Wolfgang Warsch

Schmidt
アークライト

2〜4人
50分

クアックサルバー

駿河屋駿河屋
年に一度、クアドリンブルクでは、この界隈で有名な魔法医師や治療師たちが一堂に会し、癒しの技を披露していた。
足が臭い、ホームシックだ、しゃっくりが止まらない、恋愛の悩みなど、彼らはなんでも治療する。
そして治療師たちは皆、独自の特効薬を持っていた。

プレイ感

おもろいと話題になってたが、初版がすぐに売り切れてしまい手に入らなかった。日本語第2版が出たので、ようやく手に入れた。
とはいってもすぐにやらずに眠ってたが、コロナ騒ぎのせいで、家族でボードゲームをやる機会が増え、GWにやることにした。コタ9歳、miaとの3人プレイにて。


各自、鍋ボードと袋を持つ。袋の中には規定のチップを各自入れておく。
最初にカードを1枚めくり、そのカードの内容を読み上げる。これは全員に影響がある。
それからトップ以外のプレイヤーは、干しネズミ駒を投入できる。これは鍋の中央にあるスタート位置であるしずく駒から、得点マーカーのねずみの尻尾の数だけ進んだ位置における。スタート位置が後ろにあるほど有利になるのだ。


鍋の中心から、チップの数字だけ次々に置いていく。最初は左下に描いているように白チップが多いので無理は禁物だが、最終ラウンドには最後まで進めることも可能になる。

同時に各自任意のタイミングで袋の中のチップを1枚ずつ引いて、鍋の中央から螺旋状に置いていく。

チップの数が1なら隣のマスに、2なら2マス離れたマスに置いていく。そうやってどんどんと遠くに伸ばしていく。
ただし白のチップ(白キノコかな?)の合計が8以上になったらバーストして、そのチップは置くものの、それで手番は終わりだ。

※紺碧さん情報によると、白のチップはドイツ語でKnallerbseらしく、翻訳するとシンフォリカルポス、別名スノーベリーという果実らしく、地面に投げるとパチっと音がすることがある。ネットで調べたらまんまの写真がでてきたので間違いない。以下、スノーベリーで統一する。ちなみに有毒。

また色付きのチップには特殊効果があり、引いた瞬間に発動するもの(赤、青、黄)と、次のボーナスフェイズで発動するもの(黒、緑、紫)がある。どちらで発揮するかは色によって違うが、色を覚えずとも発動する効果をみればまず分かる。

バーストすると次のボーナスフェイズで損するので、その前にストップして良い。また薬を飲んで、今引いたスノーベリーチップを袋に戻しても良い。
全員がバーストするかストップしたら、次のボーナスフェイズである。

ボーナスは以下の順番に行っていく。どこを見るかは見やすいように鍋に最後に置いたチップの次のマスだ。


得点ボードはラウンドの記録と、ボーナスの順番と内容が描かれている。下の方に見えるサイコロの絵の項目がそうだ。
干しネズミ駒は、得点マスの間にあるネズミの尻尾の絵で数える。

まずは、一番遠くへチップを進めたプレイヤーがボーナスさいころを振って、その効果を得る。マスの数字(四角の数字じゃない方)をみて比べる。同じ数字なら、より進めているプレイヤーで、それも同じなら両方獲得できる。

次に、このラウンドで先に書いた、色チップの効果(黒、緑、紫)を発動させる。

マスにルビーの絵があれば、ルビーを1個貰う。

四角で囲われた数字が勝利点で、これを加算する。

スタートプレイヤーから順番に、マスの数字の価値を使って、チップを2つまで購入していく。2つ買う場合は、違う色でないといけない。ドミニオンのようにお釣りはでない。

最後に、ルビーを2個支払って、使った飲み薬を充填したり、しずく駒の位置を1個進めて底上げをすることができる。

またバーストした場合の罰則として、勝利点を得るか、チップを買うかのどちらか一方しか出来ない。
このボーナスの順は、ボードに描かれているので、そのままやれば良い。

これが終わると、ラウンドマーカーを1つ進め、今、購入したチップも含めて、すべて袋に戻して、スタートプレイヤーを交代して次のラウンドへ進む。

8ラウンド終了後、得点が高いプレイヤーが勝ちだ。


本来ならしずく駒から進めるのだが、干しネズミ駒で1マス先からスタートになっている。
薬を飲んで、今引いたチップを袋に戻した。薬タイルを裏返して空にする。この絵柄は抜群。

