Donald X. Vaccarino

Queen Games

2〜4人
60分

キングダムビルダー


限りある土地に4つの王国が乱立する事になった。
軍隊の協力を得て、国境に強烈な防壁を築く王国や、商人の通商ルートを確保する王国もある。
どういった王国が最も優れているか、それはゲームを行う事で明らかになるだろう。

プレイ感

お盆に暇だったので、オビ湾と一緒に新居であるタナカマ邸に遊びに行った。まずはタナカマが一押しでしかもドイツゲーム大賞を受賞したキングダムビルダーをやることにした。タナカマ嫁も入れての4人プレイにて。
最初にタナカマ曰く、このゲームは一度だけだと解らないので2回続けてやりましょうと提案があった。


ボードをランダムに4枚組み合わせてマップをつくる。今回の勝利点にあたる王国建設者カードを3枚めくる。勝利点は離れたグループ毎に1点だとか、各エリア毎に一番駒が多いプレイヤーに12点、2番目に6点とか色んなカードがあり、それらを3つめくることで様々な展開が出来るようになっている。

手札は1枚で、手番になるとそのカードをプレイして、カードに描かれた地形に駒を1個置く。さらに追加で今までに置いた自分の駒に接し、且つカードと同じ地形のマスに駒を2個目、3個目と置いていく。最後にカードを1枚補充して手番は終わりだ。
もし、上記の条件にあうマスが無ければ初めて離れた場所にあるカードと同じ地形のマスに置く事が出来るようになる。言い方を変えれば、自分の駒に隣接できて、カードの地形と同じ空白マスがある限りはそこに置かないと駄目という事だ。


4枚のボードでマップを作る。手札は1枚だが、各ボードによって登場するボーナスタイルを手に入れる事で選択肢が増大する。

都市とボーナスタイルが得られる特殊マスがある。都市の周りのマスは1点貰える。ボーナスタイルは各マスにつき2枚ずつあり、先にそのマスの周りに駒を置いたプレイヤー2人だけがそのボーナスタイルを得る事ができる。ボーナスタイルは、次手番以降、毎回1度だけ発動させる事ができる。効果は砂漠に駒を1個置けるとか、海エリアに駒を移動させるとかがある。1枚につき1度毎手番発動出来るので、取れば取るほどアクション数が増えて有利になる。


毎回3枚の王国建設者カードをめくり、どのようなパターンで得点するかが決まる。メインとなる得点源だ。

最終的に、誰かが自分の駒を置ききったら、全員がゲーム中同じだけの手番を行った時点で終了。つまりラストプレイヤーが自分の駒を置ききったらそこでゲーム終了という事。で、得点集計して一番得点が高いプレイヤーが勝利する。

今回の勝利点カードは、一番自分の駒が置かれている横のラインの自駒の数×2点というカードと、離れた場所のグループ毎に1点と、4つのボードをエリアと見立てて、それぞれ一番多いプレイヤーが12点、2番目が6点というエルグランデなどの陣取りによく見られる方式だ。

わしとタナ嫁は最初に船のボーナスタイルを取った。どちらも初プレイだが、船のボーナスタイルだけ1カ所しかないところに目を付けたのだ。他の場所は2カ所あるのできっと強い筈である。

それから横のラインを揃えていく事にする。

オビ湾とタナカマはそれぞれ各エリアを制圧しようと駒を置く(という風に思えた)


タナ嫁の青駒が下辺に一直線になるように駒をおいている。わしの白駒は後で説明するが引っ越し作業中なのである。

わし「よーし、じゃ、ここに置いて…」

タナ嫁「それ駄目ですよ。まだここに置けるんじゃないですか」

わし「あ、ほんまや」

どうにも先走りして、自分の置きたい離れた場所に置きそうになる。カードと同じマスに自分の駒が先に置いてあれば、間違わないのだが、隣接してるところのチェックが漏れてしまうのだ。

わし「な? そこがあかんな?」

オビ湾「さっきからそれ間違ってるん、あきおさんだけっすよ」

わし「むむう」

それはさておき、タナ嫁が猛烈なラインを形成しだす。
というのはボードの端に駒を置いたらもう1個置けるというボーナスタイルのおかげだ。

タナカマ「その作戦強い。端に置けさえすれば1個余分で置けるもんなあ」

わし「うお、ほんまや。わしも引っ越ししよかな?」

わしのラインは端から1つ離れた場所。引っ越し出来るボーナスタイルがあるので、地道に引っ越せばなんとかなる、かも?

オビ湾「まじで引っ越しするんすか?」

わし「まじまじ」


最初は2列目においてたけど、端っこに引っ越し作業を開始。まだオビ湾しか接していないのでオアシスタイルが1枚余っている。同じマスのタイルは2枚貰う事が出来ないのだ。

しかし初めてやったゲームでそんなに上手くいく訳はない。途中まで引っ越し作業を続けていたが、ゲームの終了に間に合わない事に気づいた。

(|| ゜Д゜)ガーン!!

