Aske Christiansen

Ludonaute
KenBill

1〜4人
60分

リビング・フォレスト

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き、き、きのこ、
き、き、きのこ
ノコノコノコノコ、歩いたり・・・する?!

プレイ感

2022年のドイツゲーム大賞エキスパート賞受賞作。Ottimo会なるものが発足し、タナカマは仕事のため不在、今回はえりえり、COQとの3人プレイを行った。

COQ「これ、準備がちょい面倒なんです。感じとしてはクアックサルバーに似ています」


衝立に人数に応じた12種類のタイルと場には3×4のカードを展開、それに応じた火タイルなどを配置、駒を円形ボードに置き、各自自分のデッキと個人ボードを持ちなど、たしかにめんどくさそう。


個人ボードあり、メインボードにはデッキ構築のためのカードがならび、その横には妖精駒が踊ってて、衝立にはタイルが並んでるという要素満点。

基本的なシステムはカードを使ったバッグビルド(バーストがある)である。
各自が持っているデッキを1枚ずつ同時に(厳密に同時にじゃなくても良い)めくっていき、バーストの前にストップを行う。

カードには5つの項目が1行になるようにアイコンと数字が描かれている。
上から太陽、水、芽、渦巻き、蓮である。バーストはカードに黒いマークが描かれているカードが3枚出たらバーストである。最初のデッキには5枚含まれている。


カードを横に並べる感じで引くと横一列に同じアイコンが並び、数字が足しやすくなっている。

全員がバーストするか、ストップしたら親プレイヤーから順番に2アクション(バーストすると1アクション)の手番を開始する。

アクションは先に書いた5つのアイコンから選択する。それぞれのアイコンの数字を合計してどのアクションを行うかを決めていく。以下、アクションの説明。

太陽…場にある動物カードを購入。購入したカードは裏向けにデッキの上に置く。複数枚購入可能
水…共通ボードにある火タイルを消す(タイルを貰う)。コストは火の数字で複数消しても良い。火タイルを12枚集めたら勝ち
芽…衝立の樹木タイルを1枚のみ購入。タイルは個人ボードに他の樹木タイルと接するように配置する。12種類の樹木タイルを置いたら勝ち。
渦巻き…円形ボードに配置した自分の妖精駒を合計数字以内で進めて、マスのアクションが行える。また相手を追い越したら(同じマスには止まれない)相手から勝利に関係する+1タイル(樹木、火、蓮)を奪える。
蓮…カードをめくった状態で合計12点出したら勝ち。

メインフェイズはこんな感じで終わりである。
メインフェイズ終了時に火タイルが残っており、各自の水アイコンの数値を超えていれば、焼けカードがデッキに追加される。このカードは能力がない癖にバースト条件の黒マークがついている。
さて、次に火タイルの出し方だが、ラウンド終了後、場にある動物カードを購入したらその空いた穴だけ火タイルが置かれる。場の動物カードは強さによって3つに分かれており、それによって火の強さが違う。火の強さが違ったとしても勝利条件は12枚という枚数である。

最後に空いた場所に動物カードを補充し、親マーカーを左隣に移動して次のラウンドを始める。途中でカードがなくなったら、捨て札をシャッフルして引いていっても良い。

もう少し細かいところでは、樹木タイルにアイコンがあるので、アイコンの合計に加えたり、ボードの列、行を埋めると同様にアイコンパワーが追加される。

こうして3つの勝利条件のうち1つを誰かが達成したらそのラウンドに終了である。
複数名が達成してたら、3つの条件を足して高い方が勝ちだ。
実はこの時、即終了とルールの解釈が間違ってたのだ。後日、判明する。

わし「もうルール聞いただけで、めちゃめちゃおもろそうなんやけど?」

COQ「それさっきのモルタールの入り口でも聞きました」

最初は、動物カードを同時にめくっていこうといった矢先、次々とめくっていくえりえり。
やはりこの女は、この適当さが売りなんやろなと横目でみつつもわしも適当にめくっていく。

いくらかめくっているとハタと止まる場面がある。バースト条件のカードが2枚出たときだ。

わし「うーん、これは確かに怖いな」

しょうがないので、ここでストップをかける。
見てみるとゲーム中通じて、ここでアタックする場合はぺけタイルを持ってる時がほとんどだ。ぺけタイルは、引いたカードを無かった事にできる重要なタイルで、樹木タイルや円形ボードのマスで手に入る。


妖精駒と樹木タイル棚。樹木タイルは種類が重要なのに区別つきにくいやつが多い。奥にみえる白っぽいのがぺけタイルだ。見かけ以上に大事だ。

えりえり「じゃあ、渦巻き付き樹木タイルを買うのと、移動するね」

BGAでやり込んでいるえりえりいわく、合計値が少ないと何もできないときがあるので、渦巻きで少しでも進める作戦という。

COQは火を消した。

わしはえりえりに見習い、渦巻き作戦とした。

わし「あれ? これ渦巻きで相手を追い抜いてもすぐに追い抜かされてタイル取り返されるんじゃないん?」

COQ「そうです。だから付き放す感じで進む必要があるかもです」

とはいうものの、ゲームをやってみると他のアクションもあるのですぐに追い抜かすかどうかは状況次第というのが分かった。

さて2ラウンド目、わしはいきなりバースト、バーストと引いた。

わし「ええー、あと1枚バースト入ってるんかあ。でもさすがにこれじゃあなあ」

と引いてみるとバースト

(|| ゜Д゜)ガーン!!