チップはそれぞれが任意のタイミングで引くので、あまり気にせずにやっていく。

最初のチップは、ほとんどがスノーベリーチップしか入っていないので無理は禁物だ。

そしてチップを買うときで個性が現れてくる。

わしは黄のマンドラゴラの効果を利用することにした。
こいつは、前回のチップが白チップならば、それを袋に戻す効果を持つ。序盤は、スノーベリーが多いのでかなり効果的になるはずだ。

mia「というか緑のニワオニグモチップ、だれも効果が貰えてないんだけど?」

ニワオニグモ、かなり不人気。こいつの効果は最後か、ラス前にあったら、ルビーを1個貰えるというものだ。

確かになんか中途半端に出てきて全然緑がそのパターンにならない。

かぼちゃの次に安いのも分かる。

しかし2回戦目でこれが物凄く大きな間違いであることに気づいた。緑で、あえて止めることで、効果を発揮させるチップなのだ。ルビーの入手が難しいことから、このニワオニグモの力はうまく使えば強いことが分かる。

miaは黒のメンガタスズメにハマる。

こいつの効果は、左右どちらかより、黒が多ければ、しずく駒を1マス前進(底上げ)、さらに左右どちらよりも多ければルビーが貰える。


メンガタスズメをうまく使えば、このようにしずく駒の底上げができる。この効果は永久なので、底上げの強さは分かるだろう。
ここで進め方を説明すると、最初にスノーベリー2を引いたのでしずく駒から2マス先へ置き、次に黒1を引いたので1マス先へ置き、黄4なので4マス先へ置き……といった感じに置いていく。
得点を見るときは、最後のスノーベリー1の1マス先のマスの項目を見る。

つまり最初にmiaしかこれを買わなかったおかげで、これを引くたびにダブルで効果を発揮してた。

やべぇ。と思ったわしも黒を買うことにした。

わしとmiaがしずくの底上げをしてる中、ようやくコタもやばいと思い黒を買う。
しかしその頃miaは3個も買ってやがり、毎回毎回3枚も引きやがってきた。

わし「お前、やってるな」

コタ「明らかにおかしいもんね」

mia「やってないって!」

わし「わしに混ぜさせろ」

それからメンガタスズメをまったく引かなくなった。

mia「あー、なんか変なことされて引けなくなった。やめてよ!」

わしは黒の効果の強さを知りながらも、同じ戦略をとってはつまらないので、赤の毒キノコと黄色のマンドラゴラを活かすようにやっていく。赤は、以前にオレンジのかぼちゃが出ていれば、その枚数に応じて、パワーがあがるというもの。

メンガタスズメの効果は確かに強いが、コストが10もするくせに、パワーは1しかない。
赤は、かぼちゃが1,2枚出ていれば、1でも2マス進めるし、2なら3マスも進める。底上げよりも、毎回思いっきり進めるという戦略である。

スノーベリーの封じ込めには、マンドラゴラを使う。

こうして5ラウンド目くらいには、完全にぶっちぎった。

しかし、忘れてはならないのが、干しネズミ駒の効果である。離せば離すほど、物凄い力を発揮してくるのだ。

そしてえげつないカードが出た。


ラウンドの最初に引くこのカードはかなり強力である。そしてタイトルが非常に面白い。

大ねずみの効能。干しネズミ効果が倍になる。

なんじゃ、そりゃあ!!

さらに

効果は抜群。干しネズミ効果分のルビーを手に入れる。

なんじゃ、そりゃあ!!