そうこうしているうちに、周りの寄せが始まる。各エリア毎の得点は12/6とかなりでかいので、なるべく2番手になろうと駒数を数え始める。

わし「ほな、ここに置いてと」

オビ湾「それ駄目ですって。まだここに置けますって」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

なんでこいつら、間違えへんねやろ。。

最終ターンは、わしがスタートプレイヤーだったので、オビ湾で終わり。

中途半端に置いたわしが勝てる筈もなく、まるで万里の長城が如くタナ嫁の一列縦隊がぶっちぎりの得点をたたき出して勝利。

所要時間 60分


これが最終形。タナ嫁の恐ろしい列が見える。

すぐにボードを入れ替え、勝利点カードを入れ替え2回戦目。

ここでもタナ嫁、恐ろしいまでのゲーム感を発揮し、ぶっちぎりの勝利。
野郎3人、形無し。この強さはTAM嫁に匹敵する。

オビ湾のコメント

これはよく出来てますねえ。久々にドイツゲームしたって感じがしました。かなり良かった。

タナカマのコメント

最近のお気に入りです。ドイツゲーム大賞は納得です。

ソマーリオ

久々にドイツゲームらしく、ジレンマたっぷり、それでいてプレイ時間は60分というのに出会えた。ヴァッカリーノは大ヒットカードゲームのドミニオンの作者だが、このゲームにドミニオンらしさは皆無で、エルグランデ以降のドイツゲームの陣取りゲームのようなデザインとなっている。

驚いたのはヴァッカリーノがアメリカ人であるところだ。最近のボードゲーム界は、アメリカが参入した事により、もっぱらかつてのウォーゲームを彷彿とさせる長時間かかるシミュレーションタッチのヘビー級がガンガンと出てきている。ウォーゲームが複雑になりすぎた故に絶滅してしまったように、ドイツゲームもそのようになってしまうんじゃないかと危惧さえ抱いているのだが、その本家であるアメリカ人デザイナーがこういったドイツゲームのデザインセンスを踏襲した陣取りを発表したのは凄い事だと思う。

可変に組み込まれる8枚のボードから4枚をランダムに抽出、さらに勝利点の獲得方法もランダムに組み合わされて、毎回違った楽しみ方が出来る。

プレイ感はハチエンダに似ているようだが、ややこしい点数計算やお金などの概念はなく、非常にシンプルに出来ており、大賞に相応しく十分オリジナリティに溢れている。後日miaと2人プレイをやってみたが、和気藹々と出来るところや点数の取り方などの雰囲気がオレゴンに似ており、4人プレイと同じように楽しめた。夫婦や恋人と2人でやるにも良いゲームだと思う。
タナカマ、オビ湾も話したようにわしも久々に納得のいく大賞受賞作品だと思った。

手札はカード1枚で一見すると選択肢がないように思うが、ボーナスタイルの効果を含めると、かなりの選択肢がプレイヤーに広がっている。
むしろどう置けば効率的かを調べるのに時間が掛かるくらいだ。そのおかげでテンポはそれほど良くない。
カードを2枚にしてしまえば、考えることが2倍になり、プレイテンポがかなり落ちてしまうのでおそらく1枚体制にしたのだろう。

タナカマによるとカードが1枚しかなく選択肢がないのが駄目という意見もあるようだが、とんでもない。カードを1枚にしてもプレイバランスを保つのがどれほど難しいかを考えたら、それが愚問であることがすぐに解るだろう。勝ちパターンを増やし、より戦略的にする為にルールを複雑にするというのは、バランス調整の面からみたら簡単なのだ。このゲームなら2枚にしただけで選択肢は膨大になる。他にも地形による効果などを含めると複雑にする方法はいくらでもある。でもそれはこのゲームの良さをスポイルするだけでしかないと作者は判断したようだ。その結果、万人に勧められるドイツゲーム大賞に輝いたのだ。

最大人数の4人でプレイしても、マップが広いのですぐにバッティングするようなカツカツ感はなく割とのんびりとプレイ出来るのも良い。これはファミリー向けの大賞作品には重要な要素だ。
そのくせゲーマーズ寄りな内容であったりするのは、バランスが優れているからだろう。

コンポーネントについては、駒はなんの変哲もない家の形をした駒なのが残念。それ以外のコンポーネントは色彩感覚を含めて良くも悪くもない並の出来である。この部分についてはもっと魅力的なデザインに出来たように思う。

ここ数年の大賞作品の中ではピカイチの出来で、新しくドイツゲームに触れる初心者にドイツゲームの世界をたっぷりと堪能させてくれるだろう。
システム的にも、追加カードや追加タイルなどが発表されるところは如何にもヴァッカリーノデザインらしい。それよりもドミニオンのデザインは奇跡の一発ではなかったというのが嬉しい。今後も、ドイツゲームの新星として素晴らしいゲームを発表していってくれるに違いない。

gioco del mondo