COQ「それは流石に珍しい」


なめてんの?

なんかデッキビルドが思うようにいかない。

えりえり「これ、初期デッキに太陽マイナスがあるのが酷いよね」

そう、太陽で買うんやけど、これが集中して集まらんと、高い買い物ができないのだ。

ドミニオンタイプのデッキビルドでは、初期手札はほぼ決まってて、どうあがいても選択パターンというのはそれほど多くはない。
しかしこのゲームではマイナスの効果と選択肢の多さから、太陽(お金)に集約されず、カードを購入しにくくなっている。


自分の戦略に合わせて場のカードを購入してデッキを強化していく。

えりえりは毒のある爪を使ってデッキの積み込みをするので、

えりえり「やった。太陽11なので、このカードを買う」

と強力なカードを買う。例えば、ここに太陽アイコンの大きなカードを買えば、好循環となるのだ。
これは実はこのゲームの唯一の欠点やと思った。

わしはタイミングが悪くてにっちもさっちもいかない。

カードを買うと、全体的に火が増える。

わしは鎮火に走る。

えりえり「やった。危うく焼け死ぬとこだったわ」

しもうた。そうか。


カードが買われた穴の分だけ、火タイルが増える。妖精駒はフランス特有のキモさがあってなかなかに良い。

このゲームの面白いところは、火タイルの扱いでもある。
協力して消そうとか、こいつだけ焼き殺そうとか、そういう話が進むのだ。
相手の水アイコンが少ない時に、消すかどうかは葛藤となっている。

とあるタイミングでこれを見誤り、COQが大きく火タイルを集めることがあった。それは後の契機となる。

わしは火も消すし、樹木も植えるし、駒も進めるというこのゲームではいっちゃんやったらあかん方法をやってしまった。

いっちょがみが最強なのは古いドイツゲームのシステムなのだ。


まあ、いっちょがみはこのゲームではあかんかったわ。オールドゲーマーですなあ。

えりえりは火を完全に捨てて、樹木とぐるぐるで、わしらからタイルを巻き上げて、勝利に一番近い位置にいた。

と、思った。

COQ「じゃあ、ここで一気に火を消します」

なんと燃え上がる森の火を一気に消しにかかった。

えりえり「わ、やられたか!」

COQ「これでタイルが12枚なので僕の勝ちです」


がっつり火を消されて負けてしまった。

ここで先に書いたように即時、終了と取られる文言があったのでCOQの勝利となったが、えりえりは夜な夜な毒虫に満たされた壺に手を出し入れした蠱毒の爪を使い、自分がこのラウンドで12枚の樹木タイルで勝てることを説明して悔しがった。

所要時間60分

その翌日、えりえりから冒頭に書いたルールが正しいのではという物言いがあったが、お互いにめくった蓮の点数の写真が残っておらず、とりあえずわしの勝ちにしとくかというと「おじいちゃん、お薬出しときますね」と言われた。

そしたらTwitterでタイミングよく間違いやすいルールとして、火は複数OKだが、樹木は1枚だけというルールが判明して、COQの勝利が確定した。

COQのコメント

クアックサルバーと似ていますが、より立体的で複雑です。

えりえりのコメント

これ、火プレイヤーおると、阻止せんと突っ走られちゃうんよな。

ソマーリオ

久々にドイツゲーム大賞のエキスパート賞というタイトルであった。
デッキビルド、タイル配置、アクション制と色んなシステムの組み合わせだが、それが見事に有機的に組み合わさっており、単純にひとつのシステムという形では表現できないバランスである。すべて消化不良になってないってのが凄い。

また意外と火のシーンで協力的なところが見られたりと、雑多な街、タイのバンコクと勝手にイメージしている。

3つの勝ち筋はどれも非常に変わっている。
一つはタイル配置、一つは協力、一つはデッキビルドである。この3つの得点がすべて12点と等価値として与えられているのには驚嘆を禁じえない。
これがほんまに等価値なのかは、何度もやらないと分からないが、少なくともデッキビルド以外の勝ち筋はCOQとえりえりがほぼ同ラウンドで達成したようにバランスが取れているのだろう。

えりえり曰く蓮で勝った事のある人は知らないというのだが、ゲームの本質としてボードゲームであるので、カードゲーム的勝ち方をしたいと思う人が単に少ないからなのだと思う。

ドイツゲームの革命的要素の一つ、勝利点方式だが、このゲームはタイブレークの時にしか用いない。そこもオールドゲーマーからしたら新しい息吹を感じる。

コンポーネントは動物の絵がそれぞれ違って描かれており、妖精駒の出来栄え、森の雰囲気などすべてがテーマとシステムにマッチしており文句なし。アバターの世界観?
樹木タイル置き場も組み立てたまま収納できるようになっており、ここまでやると出来過ぎ感すら感じる。パレオなんかは見習って欲しい。

勝ち筋の多さや難易度も難しすぎず簡単すぎずと適当でこれは文句なしのドイツゲーム大賞エキスパート賞だと思う。
1人用ルールはWebで公開しているとのこと。

ちなみにこのレビューを書いてるその1年後、Ottimo会は事実上なくなりました。ちーん。なんでここまでレビューが遅れたかというとなんせ市場に出回っておらず転売ヤー価格だったので再販を待ったためである。

gioco del mondo