これで猛追されてしまった。

コタは、途中でマンドラゴラ効果を利用する構築を取っていた。

コタ「パイナッポー買う」

なんかマンドラゴラをパイナッポーと名付け、白を綿花と呼んでいた。

結局、最後は、コタと同点優勝となった。

ただし、コタはルール間違いで、かぼちゃが出たら1マス余分に動かしていたのが後で発覚した。

所要時間50分


最終得点。左右にあるチップの効果表(本タイル)は裏表と各種2枚ずつあり、4パターン使えるようになっている。初回プレイは1のパターンをオススメされている。


8ラウンド目はこんなことになってくる。

翌日、再戦することにした。

miaは相変わらずメンガタスズメを利用し、それにマンドラゴラの強さを加える構築を取った。

mia「マンドラゴラ、強いよね。これに着目」

わしは今回は先に書いた緑の寸止め効果と、青のカラスの頭蓋骨を使って構築することにした。

青、なんかめっちゃ強いと感じたのだ。青は、チップを引くと、その数字の数だけ追加でチップを引ける。そのうち1枚を配置しても良いし、いらなければ、全て袋に戻しても良い。4の青なんて、4枚から選べるという凄さだ。

緑の寸止めも使い、前と同じく大差をつけていたが、やはり後半には詰め寄られる。


この時点で引くのをやめれば、緑の効果(最後か、最後の1つ前)を貰うことができる。意図的に緑は行う事が必要。

8ラウンド目はmiaは鍋の最大まで到達し、これは差されたかと思った。

1点差で辛くも勝てた。

コタは、二度もバーストさせてしまい脱落した。

コタのコメント

おもしろかった。パイナッポーが強い。でも1回目の事は書かないで。

書いたけど。

miaのコメント

これはおもしろい。いろんな作戦をやってみたくなる。

ソマーリオ

オルレアンから始まったチップ構成を構築するバックビルドと呼ばれるシステムで、ドミニオンのデッキ構築型の亜種である。

この方式はどう転んでも、つまらなくなることはないくらい安定したシステムだが、これにバースト要素を加味して、このゲーム特有の面白さを作り出した。

また最終ラウンドでは、全員が同時に1枚ずつチップを取り出す必要があり、これがさらに場を盛り上げるのだ。相手の動向を見ながら引くのはかなりアツい。

材料チップのコストバランスも良好だし、あまりにも出来が良すぎてケチをつけるところはない。
と思いきや、ひとつだけあった。第2版では、チップの加工がニス加工(白)とマット加工(その他の色)とまざっており、指先に神経を集中すればあろうことか白を判別できてしまう致命的欠陥があるのだ。これはアークライトに問い合わせれば、すぐにマット加工のタイルを送って貰えた。拡張セットもマット加工なので、マット加工に統一するようだ。
詳しくはこちらを参照。

※かぼちゃチップは、ニス加工とマット加工の2種類が入っているので、交換してもマット加工分を取り出して使用する必要がある。最初かぼちゃが足りなくて慌てた。

アークライト含め日本のボードゲームの販売会社は、この不良・欠品対応が非常に良くて安心して買える。ドイツのゲーム会社は対応してくれんかった。Gold Sieberめえ!

それ以外は、なんとも見事な、としか言いようがない。バックビルドで様々な勝ちパターンを作ることができるし、効果についても各色4パターン用意されてて、飽きることがない。
雰囲気もファンタジー色がたっぷりと出ている。ゲームテンポが良くないので爽快な楽しさというのはないが、じわじわと面白さがこみ上げてくるタイプだ。

鍋ボードの見せ方も抜群で、影をつけた立体的な絵柄で薬瓶置き場や干しネズミ駒を実際に皿に置いているように見える。2018年のエキスパート賞を取ったのは当然である。一昔前なら、アズールと争ってこっちが大賞を取ってたとしても不思議ではない。

あまりにも面白いので、拡張セットを買ってしまった。
さらに混ぜものができるようで楽しみだ。かぼちゃの6が出るというだけで、かなり燃える。

gioco del mondo