったんが不思議だ。おそらく1度やっただけでは、「ん??」とよう解らず、2度目にやって初めて面白さが解るゲームだからだろう。準備がめんどくさいので、一度やったら仕舞わずに、すぐに二度目をやってみたらいいと思う。
gioco del mondo